Prevent us O Lord, in all our doings
with thy most gracious favour,
and further us with thy continual help.
我らを導き給え、主よ、我らのあらゆる行いを*1
御身のこの上なく情け深き恩寵でもって、
そして絶え間なき助けでもって我らを進ませ給え。
That in all our works begun, continued,
and ended in thee,
we may glorify thy holy Name,
我らのあらゆる業(わざ)は御身のうちに始まり、続き、
また御身のうちに終わるがゆえに、
我らは御身の聖なる御名をあがめまつらん。

and finally by thy mercy,
obtain everlasting life;
through Jesus Christ our Lord.
Amen.
そしてついには御身の慈悲により
永久の命を得させ給え、
我らの主イエス・キリストを通して。
アーメン。

*1 preventは通常「(悪いことが起こらないように)予防する、妨げる」という意味だが、古語では「(神が人を)導く」「先手を打つ、前もって対処する」という意味でもある。

text: 1559年版聖公会祈祷書に基づく(現行の聖公会祈祷書には収録されていない、たぶん)
tune: William Byrd(1543?-1623)

2023年5月に行われた英国チャールズ三世の戴冠式で使用されたアンセムの一つ。


また、戴冠式中に使用されたもう一曲《キリエ》も、同じくバードの《五声のミサ》からとられたもの。チャールズはバード好きなのかそれともたまたまなのか。

ウィリアム・バードは英国音楽史における重要人物で、「ブリタニア音楽の父」とも称される(日本では知る人ぞ知るという知名度だが)。当時の聖公会(英国国教会)優勢の状況にあって、カトリックながらエリザベス一世から手厚い保護を受け、聖公会における礼拝音楽を多数作曲したが、カトリック教徒としてラテン語のミサ曲も多く作っている。
トーマス・タリスは師匠であり、同じくエリザベス一世から厚遇された。


収録アルバム:The Tallis Scholars Sing William Byrd
Byrd: Prevent Us, O Lord
Gimell
2007-10-03





タグ :
#Byrd
#イギリス
#英語
#戴冠式