One fine day i was walkin' down the road,
With a tired team and a heavy load,
I crack'd my whip and the leader sprung,
I says day-day to the wagon tongue.
ある晴れた日に道を歩いてた、
へとへとの馬たちと重い荷物といっしょに、*1
ぴしゃりと鞭をくれたら先頭のが跳び上がり、
俺は荷車の先っぽにバイバイしちまった。*2
*Turkey in the straw,
 hee hee haw,
 Turkey in the hay,
 hee hee hay,
 Roll 'em up and twist 'em up
 a high tuckahaw
 And twist 'em up a tune called
 Turkey in the Straw.
*わらの中に七面鳥、
 ヒー・ヒー・ホー、
 干し草の中に七面鳥、
 ヒー・ヒー・ヘイ、
 丸め上げてねじり上げろ、
 よく育った草を*3
 この曲にひねりを利かせとくれよ、*4
 《わらの中の七面鳥》って呼ばれてるやつにさ。

Went out to milk, and I didn't know how,
I milked the goat instead of the cow.
A monkey sittin' on a pile of straw,
A-winkin' at his mother-in-law.
*Refrain
乳しぼりに出かけたがやり方がわからない、
雌牛の代わりに山羊乳をしぼったよ。
お猿がわら山の上に座って、*5
お姑さんにウィンクパチパチ。
*繰り返し

Met Mr. Catfish comin' down stream.
Says Mr. Catfish, "What does you mean?"
Caught Mr. Catfish by the snout,
And turned Mr. Catfish wrong side out.
*Refrain
流れをくだるナマズくんに出会ったよ。
ナマズくん言うことにゃ「どういうこっちゃ?」
鼻づらをつかまれたナマズくん、*6
裏返しになっちゃった。*7
*繰り返し

Came to a river and I couldn't get across,
Paid five dollars for a blind old hoss;
Wouldn't go ahead, nor he wouldn't stand still,
So he went up and down like an old saw mill.
*Refrain
川に来たが渡れない、
目の見えない年寄り馬に5ドルも払ったよ。
そいつは進むこともちゃんと立つこともできやしない、
おんぼろの大ノコギリみたいに行ったり来たり。*8
*繰り返し

As I came down a brand new road,
Met Mr. Bullfrog, met Miss Toad
And every time Miss Toad would sing,
Old Bullfrog cut a pigeon wing.
*Refrain
まっさらな新しい道に来てみたら
ウシガエル氏とヒキガエル嬢に出くわした
ヒキガエル嬢は四六時中歌いっぱなし、
ウシガエル親父はハトの翼をちょんぎった。*9
*繰り返し

Oh I jumped in the seat and I gave a little yell
The horses ran away, broke the wagon all to hell
Sugar in the gourd and honey in the horn
I never been so happy since the day I was born.
*Refrain
座席ががたつくんで、ちょっと怒鳴ってやったら、
馬どもは逃げ出し、荷車はこっぱみじん
壺いりの砂糖も、水筒いりの蜂蜜も*10
生まれてこのかたこんなに嬉しい日はなかったね。*11
*繰り返し

*1 teamはいわゆるチームという意味の他に、そりや車をひく複数頭の動物を指す。また、馬とは限らず、牛だったりロバだったりする。
*2 day-dayは意味不明だが、文脈的にbye-byeのふざけたもしくはなまった言い方。wagon tongue(荷車の舌)は荷車からにょっきり伸びている、馬などをつなぐための長い棒。轅(ながえ)。要するに棒がもげて馬に置いてかれた。
*3 「A high tuckahaw(tuck a-hawともつづられる)」は、今やアメリカ人にとっても意味不明の単語であるらしい。かつてアメリカの先住民チカソー族が建てた町の名のひとつでもあったらしい(Albert J. Pickett著作「History of Alabama and Incidentally of Georgia and Mississippi」)。当時の記録では「特定の草」を意味すると書かれている(例えばわらや干し草になるような?)。「丸めてねじる草」つまり「タバコ(tobacco)」を指す言葉、失われたダンス曲のタイトルまたはステップ、あるいはまったく意味のない語呂合わせなど、様々な説がある。
tuckahoeと呼ばれる、サトイモに似たアメリカ原産の植物もある(地中に育つキノコを指すこともある)。tuck a hoe(クワを突っ込む)…?

