I know a fat old policeman
He's always on our street.
A fat and jolly red-faced man
He really is a treat.
ふとっちょで年寄りのおまわりさんがいてね
いつも僕らの町の通りに立っている。
太って陽気な赤ら顔のおじさんさ
彼ってほんとに楽しい人だよ。
He's too kind for a policeman
He's never known to frown.
And everybody says
He is the happiest man in town!
警察官なのにあまりにも優しくて
しかめっ面を誰も見たことがない。
誰もがこう言うんだよ
「彼はこの町一番幸福な男だね!」って。

(laughing)
(笑い声)

He laughs upon point duty
He laughs upon his beat.
He laughs at everybody
When he's walking in the street.
交通整理中でも大笑い*1
巡回中でも大笑い。*2
誰に会っても大笑い
町の中を歩いている時は。

He never can stop laughing
He says he's never tried.
But once he did arrest a man
And laughed until he cried!
笑うのをやめたこともなければ
やめようとしたこともないそうな。
でもたった一度ある男を逮捕した時は
涙が出るほど大笑いしたんだよ。

(laughing)
(笑い声)

His jolly face is wrinkled
And then he shut his eyes.
He opened his great big mouth
It was a wonderous size!
陽気な顔にしわがより、
それから両目をぎゅっとつぶる。
とんでもなく大きく口を開くけど、
まったくもって見事な大きさ!

He said "I must arrest you!"
He didn't know what for.
And then he started laughing
Until he cracked his fat old jaw.
「あなたを逮捕しますぞ!」と言われて
男はさっぱり訳が分からなかった。
するとおまわりさんは大笑い、
太ったあごが二重になるほどに。

(laughing)
(笑い声)

So if you chance to meet him
While walking 'round the town.
Shake him by his fat old hand
And give him half a crown.
彼に出会うこともあるだろう
町の中を歩き回っている間には。
そしたら彼のまるまるした手をとって*3
半クラウン銀貨を握らせておやりよ。*4

His eyes will beam and sparkle
He'll gurgle with delight.
And then you'll start him laughing
With all his blessed might!
きっと彼の両目がピカピカキラキラして
嬉しさでのどをゴロゴロ鳴らしだすよ。
それから大笑いしだすに違いないよ、
全身全霊でね!*5

(laughing)
(笑い声)

*1 point dutyはいわゆる交通整理。
*2 beatは警察官の巡回区域、受け持ち、持ち場を意味する。
*3 shakeは「握手する」だけではなく単に「手を握る」という意味もある。
*4 半クラウンは現在は使われていないイギリスの貨幣。2シリング6ペンス。ちなみに1シリングが12ペンス。
*5 直訳すると「彼の素晴らしい力を全て使って」。

text & tune:Charles Penrose (1873 – 1952) & Billie Grey(Mabel Anderson, 1887 – 1972 )

この歌は黒人の歌手George Washington Johnson (c.1846 – 1914)によって1890年に録音され、蓄音機レコードとして最高の売り上げとなったThe Laughing Song《笑いの歌》が元になっている。作詞作曲はジョンソン本人であるとジョンソンは主張しているが、疑問視する向きもある。



G・W・ジョンソンは「酔っぱらって妻をベランダから投げ落として死亡させ絞首刑に処せられた」というまことしやかな噂があったが(中村とうようの『アメリカン・ミュージックの原点』ではこの説を採用している)、実際は普通に病死した。ただし、少なくとも二人の内縁の妻がいたがいずれもジョンソンより先に死亡している。また二人目の妻は何者かに殴打されて不審死を遂げ、その後ジョンソンが殺人罪で逮捕されたが、無罪判決が出て釈放されている。


その後、イギリスの歌手兼コメディアンであったチャーリー(チャールズ)・ペンローズ(芸名チャールズ・ジョリー)とその妻でソングライターであったメイベル・アンダーソン(筆名ビリー・グレイ)が、当時レスターに実在した名物警官からアイデアを得て歌詞を書き換え、新たに発表したのが《笑うおまわりさん》である。初めての録音およびリリースは1922年。ミュージックホールでの芸人でもあったペンローズが、警官の扮装でこれを歌う写真が残っている。それ以降キッズ向けのコミックソングとして現在に至るまで広く知られるようになった。


収録アルバム:The Laughing Policeman & more Fun Hits for Children



おまけ:スウェーデンの警察小説「マルティン・ベック」シリーズの第四巻『笑う警官』は、この歌から取られたタイトルと内容になっている。主人公のベックが娘からクリスマスプレゼントとしてもらうレコードがこの歌。



アメリカで映画化されたが、邦題は『マシンガン・パニック/笑う警官』にされてしまった。『笑う警官』だけじゃダメだったのか?

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