6019 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 22:47:52 ID:mMU5usnc0
/||ミ
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6020 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 22:49:07 ID:mMU5usnc0
、 - ‐‐ -,
,´: : : : : : : : :
゙i : : : :○ ○゙i
}: : : : : : : _ _ _| やあやあチミたち、疲れてるかい? >>1もパトラッシュ状態だよ。
|: : : :-=´_ _,´
y' : : : : :_: : : : :i まあそれは置いといて、はじめてこっか。この前も鯖落ちでやれなかったしね。
/ : : : : : : :┌─┐
i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ
r : : : : :ヽ、__)一(_丿
ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
と_ : : : : : : ノ : :ノ
 ̄ ̄ ̄  ̄
6021 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 22:49:22 ID:mMU5usnc0
【1月28日】
____
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/─ ─ \
/ (●) (●) \
__ | (__人__) | __
| |= \ ` ⌒´ _/====| |
| | / l ヽ | |
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| | / / l } l ̄ヽ___.| |
/ ̄ーユ¨‐‐- 、_ l !__ノ /| |
/ ` ヽ__ `- {し| ./. | |
___ / ヽ `ヽー、} /. /| |_____
ノ ヽ__ `ヽ./. / |_|
/ ノ| ./
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|. | .| .| |_ |/
| | | |へ | | ノ| ||/
|_|___ノ|___| \|__|_ノ |_|
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窓から差す朝日に起こされ、自室から中庭へと向かう。
感覚が失われつつある体にはだるさすらなく、かえって寂しさを感じた。
中庭には現在残っている戦力、レゼ砂漠で戦闘中の本隊を除いた
アラディア軍の兵士たちが整列していたが、中庭を覆い尽くすにはやはり、
少し数が足りない。前の首都防衛戦でもかなりの数を削られた。
これから最終決戦に赴く面子にしては、いささか心もとなさがある。
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6022 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 22:54:57 ID:mMU5usnc0
/ /:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:./:.:.:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:.|:|:.',:.ヽ:.:.:.ヽ ヽ:.:.:.:|
/l:.:.ヽヽ:.:.:.:.:.:.|:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:/:.:.:./:/:./:.:/:.:.,':.|:.:.i:.:i:.:.:.:.:.i i:.:.:|
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/:.:/:.:.:/:.:',:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:/.',:.:.',:.:.:.:.:.:.:|:.:|/. ィ=≠=ヶ、 ,'///:.:,'/|:.:.:.:.:.:| .|:|
:.:.:/:.:.:./:.:.:∧:.:.:.ヽ:.:.:.:.{ ´./ヽ:ヽ:.:.:.:.:.:.ヽヽ. ` .ら:::/ ./:.:./|:./:|.|:.:.:.:.:.,' リ
:/:.:.:.:./:.:./:./ヽ、:.:.:.:.:.:.ヽヽ |ヽヽヽ:.:.:.:.:ヽ. `ヾ ',:.:.:.:}:.:.:.:.,' |:.:.:.:/
:.:.:.:.:/:.:./:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:.:./ヽ |:.:.:.ヽヽ\:.:.:\. ヽ:./|:.:.:./ ,':.:.:/
:.:.:.:/:.:./:/:.:.:.:.:.:/.',:.:.:./ .`|:.:.:.:.|:|\ ` ‐‐ヽ. `>/:.:/ ./:.:/
:.:.:/:.:/:.__:./ ヽ′ |:.:.:.:.:|ヽ. , '/ /:./ ,':./
:.:/:.:/:.|-----ニニ‐‐‐- ___|:.:.:.:.|ヽ\ . .- 、‐'/ // //
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:.:.:.:.:.:L_ /// `ヽ`ヽ_
` ヽ< __ // >/
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`ヽ `ヽ //┐ヽ .//
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黒い軍服の群れの視線の先には、風に揺らめく軍旗の下で不遜さを体中から
発散させているギルガメッシュが立っていた。血を連想させる濁った赤色の瞳は、
半分ほど瞼に覆われている。今にもあくびをしそうでもある。
やる夫は彼女の内面についてはあまり知らないが、彼女が決戦を前にして
緊張したり、何かを憂うような性格でないことだけは確かだ。
つまり、あの表情は眠いか、もしくは退屈かのどちらかとなる。
戦装束のナノハの姿を見つけ、駆け足で彼女の隣へと並ぶ。
やる夫よりも先に並んでいたらしいアンゼロットとラピスも、神妙な面持ちで
ギルガメッシュを見つめていた。
やる夫が並んだ時に、ちょうど定刻になったのか、ギルガメッシュは
人数の確認もせずに、開口一番「皆の者」と声を上げた。
中庭中に響くその声は、叫び声と表現するにはあまりにも上品で、凛々しく、
綺麗な声音だった。兵士たちの背筋が何か叩かれたかのように硬直する。
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6023 名前:安価のやる夫だお[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 22:57:02 ID:8Es/f2Qk0
ノ
6024 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:04:16 ID:mMU5usnc0
-―- .
