au向け4G LTEの2GHz帯などの周波数帯による詳細な実人口カバー率が明らかに!

KDDIは10日、au向け高速データ通信規格LTE(FDD-LTE)によるデータ通信サービス「4G LTE」における一連の通信障害を受けて都内にてプレス向け説明会を開催し、その中でこれまで明らかにされてこなかったLTEによる各周波数帯における実人口カバー率の詳細について公表した。

これによると、au向け4G LTEの2013年5月末時点における実人口カバー率は、2.1GHz帯のみに対応する「iPhone 5」においては、下り最大75Mbps対応エリアが20%、下り最大37.5Mbps対応エリアが71%となり、800MHzおよび1.5GHz、2.1GHzのトライバインドに対応したAndroid搭載機種では、下り最大75Mbps対応エリアが97%となっていることが判明した。

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KDDIでは、2012年9月にiPhone 5の発売開始とともにLTEによるデータ通信サービスとして4G LTEを開始した。その後、LTEに対応したAndroid搭載スマートフォンおよびタブレットも発売開始し、それらも4G LTE対応としてサービスを提供中である。

ただし、au向け4G LTEでは、現在、800MHz帯および1.5GHz帯、そして、2.1GHz帯の3つの周波数帯によってネットワークを構築しており、書く周波数帯での利用エリアが異なることと、各機種によって対応周波数帯が異なることから機種によって利用エリアが異なるということになっている。

また、同時に周波数帯以外にも、利用周波数帯域が各基地局によって異なり、5月に四国から開始した15MHz幅による下り最大112.5Mbps対応、10MHz幅による下り最大75Mbps対応、5MHz幅による下り最大37.5Mbps対応があり、これらの利用エリアも異なっている。

今回の説明では、15MHz幅および5MHz幅は2.1GHz帯でのみ行なっており、800MHz帯では10MHz幅のみとなっているとのことだ。恐らく1.5GHz帯でも800MHz帯と同様に10MHz幅での運用が行われていると見られる。

これらのネットワークに対し、iPhone 5では2.1GHz帯のみに対応し、昨冬モデルおよび今春モデルのAndroidでは800MHz帯および1.5GHz帯、今夏モデルのAndroidでは800MHz帯および1.5GHz帯、2.1GHz帯に対応している。なお、15MHz幅によるサービスはiPHone 5および今夏モデルのAndroidで利用可能だが、ともにUE Category 3までの対応のため下り最大100Mbpsまでとなっている。

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これらの状況を踏まえ、KDDIでは、今年5月21日に消費者庁から「不当景品類及び不当表示防止法第6条の規定に基づく措置命令」を受けた件について説明を行った。

この不当表示では、4G LTEの下り最大75Mbps対応エリアの実人口カバー率の表記について誤解を招く表現があったという内容で、昨年11月、12月-2013年1月のカタログやKDDIのWebサイトなどにおいて下り最大75Mbps対応エリアの実人口カバー率を800MHz帯をベースとした96%と示していたもので、これはiPhone 5であたかも下り最大75Mbps対応エリアの実人口カバー率が96%であるかのようにされていたことが問題となっていた。

実際には、iPhone 5では2.1GHz帯のみで利用できるため、今年3月時点での下り最大75Mbps対応エリアの実人口カバー率は14%となることが今回明らかにされたことになる。

さらに、混乱を招いたのは、不当表示を受けたことを発表した5月21日時点で、上記のiPhone 5における下り最大75Mbps対応エリアおよび下り最大37.5Mbps対応エリアの実人口カバー率を公開しなかったことで、一部Webサイトでは「実人口カバー率1%」などといったさらに誤解を招く情報も飛び交ったことだ。今回、各条件ごとの実人口カバー率が明らかにされたことによって、ようやく一連の問題がすっきりしたと言えるだろう。

少しややこしいが、実人口カバー率は、800MHz帯におけるLTEでは、10MHz幅(下り最大75Mbps)で運用されており、今年3月末(実績)で96%、5月末(現在)で97%、2014年3月末(見通し)で99%、2.1GHz帯におけるLTEでは、5MHz幅(下り最大37.5Mbps)において、今年3月末(実績)で63%、5月末(現在)で71%、2014年3月末(見通し)で80%、10MHz幅(下り最大75Mbps)において、今年3月末(実績)で14%、5月末(現在)で20%、15MHz幅(下り最大112.5Mbps)において、5月末(現在)で1%以下となっている。ただし、2.1GHz帯における10MHz幅および15MHz幅の2014年3月末(見通し)については現在精査中。

なお、すでにこの不当表示に対して受けた措置命令については、関係責任者が責任を取り、報酬の一部を返上することを明らかにしている。

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さらに、この実人口カバー率の算出方法についての詳細も説明された。KDDIでは、実人口カバー率を採用しており、これは「全国を500m四方に区分したメッシュのうち、KDDIのサービスエリアに該当するメッシュに含まれる人口の総人口に対する割合」とし、「メッシュの一部をエリアカバーしている場合には、該当するメッシュ内の面積カバー率(メッシュ面積率)を算出し、該当メッシュ人口×メッシュ面積率にてカバーされる人口を算出」しているということだ。

このエリアカバー率については、現在、各携帯電話事業者によって異なっており、総務省の主導で統一していく動きもある。そのため、KDDIでは、今後、総務省における研究会や業界団体における表示に関する議論などを踏まえて、対応していくとしている。なお、同社では立て続けに発生した通信障害の対象者に一律700円を返金することを示した。

記事執筆:S-MAX編集部


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一連のLTE通信障害の原因と対策について | 2013年 | KDDI株式会社
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