5856 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 22:02:35 ID:1eXT384E0
/||ミ
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|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| 、 - ‐‐ -,
|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
|:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i ハロー。
|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l
|:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
|:::::::::::::::||___ : : :丿
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
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\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
5859 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 22:10:12 ID:1eXT384E0
. . .-─‐-. ミ
|: : : : : : : : : : `: ..
|: : : : : : : : : : : : /
}Ο : : : ◯: : : :,′ そういや、今年で世界滅亡するらしいね。
: : : : : : : : : : : :i
{ -===- 、: : :. :.| きっと>>1は世界滅亡時も仕事だろう。
〉: : : : : : : : : :ノ
i: :`ニニニ´: : : : ‘, 最後の晩餐くらいゆっくり味わいたいものさ。
__/ : : : : : : : : : : : : i
___ /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
/ :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
.′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
. ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
. ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
\: :′:::::::::::/______」
弋:::::: /
`¨´
, -‐ ‐- 、
/: : : : : : : : : : ::',
, ': : : : : : : : : : : : : : :',
/: : : : : : : : : : : : : : :○:', それじゃ、デート(?)の続きをやっていくとしよう。
ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
. `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _ 昨今のラブストーリーはガムシロップをありったけぶち込んだインスタントのような
i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ
| : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶 ものばかりだろう? たまにはビターな奴も見てくといい。
| : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ
丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
`ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
5861 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 22:25:00 ID:1eXT384E0
_ -===- _
, .-==/._ `
/ ` 、
, ' ' ,
,' .',
,' / !.i
,' ,' ム.,' | | |
i .i ム,' ! l i
| i .ム,' i i !il
| i ム,' i iil l 孤児院の子供たちに見られたら自害ものですねえ……
! i ム,' _ i i
リ .i { ! ム,' /;: ̄ヽ 「そ、そんなにですか」
/ .i { ,' .ム,' ,':;:;:;:;:;:;:i
,' .i .i ,' ム,' i;:;:;:;:;:;;:;! 見た目こそこれですが、私はあなたより一回り年上なのですよ?
/ i i ,' ム,' i:;:;:;:;:;:;:,'
, :' / i .,' .i;::;:;:;:;:,' まったく、正気の沙汰ではありません。
/ / .i ', ',;:;:;:;:i
/ / ', i;:;:;:|
/ ./ / .., :′,' ,' ', ', .i:;:;:|
/ ./ ,' ..,' ム ム !.', ', i;:;:|
, :′, :′ ,' ,' .ム ム i .', i .i:;:|
/ /,' .,' ,' ム ム .i .i .i .i;:|
. / ,' ,' .,' ,'i ム ム i i i i;:|
/ .,' .i .,' ,' i ム ム i i i iヽ、
,' ,' .i .il i .i i i i.! i il i;:;:;`:、- _
. i .i .i !l !l i i .i .,' i i .ハ i;:;:;:;:;:ヽ:;:;:¨ヽ、
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ぶつくさと文句を言うアンゼロットと一緒に大通りを抜ける。
