この安売り路線をやめたのが2013年に社長に就任したサラ・カサノバ氏です。一部でお得な商品を残すも段階的に
値上げを実施し、利益の改善を図りました。店舗の質改善に関しては全国の店舗を回って顧客や現場の意見を取り入れ、賃上げ等でインセンティブを強化するとともに
人材教育を強化しました。
また、ファミリー層や大人が来たくなるよう、古い店舗の改装や店舗改革を進めています。カサノバ氏以降の脱・安売り路線は
マクドナルドのブランドイメージを改善し、2015年からコロナ前の19年度にかけて増収増益が続きました。
安さ目的で行く店から、多少割高でも行きたい店に変化できたわけです。仮に以前のイメージのままだったら、中食需要の増加とはいえコロナ禍でここまで躍進できていなかったと思われます。
◆中期経営計画の目標は達成済み
さて、22年度から24年の中期経営計画では24年度の全店売上高(SWS)7,520億円以上、営業利益増加率年平均3〜5%などの目標を掲げています。とはいえ、前述の通り23年度のSWSは7,778億円とすでに達成済みで、他の目標についても達成済みとなっています。
なお、建替えや店内改装など、古い店舗の改善は継続するようです。地方でも近年、古い店舗がカフェのような居心地の良い店舗へと生まれ変わっており、店舗の改善を進めれば依然軟調なイートイン客も増える可能性があります。
ちなみに24年度はSWS8,260億円と23年度と比較して5%増を見込んでいます。今期1、2月単独では前年同月比5%以上を達成しているため、このペースをキープできれば目標を達成できるでしょう。
日本
マクドナルドの歴史は50年以上もあります。今後どのような戦略をとっていくのか、長期スパンで注目していきたいものです。
<取材・文/山口伸>
【山口伸】
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_