当然、市場は次の分割候補銘柄を探す。最有力はJR東海だろう。
売買単位は1株から2000株まで8種類もあり、東証は100株と1000株に集約する考え。今年1月には、2014年4月1日までという期限を設定し、上場企業に対応を急がせている。1株銘柄のJTも、100株に変更となるわけだ。
JR東海は単元株数1株銘柄。東証は「5万円以上50万円以下」の最低売買金額が好ましいとしているが、JR東海は60万円を超えており、売買単位の引き下げとともに売買金額の引き下げも必要だ。今期中に、100倍規模の株式分割を実施する公算が大きい。
河合ウォッチャー達憲の「そのとき株は動いた!」
今年1月下旬の398円を底に、一貫して下値切り上げ型の推移しているメディカルシステムネットワーク。そこから4月10日の1437円まで、約3カ月で3.6倍高だ。3月末株主に対する1:2の株式分割も好感され、上昇ピッチは高まった。
同社は札幌に本社を置き、地盤の北海道を中心に、調剤薬局関連事業を展開。受発注システム販売も手がけている。
2012年3月期は変則決算で6カ月決算だが、12カ月に換算すると、売上高は6%増、経常利益は12%増と2ケタ増益ペースを持続。しかも、4期連続で過去最高益更新が予想される。調剤薬局が堅調に推移し、医薬品卸のネットワーク事業も加盟件数が増加したことが、業績好調の背景だ。
今期はM&A(企業の合併・買収)や新規出店を加速させ、調剤薬局の店舗数を拡大させる計画。加えて、医師と連携して生活習慣病予防などの健康相談会の実施店舗を増やす戦略だ。これまでは10店舗で開催していたが、競合店がある薬局などにも広げて15店舗に増やす。管理栄養士も現在の4名から10名に、2.5倍増の予定だ。現在は1300円前後で推移しているが、2013年3月期予想ベースでPERは12倍程度。PER15倍まで買われるとすれば1600円超が目標株価として計算できる。また、JPモルガン・アセット・マネジメントが同社株を4月19日付で5.98%の大量保有報告を発表した。需給面での期待感も大。
現状、1000円前後で推移しているが、その水準でも2013年3月期に急拡大するEPS(1株当たり利益)から算出すれば、PER(株価収益率)は16倍台。為替の円高傾向が和さらなる収益上ブレ期待は高い。最終目標は、2013年3月期が2007年の最高益を約15%ほど上回る予想であることから、1200円越えと設定できる。3月22日付でゴールドマン・サックス証券が436万株を取得していることも好材料である。
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河合 達憲(かわい・たつのり)
カブドットコム証券チーフストラテジスト
カブドットコム証券チーフストラテジスト。『夕刊フジ』と『ネットマネー』の共同企画、推奨銘柄の上昇力を競う「株-1グランプリ」第1回で、みごと優勝。相場診断力と銘柄選定力は抜群!
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この記事は「WEBネットマネー2012年7月号」に掲載されたものです。