5950 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/24(日) 23:07:50 ID:zloeLgNg0 [3/6]
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5953 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/24(日) 23:14:12 ID:zloeLgNg0
, -‐ ‐- 、
/: : : : : : : : : : ::',
, ': : : : : : : : : : : : : : :',
/: : : : : : : : : : : : : : :○:', 今年の新人も今月で全員辞めるとさ。
ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
. `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _ 友達とも離れて大人の中に一人か二人でぶち込まれた元高校生に圧かけりゃ
i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ
| : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶 そりゃ折れるよねえ。スパルタだの職人気質だの言えば聞こえはいいけど。
| : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ
丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i いっそのこと私も営業に回してくれないかなあ……
`ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ
. . .-─‐-. ミ
|: : : : : : : : : : `: ..
|: : : : : : : : : : : : /
}Ο : : : ◯: : : :,′
: : : : : : : : : : : :i と、それはそれ、リアルはリアル。
{ -===- 、: : :. :.|
〉: : : : : : : : : :ノ 最近は時間通りに投下できてなくて本当にごめんね。
i: :`ニニニ´: : : : ‘,
__/ : : : : : : : : : : : : i んじゃ、はじめよっか。
___ /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
/ :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
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. ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
. ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
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弋:::::: /
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5955 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/24(日) 23:32:41 ID:zloeLgNg0
ー=二`ヽ,. -─‐- 、_
∠-,rー ̄ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'、 チーン
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ゝ/,/.:.:.:,イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;
'イ:.:.:.:.ト、.:.:.:'>、-==-ゝ、
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`( ヽ─'`ー─ '
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鉛を敷き詰めたかのような重苦しい雰囲気は、食堂に行っても変わらなかった。
食事を前にした兵士たちも、一様に険しい目をしている。
最後の晩餐、という言葉を思い浮かべた。
最期に何が食べたいか注文し、それを死刑執行前夜に夕飯として出してもらえる
というものだ。スペシャルミールとも呼ばれていた気がする。
これは晩餐ではなく朝食だが、似たようなものかもしれない。
テーブルの上をよく見ると、いつもより少しだけだが、朝食のラインナップも
少し豪華になっていた。黒パンではなく、柔らかそうな白パンだし、
スープにも豆や木の実ではなく肉が入っている。
戦いの前に精をつけてほしい、ということなのだろうが、それが一層
最後の晩餐を思わせた。我ながら嫌な想像が次々と浮かぶものだ、と呆れる。
呆れるついでに、もう一つおかしなものを発見した。ナノハだ。
周りが黙々と食事を口に運ぶ中、一人テーブルに突っ伏している。
マーチングの中で一人だけ欠伸をする人間を見つけた気分だ。
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5956 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/24(日) 23:50:54 ID:zloeLgNg0
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: :/: : : ://: :/: :_:/:∠._/:/..|: :ハ:>:<三三三三三三三
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: : :://: :/: / ̄ ̄ミミヾ .八 |:::ト:.:.:.:|: : : : |: : :|: : :>.、
: :://: イ::/ / ゛ミ、 ./|:j ヽハ: _|: : : : |: : :|: : |: : ::
:://://: / i i ij Vト、: : ::|: : :|: : |: : ::
