■レオノーラ・クリスティーネ号　キャビン内

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　　　　　　　　　　　　　　　　!　u.　_ノ′ヽ､__　　 ∪ 　 　 　 　 　 ,; 　　＼　,rｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ｡(（-‐）　 ;;;;;;;;;;;)::｡　i'′⌒　、　ヾ　　　　　ヾ｀ヽ　ヽ
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　　　　 ／ ;　　゜　　　　　 °　 ＼_　　　　　　　　　は……っ
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　　　　!　u.　_ノ′ヽ､__　　 ∪ 　 　 　
　　　　ゝ｡　(●）;;;;;;;(ー)::｡　i'′⌒　
　　 　（　ヽ'"＿___　＿'__ ,､ヘ,__-―



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　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ヽ　 ､／ 　　 ＼　　))
　　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（＝）　　U　＼　　　う、うーん……
　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　 __`___　 （;;;;;#　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　＼　 ｀ー};;;} て;;;;;;　　／　　　 もしかして気絶してたんですか、私は。
　　　　　　　　　　 　（（ 　 　 i　　　　　　　　　⌒＼.
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　 i'　　 　 　 ゝ､_　 ＼　　いったいどうして……
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　 |　　 　 　 ＿/　 ／

.

　　　　　　　|　　'　 　
　　　　＼､_ﾉし/／＿＿＿＿
　　　　　_）r'⌒ ／　　　　　　＼
　　　　　　　`　ゝ 　　 _,ノ　　　 ＼　　　　　あいたっ！？
　　　　　　　　（＞）　 （● ） 　 u.　＼
　　　　　　　　| 　　_'_____　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　 ＼　V＿__}　　　　　 ／
　　　　　　 　　　|　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　,- ,- ,-、
　　　　　　　　　　　 　　 ;　-　∪∪∪-⊃、
　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　／ ;　　　　　 　 　 　 　 ヽー''⌒´⌒｀ヽ、　　　　　　いつつ……コブができてますね。
　　　　　　　　　　 l　　U　　　 　 　 　 　 　 　 l　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　 　　　　 ; 　/⌒゛`　　　　　　 l　　　　　どうやらどっかにぶつけたらしい。
　　　　　　　　　　 !、　　＼_};　{,＿ノ´　 ∪ |　　 　 ,　　　　　 |
　　　　　　　　　　　 ヽ、(（ー）　　（●） ):　　|　　 　 |　 　 ,　　.!
　　　　 　 　 　 　 　　 ヽ　 　_´＿　_　_ , ノ |　　　　|___,ノ　　 |
　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　 |　　　　　|　　　　|　　　　 ,lー─- 、
　　 　 　 　 　 　　　　　　　　　 　 l　　　 　 ,|　　　　|　　　,／　）　 　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＼ノ＾ノ^／⌒ヽj＼　　 ／＾ー-‐'
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　（＿(_イ_,イ、_,ィ'´__/ ￣

.

　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／　　 ヽ､_ ＼
　　　 ／（● ） （● ）　＼　　　　　えっと……ちょっと確認してみましょうか。
　　／:::　　__´__　　　::::::　＼
　　| 　ｌ^l^lｎー'´　　　　　　 |　　　　私の名前は、できる夫・パーソック。
　　＼ヽ 　 L　　　　　　　 ／
　　　　 ゝ 　ﾉ　　　　　　　　　　　　 31歳の電気工学者で、学位は修士と。
　　　／ 　 /


　　 　 　 　 　 　 　 ___
　　　　　　　　　　 〈＿〉
　　　　＿＿_ 　　 　 ||
　　　 |iＴｴ┌―┐　[.;]　　 　 　 　 　 　 　　 　 　
　　||二二 _|　 ...:|　二二||　　　　　　　　　　　　　
　　||:::::: . (..,,_＿ﾉ '::|　｡. ||　　　　　　　　　　　　　　　ここはレオノーラ･クリスティーネ号のキャビンですね。
　　||::::::.:::......∥....:::├‐::::||＿＿＿＿＿＿＿
　　||::::::.:::⊂≡⊃;..├‐::::||　　　　　　 　 ,..- ― ―　　乙女座ベータ星への恒星間飛行に出発するところです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ　　.,_　´_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （.′,'　　　　　　相部屋はジェイド・スカリエッティ博士。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　ﾉ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ　　ン　　……もう部屋には入ってるんでしょうか。

.

■レオノーラ・クリスティーネ号　客室図解

　┏━━━━━┯━━━┳━━━┯━━━━━┓
　┃┌───┐│　 クローゼット　 │┌───┐┃
　┃│デスク..│└───┼───┘│デスク..│┃　　まぁ、相部屋といっても、
　┃└───┘　 　 　 　 │　 　 　 　 └───┘┃
　┃　 　 ○　 　 　 　 　 　 │　　　　　　　　　○　 　.┃　　中央のシャッターで通常は個室×２になってるんで、
　┠─┐　 　 　 ┌───┼───┐　 　 　 ┌─┨
　┃多│ 　 　　 │　 　 　 │　 　 　 │　 　 　 │多┃　　プライバシーは確保できますがね。
　┃機│ 　 　　 │　 　 　 │　 　 　 │　 　 　 │機┃
　┃能│ 　 　　 │ ベッド │ ベッド │　 　 　 │能┃　　ちなみにシャッターを上げた状態だと
　┃棚│ 　 　　 │　 　 　 │　 　 　 │　 　 　 │棚┃
　┃　 │ 　 　　 │　 　 　 │　 　 　 │　 　 　 │　 ┃　　ベッドをスライドさせてダブルにする事もできます。
　┻━┫　 ┣━┷━━━┻━━━┷━┫　 ┣━┻
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あからさまですよねぇ。いろんな意味で。
　　　　　　　　　　　　　　 廊下
　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　
　　※シャワーとトイレは配管の都合で共同です。廊下の壁にはダストシュートあり

.