*4 twist upは「いじくりまわす」「ひねりあげる」「身をよじらせる」など様々な意味がある。メロディに乗って身をよじって踊れ、という意味にもとれる。
*5 お猿は何かの暗喩なのか、特に意味はないのかは不明。お猿が出てくる童謡は割とある。

*6 網なんかで捕まえるときも、何か体の一部を掴んで捕まえるときも、どちらもcatch byを使う。
*7 turn the wrong side out(間違っている方の面を出す)は服なんかが裏返しになっているときの定型文句。つまりナマズは体の中身が全部表に出た状態になってるんかグロい。
*8 saw millは製材所そのものを指すこともあるが、要するに超大型ノコギリ(丸型だったり弓型だったり)。昔はその名の通り水車(mill)が動力源だった。

*9 「鳩の翼をちょん切る」ことに、何か暗喩があるのか別に意味はないのかは不明。ウシガエルは小鳥を飲み込むことがあるほど大きいことで知られるが、関連があるかどうか。
*10 gourdはひょうたん、転じてひょうたん型のフラスコなどの容器も指す。hornは角そのものというよりは、角製の容器のことを指すと思われる。
*11 もちろんヤケクソで言ってるんですよ。

text & tune: 1820-1830年頃のアメリカ民謡

「Oklahoma Mixer(オクラホマミキサー)」という民族舞踊に使われる曲として有名。日本では「オクラホマミキサー」という曲名だと思われていることもある。1830年代に、白人が黒人の扮装で行う演芸「ミンストレル・ショー」で盛んに使用されて全米に広まった。

ミッキー・マウスのデビュー作「蒸気船ウィリー」でミッキーがミニーと楽しく合奏した曲であり、その後ミッキーシリーズ初のテクニカラー作品である「ミッキーの大演奏会」では逆にドナルドにおちょくられることになった曲でもある。




歌詞には膨大なバリエーションがあり、その中には南北戦争に関するもの、猥褻な内容を持つもの、特殊なのだと第二次世界大戦中に日・独・伊を揶揄した(マイルドな言い方)「1942年」バージョンもある。


もとから人種差別的な内容を含むバージョンの歌詞もあり、有名なものとして1830年前後に出現したOld Zip Coon《オールド・ジップ・クーン》がある。この曲から「気取り屋の自由黒人ジップ・クーン」というキャラクターが生まれた。ミンストレル・ショーの中では、田舎者の奴隷黒人ジム・クロウと掛け合い漫才をする…らしい。


ひたすら陽気に聞こえるけど複雑な歴史を持つこの曲に、なんとなく不気味さを感じる人もいるらしい。パリピなヤングたちがワイワイ楽しんでたら殺人鬼が現れてあの手この手でバッタバッタ殺されていく典型的なスプラッタホラー映画、『カット』(2008年公開)の劇中歌になっている。ロビンは未見だが、このブログのネタバレから察するに、殺人鬼がこの曲をBGMに動画撮影をするのが趣味のようである。
なんでこのバージョンを使ったのかというと、他にまともな形で掲載されてる歌詞がなかった。


カット [DVD]
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マット・カーモディ
タキ・コーポレーション
2008-07-04



ちなみに、こういうホラーとかサスペンスムービーの冒頭に出てくる「これは実話をもとにした云々」ていうテロップは、よくあるインチキ演出でべつに実話をもとにしてるわけじゃないんですよ。
このテロップで有名なのは、コーエン兄弟の『ファーゴ』。

ファーゴ [DVD]
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フランシス・マクドーマンド
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2010-06-25



収録アルバム: Turkey In the Straw
Turkey In the Straw
Don Scribner
2009-06-09



おまけ:一応日本語訳詞もいくつか存在する。

夢虹二(ゆめ・こうじ 1912-1989)バージョン


久野静夫バージョン


さらにおまけ:Eテレのスチームパンクファンタジー風音楽教育番組『ムジカ・ピッコリーノ』では、シーズン5第14話にて七面鳥型モンストロ「オクラッチ」として登場。フィドル奏者ハッチ・ハッチェル氏回でもある。

わらの中の七面鳥
わらの中の七面鳥
COLUMBIA
2017-11-01




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