服装は先程店で購入したものだ。折角だから購入していこう、と財布を取り出す
彼女を制止し、半ば無理やりプレゼントさせてもらった。
実は、ちょっとした夢だったのだ。
人間だれしも、孤独を経験した者であれば夢想するだろう。
優しく笑う友人、もしくは恋人と町を巡り、こうして買い物を楽しむ。
周りを見れば数人に一人は体験していそうな、他愛もない青春の一幕。
いや、青春というには、自分は少し歳を取りすぎてしまったかもしれない。
この世界に来ることがなければ、自分は今頃、キャンパスの隅で一人佇んで
いただろう。ナノハたちと出会わなかった自分に、友達作りなどという
器用な真似ができたとも思えない。
もっと言えば、社会に出てからも、人との付き合い方が分からず、
早々にドロップアウトしていてもおかしくはなかった。
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5862 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 22:39:51 ID:1eXT384E0
\ /
X
/ ∩
/ ( ⊂) ____
| |. /⌒ ⌒\
トニィ' /( ●) (● ) \
| / :::⌒(__人__)⌒::::: \
\ | |r┬-| |
\\_ `ー'´ _/
ン ゝ ''''''/>ー、_
/ イ( / / \
/ | Y | / 入 \
( | :、 | / / ヽ、 l
j | : | / ィ | |
くV ヽヘ_ ヽ \ 仁 」
ー 〕 \ 〉(⌒ノ
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昔はよく、周囲の人間を呪いに呪ったものだが、今はそうでもなかった。
結局は、自分の至らなさと間の悪さが全てだったのだ。
そして、それらの過去がどうでもよく思えるくらいに、今が眩しかった。
友達ができた。仲間ができた。好きな人ができた。
そして今、こうして好きな人と一緒に時間を過ごしている。
想いには応えてもらえなかったが、それはさすがに強欲に過ぎる。
ただ、明日に怯えずに生きられるのが、嬉しかった。
日々を積み重ね、カレンダーを捲るたびに重く圧し掛かる虚無感。
この調子で、あと何十年もの時間を無為に過ごし、何を得ることもなく、
何を成し遂げるでもなく、朽ち果てるようにして死んでいく人生。
刹那的な快楽を享受するには、脳裏にこびりついた光景が重すぎた。
夢や理想を追い求める活力など、とうに枯れていた。
別世界に、全くの人間として生まれ変わりたい、とよく妄想したものだが、
今の自分は生き返ったといった方が正しいかもしれない。
きっと、あの時の自分に必要だったのは、使い切れない金でも、
無二の能力でも、他者からの賛美でも、貪れる女体でもなく、
ナノハたちがかけてくれた言葉の数々だったのだろう。
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5863 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 22:50:00 ID:1eXT384E0
. / \
. / ′ ヽ
. ,′ / │ ! 、 '.
′ .′ ./ / | ト、 ! } '.
′ ′ L上|_l _ | | .| } / '.
.′ j 「l_ハ∧「`ト、 | r七卞7 / ,′}
.′ { ハ {ィfで不ヽ \j ィホ7 〃 ′/ ' で、次はどこに向かうので?
.′ V .八{`弋_ツ ヒツ / / / } /
.′ ,′.}∨ハ 个 厶イ} / l/ 「決めてません」
.′ ,′ ∧ . l. ___′ ムィl/レ′
.′ ./ // 爪 '.|丶、 V.../ .イ :l { ……緻密なプランを、とまでは言いませんが、
' / / ′Vハ 廴_ へ、 `" </:l. :| |
/ ' / ..-=ニ¨ヽ, 弋T卞千 ..:/ ..:}. :| | 大まかな予定くらいは頭の中で考えておいた方がいいですよ?
. / / ./´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\弋辷ソ| ../ ..:/|. :| |
/ , , /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}', r─亠〈 ../ .|. :| | 「つ、次に活かします」
./ ./ ./ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | .`ー '// |. :l |
/ / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l '.ー/∧ l. :| | はいはい、次、ときましたか。
/ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : { } 人:.:ノ | l |
/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧ {`′ ぐ | l | あなたもずるくなってきましたねえ。
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一つだけ気がかりがあるとすれば、目の前でくすりと笑うアンゼロットの心中だ。
彼女に惚れた男として、できるかぎり、彼女の幸せに貢献したいと思う。
が、彼女の幸せが何なのか、やる夫はそこまで彼女のことを理解できていなかった。
自分の中のアンゼロットは、似ても焼いても食えないしたたかさと、
深い海のように静かな慈愛を持ち合わせた不思議な女性だった。
その不思議な部分に、自分は惹かれ、救われたのだが。
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5864 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:13:10 ID:1eXT384E0
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \ アンゼロットさんは、どこか行きたいところとかありますか?