/ `ヽ \
/ / ', ヽ
/ , i i i ', ',
,.イ i | { i ト、 } i | ,
/ ! | ト、!从|ィfツi! i i
| ハ泛ナ |! 厂! ,
|/ヘ. ゝ _ ' レ' ̄ ', 此度の作戦は、これまでの時間稼ぎとは違う。
| }/ >.. __ .イ |_ | | ヽ
! __i__ ,..ィ´::ト! !,, \ 我らはこれより、剣を手に奴らの喉元を血に染めんと
, __}::::::::::::rくヽ::! !::::::ー-.、\
/ ,.ィ彡v-v iソ{人!::| |::::::::::;:::::`ヾ メビウスの地へと向かう。
/ .r''::::::::::iイ{_/V:::::::/:::::! !:::::::/:::::::::::{ \
/ ノ::::::::::::::::::::/:::;;:::::/::::::::! !:::::;':::::::::::::::', ,
/ r''ひ;v''⌒゙''tィ''´ ̄  ̄ `ヾ|:::::{::::::::::::::::::', ,
/ };;ハ ', | |⌒';:::::::::::::::::::〉_ ',
、__ イ ,. -=ミ:::::ゝ __ ィ ゝ __ ..:':| | / ヽ::::::::/ ヽ
, /ー ∨ i :i | | / `ヾ{ ,,.. -‐''ス
/ __,≧==ミ / | | !' `T''::::::::::::::}_
/ {/ { | ! !| ゝ::;;::::ノ !
, ! ', ! !イ ト、 .|! i ハ'´ }
i ハ -=--ミ / レi j トi | ヽ | , /i_ノ
| ヽ _}__/`ー-ム_,,..ィ:} _\ i ./∨/
| \__ノ Vー- 、 厂 / ヽ i! / }'
j } 、i !}ー-、 ___/ ,..イ{: : : :\ i /
/イ iハ__-y' /´::::i::::::::::::`V ',: : : : : ',. i.._/
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「よくぞ、よくぞここまで生き残った。よくぞここまで耐え抜いた。
貴様らの背には志半ばにして散った友の無念が、
貴様らの剣には故郷で帰りを待つ家族たちの未来が乗っている。
よいか、これは凌ぐための戦いではない。我らは終わらせにゆくのだ。
この戦を、我らの勝利という形でな。そのために必要なのは、他ならぬ貴様らだ。
我らは神を屠らんとする無数の矢だ。貴様らから家族を奪い、友を奪い、
未来までも奪おうと画策する者たちの心臓へと放たれた一本の矢だ。
己が口で申してみよ。貴様らはなんだ?」
兵士たちの口が一斉に開く。ギルガメッシュの言葉を合図に、
威勢よく堂々と、不安を振り払わんと力の限り叫ぶ。
我らは矢なり、心臓へと放たれた一本の矢なり。
「なればゆけ! ゆきて敵を屠れ、神を屠れ! 敵を斬り払い、地を抉れ!
女神の矢となりて、貴様らに絶望を与えんとする者共の胸を穿ち抜け!
