今年4月までに12社上場、久々にIPOの当たり年?
今回は久々に話題になっている、IPO銘柄に注目してみたいと思います。今年は4月までにすでに12社が新規上場しましたが、年末には50社くらいまでは伸びそうです。
ちなみに、昨年は36社、一昨年は22社だったので、着実に新規上場社数は増えています。IPOに注目が集まるきっかけとなったのが、4月に上場したエイチーム(3662)。初日は人気の高さから値段がつかず、上場2日目についた初値はなんと公開価格の約2.7倍爆騰! この大ヒット案件の出現でIPOへの関心が高まり、足元ではIPOのブックビルディング(新規公開株の購入希望者から希望株数・株価を募り、適正発行価格を決定する方式)の参加者が一気に増えているようです。
では、IPO銘柄であれば何でも初値が高騰して儲かるのでしょうか?
そんなわけはありません。いくらIPO銘柄といえども、銘柄をしっかり選別しなくては。では、IPOで利益を得る可性が高い方法とは?
大きく分けて2つあります。ひとつは、高成長イメージの描きやすいビジネス展開をしている企業の株を選ぶこと。最近では、スマートフォンやSNSなどに絡んだビジネスが有望です。前述のエイチームも、ソーシャルゲーム事業を展開しています。事業内容が地味だと、いくら業績が堅調でも "成長性" を評価するIPO市場では無視されます。このような銘柄はえてして初値が高騰するため、高値つかみをしがち。でも業績面が伴えば、決算発表をきっかけに一段高も十分期待できます。上場後の過熱感が一服した "押し目狙い" が有効です。
もうひとつ注目したいのが、初値はパッとしなくても、上場時に調達した資金を利用して成長しそうな企業の株を選ぶこと。たとえば老舗菓子大手のカルビーは、初値が公開価格と同値でしたが、上場後に堅調に上がり、株価は2倍超となっています。ほかには、現在の業績こそ赤字でも、有望な技術を持ち、将来性があるバイオベンチャーなども挙げられるでしょう。たとえば昨年10月に上場した3Dマトリックスが良い例です。初値こそ公開価格の2100円に対して1200円と低迷しましたが、5月上旬には初値の4倍の4625円まで爆騰しているんですよ。
【人気上昇中!】小川佳紀(YOSHINORI OGAWA)
フィスコ 株式アナリスト
岡三証券を経て現職。相場概況から注目株まで、日本株全般から本誌に合ったネタを拾ってくれる貴重な存在。
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この記事は「WEBネットマネー2012年7月号」に掲載されたものです。