　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 ＼
　　　.　　　　　／　＿,ﾉ　　⌒　＼
　　　　　　 ｌ^l^lｎ　 （●） 　（●）　＼　　　　 とはいえ50人という小さな村で、
　　　　　 　ヽ 　 L　　 ､　｀　　 　 　　|
　　　　　　　 ゝ 　ﾉ　　 ￣￣　　 　／　　　　５年にわたってそういうのと無縁でいるってのも不自然ですけどね。
　　　　　　／ 　 /　　　　　　　 　　＼
　　　　 ／　　 /　　　　　　　　　 　 　＼　　 そもそも、あちらへの定住と繁殖は私たちの目的のひとつですし。
　　　. /　　 　/　　　　　　　　　-一'''''''ー-､.
　　　人＿＿ﾉ　　　　　　　　(⌒＿(⌒)⌒)⌒))



　　　　　　　＿＿＿
　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　／ 　ノ '　　ー‐ ＼　　　　とりあえず、おおまかな記憶は大丈夫かな。
　　 ／　　（●） 　（●） 　ヽ
　　 |　　 　 　 　 '　　 　 　 |　　　次は、部屋に入るあたりから思い出していってみましょう。
　　　ヽ、　 　 ‐‐-‐　 　 ／
　 　 ／ 　 　 　 　 　 　 ＼


　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　えー。

　　　　　　　　　まずシャトルで、護衛官のやらない夫・ヴィップデーと一悶着ありました。

　　　　　　　　　その後、彼に手を引かれてこのキャビンまで連れて来てもらったと。
　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

│|　　| 　|　|　 　 　　　　[11]　　 　 　 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　 [12]　　　　　　　　
│|　　| 　|　|　 　 〔 [ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ] 〕　　　　 　 　　　　　　　　　〔 [ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ] 〕　　　
│|　　| 　|　|　 　 .＿＿＿＿＿＿＿　　　　 　　　　　　　　　　.＿＿＿＿＿＿＿　　　　
│|　　| 　|　|　 　 |＼ －－|－－ ／|　 　 　.　　　　　　　　　　|＼ －－|－－／ |
│|　　| 　|　|　 　 |＼ ＼－|－／ ／| 　 　 　 　　　　　　 　 　 |＼ ＼－|－／ ／|　　　
│|　　| 　|　|　 　 |≡＼ ＼|／ ／≡| ＿　　　　　　　　　　　　.|≡＼ ＼|／ ／≡| ＿　
│|　　| 　|　|　 　 |≡≡〉...◎]〈≡≡| |iﾖ|　　　　　　　　　　　　|≡≡〉...◎]〈≡≡| |iﾖ|.　
│|　　| 　|　|　 　 |≡／ ／|＼ ＼≡| |iﾖ|　　　　　　　　　　　　|≡／ ／|＼ ＼≡| |iﾖ| 　
│|　　| 　|　|　 　 |／.／－.|－＼ ＼|　　　　 　　　　　　 　 　 .|／.／－|－.＼ ＼| ￣　
│|　　| 　|　|　 ≡|／ －－|－－ ＼|≡　　　　　　　　　　　.≡|／ －－|－－.＼.| ≡ 　
│|　　| 　| ./￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
│|　　|＿|/　　 　 　 　 　 ▲　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ノ　､　、
│|　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　● ●） l　　はい、到着っと。
│| ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-　－、 　 　 （人__）　|
│|/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○) ○） ヽ,　　ヽ　 　 ノ　　　　 - ──===ニニニヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｵｳﾌ ､-'-　　ノつと　　　 ￣につ　　　　　 ──=== _,,..-'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⊂　　 　 /i ゝ /　　　〈￣　　　　　　　 _＿_,,..-‐''　‐''ニヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 〈´ 　/―――――‐==＝ニ-―‐ ‐''"´　_,,..-'　ﾞ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈_／ 　ヽ_〉　(__/　　 　ヽ_,）　　　　　　　_＿_,,..-‐''"_,,..‐'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――‐==＝ニ-―‐ ‐''"´

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥
　こんな感じで。

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━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （● ）　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|　　　　ざっとこんなもんだ。
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |　　　　違いはわかってもらえたかな？
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r　
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }



　　　　　　　　　 　　　　 ., - ―===- .、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　 　　　 ＼
　　　　　　　　　　　j　　　　.:.:::::::::::::::＼_j　　　＼
　　　　　　　　　　　|　　　.:.:::::::::::::::::::r‐ﾐ'/⌒} 　 ヽ　　　えーえー、認めますよ。
　　　　　　　　　　ノｲ　　　　　.:.:.:.:.:.: }　ﾉ　_ ﾑ　　.|
￣｀ヽー- ､ __ ／了|´　　　　　　　／ノ　 　 ヽゝ .|　　　確かに私の見識が甘かった。
.ヽ:..:..:..丶:..:..:..}:..:..::|　|　　　 　　　/　　　　　　　{　|
:..:..l:..:..:..:..:..:..:..!:..:..:..|　 l　　　　く｀{　　　　　　　　i .|
:..:..:l:..:..:..:..:..:..:l:..:..:..:.|　　l 　　　｀ｿ＿　　　　　　 }_/　　　てか、人間の出す速度ですか、あれが。
ｰ..､｀ヽ:..::..::/..:::.::.::.:.l　　 ヽ ＞≦--.､ヽ　 　 　 /
二:..ヽ:{:..:.::.:＞ー::´::|　／ｸ′:..:..:..::.::.＼ヽ　 ／　　　　　
::.::.::.:ｰヽ::.::|::.::.::.::.::.::.|^>':..:..:..:..:..:..::.::.::.::.:ヽV
::.::.::.::.::.:{::.::.:l::.::.::.::.::／:..:..:..:..:..:..::.::.::.::.::.::.::.ヽ〉