妾もまた、必ずや貴様らを憎き敵の下へ送り届けることを約束しよう。
反撃の時は来た。滅亡を恐れる日々は終わった。今がその時である!」
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6025 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:10:40 ID:mMU5usnc0
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、 '" ,、 '":ツ / |^l .//:::::::::........... ト / .|^l
、-' ,、 '´ / / /'''',,,," 彡...〉/⌒¨ ____ > ⌒ヽ '''',,,," 彡
| ,、 '´ / / `゙^ _,| │ .{i{ ^Y`ヽ __., {.^ _,| │ |^l
'´ / /l/ .,/,_ | ノ≧=- ゝ ___,ノ ト ,_ | ;‐i /'''',,,," 彡
// .l_,'" | ../ // \ ‘'〈 / i}" | .| lニ ニl ;‐i `゙^ _,| │
{_,乂 i{ :. ∧ー一′ハ . {_,l゙ .〈/!_| lニ ニl .,/,_ |
/⌒ヽノむx __ `ヽイニム. -=′ 〈/!_| .l_,'" | .|
} .:} [ ¨⌒ヽ ハニニ=- -{ {_,l゙
} .:∧__[ 丶 ___/ノニ=- -{
.:{ 厂` .. ハニ=- -{
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′ }⌒¨ ァ⌒ニニ=- -=≦廴 __
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{ /二二二二二ニ=- /,
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そう言い放つと、ギルガメッシュは地面に刺さっていた漆黒の軍旗を抜き、
高々と掲げた。その行為が、兵士たちの間に漂っていた不安や興奮に火をつけた。
得物を持つ者はそれを抜き、持たない者は拳を硬く握りしめ、
雲一つない空に向かって突き出した。
誰に命令されるでもなく、雄叫びが上がる。
だが、やる夫は一緒になって叫びながらも、自らの内に燻る不安を掻き消せずにいた。
最後の戦が始まる。その事実だけが、ただ重苦しかった。
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6026 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:11:04 ID:mMU5usnc0
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6027 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:17:37 ID:mMU5usnc0
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-- =-- ─ -- ニニ =--- -- -==─ ___
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海を見るなんて、いつ以来だろうか。
陸地で並走している鉄馬車の列を見つめながら、やる夫はふと思った。
やる夫たちヘルヴォル隊を含めた幾つかの部隊は、鉄馬車には乗らずに
輸送船団の船に直接乗り込んでいた。主に海上の索敵と対空警戒、
そして敵が来た時の迎撃と護衛が自分たちに課せられた任務である。
船縁で鴉を飛ばしながら、延々と続く海原に視線を移す。
これが平和な海だったなら、どれだけよかっただろう。
そう夢想せずにはいられなかった。
できることなら、この世界で知り合った友人や仲間たちと一緒に海水浴を
してみたかったものだ。水着のないこの世界では、自分の想像する
海水浴とは少々違った光景になりそうだが、それはそれでありかもしれない。
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6028 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:22:51 ID:mMU5usnc0
/ / , / ヽ
/ / ./ / ′
′ レ{ i ′__′´′ .,.:゙ } Ⅵ
/⌒{ | { /{ ` { 、/ i ; Ⅵ
. {i { 7从 :|: 八 斗午ミ、{/゙ | / ; ‘,. Ⅵ
. 从 八 ; :|'゙ { ハ刎 ' | ./」_ /i }ハ }
゙ / ヽ′ :l. 辷 ッ | / i /`i }゙
/ .| 泛弐 ノ } .;
/ / i | 戈ツ/ ァ゙ ; /
. / /r‐'7^i| | ' / 才゙ /{/
/ / .|乂___| | ` ‐ ⌒ァ=≦ {/
. / jIニニ=-ミ i | | 、 .。s 升
/ /ニニニニ‐` 、| | 介=- 七 ノi |
. ァ'ニニニニニニニ\ |`'くr '⌒7__ / | |
/ニニニニニニニニニ‐ヽ :| ノ⌒7゙ニニ≧x | |
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「船酔いでもされましたか?」
呆けていると、後ろからアンゼロットに声をかけられた。
振り返り、目を見張る。
立っているのだ。車椅子に腰掛けた姿ではなく、自分の脚で。
しかし、妙だ。彼女は靴を履いていなかった。
鉄の蹄のようなものが、脛のあたりから生えていたのだ。
「ああ、これですか? さすがに戦場で車椅子というわけにもいきませんからね。
先程魔道ゴレムの余りの部品を即席で改造させてもらいました」
飄々と彼女は言ってのけるが、やる夫は安心できなかった。
明らかに、鉄の蹄は石化した足の上から装着したものではなく、
完全に生身の脚と癒着していたからだ。
よく見ると、唇の端に噛み痕らしきものが見えた。
つまり、そういうことなのだろう。
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6029 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:27:34 ID:mMU5usnc0
____
/ \ ……ナノハさんも、いずれそうなるんですか?
