5987 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 21:53:01 ID:9YWFP8Wo0
/||ミ
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5990 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 21:56:42 ID:9YWFP8Wo0
_ ______
´.: : : : : : : : : : :`
l: : : : : : : : : : : : :i
i: : :○ : : : ○: :.|
|: : : : : : : : : : : | 書き溜めはできなかったけれど、今日は早めに帰ってこれたよ。
j: : : -===- : :.i
r―--┐ i: : : : : : : : : : : :l お盆? 盆休みも夏休みもないんだよ、救いはないね。
i: : : : : ', ゝ : : : : : : : : :t´
',: : : : : i , f: : : : : : : : : : : : : :ヽ まーのんびりやってくから、よかったら見てっておくれよ。
\: : : :y: : : :Υ: : : : : : : : : : :y: : '..,
',_: :: :/ i: : : : : : : : : : : :l丶 : : :ヽ
 ̄ l: : : : : : : : : : : .i \ : : :丶
5991 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 22:09:39 ID:9YWFP8Wo0
/ 〃 \
/ / / ヽ
′ // ! / 〃 、
, ィ/| | / | /{/ ,
. ,′ / l{' |. { ─-| / │ //| |' | ヘ ',
/ { ⌒ト、 从 / j/ `lメ、 | | '| |
. / ∧、{| \ヘ{ V │ | | / | j } !
/ / ヘ. | l\ ===ミ 、 | | /ナメ、} i .′i 少し眠くなってきましたねえ。
/ / / `l| | ` |//jノ ,′ | ′/
. / / / l| | =ミ、 ′ | / なにぶん、ずっと座りっぱなしなもので。
. / / _ァ‐-| │ ヾ/ イ リノ
/ ' // ト、 /li │ 丶._ ´ <.__ ノ// '′ 「そのまま寝ても大丈夫ですお?」
/ ,厶∠... | `¨|i | \ ` ` ,ハ//´ レ′
/ /..:::.::.:::::..`ヽ | |、 \ ,..r ´ | 冗談ですよ、まったく。
/ ,/..::.::.::.::.:::::::::::::::..\| |て /ト、`r l | 丿| |
/..: : :.::.::.::.::.::::::::::::::::::::..\ │ `スrく}r‐┴く | |
'/.:.:.::.::.::.::.:::.:::.:::::::::::::::::::::::::::} | / }\j::::.:::.::..\ |
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陽が傾いてきたのか、窓からは夕焼けの赤色のみが差し込むようになっていた。
通りすがる人も心なしか少なくなってきている気がする。
皆、明日の出発に備えているのだろう。
こうして二人、これといった目的もなく基地を歩き回っている酔狂な人間は、
自分とアンゼロットくらいのものだ。
歩き回ること自体が楽しい、のではなく、二人で何かをしていることが
やる夫は好きだった。正直なところ、散歩でもお茶でも何でもいいのだ。
視界の端に彼女がいると、心の底から安心できる。
理由は分からないが、それ以上考える必要もないだろう。
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5992 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 22:22:05 ID:9YWFP8Wo0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ……上手くいきますかね、あの作戦。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/ 「可能性はありますよ。終戦まで持っていくのは運が絡んでくるでしょうが、
