『元SPEED』のゴリ押しばかり…  今井絵理子「参院選日記」

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松葉杖を付きながら、黒いゆったりとしたパンツに水色のTシャツを合わせた茶髪の女性が登壇すると、「かわいいーっ」と客席から声があがった。

自民党公認で比例代表の2選を目指す元「SPEED」メンバーの今井絵理子氏(38)は手話を駆使しながらこう述べた。

「『イク・イマ』でお願いします。一枚目の投票用紙には生稲晃子、二枚目の用紙には私、今井絵理子。イク・イマでタッグを組んで頑張っていきます」

6月30日、300人が収容できる竹ノ塚地域学習センターの竹ノ塚ホールは立ち見客まで現れた。この日は参院選東京挙区で自民党公認のアイドルグループ元「おニャン子クラブ」メンバーの生稲晃子氏(54)の個人演説会が開催。応援弁士として登壇した今井氏は「鉄板ネタ」で切り出した。

「この中にSPEED世代の方、おられますか?」

会場内の客に挙手を促すも、高齢者が中心で、手があまりあがらなかった。

「SPEEDを知らない世代の方もいるかと思いますが、一応、紅白にも出たことがあります今井絵理子でございます」

コロナ禍でダメージを受けたライブ・エンタメ業界の業績悪化を語りつつ、「12歳でSPEEDでデビューして以来、音楽とともに生きてきた」と語る。

生稲氏とともに日本音楽事業者協会など音楽4団体から推薦を受けたことを報告するとふわっとした抱負をこう語る。

「ここ足立区の皆さんにも歌声だけでなく政治の世界でも元気と笑顔をお届けできるように頑張って参りたいと思います」

政策の部分となると、「光の当たらないところに光を当ててきた。今日、皆さんにお配りしたビラを一読していただき、今井絵理子の6年間の実績を知っていただきたい」と語るのみ。

司会者が生稲氏と今井氏を中央に呼び、「ぜひ皆さんでたくさん写真を撮って
SNSで拡散をよろしくお願いします」と声をかけると撮影音がしばらく続いた。

「イク・イマ」コンビの結成の秘話を自民党東京都連幹部が語る。

「選挙選が始まってみると、生稲が思ったほど伸びてこない。情勢調査によっては4位で選対は危機感を募らせた。無党派層を取り込むにはどうすべきか、と議論がされ、『今井絵理子と組んでみては』と提案があった。全国比例の今井にとっても悪い話ではなく、この4日前の6月26日に浅草の雷門前で、二人がはじめてタッグを組むと2000人ほどの聴衆が詰めかけた。どこの会場よりも熱気で溢れ、これは無党派にアプローチできる。このコンビで行こう、となった。ちなみに三原じゅん子陣営にも声をかけたことろ、『うちは菅派なんで』とにべもなく断られたとか」

演説と撮影会を終えると、今井氏は元神戸市議の橋本健氏(42)が運転するワンボックスに乗り込んだ。橋本氏は、17年に今井氏との「新幹線手つなぎ不倫」が報じられ、今年の秋にも二人は再婚すると言われている。選挙公示日以降は運転手として活動。本誌記者が折をみて声をかけるも、笑顔を浮かべるのみだった。

次の演説会場である上野駅広小路口でも今井氏の口から同じフレーズが飛び出した。

「この中にSPEED世代の方、おられますか?」

上野駅周辺の30代の男女が次々と挙手。竹ノ塚と違って聴衆の反応の良さに気を良くしてか、「私が6年間、何をしてきたかについてお話したい」と実績を語りだした。

「30年にわたり改訂されることがなかった特別支援学校の教科書を改定しました。聴覚障害のある方に電話は困難なことでした。電話リレーサービス法の成立により手話通訳や文字通訳を通じて電話を利用できるようになりました。コロナ禍において20年のDV相談件数は19万30件と過去最高となりました。DV相談で、SNSでの相談や24時間対応のメール相談ができるDV相談プラスを開設し、女性を守る役割を果たしてきました」

しかし、二期目を目指す理由になると、ふわっとした言葉でこう述べた。

「政治をやっていると批判もあります。だけど真剣にやっていれば誰かに届く。その先に喜んでくれる人がいることを知りました。だから私は諦めません。諦めるのは簡単です。困難でも進んでいきたい。その姿を子どもたちに見て欲しい。その思いが皆さんに届いたのであれば二枚目の投票用紙には、『今井絵理子』と個人名をお書きください」

約5分のスピーチを終えると、上野駅前の広場に場所を移して撮影会がはじまった。

「アイドルの撮影会かよ。わけわかんねーな」

そう怒鳴って去っていった男性もいたが、多くは行列を作り、200名ほどの列ができた。今井氏は一人ひとりとスマホの画面に収まり、笑顔でグータッチを繰り返した。地元の若手区議が「元SPEEDの今井絵理子です。いま撮影会をしております。ぜひSNSで拡散をしてください」とマイクで連呼していた。

30分以上の撮影会の後、秘書に守られた今井氏を直撃した。

--政策よりも撮影会がメインですか?

「どうも。お疲れ様です」

--橋本さんは運転手をされていますね。

「……」

周囲に手を振り感謝の言葉を述べる一方で、本誌記者がいないかのように黙殺。その後は橋本氏が運転するワンボックスに乗り込んで、走り去っていった。今後も議員を続けるつもりなら、「元SPEED」のゴリ押しばかりではなく、橋本氏との関係をきちんと説明し、なによりもっと政策について語るべきなのではないか。

取材・文:岩崎大輔