サントリービールは、「ビールカテゴリー新コンセプト商品説明会」というイベントにて、アルコール度数16%のビール『ビアボール』を発表した。

ビールのアルコール度数というのは一般的には5%程度だ。クラフトビールならいざしらず、日本の大手「サントリー」がアルコール度数16%のビールを造るとは!

独自技術で醸造によって、日本酒レベルのアルコール度数を実現したこの『ビアボール』。割って飲むことを前提としてる。

『ビアボール』小瓶
334ml \ 698(税別)

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

醸造によって16%を実現

お酒に興味がある人であれば、ビールを蒸留することなく、醸造によって16%までアルコール度数を高めたと聞けば、「なぜ?」と疑問が湧いて当然だろう。

それは難しいことであり、かつ、難度に見合うリターンがあるとは思えないからだ。

同じ醸造酒でも、ワインや日本酒の場合、アルコール度数が低いと、ボディ感が弱まり、骨や筋肉が弱いイメージになる。繊細というよりも、単純に水で薄めた感じだ。低アルコールでも内実あるワインや日本酒は存在するが、それを造るには高度な技術が必要になる。

一方ビールの場合、ご存知のように、低アルコールであってもネガティブな薄さを感じることはない。

確かにビール用の酵母も、ものによってはアルコール度数15%程度までなら活動できるものはあるから、そういう酵母を選んで、十分な糖分を与え続け、また、酵母が活動しやすい温度に液体を保てば、高アルコール化は不可能ではないだろう。

しかし、5%程度で美味しく、バランスがとれているものに、あえて、そのバランスを崩すリスクを負って、ただでさえ手のかかる温度管理や栄養管理をさらにやるコストに見合ったリターンが高アルコール化によってもたらされるのか?

おそらくこれまで、その答えはNoだったから、高アルコールビールというのは、メジャーな存在にはならなかったのだ。

サントリーは、今回、これにYesと答え、アルコール度数16%のビールを発表した。この数字は、ビールが醸造で出せるほとんど限界のアルコール度数ではないだろうか?

ビールのイノベーション

そんな前提があれば「サントリービール(株) ビールカテゴリー新コンセプト商品説明会」の話が、サントリーが高アルコールビールを出した理由の説明に多くの時間を費したのにも納得できる。

説明会より。サントリービール株式会社 西田 英一郎 代表取締役社長

一部のクラフトビールを除けば、ビールというのは酒類のなかではメジャー選手だから、サントリーに限らず、十分な数が造れ、全国に流通させられ、高価に過ぎない、という条件のなかで、品質向上や差別化を行ってきた。

大手がシェアを奪い合う大きな市場なのだ。

ところが、ビールは、メジャーでありつつも、ダウントレンドな酒である。ウイルスの蔓延という異常事態がなくても、消費量は伸びていないどころか、年々減っている。

ビール同士で競うのも重要だが、市場規模をどこかで大きくしないと、領土争いの合理性がなくなる。そこでサントリービールは2021年4月、さまざまなバックグラウンドをもった人々によって構成される「イノベーション部」を創設して、これまでビールに親しんでいる人だけでなく、ビールを選ばない人にも興味をもってもらえる商品の開発に本腰を入れた。そのイノベーション部からの初の商品が『ビアボール』だ。

炭酸水で割って飲む

『ビアボール』は「自分好みにつくる自由なビール」があってもいいではないか、という発想からスタートしている。炭酸水で割って飲むことができ、氷を入れて冷たさをキープでき、その上で、美味しく、ビール感は維持できるビール。それを造ろうとした結果として、アルコール度数16%という「濃い」ビールが誕生したのだ。

サントリービール株式会社 マーケティング本部イノベーション部 佐藤 勇介氏。割って飲むビールを発案し、自宅の冷蔵庫でビールを凍らせることでアルコール度数を高めて実験したという。割って飲むビールという発想が先で濃いビールは結果なのだ。

割って飲む、ということは割り方によって『ビアボール』はさまざまな表情を見せるということ。発表会では実際に、これを体験できた。

もっともベーシックなバランスが、『ビアボール』1に対して炭酸水3、つまりアルコール度数4%になるバランスとされている。これだと、通常のビールより、ややライトなアルコール度数で、実際、ビールテイストながら爽やかな味わいになっていた。

氷、炭酸水、ビアボールの順に入れてマドラーで ゆっくり混ぜる。

これが1:1になると通常のビールに近いイメージになってくる。おそらくビール感が欲しければ、炭酸水の分量を減らしていけばよい。

興味深かったのが、ビアボール1、炭酸水7のバランス。ここまでやれば、いくらなんでも水で薄めた感じがかなりはっきり出るだろう、と予想していたけれど、予想を裏切られた。きちんとビールらしさがある。これは夏場にはちょっとビターなドリンクとして美味しいとおもう。発表会では、レモンを絞ることも推奨されていたけれど、それも良く合っていた。

そしてもう一つ、興味深い飲み方はやはりストレート、あるいはロック。ビアボールにはそれ自体にも炭酸の刺激があるため、濃いビールとして成立している。ビターでボディ感が強い。これまで味わったことがない、という新鮮さでいえば、これがもっとも新鮮な体験だった。

もちろん、炭酸水以外で割っても、面白いだろう。ビール・カクテルというのはもちろんあるけれど、ここまで濃いビールはこれまでなかった。

水で割らなければ色合いも濃厚

どちらかといえば、家で、それぞれがマイビールをつくって愉しむのが向いているようにおもうけれど、家庭用の販売は11月15日(火)から、とちょっと先になる。

一部飲食店では、7月から登場してくるから、見かけ次第、試してみてはいかがだろう?

筆者:JBpress autograph編集部