/ \
/ _ノ ::::::: ゝ、 \ 「いえ、あの子は大丈夫ですよ。ナノハの力は純粋な才能ですから。
| (○) (○) u |
\ (__人__) ,/ 特別製の杖で調整もしていますし」
/ `⌒´ \
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生まれてから今まで使ってきた足を失ったとはいえ、久々に歩けるのが
嬉しいのか、アンゼロットは上機嫌そうにやる夫の方に歩み寄ってきた。
かつんかつんと足音がなる度、胸が抉られ、広げられていく。
ナノハやブリュンヒルド隊の魔導士たちも、遅かれ早かれアンゼロットのように
なってしまうのだろうか。
そう聞いてみると、アンゼロットははっきりとした口調で否定した。
「私たちは特殊なのですよ。魂という魔力の炉心そのものを燃やしている
わけですからね。ナノハは単純に、自らが発生させられる魔力だけで
あの火力を実現しているわけです。限界を越えないように、特殊な杖も
持たせています」
そういえば、ナノハは以前、自らが持つ杖を特別製だと言っていた。
きっと出力を上げるだとか、そういった補助的な武装だと思っていたのだが、
どうやらそれとは真逆のものだったようだ。
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6032 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:44:49 ID:mMU5usnc0
〃/ } ヽ
/ / i i } | ,
' ′ l { i | | ′
l | | ' i | | l } |
| | { ∧ ヘ ムrヒ 7"{「 ̄| |
| | / | {/ __' { '_jノ _厶ニL _ | |
| |'{ | ィ'{「 __`j八 / ノ ;ノ乙心jノ| / r: 、 そして魂が燃え尽きた時、
| . { , l ァァぅ, ハ / ‘;::::タ刈 |. / ′ |
{. ', ∧ '. |〈{ {:::hム ∨ ー '' ” | / ル ) 从 i 生命としての存在を維持できなくなり、
. ‘. / ,ハ ヽム 弋:㌣ j/ ハ / } i
)' / V{ ハ 〈 / 厶ィ´ i 石や塵と成り果てる……
/ \ ', __ , ′│ !
/ 人 `´ / .′/ | ! 夢の中で聞かされたでしょう?
/ / > . / /}丁厂 ! l
/ / / >-=''" ̄`丶、/ j j ′ i │
. / 〃 /..:::::::::::::::::::::::::::::..\ リ j ′ ! |
/ / /..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ j/ i │
. / / /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∨ i |
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なんのことかと訊ねると、「白い神獣ですよ。アラディアの使徒を名乗り、
夢枕に現れる者です。この力を貰った人間のほとんどは、その夢を見るのです」
白い神獣。一つだけ、心当たりがあった。
あの、猫に似ても似つかない、不気味な生物のことを指しているのだろうか?