/ ::::i \
/ / ::::|_/ ある程度の有効打にはなりえるでしょう。最悪の場合、エリヌスを抑えることも
\/ ::|
| ::::| メビウスを攻め切ることもできずに圧殺されるかもしれませんが」
i \ ::::/
\ |::/
|\_//
\_/
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書庫からの帰り道、口に出さないようにしていた今回の作戦のことを聞いてみた。
やはり、どうしても明日には出発する以上、その事実が脳裏から離れることは
なかった。いくら新戦力を用意したといっても、百年近く負け戦を続けているのだ。
作戦の行方を想像するたび、不安は募る一方である。
アンゼロットは客観的な意見を述べると、「そういう結末を迎えぬよう、
最善を尽くすのが我々兵士の務めでしょう?」と鼻を鳴らした。
「悲観したって仕方がありません。やるべきことをやれば、相応の結果は出ます。
私も損害が少しでも減るよう、できる限りのことはしますよ」
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5993 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 22:34:58 ID:9YWFP8Wo0
ハ /\ ハ
.′ l ハ
/ | l
,'. | | |
l { .! | .! l | | |
| { | .| .ト.l. | | l .| ! |
| | ._xト= ト、八 .Lx.-|=-xl | l. |
| l :イス\l l\ | ヘハ 、l l |. | そんなに不安そうな顔をなさらなくても大丈夫ですよ。
| ト、人 | z===ミ | \l y===ミ、l | |
lノl\人. {´ l| |', | 最後の一矢を報いてこい、という作戦ではありません。
.!. ∩.| .| ' .!| |リ. |
. | | | | i|ハ、 マ 7 .人| | l | この作戦は、戦争を終わらせるための一撃です。
. _|..__| | | i| |. ヽ. `´ .,イ l | | l |
l lイ l l.| |_l/)| ! /<|` ー ´ |ハ.〉l | | | | 成功させれば戦が終わる。希望に満ち溢れているでしょう?
|」 l,」,j,lイ ./ l人 ∨ .>r-<< ./ l. l | l .|
{. '"/ | .|::::::::::Vハ ∨ ノ ノ⌒ー.! !''"`ー-l、
. ヘ ./::::| .|::::::::::::::>⌒<´::::::::::::| |::::::::::::::::\
/:::::::}ー } ::: | .|::::::::/ 八 ..ノ \:::::::::| |:::::::::::::::::::::`、
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言われてみれば、そうかもしれない。
勝っても負けても終わり、という状況は、人生において意外と多く遭遇する。
元いた世界でもそうだ。受験、就職などの試練を上手く乗り越えられなければ、
時間が経つと共に追い詰められていくこととなる。
受験に失敗すれば就職が、就職に失敗すればその先が、なくなる。
真綿で首を絞められるように、肉体も衰え、最後は野垂れ死にだ。
僅かな日銭で存えていても、明日は分からない。
それらを乗り越えたとしても、落とし穴は無数に存在する。
勝っても負けても、リスクが多少増減する程度で、存在することに変わりはない。
それを思えば、今回の作戦には希望がある、と言えなくもない。
リスクは大きいが、勝てば戦が終わる可能性があるのだ。
最後の賭けの報酬としては十分といえる。
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5994 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 22:49:12 ID:9YWFP8Wo0
. / \
. / ′ ヽ
. ,′ / │ ! 、 '.
′ .′ ./ / | ト、 ! } '.
′ ′ L上|_l _ | | .| } / '.
.′ j 「l_ハ∧「`ト、 | r七卞7 / ,′}
.′ { ハ {ィfで不ヽ \j ィホ7 〃 ′/ '
.′ V .八{`弋_ツ ヒツ / / / } /
.′ ,′.}∨ハ 个 厶イ} / l/ まったく、しっかりしてくださいな、騎士様?
