Little bread-and-butterflies kiss the tulips
And the sun is like a toy balloon
There are get-up-in the morning glories
In the golden afternoon
パンつきバタフライたちがチューリップにチュッ
お日様は風船みたいに空高く
ソライロアサガオたちが身づくろいをする*1
黄金色の午後のこと
There are dizzy daffodils on the hillside
Strings of violets are all in tune
Tiger lilies love the dandy lions
In the golden afternoon
パッパラッパーのラッパ水仙は坂に咲く*2
バイオレットはバイオリンの弦を調えてる*3
タイガー・リリーはダンディ・ライオンに恋をする*4
黄金色の午後のこと

There are dog and cat-erpillars
and the copper centipede
Where the lazy daisies love the very peaceful life
They lead...
イヌムシもツチネコも*5
真っ赤なヤスデもいる
のどかな暮らしを愛するぐうたらデイジーたちが
けんかする虫たちの世話をする…*6

You can learn a lot of things from the flowers
For especially in the month of June
There's a wealth of happiness and romance
All in the golden afternoon
お花たちからは沢山のことが学べるのよ
特に六月という月にはね
幸せもロマンスももりだくさん
全ては黄金色の午後のこと

All in the golden afternoon
The golden afternoon...
全ては黄金色の午後のこと
黄金色の午後…

You can learn a lot of things from the flowers
For especially in the month of June
There's a wealth of happiness and romance
お花たちからは沢山のことが学べるのよ
特に六月という月にはね
幸せもロマンスももりだくさん

The golden afternoon!
黄金色の午後よ!

*1 get-up-inは「起きる」ではなく「身なりを装う」「着飾る」という意味。

また、この朝顔はセイヨウアサガオの方。別名ヘブンリー・ブルー。日本の朝顔と違って、季節によっては朝から晩まで普通に咲いている。

*2 ダッフォディル(ラッパ水仙)のダフはduffer(阿呆、とんま)に通じる。
*3 バイオレット(すみれ)とバイオリンをかけている。ちなみにビオラという花と楽器もある。
*4 タイガーリリーは和名鬼百合。ダンディライオンは和名タンポポ。ちなみに元来は「ライオンの歯」という意味で「ダンディなライオン」ではない。
*5 イモムシは英語でキャタピラーというが、キャットが中に入っているという言葉遊び(冷蔵庫の中にゾウがいる的な)(ヒメジャノメという蝶の幼虫は本当に猫顔だったりする)。そして猫がいるなら犬もいるというしょーもない連想。あともちろんレイジー・デイジーというダジャレ。
*6 lead a cat-and-dog lifeという慣用句が元ネタ。犬猫を一緒に連れている暮らし=ケンカばかりの夫婦生活という意味。イモムシ犬とイモムシ猫にかかっている。


text: Bob Hilliard(1918 – 1971)
tune: Sammy Fain(1902 – 1989)

お花たちの合唱は好きだけど、アリスを雑草と認識したとたんに手のひら返して罵声浴びせて追い出すの嫌い(調子合せとけばいいのに人間だと主張することにこだわったアリスさんサイドにも問題あるが)。
パンつきバタフライ(バタつきパン蝶)や木馬バエ、もの言うお花たちのエピソードは、原作では『不思議の国のアリス』ではなく続編の『鏡の国のアリス』に出てくる。

「黄金色の午後」「金色の昼下がり」などと訳される「All In the Golden Afternoon」という言葉は、もともとは原作『不思議の国のアリス』の巻頭にある詩。ボート遊びのさなか、リデル家の三姉妹にせがまれて物語を作った思い出を、作者ルイス・キャロルは「ゴールデン・アフタヌーン」と名付けた。ただし、この出来事があったとされる1862年7月4日は公式記録では雨となっている。


ちなみに、日本ではいかにも「永遠の少女」というイメージのある「アリス」という名前だが、欧米では「悪くはないけどおばあちゃんぽい名前」「いかにもヴィクトリア朝の遺物」という認識らしい。日本で言えば大正っぽいイメージ、光子とかみたいな感じだろうか。

キャサリン・ボーモント & ディズニー・スタジオ・コーラス
収録アルバム: Disney Classics
All In the Golden Afternoon
Walt Disney Records
2019-05-10


ふしぎの国のアリス スペシャル・エディション [DVD]
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オリヴァー・ウォレス
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
2005-09-07



日本語吹き替えでは『きらめく昼下がり』というタイトルになっている。


七月の蟻のアリスは八月の雪にまぎれて
十月の栗鼠のアリスは一月の樹によみがえる
六月の明日のアリスのときじくの瞳にうつる
小雨降るテームズの黄金の午後の光よ
(沢渡朔写真集「少女アリス」より、谷川俊太郎)

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