KDDIが7月2日から発生してる携帯電話サービスの障害に関して記者会見を開催!

既報通り、KDDIおよび沖縄セルラー電話は2日、両社が提供する携帯電話サービスにおいて全国で2022年7月2日(土)1時35分頃より音声通話およびデータ通信を利用しづらい状況が発生しているとお知らせしています。原因は7月2日未明に設備障害によってVoLTE交換機でトラヒックの輻輳が発生しているためだということです。

対象は携帯電話サービス「au」および「UQ mobile」、「povo」、au回線の仮想移動体通信事業者(MVNO)や楽天モバイルのau回線ローミングを含めたau回線を利用したすべてのサービスに加え、ホームプラス電話、ホーム電話、auフェムトセルとなっており、これらのサービスにて音声通話およびSMS送受信、データ通信が利用しづらくなっていたとのこと。

その後、すでに紹介しているように7月3日(日)1時の時点で全国的にデータ通信を中心として徐々に回復してきており、西日本は7月3日7時15分、東日本は7月3日9時30分を目標として復旧活動に取り組んでいるとし、7月3日7時時点では全国で70%程度回復し、回復に向けて継続して取り組んでおり、完全回復する見込み時刻は西日本では7月3日11時頃、7月3日11時に東日本では7月3日17時30分頃を見込むと案内しています。

なお、ネットワーク試験の検証の上で本格再開時間を決定するとし、西日本とは静岡県・長野県・富山県以西(具体的には富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)を指すとのこと。

この障害を受けてKDDIは3日、都内にて「2022年7月2日の音声・データ通信サービスがご利用しづらい状況について」と題した記者会見を開催し、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏らが改めて謝罪した上で障害についての説明を行いました。なお、影響数は今後に最終的に精査するものの、最大3915万回線(個人・法人向けが3580万、MVNOが140万、IoTが150万、ホームプラスが45万)であることを明らかにしました。

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会見ではまずはじめに高橋氏らが頭を下げて謝罪しました。その後、障害について説明が行われ、原因はすでに案内されていたように全国の中継網内におけるVoLTE交換機で輻輳が生じたことで、全国で音声通話よびデータ通信が利用しづらい状況となったということです。

詳細には7月2日未明にメンテナンスの一環としてトラフィックのルート変更(古いルーターの交換作業)をする間にルーター設備の故障が発生してしまい、一部の音声通信が不通になり、その後、15分間の不通時間があった後、ルート変更の切り戻しを実行しようとしたものの、再接続要求が多発したため、アクセス集中でデータ通信しづらい状態が継続したとのこと。

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何とか輻輳を止めようと、VoLTE交換機がオーバーフローしていたので、これに対処すれば、復旧するだろうと考え、再接続数が非常に多かったので負荷低減を実施したものの、それだけでは収まらず、さらに加入者データベース(DB)も溢れ出したのでこちらも負荷低減を実施したとしています。

これにより、7月2日17時31分以降は加入者DBのデータ不一致が原因だと分かってきたので修正対処を行い、その後は何とか少しずつ復旧していき、携帯電話の利用が減ってきた7月3日に入ってから復旧が進み、当初は西日本では7月3日7時15分、東日本では7月3日9時30分を目標として復旧に取り組んでいましたが、さらに朝になってまた利用者が増えたこともあって完全復旧が遅れているとのこと。

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またVoLTE(音声通話)の輻輳を起こすこと自体がいけないことだと思っているが、NTTドコモの昨年起きた障害があったときに総務省へ報告があったので、それを踏まえてVoLTEに輻輳が起きても大丈夫なようにシミュレーションして設計していたが、事故を起こしているので計画が甘かったと言われるとその通りとなるという。

VoLTE交換機は全国で18台があり、バックアップは十分対応できると設計して作業していたが、定期メンテナンスでの交換中に設備障害が起きて大事故に繋がるというのは想定できていなかったとのこと。また輻輳に対処しながらの復旧作業は非常に大変であることは過去の経験からも理解しているし、NTTドコモの障害でも課題になっていたので、それを生かした設計に見直していた。

いろいろ検証した上で今回の障害が起きてしまい、その後の輻輳もカバーできなかったため、まだまだ甘いと思っており、今後、さらなる検証をやっていくが、その辺りを中心にやろうと思っているとのこと。今後の対策も含めて詳細は検証していくが、切り戻し手順は正しかったが、時間が長かったのではないかと考えていると説明。

またVoLTEは通話をしていないときにも50分に1回通信しており、夜中もずっと動いているため、トラフィックが常時あり、繋がらないで輻輳すると再送するのでさらにアクセスが集中してしまうという。一方、KDDIおよび沖縄セルラー電話では今年3月末に3Gサービス(CDMA 1X WIN方式)を終了していますが、会見では「3G停波の影響はない」とし、3月末時点でほぼVoLTEを使ってもらっていたこともあり、3G停波の影響はなかったとしていました。

また7月2日の夜の段階で端末によってiPhoneとAndroidで挙動が違う現象が出ていることが判明し、iPhoneでは音声通話が通らない場合でもデータ通信は保持するというシーケンスでアンテナ表示がなくてもデータ通信が使える状況となることもあり、この場合は音声通信だけが利用できなくなっていたとのこと。

さらにAndroidは機種によっても異なり、音声通話が通らない状態だとデータ通信もできない仕様になっているようだったものの、一部のシーケンスではデータ通信だけ繋がったAndroid搭載機もあった模様。一方、楽天モバイルへのローミングについては音声通話に関してはVoLTE交換機を別に設けているので障害は出ていないとしつつ、データ通信についてはトラフィックの輻輳制御をした影響で利用しづらい状況となっていたと説明。

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再度、完全に復旧するまでの時間を再計算し、西日本では7月3日11時頃に復旧作業を終了しており、いくつかの課題があるので最終的な復旧をめざし、東日本については作業が延びて7月3日17時30分頃に復旧作業を終了する予定となっており、さらにネットワーク試験の検証の上で本格再開時刻を決定するということです。

影響数は最大3915万回線で、個人・法人向けのスマートフォン(スマホ)を含む携帯電話サービスでは最大3580万回線、MVNOは最大140万回線、IoTは最大150万回線、ホームプラスは最大45万回線との見込み。特に法人向けについてはさまざまな業種が含まれ、生活インフラにも影響が出てしまったことを明らかにしました。

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中でも物流関連において宅配状況更新やドライバーとの連絡ができなくなってしまっていたり、交通関連は一部の空港でスタッフ用の無線機使用できなくなり、自動車関連は「つながる車」向けのサービスが一部利用ができず、気象関連も観測データ収集が一部不可となり、さらに銀行関連は店舗外の一部ATMが利用不可となったとしています。

これらの法人とは密に連絡を取って協力を得ながら対応していると説明されました。一方、総務省に報告義務がある重大事故に相当するため、総務省とはすでに密に報告をしており、正式な報告も早急に行う予定だとし、高橋氏は「これだけ大きな事故を起こしてしまったことは申し訳なかったと思っているし、経営者として責任がある。」とコメントしていました。

また補償についてもカスタマーサービスにも4.9万の問い合わせがあったほか、SNSではTwitterにてリツイート(RT)を含めると41万もの関連したつぶやきがあるなど、非常にたくさんの意見を受けており、現時点で一律に補償するという回答は持ち合わせていないものの、障害内容をもう少し検証した上で補償に関しては検討していきたいと回答し、さらに「一刻も早くネットワークを元に戻さなければならない。ご意見を真摯に受け止めて1日も早く復旧をめざしたい。」ということです。







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記事執筆:memn0ck


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