.′ ,′ ∧ . l. ___′ ムィl/レ′
.′ ./ // 爪 '.|丶、 V.../ .イ :l { あなたの働きも、私や他の仲間の命の行方を左右するの
' / / ′Vハ 廴_ へ、 `" </:l. :| |
/ ' / ..-=ニ¨ヽ, 弋T卞千 ..:/ ..:}. :| | ですから、そのようでは困りますよ。
. / / ./´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\弋辷ソ| ../ ..:/|. :| |
/ , , /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}', r─亠〈 ../ .|. :| |
./ ./ ./ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | .`ー '// |. :l |
/ / /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l '.ー/∧ l. :| |
/ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : { } 人:.:ノ | l |
/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧ {`′ ぐ | l |
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なんだかんだと励まされながら、アンゼロットの自室に向かう。
もう日も沈み、夜が来る。戦力の要であるアンゼロットに夜更かしはさせれらない。
だが、その途中で、思わぬ人物が自分を待っていた。
もう少しでアンゼロットの自室というところで、「おい」とぶっきらぼうな声で
呼び止められた。聞きなれぬ声に微かな警戒感を抱きながら、振り返る。
そこには、白い鎧で全身を覆った男が、廊下の壁に寄り掛かっていた。
一目見て、腰に手をやる。竜騎兵だ。それも、ガルーダ隊の人間ではない。
が、手は空を切った。剣は今、部屋の箪笥に立てかけてある。
「ガルーダ隊、セガールたちの同僚だ。アヴァランチと呼ばれている。
今回、スレイプニル隊として再編され、お前たちの援護を担当することとなった」
刺々しい調子で、竜騎兵の男は話を続ける。自己紹介と挨拶に来ただけ、
とは思えない口調だ。
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5995 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 22:59:03 ID:9YWFP8Wo0
____
/ \
/ _ノ ヽへ\
/ ( ―) (―) ヽ へ、ヘルヴォル隊所属のやる夫ですお。
.l .u ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒r'.二ヽ< よろしくお願いします。
/ i^Y゙ r─ ゝ、
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
{::::{ 人人, ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ,'::::::::::::/! /' i| /
乂:\. \:\∨::::_::::__:::::/ ,.:::::::::: ' i! / i| /
` <二二_\:`/ / ∨ ,':::::::::/ i! / i! /
-‐'  ̄ ̄ ̄≧''フ/ 〈_::::::/ i!/ i| /
/〃〃 -‐_´__/ 乂_/ヽ/_/ }' i|
'' ´..:´:::::::二-‐'\ __ ノ / / i|. / …………。
/ / /::::( `/ _,,.. ― 、 _,. -‐/ / |. /
/ / /::::_ -‐ ≦___/ / / | /
. / _j/ < // マ / | / /
乂>´ `ー〈〈 ヽ { ノ ' / _
〈 __∧ヽ,/{ ̄i マ / / ,//´
. ` < { 人 ∨ 人 ヽ ヽ _ / `¨¨¨´ //
. ` < /__マ'´ i}/ ,/ ̄/ /、 / {
`¨¨/:/::/`ヽ/i / { ヽ. 〈 \ _,. イ ∨ /
{::{、:ゝ'ノ i} ! / \ ヽ ヽ___ -<´ |__ ∨ }
乂 `¨ 〉,| ,/ \ / } } `ヽ ヽ ヽ. ∨ 〈
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竜騎兵は自分の顔を兜の奥で見据えると、口をつぐんだ。
どうやら、敵意はないようだ。あるのなら、とっくにこの場は血まみれになっている。
アンゼロットもそのことを理解しているらしく、「空から帰りで?」などと暢気な
質問を投げていた。
「試験飛行の帰りでな」
兵士は鎧を着たまま肩を回し、がちゃりがちゃりと人気のない廊下に
物々しい金属音を響かせた。