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　　　　 /: : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
. 　 　 / : : : 　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ　　　　　　それと、えらく頭がふらつくんですけど、なんですこれ？
　　　 | : : : : 　,.r-===='　　 ヾ＝⌒　　　 l
　　　 |: : : ::;　　（　○ ）　　　（　○ ） .;::　|　　　　　　乗り物酔いに似ているような……
　　　 |: : : : :　 　 ´"''"　 　 　 "''"´ 　 　 l
　 ,＿ ヽ___　　　　　　　　ゝ　　　　　　 ／＿_　　
／::　r' |　r'￣二ﾕ　　 --､__　 　 　 ／ : :: :: :`:､＿_
: : : :::| .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　 　 ／: :.ﾍ : :: :: :: :: :: :＼＿_
　: :　|.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿ 　_　 ,　´　|: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: ::＼　　　　　　　　　`ト､　　　/: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: :l: ｀ー┬-､　 　 　 |ii入　／|:: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : :┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iiii〈　 　 |: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: :イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiiiiiii｝ 　　| : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!



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　　　　　　　　 　 　 　. │　　　（ ●）（●）
　　　 　　　　 　 　 　 　 |　　　　　（__人__）　　　無重力状態だと、慣性が十全に働くからな。
　　　　　　　 .　　 . 　 　 |　　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　　　 }　　　　三半規管もぶん回されて負担が大きい。
　　　　　　　　　　　__,ノ ヽ.ヽ　　　　 　 }゛
　　　　　　　ｙ彳　";;;;;;ヽ　 ヽ'ヽ　　　ノ　　　　　 薬はいるか？
　　　　　／　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';, ヽ.　::::::>/
　　　　/　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';,`ヽ/ヽ、
　　　/　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　,.ｒ`i　ヽ、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いえ、それほどでは」＞
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　／::iヾ;;rｧ /
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'"',　 `!;;ﾉ! ﾄ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　 ,';;;;|i,.!;;;ヽ.
　　　|　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'';;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;ヽ,
　　　　　　;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

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━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　 　 （●）（● ）　 　 |
　　　　　　　　　　　　 　 （__人___）　　 　 | 　　　　　　　　　　じゃあ、俺はシャトルに戻るだろ。
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　 　 　 ｜　　　　　　 ｜　　　　　　　　　　あんたの荷物はドアの脇に置いておくから、
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　 ／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__　　　　　放送があるまでは……
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　 ／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　 　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ



　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　 　　　 　／⌒　 ー､＼
　　 　　　　　／（ ●） 　（●）＼　　　　　　　　　ええ、せいぜいおとなしくしてますよ。
　　　　　　／::::::　　__´___　:::::::　＼.
　 ｃー､　 |　　　 　|r┬-/ ' 　 　 　|⌒,一っ
　,へ　λ　＼　　　 `ー‐' 　 　　 ／　入　 へ、
<<<／ヽ　 　 　 　　 　 　　　　　 　 　　/＼）））


━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

.

.　　　　　 　 ／￣￣￣￣￣￣＼
.　　 　 　 ／:.　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　 /: : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼
. 　 　 / : : : 　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ　　　　　　と、こんなやりとりで護衛官と別れたんですよね。
　　　 | : : : : 　,.r-===='　　 ヾ＝⌒　　　 l
　　　 |: : : ::;　　（　○ ）　　　（　○ ） .;::　|　　　　　　それから手荷物を、部屋に入れようとした。
　　　 |: : : : :　 　 ´"''"　 　 　 "''"´ 　 　 l
　 ,＿ ヽ___　　　　　　　　ゝ　　　　　　 ／＿_　　
／::　r' |　r'￣二ﾕ　　 --､__　 　 　 ／ : :: :: :`:､＿_
: : : :::| .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　 　 ／: :.ﾍ : :: :: :: :: :: :＼＿_
　: :　|.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿ 　_　 ,　´　|: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: ::＼　　　　　　　　　`ト､　　　/: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: :l: ｀ー┬-､　 　 　 |ii入　／|:: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : :┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iiii〈　 　 |: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: :イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiiiiiii｝ 　　| : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!

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━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　　　　　　　　　　　　　　　　　　V　　 _{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }、　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　｀、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　'; 　　r、} 　　　　ググッ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾍ_､ 、　ト､ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ,. =====ゞ　二ﾆ＝く "=====、-、
　　　　　　　　　　　　r￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ｉ::||:|
　　　　　　　　　　　　|: ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , :i::||:|
　　　　　　　　　　　　|: , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' :i::||:|
　　　　　　　　　　　　|: ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , : ' : , :i::||:|
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　　　　　　　　　　　　｀ｰ──────────ｰｰ´-´


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　／ノ　　( ●)　　 ＼　 ・
.｜ ( ●)　 ,　　 　　　|　　　　　　あれ、持ち上がらない。
.｜　　　　　　　　 　 /
.｜ 　　　　　'~　　　/　　　　　　　いろいろ詰め込みすぎましたか？
　＼＿　　　 ⊂ヽ∩＼
　　　/´　　 　 (,＿ ＼.＼
　 　 |　　/　　　　　＼＿ﾉ


