まさにノーサイド――。試合後、横浜国際総合競技場で微笑ましい光景が広がった。宮市亮と天野純が元チームメイトのイ・チョンヨンと熱く健闘を称え合い、再会を祝したのだ。
宮市はイングランドのボルトンで、今回は古巣対戦となった天野は蔚山で、イ・チョンヨンと共にプレー。韓国代表で89キャップを誇るレジェンドとの間には、それぞれ深い思い出があるようだ。
【PHOTO】蔚山スタジアムの様子を大公開!貴重な内部潜入写真も!韓国ならでは?の新発見続々 宮市は「『本当に良いゲームだったね』『おめでとう』って言葉を掛けてもらいました。本当のお兄ちゃんのような存在なので、素直に『おめでとう』と言ってくれましたし、『頑張ってね』ってことを話し合いました」と会話の内容を伝えたうえで、今も続く交友関係をこう明かした。
「オフシーズンに僕が韓国に行ったり、彼が日本に来てくれたり、親交があります。だけど、ピッチの上で戦う機会はなかなかなかったので。今回は僕らに(勝利が)転んでくれて良かったなと思います。
この間の試合(蔚山での第1レグ)が終わって、少し食事する時間があってゆっくり話しました。(一緒に戦った際は)僕が 19歳で彼が22歳ぐらい。『この10数年でこういった形で会うなんて想像してなかったね』って話はしていました。お互いまだ現役として、この高いレベルでやれていることは本当に素晴らしいと思いますし、勝負の世界でどっちに転ぶか分からないですけど、今回に関しては本当に良かったです」
また、「人生で一番勝ちたいくらいの気持ち」で臨んだ天野は、蔚山に加入した際に、公私で非常に助けられたという。
「前回のアウェーの時も試合後に会ったりして、良い友好関係を築けています。素晴らしい選手だし、韓国移籍1年目で本当にお世話になった選手なので、リスペクトしています。1年目に活躍できたのは彼のおかげでもあると思うので、本当に感謝しています」
韓国の恩人より3つ年下で現在32歳のレフティは、2022年1月に横浜から蔚山にレンタル移籍するや、すぐさま攻撃を牽引する中心選手に。9ゴールを挙げ、17年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献したが、わずか1年で退団し、ライバルの全北現代に活躍の場を移した。
そうした経緯から第1レグに続き、横浜に駆けつけたアウェーサポーターからブーイングを浴びたなか、古巣への思いも伝えた。
「アウェーでもブーイングがすごかったですけど、逆に愛されている証拠だと実感しています。そういった相手に対して、何としても勝ちたい気持ちが本当に大きかったし、これだけの(マリノス)サポーターが来てくれたので、雰囲気がすごかったし、笑顔で家に帰ってほしかったので、それができて良かったです」
色々な人の思いを背負って、クラブ史上初の決勝に臨むマリノス。最後にUAEの難敵を下し、夢にまで見たアジアの頂点に辿り着けるか。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)