「その金髪と黒いドレスの女に……そこの小僧。
お前たち、白装束……ナノハ・ハイグリーズの部下なんだろう?」
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5996 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:07:47 ID:9YWFP8Wo0
ヽ、 ̄ ― 、////ヽ ヾヽ l'//////ハ ////// ハ
//////ヽ、 ヽ///ヽ i//ヽl///////ハ /////// /ハ
///////////ヽ、 ヽ///ヽl//‐ 、/// ヽ、////////////l ///ハ
///////////////////// : ー l l ー 、///////l /////ハ
、 ////////////  ̄ l : l l l ヽ///// '///////
ヽ \` 、 /////ハ: ヽ : l l: l ゙、'/// ////////
ヽ \ ` ヽ ヽ.ヘ lヽ. l .l .l : l;/, , ,/////////
ヽ \ l ト. l ゙、 l : l;l゙l/////////
ヘィ ⌒ 、 ノ ./ ヽ ヽ : ,l;l l///////
ヾ ヽ /'l ,、ヘ. l;l l;l / 〃ヽ///
ヘ ゝ _ ノ l l/ハ l;l l;l / //"
.l ゙、 \ l lハ_,ヘ l;l l;l ,' //メ'
l ヽヽ ` l ヾ'///,、 l;l ,' /////
.li l、 ゙ー、、 ヽ \'//\\ / 〃"/
l.ヽ. ゙ー、 ヽ、 \/// 、_ _ ィ' /、
l .\ヽ / \ `―― `"/ \
ヽ l l ゙ ヽ ー―''', -' ― _
ヾ l l lヽ _ , -‐ ´ ヽ.ヽ. _ _
ヽ l l ,' / ,l ヽ ヽ  ̄ - _
l / l ,' '"´ l ゙, ゙, ` - _
ヽ / ,' ,' l / / \
\ / l ,' l /./ \
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嘘を吐く必要も感じられず、やる夫は素直に首肯した。
「一つ、聞きたいことがある。あの娘は、昔からああなのか?」
「昔から?」
竜騎兵は壁から背を放すと、物思いに耽っていたのか、少々の沈黙を挟み、
「この基地に来てから、あの娘と一度、顔を合わせた。
あいつは自分のかつての部下のことを俺に聞いてきてな。
そのうちの一人に、覚えがあった。戦場で捕らえられ、奴隷市に並ばされていた
女を娶った同僚の話と、特徴が一致したわけだ。
今は首都で子供を産んで暮らしていると伝えたんだが……」
そこで竜騎兵は言葉を区切り、「泣きだしたんだ」と、その時の困惑を思い出した
かのような口調で話した。
「泣きながら、俺の手を握って、感謝してきた」
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5998 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:11:02 ID:9YWFP8Wo0
_ -===- _
, .-==/._ `
/ ` 、
, ' ' ,
,' .',
,' / !.i
,' ,' ム.,' | | |
i .i ム,' ! l i
| i .ム,' i i !il まあ、あの性格は昔からですね。
| i ム,' i iil l
! i ム,' _ i i 孤児院で預かっていた時から、根は少しも変わっていませんよ。
リ .i { ! ム,' /;: ̄ヽ
/ .i { ,' .ム,' ,':;:;:;:;:;:;:i 頑固者でお人好しの素朴な少女です。
,' .i .i ,' ム,' i;:;:;:;:;:;;:;!
/ i i ,' ム,' i:;:;:;:;:;:;:,' 「……そうか。あんた、育ての親なのか?」
, :' / i .,' .i;::;:;:;:;:,'
/ / .i ', ',;:;:;:;:i ええ、勉学から食事の作法まで私仕込みですが。
/ / ', i;:;:;:|
/ ./ / .., :′,' ,' ', ', .i:;:;:|
/ ./ ,' ..,' ム ム !.', ', i;:;:|
, :′, :′ ,' ,' .ム ム i .', i .i:;:|
/ /,' .,' ,' ム ム .i .i .i .i;:|
. / ,' ,' .,' ,'i ム ム i i i i;:|
/ .,' .i .,' ,' i ム ム i i i iヽ、
,' ,' .i .il i .i i i i.! i il i;:;:;`:、- _
. i .i .i !l !l i i .i .,' i i .ハ i;:;:;:;:;:ヽ:;:;:¨ヽ、
. i ,' ', !:i .i.', .', .i i / i .,' / i i;::;:;:;:;:;:;:;:ヽ;::;:;:;:ヽ, ―┐