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│|/　　　　　i|.|　l　　　.／丿　　　　　ふんぬっ！
　　　　　　　　Ｇヾ　 ／ ／.| |i　　
　　　　　　┌─==.⊂┐　丿　
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　 キャビン　　.┃　　　　　　　　＼＼　 -'-ノ　ﾍﾞﾘｯ?　　l 　
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　　　 　ソ　　　 》　　 　 　 　 }　
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━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　　　　　　　　　 移動しようとする力＝荷物に加わった力
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　＿＿＿＿　 ←──-　、
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　|　 　 　 　 |　　　　　　　 丶、
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　|＿＿＿＿| ノ　ヾ　　　 　 　ヽ 　
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　└∩/ 　（○ ●　　 　 　　
　 キャビン　　.┃　　　　　　　　＼＼　 -'-ノ　　え、え？　何ですか、これ。荷物に引きずられる？
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　　　 　ソ　　　　ｿ
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　　　　　ヾ 　 　 〈　
　 　 　 　 　 　 ┃　　　　　　　　ﾌﾜｯ　`ヽ_)ヽ_）↓静止しようとする力＝床に押し付けられる力≒０
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ニリｺ＿＿|＿＿＿|　 |＿＿＿＿＿|:.:.:.:.:.:.:.lｌ:._ ||r───(ヽ＿＿
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ﾍヽﾆ◎　　　　　　　　　　 　.／￣￣￣＼　 　 .||　|.＼　 :::::::::::::::::::::::::::
　◎　　　　　　　　 　 　　／　　_ノ 　 ヽ､_＼　 .ｌ|_,,|
　　　　　　　　　　　　　 /　　　（○） 　（○） ヽ ｎ /＾,　　　なっ、ちょおっ！
　　　　　　　　　　　　 　|　 　 u 　___´___　　 　| ｌ　 .＾－
　　　　　　　　　 ζ＾ヽ　＼　　　 |　　　|　 ／ ゝ　 え 　　落ちる！　後ろに落ちてるううう！？
　　　　　　　　　　 ヾ　ど,　　　　　￣￣　 　 ￣ 　／　　
　　　　　　　　　　　　｀´￣ヽ　　　　 　 　 ーー'　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　 >　　　　　　〈＿__　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　へ　　　ｆ　　 ヽ　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　 __,∠　　 ／　　　＼ ｌ　　　/　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　／　 ／　　 〈、　　　／　　　　　　`ー ’　　　　　 ＼ 　 　 .＼
　　　 ／　 ／　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 　　＼　 　　＼
　　／　 ／ 　／　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 丶　 　 　　＼ 　　　＼
　　　 ／　 ／　　　/　　　　 /　 　 　 　 |　　　i,　　　 　 丶　　　　　＼　　　.＼
　　／　 ／　　 　 /　　　　 /　　　 　 　 |　　　 i,　　　　　　丶　　　　　＼　　 　＼
.／.　 ／　　　 　 /　　　　 /　　　　　 　 |　　　　i,　　　　　　　丶　　　　　＼　 　　＼
　　／　　　　 　 /　　　　 /　　　　　　　 |　　　　 i,　　　　　　　　丶　　　　　＼ 　　　＼
..／　　 　 　 　 /　　　　 /　　　　　　　　|　　　　　i,　　　　　　　　　丶　　　　　＼

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┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　　　　　　　　　　　o
　　　　　　　　　　　　ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;,　　　　　　　　　　　　　　 。
　　　　　　　　,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼　　　　　　,,,,,,,,　o　　／
　　　　　　　　"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从　　　　（;:;:;:;:ヾ-r
　　　　　　　　　　　〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:）　０　　ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
　　　　　　　　　　,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ　　　　 ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
　　　　　　　　　　(;:;:ノｒ-´^~;;r-ー⌒｀　　　　,.、
　　　　　　　　　　"　　,,,,　　　　　　_;:;:⌒ゝｿ;:/
　　　　　　　　　　　　（;:;:丿　　　　（;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ;;;;;;;;;;;;/;　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　/;:ﾉ　。　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（）

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

.

　　　　　　 ． ─―─‐ 、
　　　 　 , "　　　 　 　 　 ＼
　　　　/　　　　　　　　　　　＼
.　 　 /　　　　　 　 ＿／::::::＼_ヽ
　 　 |　　　　　 　 　 　 ::::::::::::::　:..　　　　あー。思い出した思いだした。なんとなく事情もわかりました。
　 　 |　　u　　　　（　ー):::::::::( ー)
.　 　 ＼　　　　 　 　 　 　 ´　　 /　　　　そういえば宇宙港を出るとき、ＣＡの人に言われて
　　　　 ,＼ 　 　　　　　` ｰ‐‐／
　 　 ／　　` ｰ─　　 　 　 　 ＼　　　　　カバンの底に両面テープ貼ったんでした。



　　 　 　 　 ＿＿__
　 　 　 　／　　 　 ＼
.　　 　／　　　ノ ' 　ヽ＼
.　　／　／）（ー）　（ー）u＼　　　それを忘れて強引に持ち上げたもんだから、
　　|　／ .ｲ　　　　' 　 　 　 |
.　　 /,'才.ﾐ).　　⊂つ　　／　　　　床が反作用を吸収しきれずに身体が浮いてしまったんですね。
.　　 |　≧ｼ'　　 　　 　　＼
　／＼　ヽ 　　　　　　　　　ヽ　　で、肩関節の構造上、頭上で後ろ方向の力に引きずられたと。

.

