ファーウェイのHarmonyOS 2搭載タブレット「MatePad 11」をレビュー!

既報通り、華為技術日本(以下、ファーウェイ・ジャパン)が日本市場向けとしてOSに「HarmonyOS 2」を初搭載した10.95インチタブレット「HUAWEI MatePad 11(Wi-Fiモデル/型番:DBY-W09)」(Huawei Technologie製)を7月23日に発売しています。市場想定価格(金額はすべて税込)は54,780円。

販路は公式Webショップ「HUAWEI STORE(ファーウェイオンラインストア)」や「ファーウェイ 楽天市場店」、「ファーウェイ PayPayモール店」のほか、Amazon.co.jpやヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダデンキなどの家電量販店で、Amazon.co.jpではすでに9%OFFの49,800円となっており、さらに8月は6,000円OFFクーポンが適用でき、43,800円で購入できます。

今回はそんなHUAWEI MatePad 11の外観や基本機能などを写真や動画を交えて紹介しつつ、HarmonyOS 2とは何なのか確認したいと思います。

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HUAWEI MatePad 11のパッケージは白を基調としたシンプルなもの。側面に製品情報やS/N(シリアルナンバー)などが記載されています

HUAWEI MatePad 11はHuawei Technologies(以下、ファーウェイ)の高性能タブレット「HUAWEI MatePad」シリーズの最新機種で、携帯電話ネットワークに対応しないWi-Fiモデルであるためか、アメリカによる同社への制裁(いわゆる「ファーウェイ問題」)が続く中でチップセット(SoC)にはQualcomm製「Snapdragon 865」が搭載されています。

Snapdragon 865は昨年のハイエンド向けSoCであり、最高性能ではないものの、現時点でも十分に高性能であるため、HUAWEI MatePad 11もさまざまな機能やアプリが快適に利用できます。一方、ファーウェイ問題によってGoogle PayやGmailなどのGMSのアプリは搭載できないため、新たにHarmonyOS 2を搭載しています。

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パッケージを開けると、まず本体が現れます。付属品はカードトレイ取り出しピンおよびUSB Type-C to 3.5 mmイヤホン変換アダプター、USB Type-Cケーブル、ACアダプター(最大22.5W=2.25A/10V)、クイックスタートガイド

結論から言えば、このHarmonyOS 2は昨年に日本でも発売されたスマートフォン(スマホ)「HUAWEI Mate30 Pro」や「HUAWEI P40 Pro」などが採用していたGoogle PayやGMSを搭載しないAndroidベースの独自ユーザーインターフェース「EMUI」と同じ、もしくはその延長線上にあるプラットフォームとなっています。

つまりはHarmonyOS 2もAndroid(AOSP)ベースで、Androidアプリが動き、開発者オプションもあるので、ADB(Android Debug Bridge)も利用でき、Macとならファイル転送アプリ「Android File Transfer」が利用可能となっているなど、基本的にGoogle PlayやGMSのないAndroidと言って良いでしょう。

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HUAWEI MatePad 11の本体は半透明な保護フィルムの袋に入っているので取り出します

ディスプレイは約10.95インチWQXGA(2560×1600ドット)ISP液晶(約275ppi)で、8bit(1670万色)表示やDCI-P3となっており、新たに90Hzのリフレッシュレートに対応しています。また画面占有率は86%に達し、画面の周りの縁(ベゼル)はタブレットとしては比較的狭く、シンプルなデザインです。

横持ちしたときの画面の上側に約800万画素CMOS/広角レンズ(F2.0)のフロントカメラや照度センサー、通知用LEDが搭載されており、生体認証としては顔認証に対応しています。サイズは約253.8×165.3×7.25mm、質量は約485g、本体カラーはメタリック感のあるアイスブルーの1色のみです。

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HUAWEI MatePad 11の正面。10.95インチサイズは扱いやすい大きさではなでしょうか

主な仕様は6GB内蔵メモリー(RAM)および128GB内蔵ストレージ、microSDXCカードスロット(最大1TB)、7250mAhバッテリー、急速充電(最大22.5W)、USB Type-C端子(USB 3.0、OTG)、Wi-Fi 6や2x2 MIMOに対応したIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax準拠(2.4および5GHz)の無線LAN(Wi-Fi)、Bluetooth 5.1、位置情報取得(GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS)、加速度センサー、ジャイロセンサー、ホールセンサー、電子コンパスなど。

背面には中央に「HUAWEI」ロゴがあるほか、約1300万画素CMOS/広角レンズ(F1.8)のリアカメラが搭載されており、オートフォーカスやLEDフラッシュライトに対応しています。シングルカメラで、そこまでカメラ性能が高いわけではありませんが、リアカメラモジュールは少し出っ張りがあり、背面を下にして置くと少しカタツキます。

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HUAWEI MatePad 11の背面。アイスブルーはプライベートでもビジネスでも使えそうな無難な色合い


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HUAWEI MatePad 11のリアカメラの出っ張り加減。カタツキは気になるほどではないものの、リアカメラのレンズが当たるのが嫌な場合にはケースなどを装着したほうが良さそうです

4つの内蔵スピーカーを搭載した「クアッドチャンネルサウンドシステム」で、Harman Kardonチューニングによるクリアで歯切れの良い高音が再現でき、またマイクも4つ搭載されているため、AIノイズリダクション技術も合わせてタイピングや周囲の会話などのノイズを自動的に除去し、オンライン会議やビデオ通話などのコミュニケーションが快適に利用できます。


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HUAWEI MatePad 11の上下側面。下にはmicroSDXCカードスロット、上には音量上下キーとマイクが配置されています