. i .,' /;', i;:i .i;:', .', .', .i ./ .i.,' ./ i ,';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',;:;:;:/廴::ノ
5999 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:13:29 ID:9YWFP8Wo0
l i'//// /////////////////////////////////>"
.l .l'/// '///////// //////"-―ニ二二ニヽ、 >
l l/// l'//////// ///´//////////////
/ `ー'/  ̄ ヽ_ ― l/ / l////////、////
/ / / /.l / .l'///// /
,' ,i' /l , ' ,l / l'/// , ' 俺は、あの娘に多くの友人や仲間を屠られた。
,i' /l / l / / / lヽ' /
/l /. l / l l l 〈 ,l/ / 会った時も、懐に短剣を忍ばせていた。
l l/ l./ l ノ ト ` ´/ /
l /ィ ノ ヾ、 / / 「それで? 今からでも殺したいから呼んで来いと?」
.l /l //、/ `ー-/ l
l i'i l l //、 l // l いや、違う……馬鹿らしくなったんだ。
l .l l l,l ////ー / / ,./ l
.l l l ゙/'///// ' イ.,' l // こんな娘を、俺は殺したいほど憎んでたのか、ってな。
.l ll l l'//// /,' l/ ,' ,
l , l l'///  ̄l、 / ,' / / 何が正しくて、何が悪いのか、分からなくなっちまった。
、 l / / , l、 .ヽ l, ' /
ヽ" '――- ' ´ l \ / 〉、 l' .l 今じゃ、何を憎めばいいのかも分からん。
l \ / / l l l
l\ ヽ l l ヾ、 .l
ト、 ヽ l l l /ヽ .l
l `;、ヽ.l/l l / /l ヽl
6000 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:23:00 ID:9YWFP8Wo0
.,..-――‐-.、
/ \
./ ―‐ ―‐ ',
l ━ ━ l
_l ,'_
\.ヽ、 (_人_) //
/\.>、---- ,<./、
.,'. \ ヽ〉-〈/ / ',
l. \ヽ /./ .l
|. `Y´ |
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「一つ、頼みたいことがある。他でもない、あの娘のことだ。
……あの娘を、守ってやってくれないか。部下なんだろ、あんたら。
あの娘は、戦場にいていい人間じゃない。あれが英雄だ、悪魔だなど、論外だ」
竜騎兵は自分に言い聞かせるようにして、首を振った。
苦々し気な声色は、誰に対する憎悪なのだろうか。
それをやる夫が推し量ることはできないだろう。知ったような口をきいたところで、
侮辱にしかならない。
だから、頷いた。
「元よりそのつもりです。あの人は死なせません。
ナノハさんにこれ以上、何かを背負わせちゃいけないってことだけは、
分かっているつもりですから」
すると、竜騎兵は自分の目を射抜くように一瞥した後で、
「話しはそれだけだ」と立ち去ってしまった。
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6001 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:37:29 ID:9YWFP8Wo0
. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
. /:. \
/: : : \
. / : : : ヽ
| : : : : ,.,,,,ノ⌒" '' ``⌒\,,, l
|: : : ::; ( ○ ) ( ○ ) .;:: |
|: : : : : ´"''" "''"´ l
,_ ヽ___ ( j ) u /__
/:: r' | r' ̄二ユ:`ー-‐'´`ー-‐'′ / : :: :: :`:、__
: : : :::| .| | / ) `) /: :.ヘ : :: :: :: :: :: :\__
: : |.ノ. ノ / ⌒ヽ_ _ , ´ |: : : :ヘ: :: :: : : : : : : : .ハ
: :: ::\ `ト、 /: :、 : : \: :: :: : .i i: :/: ::ヘ
: :: :: :l: `ー┬-、 |ii入 /|:: :: :\/: : : : {. レ /: :: : ヘ
: :┐|: :: :: :: :\) 7 ./iiii〈 |: :: :: :: :\: :: :: :V /: :: :: :: :}
: :イ .|__/ ,へ/⌒\ ./iiiiiiii} | : : : : : ::/: :: :: : V: :: :,イ: : :!
