Googleがスマホなど向け次期OS「Android 15」の開発者向けプレビュー版をリリース!

Googleは16日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 15」(開発コード名:VanillaIceCream)を発表しています。合わせて開発者向けプレビュー版「Android 15 Developer Preview 1」( https://developer.android.com/about/versions/15 )を公開しています。

今回提供されたAndroid 15 Developer Preview 1はAndroidエミュレーターのほか、同社が「Made by Google」として自社ブランドで展開する「Pixel」シリーズの「Pixel 6」以降のスマホや「Pixel Tablet」でテストするためのファクトリーイメージやSDKが含まれており、まずはこれらのPixelシリーズではファクトリーイメージからパソコン(PC)と接続して「Android Flash Tool」を使って導入するようになっています。

なお、ネットワーク経由によるソフトウェア更新(OTA)は現時点では用意されておらず、今後提供が開始される予定の一般向けベータ版「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )によって提供され、ベータ版はPixelシリーズ以外にも従来通りに他メーカーの一部製品にも順次提供される見込みです。

Android 15 Developer Preview 1のビルド番号は「AP31.240119.016」で、Androidセキュリティーパッチレベルは「February 2024」となっており、Google Play servicesは「24.02.15」となります。またエミュレーターではx86(64bit)とARM(v8-A)がサポートされ、APIレベルは「V DP1」となっているということです。


Android 15は現在の最新バージョンの「Android 14」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、最近の流れである生産性の向上に役立つプラットフォームを構築するための取り組みを継続すると同時に最も多様な製品上で優れたメディア体験を生み出すほか、バッテリーへの影響を最小限に抑え、アプリのパフォーマンスを最大化してスムーズに動作するようにし、利用者のプライバシーやセキュリティーを保護するための新機能を提供するということです。

これにより、Androidを搭載することによってハイエンドなカメラ機能や強力なGPU、鮮やかなディスプレイ、AI処理などのプレミアムなハードウェアをアプリで活用できるようになり、折りたたみ式や反転式などのスマホやタブレットなどの大画面製品の需要は増え続けており、これらの価値の高い製品をより消費者に届ける機会が生まれるようになるとのこと。またAndroidではアプリがAIの最新技術を活用できるようにするためのツールとライブラリーの提供にも取り組んでいるとしています。

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Android 15の正式版のリリースまでのスケジュールは今回のDeveloper Preview 1に続いて3月に「Developer Preview 2」、4月に初のベータ版となる「Beta 1」が提供され、5月に「Beta 2」、6月に最初の安定版(Platform Stability)となる「Beta 3」、7月以降の今夏に正式版に近い最終テストとなる「Beta 4」以降が提供され、その後にAOSPとエコシステム向けの正式版がリリースされる予定となっています。

今回、案内された新機能は以下の通り。なお、Googleでは四半期ごとに新機能「Feature Drop」を追加しており、Android Beta Programでもプラットフォームリリース(QPR)を実施して年間を通じて拡張機能と新機能を提供し続けていますが、これらのAndroid Developer PreviewやAndroid Beta Programに関するフィードバックはAndroid の継続的な改善に重要な役割を果たすため、Androidをすべての人にとって有用なプラットフォームにするために協力して欲しいとしています。

<プライバシーとセキュリティー>
Androidではプライバシーとセキュリティーを最大化するソリューションの作成に常に取り組んでいます。

◯Android版プライバシーサンドボックス
Android 15ではAndroid ADサービスが拡張レベル10に引き上げられ、最新バージョンのAndroid版プライバシーサンドボックスが組み込まれます。これはプライバシーが強化されてアプリで効果的にパーソナライズされた広告体験を実現する新機能を開発する取り組みの一環で、Android版プライバシーサンドボックスについての詳細は https://developer.android.com/design-for-safety/privacy-sandbox/program-overview をご覧ください。