| (__人__) |
\ `⌒´ ,/ 「私の行きたいところ、ですか。そうですね、一度静かなところで
/_∩ ー‐ \
(____) |、 \ 落ち着きたいですね」
| |/ /
| ⊂ / なら、いいとこがありますお。
| し'
\ 、/ /
\/ /
_/ /``l
(____/(_/
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迷い、挫けるのは人生の常であり、この世界に来てからもそれは同じだった。
違いがあったとすれば、ナノハやラピス、そしてアンゼロットが傍にいてくれた
ことに他ならない。
自分の記憶のページをめくると、破れていた箇所には新しいページが
加えられていた。そのページには、無様に涙を流し蹲る自分の頬を伝う涙を
そっと拭う、アンゼロットの姿があった。
彼女との思い出が、彼女の言葉や表情が、空虚で未熟だった自分の
精神の穴を埋めていた。こうも良くされては、惚れてしまっても仕方ない。
そんな恩人に何かしてやれることはないだろうか。
彼女と同じ運命にある自分にしか、成し得ないことがあるのではないか。
幾らベッドの上で自分自身に聞いてみても、答えは出なかった。
車椅子を押す。坂道を上り、小さな丘になっている場所に辿り着く。
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5865 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:21:27 ID:1eXT384E0
.. .... .. .:.:.:..: .:.:.:. . ... :. .:.:.:.: .: .... .:.:.:..... .. .... .. .. . ... :. .:.:.:.: .: .... .
" ; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; " ; ; ヾ, .. .:.:.:.: .: .... .:.:.:...... .... .. .:.:.:.:. .. ... ....:.:.:.: .: .... .:.:.:.. .. :... .. ..
; ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ'"~~"''ヽ,,_ . .:.:.:.... .:.:.:..... .. .. :. .:.:.:.: .. .:.:.:.:.:.:.:.... .. . . ..:.:.:
" ; ;ヾ ; " " ヾ ; " ; " ; ; ヾ, .;:;:;;:. .::...:..~~"''ー、,, _,,,,,、、-─'''''''""""゙''ー:;:;、,,
; ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ .. .... ...:.:... .. . . .. .:...:... .. . .. . .. .... .. ..
" ;ヾ ; ;";ヾ; ;"/" ; ;ヾ ;ヾ ";:;:;:.:.;.:;.;:.;.;::;:.;:.:.::..:::....:... ̄~"''ー-''ー-‐'''ー;;、、'':;.;,;,;,,_: ;.: ;;.;...;..:;;....;..:...
ヾ ;"; "i "; ;ヾ; ;ヾ; ;メヾ ";:.;.; :;..;.; .;.:;.; ;..;.;:.:.;:. ;...;.;. ,.. .. . . .. .. . . .. .:,; ;.,:,.,.゙゙"''ー-、;;:;,;;,;,:,.,.,.;..;.;, ..
゛ ヾ;i;;ii ;iiメソ ヾ; ;ゞ;::.:..____"゙''''-、、'',,,, _ _ _,,,;;;;''''"r'二△''''''~~;;;、,,,,-'''""'',、,,..,,..,.,.."