イノ: : / /: :: :\_  ̄\iiii} |: :: :: :: :/----: : .| /ノ: :: :|
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竜騎兵の背中を見送りながら、やる夫は自分の記憶の糸を辿った。
なぜ、ナノハの言動があれほどまでに明るかったのか。
全て、仲間の無事を知ったからだったのだ。
それを自分のことのように、泣きながら喜ぶ女性を見れば、殺意も失せるだろう。
確かに、ナノハが奪った命は数えきれない。彼女が一度戦場に出るたび、
敵軍は数百、数千の犠牲を出す。それはまぎれもなく一つの命であり、
潰えるたびに無数の悲しみが連鎖的に生まれる。
自分が彼だったなら、どうしただろうか。
仲間や友人の仇の人間性を目にして、その殺意の刃を降ろすだろうか。
「あの男の言うことには、少々癪ですが同意せざるを得ませんね。
ナノハは本来、手を汚す役目を担うべき人間ではありません」
アンゼロットが車椅子から小突いてくる。
「まあ、言われるまでもないでしょう?
それについては、フィンブルヴェートに入った時から、私が幾度となく言ってますからね」
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6002 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:46:16 ID:9YWFP8Wo0
__ _ ___
´ ,,斗-=,≧ュ! `ヾ´ ` 、
' ´ / | \
. {: Y | .{ ヽ
. 乂{ / .从 { 、 .‘,
′ ' ′{ヽ‘,.、 _j__ ‘,‘,
i i {_{_j_{ Ⅵ´\!\ } ‘, .i
| 从 ´{ Ⅵノ }' 抖芋ミ | さ、今日はもう部屋に戻りなさい。
人 、‘, ァ芋ミ V少 ¦ ! :|
ヽ{\゙,. ハVソ 、 i i ! ¦ 難しいことは考えず、ゆっくりと体を休めるのです。
}i 乂从 _ ' ' ; .! 人
}i 个s。. _ ,.イ_j ム斗-- ミ 目の下に隈など作っては、またあの子たちに心配されますよ?
八 | i _j廴__r 7/| .'ニニニニ\
/ ,ji i__ 」辷フ77イ__j_{ニニニニニニヽ
/ ./‐i 厂 `ヾ}{フ“´ ̄ :}ニニニニニニニ}
/ ./ニニi' (/)__ ヽノニニニニニ/⌒,
/ ./ニ/廴,,才7^*、 ___)'^‐乂ニ‐r 'フ´ r 7!
. / 人ニ{ニニ7__ /′ Γニニニ廴{7 L}_j__
/ ヾ ‐ニ⌒V_レ'⌒ー'ニニニ(r_'´, 、___)
/ マニニ{ニニニニ‐(__/ { } (.i}
. ′ }ニニムニニニニニ7 / /⌒ 、_ノ r'i}
ノ‐ニニニ}ニニニニ‐{ (_/{/_j 」一' i}}
,゙ /‐ニニニ7ニニニニニ)、 厂`´ ノ}}
/ニニニニ7ニニニニ¨´ニ\/ '
i ,〈ニニニニ/\ニニニニニニニヽ /
| _‐ニ\ニニ/ニニニ\ニニ>''“ ̄`ヾ /
| _‐ニニニ`¨´ニニニニニ`ー´ニニニニニ\
| _‐ニニニニニニニニニニニニニニニニニ‐\
|_‐ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ二\
_‐ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ‐\
_‐ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ‐ヽ
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アンゼロットの言葉にうなずく。
今は休もう。戦いは明日からだ。
胸の内で反響し続けている竜騎兵の言葉を思い返しながら、やる夫も自室へと
向かった。
今頃、ナノハはどうしているのだろう。
ラピスがついていたとはいえ、やはり心配だ。
まずは、万全な状態で朝を迎えよう。
そして一番最初に、彼女の元気な顔を見るのだ。
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6003 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:46:45 ID:9YWFP8Wo0
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6004 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/08/14(日) 23:47:52 ID:9YWFP8Wo0 [15/15]
はい、今日はここまで。次からはやっとこさ最後の局面だ。
次回は来週の日曜日だね。モコイさん激がんばる。んじゃ、おやすみい。
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