◯ヘルスコネクト
Android 15ではAndroid 14の拡張機能10がAndroidの「ヘルスコネクト」に統合されています。ヘルスコネクトはアプリで収集された健康とフィットネスのデータを管理および共有するための安全で一元化されたプラットフォームで、この統合に合わせてフィットネスや栄養などの新しいデータ型のサポートが追加されています。

◯ファイルの整合性
Android 15の「FileIntegrityManager」にはLinuxカーネルのfs-verity機能を利用する新しいAPIが含まれています。fs-verityを使うと、ファイルをカスタム暗号署名で保護できるため、改ざんや破損がないことを保証できます。これにより、セキュリティーが強化されてアプリの機能やデータを損なう恐れのあるマルウェアや不正なファイル変更から保護できるようになります。

◯部分的画面共有
Android 15では部分的な画面共有がサポートされ、画面全体ではではなく、アプリウィンドウのみを共有または録画できます。この機能はAndroid 14 QPR2で最初に有効になり、アプリで部分的な画面共有のエクスペリエンスをカスタマイズできる「MediaProjection」コールバックが含まれています。これにより、Android 14(APIレベル34)以降をターゲットとするアプリでは「MediaProjection」キャプチャセッションごとに利用者の同意が必要になっています。

<クリエイター支援>
AndroidではクリエイターがAndroidでビジョンを具現化できるようにツールやハードウェアを提供するための取り組みを続けています。

◯アプリ内カメラコントロール
Android 15ではサポート対象製品のカメラハードウェアとそのアルゴリズムをより詳細に制御するための新しい拡張機能が追加されています。
 ・ローライト補正:開発者はカメラプレビューの明るさを上げることができます。
 ・高度なフラッシュの強さの調整:画像の撮影中に「SINGLE」モードと 「TORCH」モードの両方でフラッシュの強さを細かく制御できます。

◯仮想MIDI 2.0デバイス
Android 13では「Universal MIDI Packets(UMP)」を使用して通信するUSBを使用してMIDI 2.0デバイスに接続するためのサポートが追加されました。さらにAndroid 15ではこのUMPのサポートが仮想MIDIアプリに拡張されています。これにより、合成アプリはUSB MIDI 2.0デバイスの場合と同様にシンセサイザーアプリを仮想MIDI 2.0デバイスとして操作できます。

<性能と品質>
Androidは引き続いてアプリの品質向上をサポートすることに重点を置いています。Jetpack ComposeやAndroid Studioなどのツールとライブラリーに重点を置いています。

◯動的なパフォーマンス
Android 15では「Android Dynamic Performance Framework(ADPF)」への投資を継続しており、ADPFはゲームや高いパフォーマンスを必要とするアプリがAndroid搭載製品の電力システムや温度システムとより直接やり取りできるようにするAPIセットで、サポート対象製品ではAndroid 15で新しいADPF機能が追加されます。アプリやゲームでADPFを使用する方法について詳しくは https://developer.android.com/games/optimize/adpf をご覧ください。
 ・関連スレッドがパフォーマンスよりも省電力を優先する必要があることを示すヒントセッションの省電力モードが追加されます。これは長時間実行されるバックグラウンドワークロードに最適です。
 ・GPUとCPUの作業時間の両方をヒントセッションでレポートできます。これにより、AndroidのシステムはCPUとGPUの周波数を一緒に調整してワークロードの需要を最大限に満たすことができます。
 ・サーマルヘッドルーム閾値。ヘッドルーム予測に基づいてサーマルスロットリングステータスを解釈します。


<開発者の生産性>
Android 15ではOpenJDK APIが引き続いて追加され、NIOバッファやストリーム、セキュリティーなどに関する品質向上も行われています。これらのAPIは「Google Play システム アップデート」を通じてAndroid 12以降を搭載した10億台を超える製品で更新されるため、最新のプログラミング機能をターゲットにできます。



記事執筆:memn0ck


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