Jonesie married Mabel,
a wise old owl was he
He told his wife he never drank
a stronger thing than tea
ジョンジーはメイベルと結婚した
ジョンジーは賢い年寄りフクロウそのものの男*1
奥さんには絶対飲まないよと言っておいた
お茶よりも強い飲み物は飲まないって
But after honeymooning,
at night he stayed away
And for a week he never got home
till the break of day
ところが蜜月旅行が終わったあと
夜になるとふらりと出かけて
一週間ものあいだ決して
明け方までは帰ってこなかった

At last poor Mabel asked the reason why
Said Jones, "I'm goin' to tell the truth or die"
とうとう気の毒なメイベルが夫に理由をたずねると
「ほんとのことを言うくらいなら死んでしまいたいよ」

Baby dear,
listen here
I'm afraid to come home in the dark
ねえ、かわいいお前
聞いておくれ
僕は家までの夜道が怖いんだ

Ev'ry day
the papers say
a robbery in the park
毎日のように
新聞に載ってるだろ
公園に強盗が出るって

So I sat alone in the Y.M.C.A.
Singing just like a lark
だからひとりY.M.C.A.で座って*2
ヒバリみたいに歌い続けてたんだ

There's no place like home
But I couldn't come home in the dark
お家よりいい場所なんてありゃしないよ*3
でも僕は夜道が怖くて帰れない

That night after dinner,
he bade his wife adieu
Said she, "Oh no, its dark and so
I'm going to go with you"
ある夜の夕食後、
ジョンジーが奥さんに行ってきますを言うと
「あらいけない、お外はとっても暗いわ
 あたしもあなたと一緒に行ってあげる」

But somehow Jonesy shook her,
for he was smooth as silk
He got home just in time to meet
the man that brought the milk
ところがジョンジーは首を横に振り
シルクのように滑らかな調子で言いくるめた
そしてちゃんと時間通りに帰ってきた
ミルク配達人と会える時間に

His wife stood waiting for him on the stair
While Jonesie and the milkman sang this air
妻が夫を待って階段で突っ立っている間
ジョンジーはミルク配達人とこんな歌を歌っていたのさ

Baby dear,
listen here
I'm afraid to come home in the dark
ねえ、かわいいお前
聞いておくれ
僕は家までの夜道が怖いんだ

Ev'ry day
the papers say
a robbery in the park
毎日のように
新聞に載ってるだろ
公園に強盗が出るって

So I sat alone in the Y.M.C.A.
Singing just like a lark
だからひとりY.M.C.A.で座って
ヒバリみたいに歌い続けてたんだ

There's no place like home
But I couldn't come home in the dark
お家よりいい場所なんてありゃしないよ
でも僕は夜道が怖くて帰れないんだ

She kissed him good morning,
to see him she was glad,
And when tucked him up in bed,
said Jones, "I guess I'm bad"
メイベルはおはようのキスをした
また彼に会えて嬉しかったから
それからベッドに夫を押し込んだ
「僕、具合が良くないみたい」と言ったから

Next day the same old story,
he came home just at dawn
But he got sober right away
when he found she was gone
次の日も相変わらずで*4
ジョンジーが帰ったのはちょうど夜明けの頃
ところがすぐさま素面にかえった
メイベルが消えてしまったことに気づいた瞬間

At noon he heard her slam the garden gate
Said she to Jonesie, "Is my hat on straight?"
昼になって、メイベルが庭の門をバーンと開けたのが聞こえた
夫に言うことには「あたしの帽子ちゃんとまっすぐかしら?」

Baby dear,
listen here
I'm afraid to come home in the dark
ねえ、あなた
聞いてちょうだい
あたしは家までの夜道が怖いのよ

Ev'ry day
the papers say
a robbery in the park
毎日のように
新聞に載ってるでしょ
公園に強盗が出るって

So I sat alone in the C-A-F-E
Singing just like a lark
だからひとりでカフェに座って
ヒバリみたいに歌い続けてたのよ

There's no place like home
But I couldn't come home in the dark
お家よりいい場所なんてありゃしないわね
でもあたしは夜道が怖くて帰れないの

*1 英国の風刺漫画雑誌「パンチ」で1875年に発表された作者不詳の詩『賢い年寄りフクロウ』に由来するフレーズ(和田誠氏バージョンでは「かしにとまったかしこいふくろう」)。大意は「男たるもの、年を重ねる程物静かで知識豊富になるフクロウのようであればよいのに」。ジョンジーはあまりそういうタイプには見えないが、「悪知恵のまわる宵っ張り」という意味で使われたのかもしれない。
1930年代半ばに、これのパロディバージョンとして「おしゃべりで軽薄な男」を皮肉る内容のものが現れた。

*2 YMCAとは本来キリスト教青年会という公益団体を指すが、YMCAが運営する若い男性向けの安価な宿泊施設などもこう呼ぶ。例の歌のことではない。

*3 《埴生(はにゅう)の宿》あるいは《楽しい我が家》という日本語タイトルで知られる、有名な英語の歌謡《Home, Sweet Home》のメロディと歌詞に基づく。「こんな歌を書いたのは独身男に違いない」って言ったのは誰だっけ(英国の作家サミュエル・バトラーだよ)。
*4 same old storyで「いつものこと」「また例の話」。あまり好ましくない場合が多い。


text: Harry Hiram Williams (1879 – 1922)
tune: Egbert Anson Van Alstyne (1878 – 1951)

1907年に発表され、ビル・マレーの録音で有名になった曲。1930年にフライシャー・スタジオで取り上げられ、この頃まだ白犬だったビン坊が主役を演じた。なお、タイトルが「come」ではなく「go」になっている。
本来は3番までの歌詞だが、フライシャーのアニメでは2番まで、ビル・マレーの録音では2番が省略され1番と3番が歌われている。

結婚しても夜遊び癖が治らない男が、妻に問い詰められてむちゃくちゃな言い訳をするが、その後も懲りずに朝帰りしたら妻がおらず、昼にへべれけになって帰ってきたというろくでもないコミックソング。
結局夜遊び癖は治ったのか、夫婦そろってアル中まっしぐらなのか、結末は神のみぞ知る。朝帰りにはしじみのみそしる。

アニメでは歌に入る前に、夜道が怖い時に景気づけに歌うよう勧める以下のポエムが挿入されている。

When spirits squeak and inspectors creak;
悪霊や亡霊が泣き叫ぶ時、
And skeleton rowel and roam,
ガイコツが徘徊する時、
When gruesome hosts of spooks and ghosts;
魑魅魍魎がうようよと
Drop out of the ground and moan,
地中からうごめき出て這いまわる時、
When the goblins out to get your skin;
悪鬼どもがあなたの皮をはいでやろうとたくらむ時…
And make it into a shroud,
やつらを墓穴に戻してやりたいなら
The only way to scare 'em is to sing loud-and-loud!
大いにやまかしく歌って怖がらせてやるのが一番です!
A way to scare most anything is to sing out loud!
どんな奴でも怖がらせるたった一つの方法は、大声で歌うことです!



Billy Murray
収録アルバム: You're a Grand Old Flag (1904-1926)
I'm Afraid to Come Home in the Dark
VINTAGE MASTERS INC.
2012-08-01



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