""|l!|| ll|ソ;.;.!-!、,、,;;:.::..:.:/二△ ri─i '''""''';;,;,,人...l:田.旧;..:./ ̄/ ̄ ̄ ̄/△ ̄ ̄ ̄ヽ
li(~):|l| ;y,===、===.l::::::傴l l.|田|.;/7ニヽ....Llヨ;,,/''''7ヽ,,,:|ロロ| 田田l田|::ロ|田l田田|lf
|:l||l |l| ,,iiiii;;;::..゙ ,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙
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|ill|| lll. _|__|__|__|__|__| _|三三三三三三三三三三|_|__|__|__|__|__|__|
二llil|l l!|二二二二二二二二二二.`┳━━━━━━━━┳ 二二二二二二二二二
、.,.ノiiノ:l|| !ヽ、.,., ,.、.,┴ ,.、.,,,.、., ┴.、.,.,
"" ^~"" ^~ " "
.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、
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名前もない公園に入り、ベンチの端に腰を落ち着ける。
予想通り、公園には人っ子一人いなかった。
軍も長征中で大部分が留守、時間も午後の四時を回った頃。
子供を遊ばせる親の姿も見えず、風の吹き抜ける音がするだけだ。
「腕、疲れてませんか?」
「平気ですよ、日頃の訓練やら実戦やらに比べれば全然。
それに、アンゼロットさん、軽いし」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5866 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:27:08 ID:1eXT384E0
_____ |/
/ ヽ ─
/ \
/ 、 \
/ `ー- ヽ
| 、__ |
ノ └┘ / |
(、 !_j |
{`ー-' /
\ ,, -===ニニニニ====-、_/
ソ´:::;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
___〉:/ |i \/_
/| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::: |`ヽ,
/ .| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::: |:::::::|
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ちらとアンゼロットの脚を見る。
力なく車椅子からぶら下がった足は、スカートに隠されているものの、
石化し既に用を成さなくなっていた。
「あと、どれくらいなんですか」
「半年持てばいい方かと。首都での戦いがなくとも、二年もないと言われていました
から」
なるべく濁した問いに、なんでもないことのように返される。
半年。長いように感じられるが、それが彼女の命の時間だと考えると、
あまりにも短く思えた。
そして、彼女がどうして、自分の無理な誘いに付き合ってくれたのか、
その理由を察した。彼女も、これが最後の機会だと感じ取っていたのだ。
これが最後と分かった上で、貴重な安息の時間を、自分と一緒に過ごすことに
してくれた。最後くらい構わないか、と。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5867 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:34:26 ID:1eXT384E0
_ | | | | | | | | |
_..-''''゙゙゙´ ゙゙゙゙'''ー,,、| | | | | | |
/ :::::::::::::::::::::::::::::::::\ | | | | |
/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::`、. | | |
.′ :::::::::::::::::::::::::::::::::::丶 | | 「しかし、これまでの様子を見るに、どうやら本気らしいですね。
/ ∪ ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
i ::::::::::::::::::::::::::::::::i 殿方から好意を寄せられることに馴れていないわけではありませんが、
! >一 、:::::::::::::::::::::: !
! ∪ /__≦二_ \::::::::::::::::! 未だに面食らっていますよ。気の迷いでは?」
\ _ 斗≦ ´ -- _`ーヽ::::::::::/
> ´ `ミ丶、 気の迷いで逢瀬だなんて言い出さないですお……
/ \
i \ \
| ヽ-― ¨¨¨¨¨¨ 丁 丁¨¨ ‐-ヽハ
| 丶 i | | } i|
┏━━━━━━━━
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
いっそのこと、もう長くないから一晩抱かせろとでも言ってくれればよかったのに、
とアンゼロットが冗談めかして言うので、慌てて首を振る。
自分はアンゼロットに慰めてほしいわけではないのだ。
実のところ、こうしているだけで、自分の欲はほとんど満たされていた。
一緒に話をして、傍で相手の存在を感じられるだけで、胸の内側から
暖かいものが不安を押しのけて湧き出てきた。
こうして、思い出は積み重なっていく。積み重なった思い出は、
自分の精神を構築する柱となり、これからを乗り越えていくための鎧となるだろう。
だが、アンゼロットはそうもいかない。
死の運命を前に、「あなたが好きです」と意識すらしていなかった凡夫に言われ、
寄り添われたところで救いになる、とも思えなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5868 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:38:52 ID:1eXT384E0
____
/ \
/ \
/ \
| \ ,_ | うーん……
/ u ∩ノ ⊃―)/
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分の欲望が満たされた今、新しい欲望が芽生えつつあった。
アンゼロットを幸せにしたい。彼女を害そうとする者がいれば剣を抜くし、
彼女が欲しいというものがあれば手を貸す。
ひたすらに、彼女の笑顔が見たかった。
彼女が嬉しそうに笑う姿こそが、いつの間にか、自分には
なくてはならないものになっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5869 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:45:19 ID:1eXT384E0
____
/ \
/ _ノ ヽへ\ アンゼロットさん。戦が終わったら、何かやりたいこととかないですか?
