Did you ever see an elephant fly?
Well, I seen a horsefly
I seen a dragonfly
I seen a housefly
「空飛ぶ象なんて見たことあるかい?」
「そうさな、『馬』アブなら見たぜ」
「『鬼』ヤンマならあるぜ」
「『家』バエもな」
See, I seen all that too
I seen a peanut stand,
heard a rubber band
I seen a needle that winked its eye
But I be done seen 'bout ev'rything
When I see an elephant fly
そりゃおいらは見過ぎるくらい見てきたさ
直立するピーナッツを見たこともあるし*1
ゴムバンドの演奏を聞いたこともある*2
縫い目がウインクするのを見たこともある*3
でも「何もかもを見た」とは言えないね
空飛ぶ象を見たことないんなら

(What d'you say, boy?)
I said when I see an elephant fly
(なにを見るだって?)
「空飛ぶ象だよ!」

I seen a front porch swing,
heard a diamond ring
I seen a polka-dot railroad tie
But I be done seen 'bout ev'rything
When I see an elephant fly
スウィングする玄関ポーチを見たこともあるし*4
ダイヤモンドがリーンと鳴るのを聞いたこともある*5
水玉模様のまくら木を見たこともあるぜ*6
でも「何もかもを見た」とは言えないね
空飛ぶ象を見たことないんなら

I saw a clothes horse,
he r'ar up and buck
And they tell me that a man made a vegetable truck
I didn't see that,
I only heard
But just to be sociable,
I'll take your word
竹馬を見たこともあるぜ*7
いなないて跳ね回るやつをさ
野菜を作った男がいるって話だけど*8
そいつは見たことないね
話に聞くだけだ
でもまああんたの顔を立てて
その話を信じることにするよ*9

I heard a fireside chat,
I saw a baseball bat
And I just laughed till I thought I'd die
But I be done seen 'bout ev'rything
When I see an elephant fly
暖炉がお喋りするのを聞いたこともあるし*10
野球するコウモリを見たこともあるぜ*11
そんときゃ笑い過ぎて死ぬかと思ったよ
でも「何もかもを見た」とは言えないね
空飛ぶ象を見たことないんなら

Well I be done seen 'bout ev'rything
When I see an elephant fly
(With the wind)
だから「何もかもを見た」ってことになるのさ
おいらが空飛ぶ象を見たならば
(風に乗る象を!)

When I see an elephant fly
おいらが空飛ぶ象を見たならば

*1 きわどい新食感のあいつ…ではなく、本来はピーナッツ売りの屋台(ピーナッツ・スタンド)のこと。

*2 ゴムバンドと音楽隊のバンドをかけている。
*3 縫い針の糸を通す穴のことを英語で「目」と呼ぶ。日本では縫いあとのことを目って言うけどね。
*4 ポーチ・スウィングは本来玄関ポーチや庭なんかに置くブランコのこと。


*5 ダイヤモンド・リングのダジャレ。
*6 レイルロード・タイはまくら木のことだが、このタイはネクタイのタイと同じタイでもある。
*7 クロースズ・ホース(服の馬)というのはもともと室内用物干しのこと。四つ足だから。さおだけ~。


*8 ベジタブル・トラックはよくわからん…そのまま受け取るなら野菜を積んだ車のことだが(トラックは「市場用の野菜」という意味もある)。そもそもカラスは畑によくいるはずなので、絶対見たことあるはずのものを「見たことないわーそんなもんあるの?」とすっとぼけているギャグなのかもしれない。
*9 take ~'s wordで、「~の言うことを真に受ける」「言葉通り信じる」という意味。
*10 フランクリン・ルーズベルト大統領が人心掌握に活用したラジオ演説「炉辺談話」のパロディ。

*11 野球のバットとコウモリのバットとかけてるんですよ、もちろん。

text: Ned Washington (1901–1976)
tune: Frank Churchill(1901-1942) & Oliver Wallace(1887-1963)

キッズの頃は「はえ~カラスしゃんだ~」という感想しかなかったが、今見ると思いっきり黒人コーラスグループのメタファーやね…。
ちなみにこういう男声4~5人でアカペラで歌う形式を「バーバーショップ」という。有名なグループにミルス・ブラザーズがいる。


葉巻をくわえたリーダーカラスは「ジム・クロウ」という名がついているが、本来ジム・クロウは白人が黒人を演じるミンストレル・ショーの役柄の一つで、田舎っぺの奴隷ジム・クロウが都会的な伊達男ジップ・クーンと掛け合いをするというものだった。ここから転じてジム・クロウは黒人全般に対する蔑称となった。ネーミングとしてストレートすぎやしませんかね…という批判を受けて「ダンディ・クロウ」と改名されたことがあったが、結局ジム・クロウで定着した。


ちなみに他のカラスにはそれぞれファッツ(太っちょ。ファッツ・ウォーラーのパロディでもある…?)、ディーコン(牧師。神父風というかカペロ・ロマーノ風の幅広帽子とグレーの服)、ドーピー(おとぼけ。てっぺんが抜けている帽子をかぶっている)、スペックス(メガネ。一番小柄)という呼び名がある。


ジムを演じたクリフ・エドワーズは『ピノキオ』でジミニー・クリケットも演じている。
ドーピーを演じたジム・カーマイケルについては不明だが、スペックス役のニック・スチュアート、ディーコン役のホール・ジョンソン、ファッツ役のジェームズ・バスケット(『南部の唄』のリーマスおじさん役でも知られる)はいずれも黒人の俳優である。

こういうのと似たような感じでタンホイザーがなんちゃらって何のネタだっけって思ったらブレードランナーだったわ。どうでもイーグルス。


日本語版の歌は、「ありえないもの尽くし」の「ダジャレ尽くし」になっている。秀逸な吹き替え芸が英語版にも劣らぬすばらしさ。アマゾンでサントラ音源探したけどなくて残念なんだ。
ポニー・キャニオンから1995年に発売された「夢と魔法のディズニー・ベスト・アルバム(日本語版)」に別バージョンの日本語版が入っているが、こちらはやや原詩に沿った内容の歌詞になっている。




ジム・カーマイケル & クリフ・エドワーズ & ホール・ジョンソン・クワイア
収録アルバム: Disney Classics


おまけ:その他の『ダンボ』劇中歌。






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