東京都が西新宿エリアで自動運転バスの試乗会を実施!運行は京王バスが担当

東京都 都市整備局が2023年10月2日(月)から10月13日(金)まで西新宿エリアで「自動運転バス」を運行し、事前予約で応募した乗車希望者が自動運転バスを体験しました。自動運転バスは東京都が推進する事業「『未来の東京』戦略」として採択され、運営管理をパシフィックコンサルタンツ、運行を京王バスが担い、車両は埼玉工業大学が提供しました。

また事前予約は京王電鉄が運営する電子チケットなどを販売・提供するMaaSサービス「TAMa-GO」またはスマートフォン(スマホ)など向けコミュニケーションアプリ「LINE」の公式アカウントから行い、TAMa-GOでは予約登録をするとメールが届き、そのメールに記載されたリンク(URL)からAndroid向け決済アプリ「Google ウォレット」のコード(QRコード/バーコード)を表示する電子チケットが利用されました。

なお、10月5日(木)および10月10日(火)は運休で、最終日の10月13日は都庁周辺において道路や公開空地などを活用した人が憩い・楽しく歩けるまちを体験できるイベント「ファンモアタイム新宿」開催されました。今回、そんな東京都が実施した自動運転バスの試乗を体験してきたので、Google ウォレットの電子チケットなども含めて写真やスクリーンショット、動画を交えて紹介します。

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自動運転バスの乗り場。通常の京王バスの営業路線と同じなので、写真のようにいつもの京王バスも通っていました

東京都では「未来の東京」戦略において2025年の無人自動運転による移動サービスの実現を政策目標として掲げており、これまで「スマート東京先行エリア」として先行的に5Gを整備している西新宿エリアにおける自動運転の2023年度事業化をめざして自動運転の実証プロジェクトを実施してきました。

そうしたプロジェクトの1つであるパシフィックコンサルタンツが東京都から受託した「令和5年度 自動運転社会を見据えた都市づくりに関する調査検討業務委託」として今回、実際に自動運転バスに試乗できる体験会を実施しました。ルートは京王バスが現在の営業路線として運行している都庁循環(CH01)と同じで、都議会議事堂前には停車しないものの、一般道を通るようになっているとのこと。

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普段通りの西新宿


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そこへ颯爽と現れる自動運転バス


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自動運転バスのルート

仕組みとしては自動運転で主流となっている位置情報取得機能「GNSS(全世界測位システム)」が利用できない・利用しにくい「トンネル・半地下・高層ビル群」などの過酷環境下でLiDARのみでも走行ができるシステムを活用しているということです。またバス車両の姿勢制御を行うためのセンサー「IMU(車外カメラ)」も使用しているとしています。

その他にも東海理化によるカメラで撮影した映像を画像認識して車両から周辺の車線や路肩などの区画線間の距離計測をすることで走行中の位置を検出する技術が用いられ、バスの車外に取り付けた複数台のカメラの映像を合成して映像品質を維持したまま低遅延な伝送を可能にした遠隔監視システムも使われているということです。

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自動運転バスの車両は日野「レインボー」がベースで各種のセンサーやカメラなどを装備

今回、そんな西新宿エリアでの自動運転バスを実際に無料で試乗できるということで実際に体験してきました。予約はTAMA-GOの電子チケットを発券する専用Webページから試乗したい日時を選んで申し込むとメールが届き、メールに記載されている「自動運転 QRコードチケット 2023 - ¥0」というリンク(URL)を開くとQRコードによる電子チケットがiPhoneなどではAppleの「Wallet」アプリ(以下、Apple Wallet)、Androidでは「Google ウォレット」アプリに追加されます。

なお、京王電鉄では今年8月より京王線沿線の高尾山・調布エリアにおけるバスやケーブルカー・リフトなどの交通乗車券と周辺施設の利用券等をセットにした電子チケット「まるっとTAMa-GO」を販売しており、自動運転バスの予約もこのシステムを利用しているのだと思います。自動運転バスは無料でしたので支払いなどはありませんでしたが、まるっとTAMa-GOではクレジットカードによって支払うようになっています。

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予約後に送付されてくるメール。記載されている「自動運転 QRコードチケット 2023 - ¥0」というリンクからアプリに電子チケットを追加


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電子チケットをGoogle ウォレットアプリに追加したところ。電子チケットのQRコードが表示可能に。右上のメニュー(…)ボタンから電子チケットの詳細が確認できたり、削除できたりします


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Google ウォレットで表示した電子チケットのQRコードを専用端末(タブレット)で読み取っているところ

電子チケットはまるっとTAMa-GOでは京王バスの場合にはApple WalletアプリまたはGoogle ウォレットアプリにて電子チケットを選択してセルフチェックイン画面を開いてカウントタイマーを乗務員に提示して搭乗、京王バス以外ではApple WalletアプリまたはGoogle ウォレットアプリにて電子チケットを選択して施設係員に提示して専用端末にQRコードを読み取ってもらうようになっており、自動運転バスもこの京王バス以外の方法が取られていました。

走行時は周囲の交通流を阻害しない程度の速度として最高時速50Km程度を確保し、通常の営業時と同程度の乗り心地を実現していました。ただし、状況に応じて手動運転に切り替える部分運転自動化となる「Lv2」を採用し、同乗する運転者が周辺を監視しながらハンズフリーの状況の下でシステムが前後・左右両方の車両制御に関わる運転操作の一部を実施し、例えば、路上駐車などがあった場合には随時運転手による手動運転に切り替えていました。

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いざ西新宿のバスターミナルを出発


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途中トンネルなどを通るので暗くなる


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都庁近くになると緑も多くなってくる


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走行している場所や速度がなどがリアルタイムでディスプレイに表示されていました

全体的に手動運転に切り替えることが多かった気がするため、まだ完全な自動運転を実現するには恐々のような整備されていない路線では難しいのかなと思いつつ、少なくともバス専用路線が作れるようなルートであれば意外と早期に実現できるのかなとも思われました。万が一があったときが心配なので本当に導入するかはバス事業者としては悩ましそうですけども。最後に実際に試乗したときの様子を一部動画で紹介しておきます。早く自動運転が当たり前になるようになると便利かなと思いつつ、こういった実証実験やその試乗はどんどん実施して欲しいなと思いました。


https://youtu.be/FBpJZiQC3rw


記事執筆:memn0ck


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