　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　　／　　 ノ　　 ヽ＼
　　 　／　　 （ ー） 　（ー）＼　　　後頭部のコブは、たぶん机の端か角にぶつけたんでしょうね。
　 　 ｜　　　　| | ___´___| |　 |
　 　 　　、 　　| | `ー '´| |／　　　恥ずかしすぎて涙出てきましたよ。
　　 　　ノ　 　 | |　　 　 | |＼



　　　　 ＿＿＿_
　 　 ／ ⌒　　⌒＼
　 ／　（●） 　（●）＼　　　　ま、誰にも知られなかったなら無かったも同然。
／　　 　 　___′_　　　＼
|　　 　 　　|r┬-|　　　　|　　 気を取り直して……
＼　　　 　 `ー'´　　　 ／
_ノ　　　　　　　　　　　＼

.

　　 　 　 　 　 　 　 ___　　　　　　 ,　-- 　、
　　　　　　　　　　 〈＿〉　　　((　/ 　 　　 ヽ
　　　　＿＿_ 　　 　 ||　　　　　　ゝ　 　 　ノ　　　……って、あれ？
　　　 |iＴｴ┌―┐　[.;]　　 　 　 （|　　 　 |） 　 　
　　||二二 _|　 ...:|　二二||　　　　 |　 　　 |　))　　　
　　||:::::: . (..,,_＿ﾉ '::|　｡. ||　　　　 し　 　Ｊ　　　　　　　
　　||::::::.:::......∥....:::├‐::::||
　　||::::::.:::⊂≡⊃;.├‐::::||　　　　　　 　 ,..- ― ―　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ　　.,_　´_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （.′,'　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　ﾉ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ　　ン　

.

　　　　　　　　　　　 ｌ⌒l
　　　 　 　 l⌒ｌ　　　|　 |
　　　　　　 ',　',　 　 | 　|
　　　　　　　',　＼　 |　 |　　　, -､　　　ふんぐぐぐ……！
　　r- ､ 　 　 ＼　 ｰ'　 ヽ　 / 　/　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／
　　 ＼ ｀ ｰ-　_,ゝ　　　　 ｀ﾌ　 /_ ＿_　　　　　　　　　 　 　 ／
　　　　　 ー-､　　　 _　 ／　　〈　｀ヽ　　　ヽヽ　　　　　　／
　　 r―――'　　 ／　/　 　 　 l　　 |　　　　　　 　 　 ／　　
　　 丶-----く　　　　　　 　 ／ 　 /　　 　 /　　　 ／　　　　　　　　 　 /;
　　　　　　　　 ＼　　　　 ／　　 ∠ ＿ ｨ／　　 ／　　　　　　　　　　　/;;:　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ー一' ￣￣　￣　　　　　／　　　　　　　スカッ　　i;;::　　　　　　　　}.
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　_.　　　 　 　 |;;: 　 　 　 　 　 j;:
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　,√: :` ‐- ､_ 　 {;;　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　/: : : : 　　　　｀ヾ'' 　 　 　 　 ／
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　／　 ,ヶ: : : . 　　　　　　　　 _ｲ'ﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 (　 ／/　: : : : : .　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ彡'ﾞ　　,／: : : : :　 　 　 , 'ﾟ　　　スカッ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y_　,.／　: : ; : : :　　 ,／
｀゛¨ '' ‐-　...,, _　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　气__,.斗'": : , :- ‐'´
　　　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, _　　　　　　　　　　　　　 弋;: *''"ﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, _
　　　　 ｀ヽ.:.::::::::::::丶　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, _
　　　　　　∨.:::::::::::ハ　：　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, _
　　　　　　：∨/.:::::::::::}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, _
　　　　　　　　V.::::::::::::::ヽ
　　　　　　　 〈.:::::::::::::::::::}　　　　　うぬぬぬぬ
　　　　　　　：Y.::::::::::::::入
　　　　　　　　 ｀ ー=≦∨〉
　　　　　　　　　　}主}｀ヽ/：：
　　　　　　　　　　ｊ主ｊ_ ,ﾉ|
　　　　　　　　　/ー‐ヘ.ﾉ
　　　　　　　　：{ー‐彡'
　　　　　　　　　 ￣　　　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

.

　　i|!| |i┏┓! i!┏┳┓| |||i|!i| ||!i|| |||ii| ||| ||| |i||!|i│i!┏┓i!|
　　|i|┏┛┗━╋┻┛|i!||!|ii|| i|!i||i|┏━┓ ┏┓i|i| i┃┃i!|
　　i||┗┓┏┓┃||i┏━━━━┓┗━┛ ┃┃|i||!i┃┃i!|
　　|i |!|i┃┃┃┃i||┗━━━━┛|i|| || ||||!┃┃i|i| i┗┛!i|
　　i||i ||┃┃┃┃|! |||i ||i　　　　!|||!|┏━━┛┃|i||!i┏┓i|!
　　|i!i |!┗┛┗┛i|!i|　 　　　　　　　┗━━━┛i|i| i┗┛i!|
　　i| |||i|!i| ||!|i||i!　　　　＿＿＿_　 　 　 　 |!i| ||| |i||!|i|i|||| ||i
　　|i|| ||i!i||　　　　　 ／ノ 　 ヽ､_＼　　　 　　 　! | |!i||!|ii||!|ii|　　　手も足も届かなーい！
　　i|ii　　　　　　　／（ ○）}iil{（○）＼　　　　　　　　　 　i|i!|i|
　　|i　　　　　　／　　　 　__´___　 　　＼　　　　　　　　　　 |i
　　!.　　　　　　|　　　ヽ　|!!il|!|!l|　/　　　|　　　　　　　　　 　|
　　i　　　　　　 ＼　　　　|ｪｪｪｪ| 　 　 ／　　 　 　 　 　 　 　ｌ



