ゼロから始めるスマートフォン

華為技術日本(以下、ファーウェイ・ジャパン)から今年7月7日に日本市場向けに発売されたOSに「Windows 10」を搭載した2in1タブレット「HUAWEI MateBook E」(Huawei Technologies製)。昨年発売された同社初のWindowsタブレット「HUAWEI MateBook」の後継機種で、製品カテゴリーとしてはMicrosoftの「Surface Pro」シリーズと競合します。

いわゆる簡単に着けたり外したりできるカバー兼キーボード(以降キーボードカバーと呼ぶ)とセットで使うことで、タブレットとしてもノートPCとしても使うことができるのが特長で、MateBook EはSurface Proシリーズと比べて安価なのも魅力です。

主なスペックは、Windows 10 Home(64bit)、12インチ2160×1440ドットIPS液晶、第7世代Core m3/Core i5プロセッサー、4または8GB内蔵メモリー(RAM)、128または256GB内蔵ストレージ(SSD)、500万画素フロントカメラなど。

今回、そんなMateBook Eを借りて数日間使っていましたので、PCのことはよく知らないのですが、筆者なりの感想を綴ってみたいと思います。なお、今回試用したのは、Core i5+8GB RAM+256GB SSDという構成のハイパフォーマンスモデル(税抜133,800円~)です。

【結局タブレットなの?ノートPCなの?】

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MateBookシリーズには同時に発売されたもうひとつの「HUAWEI MateBook X」という製品もありますが、こちらは完全なるノートPCとなっていてキーボードの着脱はできません。

使い方は人それぞれだと思いますが、メーカーは「2-in-1ノートブックPC」と言っているので、MateBook EはどちらかというとノートPCのスタイルを主軸にした製品とも言えます。

そのためか、MateBook Eでは初代のMateBookでは別売りだったキーボードカバーが標準付属となり、さらにノートPCとしての色が強くなりました。

【では、ノートPCとしての使い勝手は?】

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私がノートPCに求めることは、普段使っているデスクトップPCと変わらないスピードと効率で仕事ができることです。私の仕事は文章作成や簡単な画像編集、WEbブラウジングが主です。

数年前に買った安物のノートPCをいまだに使っているのですが、こいつで本気で仕事をしようとすると、かなりのストレスがかかります。

その理由は「見づらい」「遅い」「充電が面倒」の3点。簡単な仕事をひとつこなすだけで「ふ~~っ」となって、続けて仕事をやる気になれません。だからノートPCで仕事をするのは苦手でした。

ところが……MateBook Eがそのすべてを解消してくれたんです!

【大きな理由は「見やすく美しい表示画面」】

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特に実感したのはモバイル環境ではディスプレイの見やすさは本当に大事なんだということ。見にくいと作業効率が落ちますし、体がとても疲れます。

MateBook EのディスプレイはIPS液晶で視野角が広いです。正面から多少外れても見やすさが変わりません。そして輝度が高く、スマートフォンのように明るさの自動調整もしてくれるので、例えば車内など日が強く射し込んでくるような場面でも、はっきり、くっきりと表示してくれました。

解像度が高いのも良いです。私のノートPCの解像度は1,366×768ドット。MateBook Eは2,160×1,440ドットです。一部の表示は150%にアップスケーリングされるとはいえ、それでも作業スペースの広さには大きな違いがあり、例えば、画像編集ではスクロールする頻度がかなり減りました。圧迫感がなくなって、ほとんどいつも通りの感覚で作業ができます。

映像の綺麗さでいえば、むしろデスクトップ環境をはるかに超えます。MateBook Eは12インチで2,160×1,440ドットなので画素密度は216dpi。一方、私のノートPCのモニターは118dpi、デスクトップPCのモニターは89dpiということで、その差は歴然。

MateBook Eを使った後に他のPCの画面を見ると、しばらく粗さが気になって集中できないほど違います。とても精細で「ようこそ画面」の背景画像を見るだけで引き込まれる感じがします。テキスト表示も綺麗で見やすい。また、ベゼルが狭いので没入感もあります。

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一方で、仕事用PCとしてひとつ問題を上げるとすれば、それはディスプレイ表面の処理がグレア(光沢)であることです。私はグレアのディスプレイで長時間仕事をし続けると、決まって頭痛がしてくるんです。特に窓際などの光が反射しやすい場所はヤバイ……です。こればかりはアンチグレアの保護フィルムを貼って対処するしかありません。

【MateBook Eは本体やアプリの起動が速い!】

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筆者のデスクトップPCはシステムドライブがSSDですが、ノートPCは古いこともあり、HDDなので本体やアプリの起動、さらにファイル転送が遅いです。