/ ( ―) (―) ヽ
.l .u ⌒(__人__)⌒ | 「やりたいこと? 遺言でも書き留めていただけるのですか?」
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、 冗談でもよしてください。
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
┏━━━━━━━━
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
試しに、「戦が終わったらやりたいこと」を聞いてみた。
アンゼロットは意外そうにぱちくりと目をしばたたいた後、数泊置いて、
「旅行、でしょうか」と呟いた。
「戦が終わったら、しばらくは世界も平和になるでしょう?
そしたら、色々な場所を見て回ってみたい……と、考えたことはありますね。
聞けば、エリヌスでは夜の空に虹の波が現れるとか」
それだ。身を乗り出す。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5870 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:53:13 ID:1eXT384E0
〃/ } ヽ
/ / i i } | ,
' ′ l { i | | ′
l | | ' i | | l } |
| | { ∧ ヘ ムrヒ 7"{「 ̄| |
| | / | {/ __' { '_jノ _厶ニL _ | |
| |'{ | ィ'{「 __`j八 / ノ ;ノ乙心jノ| / r: 、 「観に行きましょう! 虹の波! えっと、他には?」
| . { , l ァァぅ, ハ / ‘;::::タ刈 |. / ′ |
{. ', ∧ '. |〈{ {:::hム ∨ ー '' ” | / ル ) 从 i あとは、メビウスにある水晶洞窟、でしょうか。
. ‘. / ,ハ ヽム 弋:㌣ j/ ハ / } i
)' / V{ ハ 〈 / 厶ィ´ i エリヌスの大劇場も……って、ついてくるんですか?
/ \ ', __ , ′│ !
/ 人 `´ / .′/ | ! 「はい、一緒に行きましょう」
/ / > . / /}丁厂 ! l
/ / / >-=''" ̄`丶、/ j j ′ i │
. / 〃 /..:::::::::::::::::::::::::::::..\ リ j ′ ! |
/ / /..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ j/ i │
. / / /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∨ i |
┏━━━━━━━━
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
戦が終わったら、二人で大陸を一周する。海や空、綺麗な場所をたくさん見て、
おいしい食べ物を食べて、いや、食べ物は無理としても、劇を見たりしよう。
それは素敵だ。アンゼロットは一人で行くことを想像していたようだが、
そこは無理にでも同行させてもらおう。
「そもそも、私もあなたも、戦が終わる頃には」
「死にません。やる夫も、あなたも」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5871 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/26(日) 23:56:27 ID:1eXT384E0
___
/ \
/ ⌒ ⌒\
/ ( ●) ( ●)\ 生きて、ちゃんと帰ってくるんです。
| ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒´ / そしたら、二人で身支度して、色々な場所に行きましょう。
/⌒ ヽ
| ヽ__ _ ',
:、_ ) ( ̄ _丿
| /  ̄`i / ̄ `i
| | , |
∧ | |__/ /
`ーヽ _ | | _/
(__) 、__)
,.'´ 〃 `ヽ、
/ i´ ̄ \
/ | 丶
,' / l 、ヽ
! / i l i ヽ i |
| | || | l | ヽ l| |
| l __|_,L | ! ハ _|__、 | |l |
| | | | |ヽ|ヘ|ヘ |、 |ヘ「 ヽ.|ヽ| | |lハj ……ふう。まったく、仕方のない人。
| |ハ トlィチ'ハヽ` ヽl ィア'リ`〉! ,' ,イノ
| iヽト、ヽ.ゞ-' ` " ノィル' ' どうしようもないですね、あなたは。
| | |トト-ヽ ' / /
| | |fニ|ヽ. ー_ ' ィ ,' どうぞお好きに。
l ハ Vrト, > 、 _, <ー.| |、
! ,.ヘ ヽi`'r-r 、 /r '/::::::| |::ヽ
,..┴.、:'´::::::! i、j、ヽy'ート<::::::::::| |::::::i
/:::::::::::::::ヽ:::::::l l:::>'、r='<‐- 、:::| |::::::|