　　　　 　 　 　 ＿＿＿_
　 　 　 　 　 ／　　　ｕ　＼
　　　　　：／　　＼　　 ／ ＼：
　　　 ：／　Ｕ　（＠）　 （＠） ＼　　　ちょちょちょ、どういうことですか、これ！
　　　　|　　　　ｕ　　__´,_　　Ｕ　|：
　　　 ：＼ｕ　　　　./__/　　　／：　　　なんで空中で静止してるんですか？
.　　　　ノ　　 　 /　）ヽ　　 　＼
　　　(　 ＼　 ／__ノi　）　 　　　)　　　無常量状態では慣性が100％働くから、
.　　　＼　　ﾞ　 ／　 ヽ　ヽ /　/
　　　　　＼_／　　　　 ＼＿ ﾉ　　　　延々と壁なり天井なりに反射し続けるんじゃないんですか！？


※船体への作用や、壁材の衝撃吸収などで運動エネルギーが消費されるので、そうはなりません。

.

　　　　　　　　　　(ヽ三/)　））
　　　　　　 ＿＿＿ ( i)))
　　　　 ：／::::::::::::::::＼： ＼
　 　 ：／　⌒三 ⌒::::::＼　）
　　／　（○ ）}ililli{（○ ）::＼：　　　　まままさか、誰かが様子を見に来てくれるまでこのままだとか？
　：|　　///　 __´___::::///:::::|　
　　＼ 　　 　 `ー'´::::::::::::／　　　　 トイレとか行きたくなったらどうするんです！
⊂ヽ γ　　　　　　　　　ヽ
i !ｌ ノ　ﾉ　　　　　 　 　 　 !　　　　　
⊂ｃノ´



　　　　 　 　 　 ＿＿＿_
　 　 　 　 　 ／　　　ｕ　＼
　　　　　：／　　＼　　 ／ ＼：
　　　 ：／　Ｕ　（＠）　 （＠） ＼　　　って、落ち着け落ち着け落ち着け！
　　　　|　　　　ｕ　　__´,_　　Ｕ　|：
　　　 ：＼ｕ　　　　./__/　　　／：　　　訓練した中に、こういう非常時への対処法もあったはず！
.　　　　ノ　　 　 /　）ヽ　　 　＼
　　　(　 ＼　 ／__ノi　）　 　　　)　　　そうだ、研修時のノートが鞄の中に……
.　　　＼　　ﾞ　 ／　 ヽ　ヽ /　/
　　　　　＼_／　　　　 ＼＿ ﾉ　　　　

.

　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　　　　 ／　　　　 　　　＼
　　　　　　／　　　　 ー　!!　ー ＼
　　　　　 .|　　 　　 （　・）}ili{（・ ）　|　　＿＿　　　あったあった。
　　　　　　＼　　 　　　　 /￣￣⌒/⌒ 　　/
　　　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/　　　 えーと、何々。
　　　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)
　　　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)

┌─────────────────────────────────────┐

　　■無重力において、最優先に注意すべき事

　　　　靴の裏にボンドソールを用い、吸着力を生かした歩き方を心がける。

　　　　手すり、ガイドロープがある場合はつかまり、絶対に手を放さない。

　　　　滞留時は命綱を最優先で、できるかぎり重心に近い場所に結わえ付ける。

　　　　浮遊した際は、冷静に自分の移動している方向と、障害物への距離を確認する。

　　　　自分で対処しきれない場合、即、他人に助けを求める。

└─────────────────────────────────────┘

.

　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　　　／　 　 　 ＼
　　　　　　　 ／:::－::::::::::::－:＼
　　　　　　／　（○ ）::::（○ ）::: ＼　　　　　　　　　　ボンドソール……というのは、
　　　　　 .|　　 　:::::__´＿:::::::　　　|　　 ＿＿
　　　　　　＼　　 :::::￣::::::/￣￣⌒/⌒ 　　/　　　　鞄に貼り付けた両面テープの靴底版ですね。
　　　　　　（⌒　 　　　　/ 　　　　/　 　 　/
　　　　　　i＼　　＼　,(つ　　 　 /　　　⊂)　　　　　今そんなこと言われても困りますよ。
　　　　　　| 　＼　　 y(つ＿＿./,＿＿⊆)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　手すりもガイドロープもここにはない。次は命綱。命綱は……


　　　　　　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　 　／　　u　　 ⌒　 ＼
　　　　　／ 　　　　 u （○）　　＼
　　　　　|　 　　　　　　　　　__´_ |
　　 　　 ＼　　　　u　　　.｀`ー／
　　　　　ノ　　　　　　　　　　　＼


　　 　 　 　 　 　＿＿＿
　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　 　／ノ　　＼　　 u. ＼
　　　　　／ （○） 　（○） 　　　＼
　　　　　|　 　　__´___　 　　u. 　　 |
　　 　　 ＼　u. `ー'´ 　 　　　　／
　　　　　 ノ　　　　　　　　　　　＼


　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　 || 　　　　　　　　　　　　　.|||　　　　　　　　　　　　　||
　　　　　　　　　　 ||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||
　　　　　三三三　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||
　　　　　三三三　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||
　　　　　 Rope 　 ||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||
　　　　　┏┳┓　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||　 ＿
　　　　　┃§┃　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||　 |iﾖ|
　　　　　┃§┃　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||　　　　　　　　　　　　　||　 |iﾖ|
　　　　　┃§┃　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||.　　　　　 　 　 　 　 　 ||　 ￣
　　　　　┃§┃　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||.　　　　　 　 　 　 　 　 ||
　　　　　┗┻┛　||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||.　　　　　 　 　 　 　 　 ||
　　　　　　　　　　 ||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||.　　　　　 　 　 　 　 　 ||
　　　　　　　　　　 ||　　　　　　 　 　 　 　 　 |||.　　　　　 　 　 　 　 　 ||
　　＿＿＿＿＿_. ||.─────────_|||_─────────

.