ですが、MateBook Eはデスクトップと同じSSDを採用しているので、体感速度はほとんど同じです。パッと取り出して、ササっと仕事して片付けるという感じで、スマートフォン(スマホ)感覚で使っていけます。またストレージの容量も256GBあれば私は十分です。

RAMは8GBですが、恥ずかしながら私のデスクトップも8GBしかありません。でも、メモリー不足で困ったことはありません。MateBook Eでも同じで、Webブラウザーのタブをいくつ開いても、Officeを使っても、画像編集ソフトでゴリゴリやっても、全然重さや不安定さを感じませんでした。

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側面には指紋センサーがあって、指をあてるだけでスリープ状態解除とWindowsへのログインが完了します。認証には時々時間がかかることがありますが、基本的には精度も高くて高速です。不満はありませんでした。

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【USBで充電できるのは有り難い!】

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ノートPCのACアダプターって大きし重いですよね。そしてケーブルも太くて取り回しが大変。だからいつの間にか小まめな充電を忘れ、いざ使おうと思った時にはバッテリー残量が無かったりします。

MateBook Eに付属のACアダプターは私のノートPC用のアダプターに比べてずっと小さくて、持ち運びが楽です。本体と一緒に気軽に持っていけるから、使う先々で充電ができて、いつもバッテリー残量に不安がありません。プラグはUSB Type-C採用で、挿し込むのに向きを考えなくてよいのも良いです。

もしこのMateBook Eがレンタルではなくて自分で買ったものなら、きっとサードパーティー製のACアダプターとUSBケーブルを買って家の1階と2階でどちらでも充電できるように整えますし、モバイルバッテリーやカーチャージャーも買い揃えます。これでバッテリー切れで困ることがほぼ無くなるはずです。

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なお、MateBook Eは初代MateBookでは非対応だった5Vモバイルバッテリーでの充電に対応しています。充電に時間はかかりますが、スマホなど用のモバイルバッテリーでも充電できますから緊急時の電源確保には十分です。

さらにモバイルバッテリーでがっつり充電したければUSB PD対応の製品を用意します。USB PD対応バッテリーはMacBookでのユーザーレビューが豊富にありますから、選んだり入手するのは比較的簡単だと思います。

【キーボードの使い勝手はどうか!?】

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仕様でいうと、キーピッチは19mm、キーストロークは1.3mm。実際に打ってみた印象としては、ストロークが若干浅めではありますが、ちゃんとしたクリック感があって、しかも表面がしっとりとしていて滑らないので、なかなか打ちやすいです。少なくとも今使っているノートPCのキーボードよりは。

またパームレストも革っぽい質感になっていて、あたりがソフトで熱も感じず、快適でした。一方で使いづらいと感じたのはカーソルキーです。Surfaceのキーボードも同じことが言えるのですが、キー1個分のスペースに上下2つのキーが無理やり配列されているので、誤入力が頻発してしまいます。また半角/全角キーとハイフンも極めて小さく、打ちづらいです。この3箇所は結局最後まで慣れることなく試用期間を終えてしまいました。

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さらにファンクションキーの切り替えも煩わしいです。Fnキーがトグル式となっていて、しかも固定ができないので、気づかないうちにFnキーが有効になっていて、入力文字をカタカナ変換したいのに音量ミュートが発動してしまうというようなことが頻繁にあり、イライラさせられました。

Fnキーを無効にする設定はないのでしょうか。っちょっと探していましたが、BIOSの設定変更やFn+Capsの同時押しなど一通り試してみたところダメでした。これは“慣れ”によって改善できる問題ではないので困ったところです。

タッチパッドは精度も反応も悪くないです。タッチ操作の種類は豊富で、複数の指を使ってスワイプやタップをすることでいろいろな操作ができるようになっていて、カスタマイズも可能です。

【タブレット単体での使用感は?】

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キーボードカバーを装着しないタブレット単体での重量は約640g。ソファーで手に持ちながらWebサイトや動画を見たり、ゲームをしたりするのには正直ちょっと重すぎます。ノーマルiPad(=9.7インチ)を標準とすると、およそ150g以上も重いことになります。

また重いだけに、落とせば破損したり故障するでしょうから、心配になってカバー無しで気軽にホイホイと持ち運ぶ気にもなれません。

テーブルに置いて使おうにもSurface Proシリーズのようなキックスタンドが付いていないので角度が付けられなくて使いづらいです。スタイラスペンを使った使い方がメインであればそれでも良いのでしょうが、今回はスタイラスペンの貸し出しはありませんでしたし、私の用途ではタブレット単体での活路は見い出せませんでした。

