気候変動を抑えるために再生可能エネルギーの重要度が高まっており、ソーラーパネルを用いた太陽光発電にも注目が集まっています。そんなソーラーパネルの「光を集める能力」を3倍に増加させるデバイスがスタンフォード大学の研究チームによって開発されました。
Immersion graded index optics: theory, design, and prototypes | Microsystems & Nanoengineering
https://doi.org/10.1038/s41378-022-00377-z
New optical device could help solar arrays focus light, even under clouds | Stanford News
https://news.stanford.edu/2022/06/27/new-optical-device-help-solar-arrays-focus-light-even-clouds/
ソーラーパネルは太陽光のエネルギーを電力に変換していますが、太陽光の角度が変化すると発電量が大きく変化してしまいます。この問題を解決するために「太陽の角度に合わせてソーラーパネルの角度を自動調節する機能」を備えたソーラーパネルも販売されていますが、角度調節機能を備えたソーラーパネルには製造コストやメンテンスが高まるという問題も存在しています。
研究チームは、ソーラーパネルの角度を変えずとも太陽光を効率的に電力に変換できる太陽光発電システムを実現するために、太陽光を屈折させて一点に集中させるデバイスを開発しました。「太陽光を集中させる」と聞くと虫眼鏡のような構造のレンズが思い浮かびますが、そのようなレンズでは太陽の角度変化に対応できません。そこで、研究チームは異なる屈折率のガラスやポリマーを積み重ね、ピラミッドを逆さまにしたような形状のレンズ「Axially Graded Index Lens(AGILE)」を作成しました。
AGILEは、どの面に当たった光でも屈折させて底面に集中させることができます。そのため、光が当たったAGILEは暗い色に見えます。
研究チームによると、AGILEの底面には通常時と比べて3倍多くの光が集まるとのこと。AGILEをソーラーパネルの上にビッシリ並べることで、朝から日没まで太陽の角度に関係なく多くの光を太陽光に変換できると研究チームは主張しています。