::/://i:/ | Vハ\:|: : :|: : i: : :: 『行軍中は飲めないでしょ、今のうち今のうち』とか言って、
イ:ハ lj ,=ミ;、 ij :i:: : i: :从: /: : ::
:i:乂 :l ヾ/ |:: ::|:/: : /:/: ::/ 昨日酒蔵から十本くらい持ち出してきてさ。
:/∧ ` _ ' /` ,:リ: 小:.:./:/: ::/
从.∧ `ヽ 斗:/: : /:/: ::/ 付き合ってた僕の三倍飲んで、これだよ。
人 ∧ '' //: /: : /:イ: ::/
∧ /: /: /:/::/: /: :/
:::::ヽ.._ ___ _ _ ィ:/: : /: /:/: : ::/: :/
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==ミ、/ ::i |;, V::ィ: : ::// ./:/::/ /
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隣に座ったラピスがわんぱくな我が子を見守る母親さながらに目を細めながら、
ナノハの背中をさすっている。向かいに座ったアンゼロットも呆れ果てたと
言わんばかりに溜息を吐いているが、その表情はどこか暖かい。
その雰囲気に飲まれ、ふっと息を漏らす。
ナノハさん、何やってるんですか。呻き声を上げながら「おはよう」と青い顔で
挨拶してくるナノハを見つめていると、急速に緊張していた精神が緩んでいく
感覚がした。
歴戦の英雄がこんな調子であるからか、ヘルヴォル隊以外の周囲の兵士も、
少しだけ柔らかい表情となっていた。くすくすと囀るような笑い声も聞こえてくる。
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5957 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/25(月) 00:02:19 ID:zVulSA/M0
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j/ {:.:i:.:.:i_.メ、{:.ヽ:iー \ト{:.:.:i-|:.:.:.:.:.:.:.:.:| だ、大丈夫だよ、明日には治るから。
ヽト.:.:{==: : : : ===: : イ:.:}ノi:.:.:.:.:.:.:.:.:|
ト:.ゝ x j:./、 、:.:.:.:.:.:.:.:! 「はい、お水」
';.:{≧/ヾ\≦ イィfニ}:.:.:.:.:.:.:.|
//ヽ/ヽ/ ヽ/ i 、:.:.:.:.:.! 大げさだって……うっ。
/ ∧У/ ', |- 、';:.:.:.::、
, V ト、 | ヽヽ、:.:.:.ヽ
/ | ! } } } \:.:.:\
/ | j リ ',:.:.:.:.',
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ディアナからオルフェオに戻ってからこの方、彼女はずっとこの調子だ。
戦争の渦中で見せた哀しい横顔はどこへやら、今では一晩中飲み明かして
部下に介抱されている。
もしくは、これが本来のナノハなのだろうか。
戦場に立っている時の凛々しく儚い姿や、髪もぼさぼさにしてふさぎ込んでいた
時の死人のような表情は、状況によって作られた、いわばその場に合わせた
仮面であり、素顔はなんということもない年相応の女性なのかもしれない。
そのすべてが偽り、とも思えないが、それはあくまで彼女の一部であり、
本質的にはもっと素朴で、平凡なものなのだろう。
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5959 名前: ◆x0SRSoJXe.[] 投稿日:2016/07/25(月) 00:24:56 ID:zVulSA/M0
,.. -―- ..、_
,.::'´::.::.:::/::.::.::.::.::`ヽ、
/:::/::.::.:;:'::.::.::.::.:}::.::.:、::.:::ヽ
/::.:::/::.::.:/::.::.::.:::/ハ::.::.::ヽ::.:::`、
,'::ヽ⊥_:_厶彡'::://l::|::.::.::.::';::.::、ヽ
|::.::.:「:::┬=ニ>く l∧ヽ、::.::.:l::.::.:Vl
l|:::/ |::.:::l:|「えメミ、 |ト V:_::.::.::|::.::.:::l:| 大丈夫? 部屋まで送ります?
ノ|:人」::.:::|:l ゞミン |l ヽ:`ヽ|:l::.::;:l:|
´ j从:::|:::|:トゝ 丶 芯刈:/::|::/〃 「ああもう、やる夫君、何とか言ったげて」
_rヘ_}人:l::l 丶 _′`‐'/:/::l::|ー'′
/7rぅ 、廴_ヽト\ >=彳:::|::| やる夫も心情は僕と同じだと思いますよ。
rう:.:ヽrヘヽく `メこて´V{ |::l::|/
7:.:.:.;.:.く_nl〈 /,ニ{}ヘ f弌k ノ/;リ
/ :.:.::|:.:.:. r┤ ) // | lト、\ {X)″
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.`)|〈 // | |圦∨〉( \
/:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:込八 \| l引 ∨ └r::∨
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そう思えば、今の彼女の状態は好ましいもの、だろうか。
心優しく、健気で、それでいて気丈で賢く、酒好きでたまに子供っぽい。
自分の知っているナノハの側面の一つ一つを思い出しながら、
ちゃっかりアンゼロットの隣に座る。
「まったく、昔から手のかかるお転婆娘ではありましたが、今では
出発前日に二日酔いの駄目隊長とは。気を抜きすぎです」
アンゼロットはそう毒づきつつ、力なくテーブルの上でだらんと伸びた
ナノハの頭を撫でていた。これは自分も何かすべきだろうか、と
手を伸ばすが、なぜかアンゼロットにきっと睨まれ、手をひっこめた。
邪念などあるわけないではないか。そう目で反論するが、信じてもらえていなかった。
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