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HUAWEI MatePad 11の左右側面。左には電源/ロックキーと外部スピーカーが2つ、右にはUSB Type-C端子と外部スピーカーが2つあります


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10.95インチのHUAWEI MatePad 11(左)と9.7インチのiPad Air 2を並べてみたところ。画面のアスペクト比が異なるものの、iPad Air 2辺りのサイズ感をめざしているのではないかと思われ、縦持ちしたときの縦はiPad Air 2(240.0mm)よりも15.3mm長いものの、幅はiPad Air 2(169.5mm)よりも若干(4,2mm)狭くなっています


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HUAWEI MatePad 11のホーム画面。デフォルトはドロワー(アプリ一覧)のないタイプで、右にもう1面の合計2面


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ホーム画面の左側にはApp Assistant/App Todayというよく使うアプリや天気などのウィジェットが表示される機能があります


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Androidのジェスチャーナビゲーションに対応しており、画面の下端から上に向かってスワイプして止めるとアプリ切り替えが表示されます


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画面の右半分側で上橋から下にスワイプするとクイック設定パネルが表示できます


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逆に画面の左側半分で上橋から下にスワイプすると通知エリアが表示されます


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設定画面も既存のEMUIとほぼ同じで、HarmonyOSの特徴として挙げられている製品間連携は日本語では「スーパーデバイス」と名付けられています


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内蔵ストレージは初期設定直後に約17.72GB利用しており、残り約110GB使えます


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設定の「タブレット情報」では機種(型番)が「DBY-W09」であることやSoCおよびRAM、内蔵ストレージなどの情報とともに「HarmonyOS」がバージョン「2.0.0」であることが示されています。なお、ビルド番号を連続タップすると開発者向けオプションがオンになるのもAndroidのまま


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開発者向けオプションを表示したところ。細かくは紹介しませんが、USBデバッグをオンにすれば、adbコマンドも使えました


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設定の「システムと更新」。Tablet CloneやHUAWEI HiAIなども対応


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日本向けの認証マーク。電波法に基づく工事設計認証(R)は「001-A17956」、電気通信事業法に基づく技術基準適合認定(T)は「D21-0073001」


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携帯電話ネットワークには対応していないものの、モバイルネットワークからHUAWEI MatePad 11が接続しているWi-Fiを他の機器でHUAWEI MatePad 11を介して利用する「Wi-Fiブリッジ」にも引き続き対応


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画面リフレッシュレートは標準(60Hz)と高(120Hz)に加え、可変する「ダイナミック」が設定可能


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ファーウェイのAI機能「HUAWEI Assistant」はAI LensおよびAI Touch、AI Tips、AI Search、TODAYが利用可能


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日本語文字入力アプリは「iWnn IME」がプリインストール


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HMS(HUAWEI Mobile Service)の中心となるアプリ配信マーケット「AppGallery」。スマホ向けでは「LINE」が配信されているものの、タブレット向けではLINEはありません


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標準のカメラアプリはグリッドや水準器などに対応。画面を上下にスワイプすると「写真」「ビデオ」「ビューティー」「その他」といったモードが切り替わります


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その他には「パノラマ」「コマ抜き」「文書」「ステッカー」がプリインストールされているほか、ダウンロードして追加も可能


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プリインストールされている地図アプリ「Petal Maps」。ファーウェイが開発・運営しており、きちんと日本の地図データが採用されており、店舗情報なども多少は掲載されています。経路検索や衛星画像、地形地図などにも対応しており、Google Mapsがアプリとしては使えないので、代替としてそこそこ使えるように思われました


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Google Payストアからは削除されてしまっていますが、AppGalleryにはベンチマーク「AnTuTu Benchmark」があるので試しに計測。3回測った中央値で総合「629707」というスコアに。一般的に総合で50万、GPUで18万以上だとかなりサクサク&ヌルヌルで快適と言われていますし、Snapdargon 865を搭載した製品の中でも優秀なスコアとなっています


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AppGalleryだけだと物足りない場合にはAmazon Androidアプリストアも導入可能。これにより、Amazonの電子書籍リーダーアプリ「Kindle」などやオンライン会議アプリ「Zoom」なども利用できます


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Kindleを起動したところ


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Zoomを起動したところ。なお、Zoomは公式Webサイトから直接apkをダウンロードしてインストールも可能

このようにHUAWEI MatePad 11は価格性能比で言えばかなりコストパフォーマンスが高いと言えますが、一方でやはりネックとなるのがGoogle Playに対応していないため、一般的なAndroidタブレットとまったく同じようにアプリが追加できないところとなりそうです。

AppGalleryとAmazon Androidアプリストアを利用すればそれなりにアプリは揃いますし、特に動画やゲームはメジャーなものは何とかなるようにも思いますが、実際に使っていると「このアプリないのか」といったこともあるため、事前に使いたいアプリが決まっているならアプリがあるかどうか確認してから購入すると良さそうです。

またAndroidベースと書きましたが、これまでのEMUIはAndroidのバージョンアップに伴ってそれを採用してきましたが、HarmonyOSではAndroidの最新バージョンを採用していくかどうかは不明であり、そうなると今後のAndroidの新機能は採用されないケースも出てきそうです。

その他、今回は試せませんでしたが、別売のアクセサリーとしてペン入力「M-Pencil(第2世代)」や専用スマートキーボードも用意されており、HUAWEI MatePad 11をあえて選ぶ理由は非常に少ないものの、使いたいアプリが利用できるのなら良い製品と言えるのかもしれません。最後にHUAWEI MatePad 11を操作しているところを動画で紹介しておきます。



HUAWEI
2021-07-23



記事執筆:memn0ck


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