　　　　　　＿＿＿_
　　　　 ／ノ 　 ヽ､_＼　　　　r ⌒j
　　　／（ ○）}liil{（○）＼ 　 / 　 /
　 ／　　　 ＿'＿_　 　 　ヽ/ 　 /　　／　 ）　　　　　あったー！　ってドアの脇じゃないですか！
　|　　　　　|i|||||||i|　 　 　/　　/　 ／　 ／
　＼ 　 　　|ｪｪｪｪ| 　 　 /　 　'` ´ 　／　　　　　　　【無重力での入室時には、最優先！　注意！】
　　　r´　　(⌒'ー―- イ′　　　　　´廴
　　/　　　 ＞ 、　　　　　ヽ　　　 　 _　￣￣￣)　　せっかく赤字で目立つように書いてくれても、
　/　　 　　　　 -､　　　 　 } 　 　 　 　(　￣¨´
/　　　 　 　　　　　ヽ._　　　　　　　__　 ＼　　　　　死角にあったら意味ないでしょうが！！
　　　　　　　　　　　　　｀　　　--‐'´　｀ﾞ' 、_.)


　　　　　 　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　 ∪ 　＼
　　　　 　　γ⌒)　ノ三三三ゞ(⌒ヽ　　　　　　あああ、移動方向や壁との距離も、止まっていては意味が無い。
　　　　　　／ _ノ　（＞）三（＜） ＼ `､
　　　　　（　 <:::∪::::　　__',__::::∪| 　）　　　　　となると、もはや助けを求める以外の選択肢が……
　　　　　 ＼　ヽ ::∪:: `ー'´∪::／／

.

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿ _
　　　　　　　　　　　　／　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　／　　　　　　　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　/　　　 _　　　　　　 　　　　　丶
　　　　　　　　 l　　　 ﾉ }　　　　⌒＼　　 /⌒　l　　　　心配御無用。
　　　　　　　　 |　　　/ .ﾊ　::;;（　　●）　　（ ●）|
　　　　　　　　.l　　 // .ﾑ-,..,.　´"''"　　,　"''"´ l　　　　みんな、無重力状態での行動は訓練してますよ。
　　　　　　　　 ＼ ヽ!　'　'　! ヽ　　､__ ,_,　　　／
　　　　　　　　　　|ﾌ入　　　　 l　　　　　　 ／
　　　　　　　　　 ,ヘ　ﾍ　 　 　 ト　､ ＿ ､´
　　　　　　　　／ 　 ヽ ',　　　　jｧ /　/ !　ヽ　ﾄﾞﾔｧ
　　　　　　／　　　　　/ゝ..＿..ﾉ｀Y Y　/ 　 }
　　　　 ／ ,..........　　 　', 　　　 　 ｌ}_|./　　 j
　　　 /, '´　　 　 ｀ヽ　 ﾊ_　　 　ノ 　ｌ　 　/

━ 　 ━　┳━┳━┳━┳　 ┳━┳━┳　 ┳━┳━┳━┳━┳━　 ━┳━┳━　　　 ━　　━　━
┻━┻━┻━┻━┻　 ┻━┻━┻　 　 ━┻━┻━　 　 ┻━　 ━┻　 　 ━　 ━┻━　━　…‥

.

　　　　　　 　 　 ＿＿＿
　　　　 　 　 ,／　　 　 　＼
　 　 　 ,,---､　　　ノ　　ヽ､＼　― 、
　 　 　 l　　　ｌ　（ ○）}liil{（○）＼　 |　　　わーっわーっわーっ！
　 　 　 |　　　|　　　＿´＿　　　 |　 |
　 　 　 |　　　|　ヽ　|!!il|!|!l|　/／　 /　　　あんなこと言った手前、助けなんて呼べるわけないじゃないですか！
　　　　 ゝ　　　　　 |ｪｪｪｪ| 　 　 ／
彡　　　　＼　　　　　　　　　 ／　　　　　 出発前からオミソ扱いのボッチ確定とか地獄すぎますよ！
　 　 彡　　/　　　　　　　　　 |
　　 　 　 ./　 　 　 　 　 　 　 |



　　　　　　 ,.　-―- 、
　　　 　 ／　 　 　 　 ＼
　　　 ／　 -‐　 　 ‐- 　＼
　　　i　　::（◯）ililili（◯）::: ヽ　　　　とはいえ、現実問題として身動きとれませんからねぇ……
　　　{　　 　 　　｀　　　　　 }
　　　 ゝ　　　`‐‐--　　　ノ　　　　　どうしましょう、マジで。
　　　　 ＞ー　　　　　　　ゝ､
　　 /´　　　　　　　　　　 　 ヽ
　 　l　　　 i　　　 　 　 　 l　　i
　　.l　　　 l　　　　　　　　.l　　.i
　　l　　　 l　　　　　　　　　l　　.i

.