となると、アンゼロットや過去の魔導士たちも、あの夢を見ているということになる。
内容こそ違うが、白い獣が夢に現れたのはやる夫も同じだ。
だが、あの獣は「力をやるから自分の手先になれ」と言ってきた。
また、「なんで最初から外れているんだ」とも。
ここが、自分がイレギュラー扱いされる理由なのかもしれない。
別の世界から来た時点で、体の構造も多少なりとも違うはずだ。
もしくは、ジャンヌの加護がおかしな形で発現していたのかもしれない。
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6034 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:58:24 ID:mMU5usnc0
. ,'.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.i.:.:イ:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:ヘ:.:.:.:.:`´:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:',.:.:.:.:.:.:.:.:',
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. i:.:.:.:.:.:.:.:,':.:.:.:.:/.:/ .{:.:ハ:.:.:.:ハ:.:∨:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.::}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
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|.:.:i.:.:.:.:.:i.:.:,:/,-─l:.:.ハ:.:.:{ ヾ;─‐--ミ:.∨:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.,'
i:.ハ:.:.:.:.:.l/イi ',:.{ ',.:.:', ゞゝ\:.:.:`ヽ:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:/
.. ',! {:.:.:/.:.:{:', zョョュ、ヾ;', ゞ;:{ zョョョョュミ、_.:.:.:,':.:.:.:.:,'.:.:.:.:.:i.:/ やる夫ー、ご飯の時間……
... リ. ',:.:.ト:.:.:.:.ハ, ̄ `ヾゝヾ, ヾ', 〃i::(;;;;)oi`≫:;イ:.:.:.:/:.:.:.:.:.::ハ:{
. ! ヾ;!.:}.:.:.:.:! ' ' ' \ \ 乂z彡' /イ.:.:.:/:.,:.:.:.:.::,' .{l っと、ごめん、邪魔だった?
ヾ i\:.{ ノ ‐-‐´/,':.:.:/.:/:.:.:ィ:/ !
! }.:.:.:ハ ヽ ´´´ 厶イ:.:.:/:./:// 「ラピス、私をからかうおつもりで?」
. リヘ:.:.:.:\ ヽ=‐-ァ イ:.:.:.:,イ:/イ
ノ ',:.∧{r'>、 ` ´ <1/:.:.:./ .リ あ、いえいえ、とんでもない。
. }:;' 〉 / ,>、 -‐ "´ /:.:/ `ヘ,
リ />/厶′ j _,イ// \ ほら、ご飯にしましょう。
/ィ/rイ ,ュz==ゝ彡'" /" ゝ、
厶/r'ィ彡'"´ ,ィ'/|i|`ミx、 r'`v´ゝ、 鴉は上空で待機させたままね。
,z'r´乃{ii{ ,イ/ |i| ヾヽ イ`>乂ゝィ′
r‐彡/´L!之|iil z彡イ辷{.|iミ、 ヘハ 厶ィ,ヘノ´:::ハ
i:::::::::::::r'匕' ゞ='// 匕{ |iトヘ }iij 廴/r、>::::::::::::::::',
∨:::::::::゙〕 { ゝ// 辷{ |i|ゞゝ彡" 厶イ ゝ:::::::::::::::::::::::i
',:::::::::ゝr′トイ/ .匕{ ゞゝ、`´ 〕 〈:::::::::::::::::::::::::::::::',ミ、
(:::::::::::〉〈 <// .辷{ `ヾヽ <´ゝム::::::::::::::::::::::::::::::i:::::\
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考え込んでいると、ラピスが甲板に出てきた。
やる夫とアンゼロットが二人でいるところを見て、柔らかく笑いながら
冗談めいた表現をしてくる。
静かに怒るアンゼロットを諫めながら、やる夫はそっと、その手を握った。
歩きにくそうだから、というのもあったが、彼女の体温を、脈動を、存在を
感じたかった。だが、既に手の感覚は失われており、彼女の肌の感触すら
わからない。
当のアンゼロットは、それを拒むでもなく、むしろやる夫の手を引く形で
ラピスの方へと向かっていく。
やる夫も笑顔でラピスに応えながら、歯を鳴らしそうになるのをぐっと堪えた。
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6035 名前: ◆x0SRSoJXe.[sage] 投稿日:2016/09/03(土) 23:58:40 ID:mMU5usnc0
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