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そもそも筆者に限って言えば、普段の生活の中でタブレットが活躍するシーンというのはほぼありません。一時期はスマホとタブレットを使い分けるようなことをしていましたが、スマホのディスプレイが以前よりも大きくなりましたし、テレビ(TV)の大画面を簡単に活用できる「Chromecast」のようなデバイスも登場したことによって、タブレットが活きる場面というのは少なくなって来たように思います。

ただ、タッチ操作ができるというのは非常に便利でした。MateBook Eはタッチパネルを搭載している(ちなみにMateBook Xは非搭載)ので、スマホと同じようにタッチ操作が可能です。何年先になるかわからないマイホーム計画の話を妻としているとき、タッチ操作であれこれWebサイトを見て回るのは楽しかったです。

またスマホ・タブレット向けのゲームができるというのもメリットです。ゲーム用のデバイスとして最適とはいえないものの、できるのとできないのでは、できる方が良いに決まっています。あとは車内でがっちり固定してカーナビやオーディオとして使うのもよさそうです。

【電池持ちが悪いとは思わなかった……MateDockを買ってもいいかも】

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使い方に大きく左右されるところですが、私の用途では2~3時間連続して使っても50%は残量が残っていました。1日のうちの数時間だけ出先で仕事ができればよいので、少なくとも私にとっては十分な電池持ちでした。

それと先程も書きましたが、充電環境を簡単に整えられるので、バッテリー残量が足りなくて持ち出せないということは一度もありませんでした。

一方で、外部インターフェースは、USB Type-Cポートと、Dolby Audio Premium対応のステレオスピーカーしかありません。後、側面にあるのは電源ボタンと音量ボタンのみ。

オプションの「MateDock」を買えば、VGA、HDMI、USB(Type-A、Type-C各1)が追加できます。外部メモリーを使いたいことが時々あるので、私ならMateDockを買いたいところです。

【見た目よりも剛性が高いカバースタンド】

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ノートPCスタイルで使いたい時は、カバーのヒンジ部分をグイッと後ろ側に折って、タブレットに角度を付けます。160度まで無段階に調整できます。初代MateBookは2段階でしか調整できなったので、使い勝手が大きく向上したことになります。

ヒンジ部分は見た目は華奢ですが、金属製で、角度をつける時にはしっかりとした抵抗があり、はずみで角度が変わってしまうようなことはありません。

使っている最中に角度を変えるのはちょっとだけ大変です。ノートPCなら片手で簡単に出来ますが、MateBook Eだとタブレットが前側に倒れてくる心配もありますから、両手で慎重にやらなければなりません。

キーボードを閉じる時はマグネットによってピタッと閉じられます。またキーボードはマグネットによってタブレットに固定されるので、外す時も付ける時も簡単です。端子を合わせるように取り付けます。接続が不安定になったり、途切れてしまったりということは一度もありませんでした。安定しているように思います。

表面は艶のある革のような加工になっていて安っぽさは感じません。耐傷性も高そうです。爪で引っ掻いても目立つ傷にはなりません。

【思っていたよりもしっかり使える2in1タブレット!使ってみた感想まとめ】

今回、最新の2in1タブレットってどんな感じなんだろうという簡単なノリで試用をしてみたのですが、高級モデルとはいえいっけん中途半端に思える2in1が予想以上に使える製品で驚きました。私のオンボロのノートPCなど足元にも及ばず、映像の綺麗さなど一部はデスクトップPCをも上回る快適さでした。外で快適に仕事をするのに十分な性能です。また見た目も良いです。

ノートPCのMateBook Xと購入を迷うところですが、筆者の場合にはタッチパネル搭載のMateBook Eの方が活用の幅が広くて楽しめそうです。完全に仕事用として使うのであればよりキーボードがしっかりしているMateBook Xの方でしょうか。

Surface Pro 4のCore i5+8GB RAM+256GB SSDモデルはマイクロソフトの公式オンラインショップで税抜146,800円。キーボードカバーは別売り19,400円。合計で166,200円。MateBook Eなら全部込みで133,800円。少しでもコストを抑えたいならMateBook Eがおすすめです。

Huawei
2017-07-07



Huawei
2017-08-04



記事執筆:ゼロから始めるスマートフォン


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MateBook Eのレビュー。オンボロのノートPCに代わってすぐ即戦力として使えることが分かった – ゼロから始めるスマートフォン

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