While Shepherds Watched Their Flocks by Night,
All seaeted on the ground,
The angel of the Lord came down,
And glory shone around.
羊飼いたちが夜通し羊の群の番をしていて
皆野辺に座っていた。
すると主の天使が降りきたりて、
あたりを栄光で照らした。
"Fear not,"said he (for mighty dread
Had seized their troubled mind),
"Glad tidings of great joy I bring
To you and all mankind.
「おそれるな」と天使は言った
(羊飼いたちが恐れおののいていたので)
「喜ばしい大いなる知らせを私は携えてきた、
 あなたがたとすべての人々に。」

"To you in David's town this day
Is born of David's line
The Saviour, who is Christ the Lord,
And this shall be the sign:
「この日ダビデの町で、
 ダビデの血筋に連なる者が生まれた、
 救い主、主なるキリストが。
 これぞしるしである。」

"The heavenly Babe you there shall find
To human view displayed,
All meanly wrapped in swathing bands,
And in a manger laid."
「あなたがたはこの天のみどりごを見つけるであろう、
 人間の目には、
 全身を布で巻かれて
 飼い葉桶の中に横たわる姿として。」

Thus spake the Seraph; and forthwith
Appeared a shining throng
Of angels, praising God, who thus
Addressed their joyful song:
熾天使がかく語ると、たちまちに
輝く天使の群れが現れた
天使らはこのように神を賛美した
楽しげな歌を響かせながら

"All glory be to God on high,
And to the earth be peace;
Goodwill henceforth from heaven to men
Begin and never cease."
「もろもろの栄光よ高き神にあれ、
 地には平和あれ。
 人には天よりのみめぐみあれ、
 初めのように代々に限りなく。」

text: Nahum Tate(1652-1715)
tune: 通称「Wincester Old」と呼ばれる、1592年の聖歌集『The Whole Book of Psalmes(詩編全集)』に収録されたメロディ

18世紀頃のイギリスで人気があったキャロル。もっとも親しまれているメロディーはWincesterだが、他にもさまざまな種類のメロディがつけられ、その中にはHandel(1685-1765)、Read、Belcherによる作曲もある。
日本語の聖歌では「羊を飼(こ)うもの 夜牧場にて…」で始まる訳詞があるが、Wincesterのメロディにのせることはできない。このメロディは日本の聖歌集では「たみみなよろこべ主は来ませり…」につけられた。しかもこっちの歌詞はJoy to the World(いわゆる《もろびとこぞりて》)の本来の訳詩であるというややこしいことになっている。本場では適当なメロディと歌詞を勝手に組み合わせる方法が主流だったが、日本ではそういう発想が受け入れられなかったためらしい。だってめんどくさいもんな。

ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団 & サイモン・プレストン & サー・デイヴィッド・ウィルコックス
収録アルバム: Essential Carols - The Very Best of King's College, Cambridge
Anonymous: While Shepherds Watched
Decca Music Group Ltd.
2014-09-22


おまけ:日本語訳詩の《羊を飼うもの》は、Stuttgart《シュトゥットガルト》というメロディに合わせられる。


羊を飼(こ)うもの 夜牧場(まきば)にて
妙なる輝き 見ておののけり

み使い語りて 恐れを鎮(しず)め
よろずくにびとの 幸いを告ぐ

「ダビデの村にて ダビデの末裔(すえ)の
 み救い主なる キリスト生まれぬ」

「布にてつつまれ 馬槽(うまぶね)に伏す
 これぞしるしなる 疾(と)くゆき拝め」

数多(あまた)のみ使い 空に顕(あらわ)れ
声うちあわせて たたえ歌えり

「神にはみ栄え 地にはおだやか
 人にはみ恵み とこしえにあれ」

おまけその2:アメリカ入植初期に活躍したWilliam Billings(1746 – 1800)という作曲家による《羊を飼うもの》(ただし、タイトルはBethlehem《ベツレヘム》となっている)。歌詞は2連までだが、同じ歌詞を執拗なまでに繰り返す独特の作風が印象的。




Anonymous 4
収録アルバム: The Cherry Tree: Songs, Carols & Ballads for Christmas
Bethlehem
harmonia mundi
2010-09-01


おまけのおかわり:ビリングス以外にも多くの作曲家によってさまざまなメロディがつけられた。

Daniel Read(1757-1836)によるメロディ。通称《SHERBURNE》。
While Shepherds Watched
harmonia mundi
2006-01-10


こちらはSupply Belcher (1751 – 1836)によるメロディ。




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