54歳の指揮官の続投が決まった一方で、横内昭展コーチと上野優作コーチは退任した。後任候補には元日本代表の名波浩氏や中村憲剛氏らの名前があがっているが、日本サッカー協会からの発表はまだない。
カタールW杯を終えた日本代表は、今年3月のキリンチャレンジカップから始動する。3月の招集へ向けた視察という意味では、Jリーグのシーズンインまでに新スタッフを決めておきたいところではある。そうなると、2月11日のスーパーカップがひとつの区切りとも考えられるが、日本代表候補のほとんどは海外クラブに所属している。
Jリーグでプレーする選手たちの情報をじかに集めるためにも、選手たちのモチベーションを喚起するためにも、森保監督とスタッフの現地視察はもちろん大切だ。ただ、それがスタッフの選定を急ぐ理由にはならない。映像で確認することになっても、ひとまず支障はないはずだ。
森保監督と日本サッカー協会は、26年のW杯までの契約を交わしたと見られている。だからといって、コーチ陣も同じ期間の契約を結ぶ必要はない。
森保監督にとっての横内コーチは、サンフレッチェ広島を指揮していた当時からの腹心だった。長きにわたって培われてきた信頼関係があったから、契約についても歩調を合わせるのは当然だっただろう。
一方で、これから招へいするスタッフとは、ゼロから信頼関係を築いていくことになる公算が強い。実際に仕事を進めていくなかで、認識の違いやズレが生じることもあるだろう。
初めて仕事をする関係であれば、一緒に働いてみないと分からないことはある。日本人同士でも、相性はあるものだ。将来的に変更できる余地を残すためにも、コーチ陣の契約は1年からでいいのではないだろうか。
森保監督は東京五輪の監督も兼任し、1チーム2カテゴリーで強化を進めていった。ふたつのチームの活動期間が重なることも多く、五輪代表は横内コーチが作り上げていったとも言える。それでも、チームに携わったことでより多くの情報を吸い上げることができていた。カタールW杯に東京五輪世代が多くピックアップされたのは、1チーム2カテゴリーの強化の副産物と言える。
24年のパリ五輪後には、現U−22日本代表の大岩剛監督を迎える選択肢があっていい。現時点ではJクラブに携わっているが、フリーの立場なら入閣させたい指導者もいるかもしれない。そういう人材をのちに取り込めるためにも、コーチ人事は柔軟でいいいと思うのだ。
いずれにしても、日本代表は日本サッカーのシンボルであり、鏡となるチームだ。日本サッカーの英知を結集した、と言えるようなスタッフを選んでほしい。