Googleがスマホなど向け次期OS「Android 11」の開発者向けプレビュー版第3弾をリリース!

Googleは21日(現地時間)、スマートフォン(スマホ)やタブレットなど向けプラットフォーム「Android」の次期バージョン「Android 11」における開発者向けプレビュー版の第3弾「Android 12 Developer Preview 3」(以下、DP3)を公開したとお知らせしています。

提供されているのはこれまで公開されてきた「Android 12 Developer Preview 1」(以下、DP1)や「Android 12 Developer Preview 2」(以下、DP2)と同様にAndroidエミュレーターのほか、Pixel 3、Pixel 3 XL、Pixel 3a、Pixel 3a XL、Pixel 4、Pixel 4 XL、Pixel 4a、Pixel 4a (5G)、Pixel 5でテストするためのファクトリーイメージやSDKが含まれています。

ファクトリーイメージ( https://developer.android.com/preview/download )から手動で導入するようになっているほか、すでにDP1やDP2、またはその後に提供開始されていた不具合修正版の「Android 12 Developer Preview 1.1」や「Android 12 Developer Preview 2.1」、「Android 12 Developer Preview 2.2」を導入している場合はネットワーク経由のソフトウェア更新(OTA)も提供されます。

DP3ではPixelシリーズにおけるビルド番号が「SPP3.210325.010」で、Androidセキュリティーパッチレベルは「April 2021」、Google Play servicesは「21.12.12」となってろい、エミュレーターでは64bitのx86およびARM v8-Aがサポートされ、APIレベルは「S(DP3)」となっています。

なお、ネットワーク経由によるソフトウェア更新(OTA)は現時点では用意されておらず、今後提供が開始される予定の一般向けベータ版「Android Beta Program」( https://g.co/androidbeta )によって提供され、ベータ版はPixelシリーズ以外にも従来通りに他メーカーの一部製品にも順次提供される見込み。

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Android 12は現在の最新バージョンの「Android 11」の次のメジャーアップデートとなる予定のバージョンで、最近の流れであるセキュリティーやプライバシーをより強化しており、ITのシンプルさと実用性、プライバシーと生産性を向上させる多くの機能が導入されているということです。

正式版のリリースまでのスケジュールは前回のDP1と今回のDP3に続いて5月に初のベータ版となる「Beta 1」が提供され、6〜7月に「Beta 2」および「Beta 3」、8月にPlatform Stability版となる「Beta 4」が提供され、その後、数週間でRC(Release candidate)版を経て正式版がリリースされる予定となっています。


DP1やDP2、DP3ではAndroid 12で導入される新機能の一部のみとなっており、正式版のリリースが近づくにつれてさらに多くの機能が追加される予定だとのことで。現時点で紹介されているAndroid 12の主な新機能は以下の通りで、詳細はAndroid Developer Blogの記事やAndroid Developer Previewの公式Webページをご確認ください。

Android 12ではプライバシーとセキュリティーを中心としてOSをよりスマートに、より使いやすく、パフォーマンスを向上させることに引き続き注力しており、さらにスマホやタブレット、ノートパソコン、テレビ、車で優れたエクスペリエンスを提供するための新しいツールの提供にも取り組んでいます。

DP3においては新しいアプリの起動体験の革新や基盤となるハードウェアサポートを最大限に活用するための新しい動画とカメラの機能、バッテリーを節約するための正確なアラームの新しい権限などがあるとのこと。Android Developer Blogの記事で紹介されている内容は以下の通り。

・アプリの起動体験の向上
Android12ではアプリの起動をより一貫性のある楽しく快適な体験にし、起動時点からすべてのアプリにて新しい起動アニメーションが導入され、アプリアイコンを表示するスプラッシュ画面やアプリ自体への移行を追加しています。

新しいアプリ体験ではすべてのアプリの起動に標準のデザイン要素をもたらしますが、アプリが独自のブランドを維持できるようにカスタマイズも可能にしており、例えば、新しいスプラッシュスクリーンAPIとリソースを使ってスプラッシュスクリーンウィンドウの背景色を管理できます。

また静的ランチャーアイコンをカスタムアイコンまたはアニメーションに置き換えることができ、アプリを公開するタイミングも制御できます。その他、ライトモードまたはダークモードを設定して終了アニメーションを管理できます。

新しいアプリ体験を利用するために必要なことは何もなく、すべてのアプリでデフォルトで有効になっています。特にスプラッシュ画面をすでに使用している場合はすぐに新しいアプリ体験をテストすることをオススメします。新しいアプリ体験をカスタマイズするには新しいAPIを確認してフィードバックを行ってください。詳細は https://developer.android.com/about/versions/12/features/splash-screen より

