Today the Virgin comes to the cave
To give birth to the Word eternal:
この日、おとめは洞穴(ほらあな)へとやってきた*1
とこしえのみ言(ことば)を産み落とさんがため*2
*Rejoice, O World
 With the Angels and the Shepherds
 Give glory to the Child!
 Alleluia!
*歓べ、世界よ
 天使らも牧者らも共に
 御子にみ栄えをたてまつれ
 アリルイヤ!*3

Mary my wife, O Mary my wife!
What do I see?
我が妻マリアよ、我が妻マリアよ!
わたしが見ているものは一体何なのだ?

I took you blameless before the Lord
From the priests of the Temple
What do I see?
わたしは主の御前で、お前を汚れなきものとして
神殿の司祭らのもとよりもらい受けたというのに*4
わたしが見ているものは一体何なのだ?

*Refrain
*繰り返し

Joseph the Bridegroom,
O Joseph the Bridegroom!
Do not fear.
花婿ヨセフ、*5
花婿ヨセフよ、
恐れることはありません。

God in his mercy has come down to earth,
He takes flesh in my womb
For all the world to see.
神がそのお慈悲により地へ降り、
わたしの胎内で肉なるものとなられたのです、
全世界を見そなわすために。

*Refrain
*繰り返し

Mary, my Bride, O Mary my Bride,
What do I see?
マリア、我が花嫁よ、我が花嫁マリアよ
わたしが見ているものは一体何なのだ?

You, a virgin giving birth.
Strange mystery!
汝、子を産み落とすおとめよ。
なんと奇異なる奇蹟!

*Refrain
*繰り返し

Joseph the Bridegroom,
O Joseph the Bridegroom!
Do not fear.
花婿ヨセフ、
花婿ヨセフよ、
恐れることはありません。

God in his mercy has come down to earth,
He takes flesh in my womb
For all the world to see.
神がそのお慈悲により地へ降り、
わたしの胎内で肉なるものとなられたのです、
全世界を見そなわすために。

*Refrain
*繰り返し

Warned by the Angel we believe
That Mary gives birth inexplicable
To the infant, Christ, our God.
かの天使よりのみ告げを我らも信じます、*6
マリアが不可思議にも産み落とされたのは
幼子にしてキリスト、我らが神であると。

*1 カトリック及び聖公会、その他プロテスタントではイエスの誕生は家畜小屋での出来事としているが、正教会では「洞窟」で起こったと解釈されている。
*2 「言(ことば)は肉となって、わたしたちの間に宿られた。 」(ヨハネによる福音書1:14)より、「神の言葉」はキリストを指す。

*3 「アレルヤ」の正教会における言い方。
*4 「黄金伝説」というキリスト教系の説話集では、「神殿の秘蔵っ子であったマリアの結婚相手を選ぶ際に、求婚者たちにひとり一本枝を納めさせると、その枝に花が咲いた。その枝の持ち主が男やもめのヨセフであった」という物語が納められている。
*5 聖母マリアの夫にしてイエスの養父であるところのヨセフ。正教会では「聘定者(へいていしゃ)イオシフ」。聘定者とは婚約者のこと。

*6 マリアの受胎を告知した天使といえばガブリエル。


text: Mother Thekla, née Marina Sharf (1918 - 2011)
tune: John Kenneth Tavener (1944 - 2013)

歌詞及びメロディーは全くのオリジナルと言うわけではなく、正教会における降誕祭前日の祭日経(礼拝式文)と「コンタキオン(コンダク)」に基づく。




日本正教会では明治期に来日し日本における正教会発展に尽くした大主教ニコライの意向により、今見ると難解ではあるが実に独特な用語体系を用いている。


もし全文を日本正教会における降誕祭前日の祭日経から抜き書きするとすれば、以下のようになる。
タブンネ。



童貞女は今日、永久の言(ことば)を言ひ難く洞の中に生まん為に来る。

*全地よ、聞きて祝へ、
 嬰児として現れんと欲する永久の神を諸天使及び牧者と偕(とも)に讃榮(さんえい)せよ。
 アリルイヤ。

マリヤよ、我が爾に於て見る所は何事ぞ。

蓋(けだし)我(われ)主の殿に於(おい)て諸司祭より爾(なんじ)を無てん(點?)の者として受けたり、今見る所は何事ぞ。

*繰り返し

此(これ)より悉(ことごと)くの畏(おそれ)を去りて、至栄なる事を知れ、
蓋神は仁慈に縁(よ)りて地に降る、彼は今我が胎内に於て肉体を取り給ふ。

*繰り返し

童貞女よ、是(こ)の爾に於ける奇妙なる奥密(おくみつ)は何ぞや、婚姻に與(よ)らざる童女たるに、如何(いかに)ぞ生まんとする。

*繰り返し

此(これ)より悉(ことごと)くの畏(おそれ)を去りて、至栄なる事を知れ、
蓋神は仁慈に縁(よ)りて地に降る、彼は今我が胎内に於て肉体を取り給ふ。

*繰り返し

我諸預言者を究め、且(かつ)天使より黙示を得て、堅く信ず、マリヤは言ひ難く神を生まん






シエナのグイード(13世紀頃)『キリストの降誕』
Guido-Da-Siena-Nativity

The Sixteen & Harry Christophers
収録アルバム:Ikon of Light
Today the Virgin
CORO
2005-08-20





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