The day Thou gavest, Lord, is ended,
The darkness falls at Thy behest;
To Thee our morning hymns ascended,
Thy praise shall sanctify our rest.
主よ、あなたの給われたこの日が終わり、
みこころのままに闇のとばりが落ちます。
我らの朝の聖歌はすでに主のみもとへ昇ってゆきました、
あなたの威光が我らの安息を聖なるものとしてくださいますように。
We thank thee that Thy Church unsleeping,
While earth rolls onward into light,
Through all the world her watch is keeping,
And rests not now by day or night.
感謝します、主の教会が眠らぬことを
大地が光の方へ向かって巡り続ける間も。*1
教会は世界中を見守り続けて、
昼も夜も休むことはない。

As o’er each continent and island
The dawn leads on another day,
The voice of prayer is never silent,
Nor dies the strain of praise away.
どの大陸にも、島々にも
夜明けが次の日を引き連れて訪れます。
祈りの声が沈黙することも、
賛美の旋律が絶えることも決してない。

The sun that bids us rest is waking
Our brethren ’neath the western sky,
And hour by hour fresh lips are making
Thy wondrous doings heard on high.
わたしたちに別れを告げた太陽が起こすのは
西の空の下にいる我らが同胞たち。
刻々と産声をあげる唇たちが*2
あなたの驚くべき御業を高らかに告げ知らせます。

So be it, Lord; Thy throne shall never,
Like earth’s proud empires, pass away;
Thy kingdom stands, and grows for ever,
Till all Thy creatures own Thy sway.
かくして主よ、あなたの玉座は決して滅び去ることはない
地上の驕りて久しからぬ帝国とは似ても似つかぬもの。
主のみ国は堅く建ち、とこしえに栄えるでしょう
主の造られ給いしものらが、その統治のうちにある限りは。

*1 地球が自転している間は常に世界中のどこかが朝であり夕であり、ゆえに絶えず朝の礼拝と夕べの祈りが行われているという実に壮大なイメージ。
*2 「天に輝くあなたの威光をたたえます/幼子、乳飲み子の口によって。」(旧約詩編8:2-3)に基づく。絶えずどこかで誕生する赤ん坊の産声や子供たちの笑い声がそのまま神への賛美となるというイメージ。まあ最近は少子化が深刻になってるわけですが…。

text: John Ellerton (1826–1893)
tune: Clement Cotteril Scholefield (1839–1904) チューンネームは《St. Clement 》

英国で非常に人気のある聖歌。Evensong(晩祷、夕の礼拝。英国国教会ではその名の通り歌を多用する)の定番。
2005年のBBCによる人気投票トップ10のうち、第三位に選ばれたことがある。


1897年のヴィクトリア女王のダイヤモンド・ジュビリー、それから一世紀後の香港返還式典、直近ではエリザベス2世の葬礼式典に使用された。


曲は1874年に出版されたArthur Seymour Sullivan(1842 - 1900。ギルバートと組んだオペラで有名な人)編集の『Church Hymns with Tunes(楽譜付き教会聖歌集)』に収録されたものが初出。作曲者のショールフィールド(スコールフィールドって読むのかも)師は、本職は英国国教会の司祭だが音楽好きで、正式な音楽の勉強をしたことはないが熟練したピアニストでもあった。また、一時期サウスケンジントンのセントピーターズ・チャーチでオルガン奏者をやっていたサリヴァンとは友人であった。このメロディはサリヴァンからの強い影響を受けたものとする説もある。
歌詞の方は、1870年出版の『A Liturgy for Missionary Meetings(宣教者集会のための典礼文集)』に収録するために作詞されたもの。

Cambridge Singers
収録アルバム: Sing, Ye Heavens - Hymns for All Time


おまけ:新古今聖歌集では《この日もくれゆきて》、讃美歌集では《みかみのたまいしこの日もくれけり》ではじまる日本語訳詞がある。



旧訳の《この日もくれけり》も好きだったんだが…

この日も暮れけり 今朝讃えし如(ごと)
今宵も恵みを 歌いてぞ憩わん

光にむかいて めぐる地とともに
み民は目覚めて み名を讃(ほ)めまつる

海、山、島々 あまねきみ民の
ほめ歌の声は 夜も日も絶えせず

世の国うすれど み座は堅く立ち
とこしえの国は いやまし栄えなん



み神の給いし この日も暮れけり
いざや今朝の如(ごと) み恵みを讃えん

光に向かいて めぐる地とともに、
地にあるみ民は 御業(みわざ)にいそしむ

国々、島々、静かに明けゆき
祈りは黙(もだ)さず 賛歌(ほめうた)は尽きず

われらに別れて 隠れし日影は
西に住む友を 御業(みわざ)にぞ覚ます

興(おこ)りて滅ぶる 世の国に代わり
常盤(ときわ)に栄(さか)ゆる み国ぞ尊き

さらにおまけ:リック・ウェイクマンのアルバム《ヘンリー八世の六人の妻》のうちの一曲《アン・ブーリン》には、最後の方でこの聖歌の旋律が使用されている。何ゆえに?

リック・ウェイクマン
収録アルバム:The Six Wives Of Henry VIII
アン・ブーリン
Universal Music LLC
2015-02-23



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