・新しい通話通知テンプレート
通話の着信と通話中はスマホにとって重要であり、見やすく管理しやすいものである必要があります。Android 12では通話通知を改善して視認性とスキャン性を高め、他の通知との一貫性を向上させており、電話アプリやビデオ通話付きのチャットアプリなど、アプリが通話を処理する場合には新しいCallStyleテンプレートを試してみてください。

テンプレートを使用して着信や発信、スクリーニングされた通話の通知を作成でき、それぞれアプリに固有のデフォルトアクションやカスタムアクションなど、複数のアクションをサポートしています。また大きなアバター画像を添付したり、テキストを提供したり、ボタンの色のヒントを設定したりすることもできます。OSはCallStyle通知を通知シェードの上部に表示するなど、高い視認性を提供します。詳細は https://developer.android.com/about/versions/12/features#new-calls より

・正確なアラームの新しい許可
アラームはアプリが作業をスケジュールするための重要な方法で、これまではほとんどの場合にバッテリーに優しいという利点によってアプリは正確ではないアラームを使用する必要がありました。Androidはこれらのアラームを管理し、Dozeやアプリスタンバイなどによるウェイクアップやバッテリーへの影響を最小限に抑えます。

目覚まし時計やタイマーなど、正確なタイミングのアラームが必要な場合は代わりに正確なアラームを使用できます。これらは便利で信頼性がありますが、特に使いすぎるとバッテリーの消耗を引き起こす可能性もあります。そのため、Android 12では利用者がより細かく制御できるようにいくつかの変更を加えています。

正確なアラームを使用するAndroid12を対象とするアプリは新しい権限「SCHEDULE_EXACT_ALARM」をリクエストする必要があり、これは通常の権限であるため、マニフェストで宣言すると、最初の起動時に自動的に付与されます。ただし、この権限を持つアプリを利用者に表示して「設定」の「特別なアプリアクセス権限」からアプリの権限付与/取消を許可する必要があります。

アプリで正確なアラームが必要な場合は権限がなくなった場合に対処するようにしてください。アプリの権限ステータスを確認できる新しいAPIである「canScheduleExactAlarms()」が追加されました。一般に可能な限り正確なアラームを使用しないようにアプリを移行することをオススメします。詳細は https://developer.android.com/about/versions/12/behavior-changes-12#exact-alarm-permission より

・ウェブリンクの改善
Android12では利用者がコンテンツに素早くシームレスにアクセスできるようにいくつかの変更を加えています。まずAndroid App Linksで確認されていない、または利用者が手動でリンクを承認していないリンクのデフォルトの処理を変更しました。これにより、OSは選択ダイアログを表示するのではなく、デフォルトのWebブラウザーでそれらを直接開きます。

また利用者がアプリのリンクを簡単に承認できるようにするために「設定」の「デフォルトで開く」に設定する新しいインテントを追加し、アプリのみがドメインからのリンクを処理できるようにする場合はアプリリンクを使用できるようになっています。さらにリンクの構成とテストに役立つ新しいadbコマンドを追加しました。詳細は https://developer.android.com/about/versions/12/web-intent-resolution より

・豊富な触覚体験
ユーザインターフェース(UI)のイベントの有益な触覚フィードバックや没入型のゲームで楽しい効果、生産性の注意触覚を作成するために提供するツールを拡張しています。最新のアクチュエーターのよって広い周波数帯域幅を利用する低ティックなどの表現力豊かな効果を追加しました。

ゲーム開発者はゲームコントローラーで複数の異なるアクチュエーターに個別にアクセスして同じ効果を同期的に提供したり、複数のアクチュエーターに異なる触覚効果を提供したりできるようになりました。開発者には定数とプリミティブを豊富な触覚効果の構成要素として使用することをオススメします。

定数はUIイベントを強化して触覚コンポーザーがプリミティブをシーケンスしてより複雑な効果を実現します。これらのAPIはPixel 4シリーズで最大限に試すことができます。引き続き、メーカーなどのパートナーと協力してエコシステム全体のユーザーに最新の触覚サポートを提供しています。

・ビデオエンコーディングの改善
Android 12ではビデオ量子化パラメーター(QP)の範囲を制御するためのキーのセットを標準化し、開発者がベンダー固有のコードを回避できるようにします。新しいキーは「MediaFormatAPI」と「NDKMediaライブラリー」で利用できます。ビデオエンコーダーはビデオが複雑なときに極端に低い品質を経験しないように、最小のビデオ品質しきい値を指定する必要があります。

