旧来型の選挙活動に加えインターネットも活用されるのか?


インターネットを使った選挙活動に関する公職選挙法の改正案が4月に成立し、2013年夏の参議院選挙から選挙活動にインターネットを利用できるようになる。

従来は基本的な情報ですらインターネットを利用して提供することが禁止されていた。インターネットをコストがかかるポスターやビラなどと同等に判断され、選挙期間中は制限されていたからだ。

今回の改正により電子メールの利用や広告などに一部制限があるものの、法制度がようやく現実社会に適応することになるが、今回のネット選挙で有権者から票を集めることはできるのだろうか?


■実はそれほど特別な変更ではないネット選挙解禁
今回の法改正で解禁になるのは公示日から投票日のSNS(FacebookやTwitter)の利用やWebサイト(オフィシャルブログ)の更新などだ。従来、選挙期間中はインターネット利用が制限されていたが、公示日前までは、利用が制限されていたわけではない。

多くの候補者は、法改正前までは選挙の公示日に合わせて、選挙期間中はWebサイトの更新やSNSでの発言を停止していた。しかし、解禁後は止める必要がなくなるだけだと思ってもいいだろう。

現在の選挙戦は公示の数か月前から準備を進めるため、公示日からの約2週間で、当落が決まるわけではない。インターネットで候補者の情報を集めるにしても、公示日前までに情報が用意されていれば、それらを参考にすることができるが、2013年現在で各候補者が有権者向けにネット上に十分な情報を提供できているわけではない。あまり血の通っているとは思えないプロモーションサイトがあるだけだったりする。

こうした自己紹介に毛が生えた程度のサイトをアップしたとしても、ネットユーザーの注目は集めることはできないだろう。そもそも、普段からSNSやブログなどを使い政治活動などに活用している政治家はごく一部で、ほとんどの議員は現時点でインターネットをほとんど活用していない。

■初のネット選挙としては期待外れに終わりそうな今年の参院選
ITリテラシーなど、どこ吹く風といった感じだ。e-Japan構想なんてあってなかったようなものだ。このように国会議員、県議会議員、市議会議員に限らず、ほとんどの政治家に当てはまり、公式サイトはほとんどの議員が用意してはいるが、それらのサイトを見ても、候補者の人となりが見えてくるといった作りにはなっていない。

まだ、政党のオフィシャルサイトはITリテラシーが高く、ネットへの造詣が深い人間が運営しているのか比較的注目を集めることができるよう活用できている党もあるようだ。政治家個人のサイトの多くは、数年前の選挙に合わせて更新してから、以降は放置で一度もメンテナンスしていないようなサイトばかりだ。TwitterやFacebookを始めたはいいが、いまではぱったりと更新が止まっている人も多い。

Twitterを積極的に活用し、過激な発言が注目されたり、物議を醸したりと一見インターネットをフル活用しているように見える政治家の公式サイトでも活動レポートですらまともに掲載されていないこともある。現時点でろくに活用されていないのに、法改正されたからといって政治にインターネットの活用が進むとは思えない。今年の参院選は、それほどネット選挙は盛り上がらないと見ていい。少なくとも現時点でネットをフル活用して、票を集めるだけのキャンペーンを張れる政治家は、現在のところいないだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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