by Gilad Rom
北朝鮮が核実験やミサイル開発を継続することに対して、国連安全保障理事会では2006年10月以降、10回の制裁決議が採択されており、厳しい経済制裁が行われています。しかし、その制裁をかいくぐるかのように、実質的に北朝鮮政府のフロント企業だという軍用機器メーカー「Glocom」がTwitterやYouTubeといった
ソーシャルメディアで宣伝活動を行っていたことがわかりました。
North Korea Advertises Military Hardware on Twitter, YouTube, Defying Sanctions - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/nexmzz/north-korea-advertises-military-hardware-youtube-twitter-facebook-linkedin-instagram-glocom
国連安保理やアメリカの主導する制裁措置の裏側で、北朝鮮は様々な手段で外貨獲得を試みています。問題のGlocomは「マレーシアの企業」ということになっていますが、実態は北朝鮮の諜報機関が運営している企業であることが、国連安保理に提出されたレポートで指摘されています。Glocomが取り扱っているのはレーダーシステム、通信ソフトウェア、軍用無線機などです。
Glocomは2017年にYouTubeチャンネルを削除されていますが新たなチャンネルを作成、Twitterなど他のプラットフォームとも合わせて自社製品の宣伝に利用していました。
このことについてニュースサイト・Motherboardが問い合わると、YouTubeはGlocomのYouTubeチャンネルを再び削除したとのこと。記事作成時点で、当該チャンネルは「法的な申し立てに基づき、このアカウントを停止しました。」と表示される状態になっています。
Twitterも同様の問い合わせを受けて、Glocomのアカウントを凍結しました。Facebookのアカウントはまだ残っていますが、アカウント名がなぜか「Glocom Suzuki」となっています。
ジェームズ・マーティン核不拡散研究センターの研究員で北朝鮮問題に特に詳しいというシア・コットンさんによると、北朝鮮のフロント企業は正体が露見すると会社を畳むか、いったん潰して他の国に移り新しい名前で再開するものだとのこと。Glocomのように、すでにフロント企業であると指摘されつつ名前も変えずに事業を継続している事例はかなり珍しいようです。