・Camera 2ベンダー拡張機能
メーカーなどのパートナーの多くはボケはHDR、ナイトモードなどのカスタムカメラ効果を提供しており、製品上のアプリで差別化した体験ができるようにCamera 2 APIを利用しており、Camera Xライブラリーの一連のベンダー拡張機能を通じてこれらのカスタムエフェクトをすでにサポートしており、Android 12ではプラットフォームでもベンダー拡張機能を直接公開しています。

これにより、複雑なCamera 2実装を持つアプリがレガシーコードに大幅な変更を加えることなく拡張機能を利用できるようになります。拡張APIはCamera Xとまったく同じエフェクトのセットを公開し、それらはすでに多くの異なるデバイスでサポートされているため、箱から出してすぐに使用できます。詳細は https://developer.android.com/reference/android/hardware/camera2/CameraExtensionCharacteristics より

・クアッドベイヤーカメラセンサーのサポート
多くのAndroid搭載製品には通常クアッドまたはノナベイヤーパターンを備えた超高解像度カメラセンサーを搭載しており、画質と低照度性能の点で優れた柔軟性を提供します。Android 12ではサードパーティー製アプリがこれらの用途の広いセンサーを最大限に活用できるようにする新しいプラットフォームAPIを導入しています。新しいAPIはこれらのセンサーの独自の動作をサポートし、フル解像度または「最大解像度」モードと「デフォルト」モードで動作する場合にさまざまなストリーム構成と組み合わせをサポートする可能性があることを考慮に入れています。

・機械学習(ML)の高速化
Android 12では開発者がMLアクセラレーターを最大限に活用し、ニューラルネットワークAPIを通じて常に可能な限り最高のパフォーマンスを得ることができるように主要な分野に導入しています。パフォーマンスの向上に関してはパディングや同期フェンス、再利用可能な実行オブジェクトなどの改善を導入することで推論呼び出しのオーバーヘッドが半分以上になりました。

またGoogle Playサービスを通じてプラットフォームリリース以外でMLアクセラレータードライバーを更新できるようにしました。これにより、開発者は互換性のある製品で最新のドライバーを簡単に利用できるようになり、MLのパフォーマンスの向上とバグ修正がこれまでになく迅速にユーザーに届くようになります。

・GPUコンピューティングの標準化
VulkanやOpenGLなどのクロスプラットフォームGPUコンピューティングソリューションを優先して「RenderScriptAPI」を非推奨にします。高性能ワークロードがGPUハードウェアで実行され、多くの製品が「RenderScript」のCPUサポートのみですでに出荷されていることを確信してください。

また既存のAPIは当面は引き続き機能し、高度に最適化された組み込み関数プラットフォームコードを使用するBlurなどのRenderScript組込関数用のライブラリーをオープンソース化しました。 Vulkanを使用して画像処理を実装するためのサンプルと移行ガイドも利用できます。詳細は https://android-developers.googleblog.com/2021/04/android-gpu-compute-going-forward.html より

・ネイティブクラッシュのデバッグの改善
NDK関連のクラッシュのデバッグは難しい場合があるとされていますが、より実用的な診断を提供することでAndroid 12でこれを簡単にし、プラットフォームではトゥームストーンと呼ばれるクラッシュダンプファイルを使用してネイティブクラッシュをデバッグします。

これらのファイルにはさまざまな問題を診断するために必要な情報が含まれており、ARTによる巻き戻しやfdsanとの統合、GWP-ASan、HWASan、MTEのクラッシュに関連するすべてのスタックの記録が含まれます。現在は「App Exit ReasonsAPI」を介してアプリにトゥームストーンファイルへのアクセスを許可していますが、アプリで:ApplicationExitInf」と「REASON_CRASH_NATIVE」を使用する場合に「getTraceInputStream()」呼び出してトゥームストーンデータをプロトコルバッファとして取得できるようになりました。

・より柔軟なバックアップ構成
Androidのバックアップサービスによって利用者はデータを新しい製品に簡単に復元または移行できます。これらはアプリ体験の中心であり、利用者はアプリデータを簡単に転送して中断したところから続行できます。バックアップサービスはクラウドサービス「Googleドライブ」へのバックアップと製品間の転送の両方をサポートしており、開発者はアプリの変更を最小限に抑えてこれらを利用できます。

Android 12を対象とするアプリの場合、柔軟性と制御性を高めるためにサービスを改善しています。XML構成形式が更新されたため、クラウドバックアップと製品間転送にさまざまなルールを設定できるようになりました。これにより、例えば、クラウドバックアップから大きなファイルを除外し、デバイス間の転送に含めることができます。バックアップまたは転送用に暗号化要件を個別に設定することも可能です。最後に製品間の転送で自動バックアップを除外する場合は「allowBackupマニフェスト属性」の代わりに新しい構成形式を使用してください。詳細は http://developer.android.com/about/versions/12/backup-restore より



記事執筆:memn0ck


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