◆「1店舗当たりの売上」が大幅に増加
その好調ぶりがよく取り上げられる日本
マクドナルドですが、コロナ禍で業績は以下のように推移してきました。2019年12月期から2023年12月期までの業績は次の通りです。
【日本
マクドナルド株式会社(2019年12月期〜2023年12月期)】
売上高:2,818億円→2,883億円→3,177億円→3,523億円→3,820億円
営業利益:280億円→313億円→345億円→338億円→409億円
システムワイドセールス(SWS):5,491億円→5,892億円→6,520億円→7,176億円→7,778億円
マクドナルドは店舗数の7割をFC店が占めるため、本社の売上高は直営店売上とFC店からのロイヤリティで構成されています。そのため、直営店・FC店を合わせた全店売上高はシステムワイドセールス(SWS)で見る必要があります。
2020年度以降の4年間でSWSは2,000億円以上も拡大しました。この間、スクラップ・アンド・ビルドを進めながらも総店舗数は2,910→2,982店舗と大きく変化しておらず、1店舗あたりの売上が伸びたことが分かります。年間SWSを期末時点の総店舗数で割った値は、19年12月期から23年12月期にかけて1.9億円から2.7億円と大幅に増加しました。
◆イートインは減少も、持ち帰り客が増えた
SWSの拡大を支えたのがテイクアウトや
ドライブスルーを通じた持ち帰り客、そしてデリバリーです。決算資料に表示されたグラフをみると19年12月期の段階でイートイン、テイクアウト、
ドライブスルーはそれぞれ売上の約3分の1ずつを占め、デリバリー客はごく僅かでした。
それがコロナ禍ではイートイン客以外が伸び、23年12月にはイートイン客以外でおよそ8割を占めるに至りました。中食需要の増加が主な理由ですが、郊外立地も増収をもたらしています。コロナ禍では都市部に重点を置く飲食チェーンの業績が悪化した一方、すき家や寿司チェーンなど、郊外立地をメインとする企業では業績の改善が見られました。
そして客単価の増加もSWS増収に貢献しています。持ち帰り・デリバリー客はイートイン客よりもファミリー層や複数人の比率が高いため、お店に多くお金を落とす傾向にあります。また、近年段階的に実施している
値上げも客単価の増加をもたらしました。23年1月末の時点でビックマックは税込450円でしたが、7月には450〜500円となり、全メニューの内3分の1を
値上げした今年1月の
値上げでは480〜530円まで引き上げられました。
※値段を幅で表記しているのは通常店、準都心店、都心店とで価格が異なるため
◆「脱・安売り路線」が成長の土台に
以上のように持ち帰り客とデリバリーの売上増加が全社業績に貢献した形ですが、その土台となったのは以前より進めてきた脱・安売り路線にあると筆者は考えています。
マクドナルドは1987年の流行語にもなった390円の「サンキューセット」で安売り路線を歩むようになり、
バブル崩壊後の90年代、00年代は不景気下に合わせて異常なまでの安売りをするようになりました。2002年には
ハンバーガーを過去最安値の税込62円で販売しています。当然ながら極端な安売り路線は利益を圧迫しました。