. /:::::::::::::::::::::::\j l' / lト、_)ヾ` 〉| |::::::|
5872 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/27(月) 00:04:48 ID:.eU77goM0
/ / , / ヽ
/ / ./ / ′
′ レ{ i ′__′´′ .,.:゙ } Ⅵ
/⌒{ | { /{ ` { 、/ i ; Ⅵ
. {i { 7从 :|: 八 斗午ミ、{/゙ | / ; ‘,. Ⅵ
. 从 八 ; :|'゙ { ハ刎 ' | ./」_ /i }ハ }
゙ / ヽ′ :l. 辷 ッ | / i /`i }゙ 少し休んでから帰りましょうか。
/ .| 泛弐 ノ } .;
/ / i | 戈ツ/ ァ゙ ; / 隣、失礼しますね。
. / /r‐'7^i| | ' / 才゙ /{/
/ / .|乂___| | ` ‐ ⌒ァ=≦ {/
. / jIニニ=-ミ i | | 、 .。s 升
/ /ニニニニ‐` 、| | 介=- 七 ノi |
. ァ'ニニニニニニニ\ |`'くr '⌒7__ / | |
/ニニニニニニニニニ‐ヽ :| ノ⌒7゙ニニ≧x | |
┏━━━━━━━━
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
アンゼロットに手を貸し、車椅子から長椅子へと体を移させる。
これから自分たちはオルフェオに戻り、前線で戦い続けている本隊と合流する。
その旅立ちを、死ぬための旅立ちにしてはいけない。
向かう先を絶望と仮定してはいけない。
生きる。たとえ何をしてでも、アンゼロットに死んでほしくなかった。
短い命でも、最期までその命を諦めてほしくなかった。
仮初でも構わない。希望を抱いて、明日を見つめていたい。
隣に座ったアンゼロットの横顔を見つめる。
ふと、シロウの顔が脳裏を過ぎった。
自分には、彼のような英雄的な働きはできない。綺麗な生き方もできない。
誰一人として救う力もないし、自分ひとり守ることすらできるかも分からない。
できるのは、泥臭く、無様に転げ回りながらも、逃げずに踏ん張るだけ。
逃げずに、彼女の傍で。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5873 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/27(月) 00:06:01 ID:.eU77goM0
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┌─┐
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└─┘
┌┐
└┘
□
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5874 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/27(月) 00:19:49 ID:.eU77goM0
_ _ ___ __ _ __
/ :::::::::::::::::: :i, .ヽ::::::\
i:::::::::::::::::::::: i / \ \
i :::::::○::::○i/  ̄ ̄
/ :::::::::,,- -_ッi i i i
/::::::::::`ー‐'´ヽ __i i i--i はい、今回はここまで。デートもここまでだ。
/|::::|::::::::::::::::::|:::|  ̄ ̄ ̄|::::::::|
/::::\ヽ :::::::::::::i:::| ノ__ノ 次からは戦争パートからのエンディング一直線だね。
/::::::::::::\\::/|:::|
. (_ _.) ̄i __.\\ |:::| i i i アンゼロットとのエンディングは展開が他のエンディングと違うから
/::::::/| ̄|ヽ::::: し( メ ノノノ
/::::::/ノ_ _ノ >:::::) \ 区別していたのだけれど、これはこれでいいのかも。
/:::/ /:::/ \__
/:::::/ (_つ /:::::::::/ 感じとしてはORCAルート、ヘブンズフィール、
し' ノノ・ ./∴:・:
~~~~~~~ とんかちムービー、オマエノシワザダタノカなんだけどね。
_ _
,/ :: ::::`‐-、
{:::::::::::::::=::/ じゃ、来週の日曜にシーユーアゲイン。
',:o:::::o:::::.!
!_:::::::::::ソ みな>>1の生存と休日を祈っていてくれ。
`>:::::`ヽ
!:l_::::ヘ:::\ 歌い踊れ労働者、豚のような悲鳴を上げろ。
l::| ::::::lト::::_〉
/:::ir-iitr`::丶__ _
`‐´r::::| !!丶::::::::::::::}
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l;;;;;;;;!
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