今回のフィールドプレーヤーで最年少の藤田だが、森保監督は招集直後の香港戦ですぐに起用した。そして経験豊富な橋本拳人がいる中でも、優勝が懸かる韓国戦の先発に藤田の名前を書き入れた。
経験値が少ない選手でもこれだけ重用するということは、森保監督はワールドカップに連れて行こうと考えているのではないか。
だが香港戦後、藤田は森保監督から「まだまだがんばるように」という言葉をかけられたという。選手に温かい言葉を掛ける監督が藤田には厳しく接している。
韓国戦後、記者会見で「藤田がワールドカップに出るためには何をするべきか」と問われたときも森保監督はストレートな言葉で語った。
「よく動いてよくボールに絡む。守備に関してもボールにアタックに行ける。非常にアグレッシブなプレーをしてくれる選手。だがすべての部分でもっと上げてもらって、いい選手に成長してもらいたい」
「守備に関してはアプローチするところは素晴らしいチャレンジをしいるので、そこでボールを奪いきる、相手を止める力をつける」
「攻撃の部分ではボールに絡む非常に回数が多くて素晴らしいので、展開力、より効果的にボールを動かせる中継役として成長してほしい」
この監督の指摘は、実は藤田が韓国戦後の取材に応じて語った自分の改善すべき点、「ボールを奪いきる、自分のところでもっと前を向いて縦パスを意識する」と同じだった。
つまり藤田はそれだけ自分を客観視できていて、何をしなければいけないか把握しているということになる。「遠藤航さんと比較したときに、自分はそういったところが足りない」と語るからには、遠藤のポジションを狙っているということだろう。
トレーニングの最初に全員で走るとき、ベテラン勢に交じって先頭を走る姿も頼もしい。森保監督は「まだまだ」と言ったが、急激な成長を続ける藤田がワールドカップメンバー入りする可能性は十分に残っている。
【文:森雅史/日本蹴球合同会社 撮影:スエイシナオヨシ/PICSPORT】