今回は、そうした「この段落をすっきりと1行に収めたい」ときの解決方法を紹介しよう。
●右インデントを調整する手軽な方法として、右インデント(行の右端の位置)を、文字が入る場所まで移動する方法がある。
インデントは数値で指定することもできるが、ここではルーラーの右インデントマーカーを使おう。あふれた文字が前行に収まる瞬間を、確認しながら操作できるからだ。
ルーラーとは、リボンの下と画面左側にある目盛りだ。表示されていない場合は、[表示]タブで[ルーラー]をクリックする。
ルーラーの右端にある、逆ホームベース型のマークが右インデントマーカーだ。
1行に収めたい段落を選択し、右インデントマーカーを右側へドラッグしよう。
次行の文字が、前の行に収まった。
右インデントの位置を右側へ移動すると、当然ながら上図のように、あふれていた文字が余白部分に表示される。しかし、このままプリントアウトやPDF化しても問題はない。
●文字間隔を詰めるあふれた文字を前の行へ収めるためには、文字と文字との間隔を詰める方法もある。
文字間隔は、もちろん段落全体、文書全体を指定して一気に詰めることもできる。
しかし、漢字同士を詰めてしまうと読みにくくなることが多いので、全体の文字間隔を一律に変更するのはあまりおすすめできない。
文字間隔を詰めるなら、詰めてもあまり違和感がない句点や読点、カタカナやひらがなが並ぶところを指定するとよいだろう。
下図では段落の後半、カタカナとひらがなを範囲指定した。
[ホーム]タブの[フォント]グループで小さな斜め矢印をクリック、あるいは[Ctrl]+[D]キーを押して、[フォント]ダイアログボックスの[詳細設定]タブをクリックする。
ここで、[文字間隔]から「狭く」を選択。[間隔]は自動的に「1pt」と表示される。
これで文字と文字との間隔を「1pt狭くする」という設定になる。
狭くする間隔を「0.5pt」にすれば、「1pt」のときよりも文字間は広がり、
「1.5pt」にすれば、「1pt」のときよりも文字間が狭くなる。
ここでは[間隔]は「1pt」のままとした。
[OK]をクリックすれば、文字間隔が詰まり、下図のように、はみ出していた文字が前の行に収まるだろう。
とはいえ、これはケースバイケースで、範囲指定した文字列や文字数によって結果は変わってくる。
思うような結果にならなければ、[Ctrl]+[Z]キーで設定前の状態に戻そう。
そして、改めて範囲指定の文字列・文字数を変更したり、間隔のサイズを変えたりしてみよう。
●英字や数字と、日本語との文字間を詰めるWordでは、日本語と半角英字、半角数字の間は自動調整されるため、スペースが入っているかのように見えることがある。
英字や数字が多い段落ならこの自動調整を解除すれば、はみ出した1文字を前の行へ収めることができる。
まずは、自動調整を解除したい段落を選択。
[ホーム]タブで[行と段落の間隔]−[行間のオプション]と選択しよう。
[段落]ダイアログボックスが開いたら[体裁]タブをクリック。
[日本語と英字の間隔を自動調整する]と[日本語と数字の間隔を自動調整する]のいずれか、あるいは両方をオフにする。
[OK]をクリックすると自動調整が解除され、下図のように日本語と半角英字、半角数字との間隔が詰まる。
すべての段落の文字間隔を変更すると、全体のレイアウトが崩れかねない。
だが、こうして必要に応じて特定の段落だけ、特定の文字列だけ、右インデントを調整したり、文字間隔を詰めたりすれば、美しくレイアウトができるだろう。
執筆 中野 久美子