TIDALはカニエ・ウェストのアルバム「The Life Of Publo」はリリース後10日間で2億5000万回、ビヨンセの「Lemonade」は15日間で3億600万回も再生されたと発表していました。当時のTIDALの加入者数は300万人程度であり、発表が事実ならばTIDALユーザー全員が、一人あたり1日十数回もこの2つのアルバムを"通し"で聴き続けた計算になります。
Dagens Næringslivは、特に多くの再生回数を記録していたTIDALユーザー数人にインタビューを実施、たとえば「記録どおり当該アルバムを1日に96回も再生したしていたか」などと実際に確認し、当然ながら否定のコメントを得ています。あるユーザーは「1日にビヨンセのアルバムを1日に180回聴いたか」と問われ困惑していたとのこと。
TIDALはRollingStoneからの問い合わせに対し「これは、われわれを『イスラエル諜報部員』、オーナー(つまりジェイ・Zとその仲間)たちを『コカイン密売人』と呼んだマスコミからの政治的な工作です」とコメント、報道がDagens Næringslivの2017年1月の記事(TIDALの加入者数300万人は水増しだと報じる内容)から続く攻撃だとしています。
たしかに、TIDALの内部情報をDagens Næringslivがどうやって入手したのは気になるところであり、情報そのものの信憑性も問われなければならないかもしれません。一方で、TIDALの加入者数に関しては、その収益に基づくアクティブユーザー数は100万人に満たないとする調査報告例もあることから、TIDALが発表した再生回数にも無理があると思われます。Dagens Næringslivは触れていないものの、再生回数が水増しされていたのが事実なら、もしかするとBillboardなどのチャート順位を押し上げ、TIDAL以外でのセールスに結びつけようとする意図もあったかもしれません。
ちなみに、ジェイ・ZはTIDAL買収の際、"アーティストにより良いロイヤルティを支払うこと"を目的のひとつとに掲げていました。とりあえず身内に関しては、その目的をしっかりと果たしているようです。