　　　┌──────────────────────────────── ──　─
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　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 ／　　_ノ　 　＼
　　　　　｜　　（ ●）（ ●）
　 　 　 　 | 　 　 　（__人__）　　　　　　　　なんだ？
　 　 　 　｜　　　 　｀⌒ ´ｌ
　　　　　 ｜ 　 　　　 　　}　　　　　　　　　着信があったような気がしたんだが。
　　　　　　ヽ 　　　　 　　}　 　 |￣|
　　　　　　　ゝ　　　　　丿　　 .|＿|
　　　　　／ 　　　　　 　 ⌒ヽ /　/
　　　　　　 　 　　　　　 　 　 / .⊂) 　
　　　　　　　　　　　　　 　 　 ￣ ノ

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　　　　　　　　　　　　　 ,,,,;;;;;;;:- = 、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　 tヽ
　　　　　　　　　　　/i , - ､　,-'",:へヾ
　　　　　　　　　　　l;j ,,r ﾆｰ､　（ f｡ｦ ﾞi
　　　　　　　　　　　 ﾞi,　f''｡ｿ ',　ヾﾞ~　 i^i　　　　　　どうした。
　　　　　　　　　　　 r'i't｀ﾞﾞ´'r',___,2　 ､.Y,
　　　　　　　　　　　　t_fi, l ,r ''ノ,.=''ゞr'' ,ハ　　　　　ステディから「こっちはもう準備万全よ」って催促かい？
　　　　　　　　　　　　　｀i,ヾｰヾﾆﾆﾆジ fヽ. ﾞi,
　　　　　　　　　　 ,.,r''"`ヽ、＿,,,,.,.,.,ノ　ヽ　ﾋｰ-､
　　　　　　　　　　ハ､,,__　 ﾞヽ　　　ヽ、　 i　 ｀ヽ ﾞiー――-- 、
　　　　　　　,.r''"~t__　　｀ヽ,.,.r‐=''ヽ ヽ、ﾉ　 ,rｦ　l　　　　　　 ｀ヽ、
　　　　　,r''"　　　　｀`ヽ,.,」´ヽ､'''('´ー--､,,.f='" ノ　　　　 (ヽ ヽ　｀ヽ、
　　　　 /　　　　　　　　,j　ヽ、 ） jﾞﾞ´i''フ_,,., ィ　　　　　　　｀ヾ、i, 、　｀ヽ、
　　　 ,/　　　　　　　　（　ヽ、ﾞY　　ﾉ｀~　　　　　　　　　　　　　ヾ､）　　　ヽ
　　　/　　　　　　　　　i`ヽ,,ﾉ`",r/´　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　i
　　 （　　　　　　　　 ,/､ﾐｰ-- '"/　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾞi, 　 　 l
　　　ヽ　　 ,,.,ｨ''"^ｰ/　 ＞-- '/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi　 ＿ヽ,
　　　　） _/　　,.r''"´　/ノ　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ├''"　｀ﾞt
　　　　l f ﾞi　/　　　,,／　　 l i,　／　 ,..、　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　 ヽ
　　　　l_j　ﾚ′ 　 /'　　 　 ,i　Y　 ／,ノ　　　　　　　　　　　　　　　　,i'　　　　　）
　　　　 l　 l　　　i′　　　　ﾉ　l,,／,.　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ　　　　　人
　　　　 lヽ,i　　　l　　　　　/　 l ,.／　　／/　　　　　　　　　　　　　/l　　　　／　 ﾞi
　　　　 i　｀i,_　 ,ﾉ　　　 ノ　　ﾉ'"　　 ／ /　　　　　/　j　　　　　　/ l　　,.ｨ"　　　 l
　　　　 ﾞi　 l｀ﾞ''ﾞ´　　,r ''　　ノ　　　 /　　　　　　　 l　 i　　　　 　 / .l一"/　　　　/
　　　　　i　 ヽ､,＿,ノー＝'"　　　 ,/　　　　　　　　l　 l　　　　　 ,l　 l　 /　　　　 /
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　　　　　　　　　　　　レオノーラ・クリスティーネ号　乗務員
　　　　　　　　　　　　　　　ビスケット･オリバ（運動生理学者）
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　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　／　　 ヽ_　　＼
　　　　　　　|　　　 （⌒ ）（⌒）
　　　　　　.　|　　　　 （__人__）　　　　期待しすぎて、着信を錯覚したみたいだ。
　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　.　 |　　　　　　 　 }　　　　 手早く済ませて迎えに行くとするさ。
　　　　　　.　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　 ヽ 　　　　　ノ
　　　　　　_,,,,ノ|､￣／/／/ ＼、
　　_,,..r''''"/　|　＼`'／　 /　 | ￣`''ｰ-､
　 / 　 　 /　 |　 ／＼　 / ／　　 　/　ヽ
　ﾉ　|　　＞　|／）::::/＼/　＼ 　　ノ　／}
　{ 　 |　{　　 | ,r":::ヽ　/ 　 /　　/　// ハ

.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿____
　　　　　　　　　　　　　　　 .,,ｒ'三ヅﾞ´￣｀｀ﾞ''･ 、.　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　.／=＝'': : : : : : : : . 　ヾﾐｯ､ 　　　　　　
　　　　　　　　　　　　 ／:: : : : : : : : : : : : : : : : : .: 　ヽ　　
　　　　　　　　　　　 ./:: : : : : : : : : : : : : :,: : : : : : : :.. 　ヽ　　　　　　　　　　　なんと、もう意中の相手がいるのか。
　　　　　　　　　　　/.!::: : : : : : : : : : : : : : : : :::‐-=‐'''ヾ　|　
　　　　　　　　　　./ﾐﾉ: : : : : : : :,,ノノ: : : .! |:::. .ｒ',ﾆ､ｯ-　ｖヽ､--─-､__＿,,　　若いとは羨ましいな。
　　　　　　　　　　!ﾐi': : : : : : : ノ''::::^ヽ: : : :.i::: :ヾゞソ´: : : ｀iヽi＿　　　　/
　　　　　　　　　　|ﾐ!: :__;,;,.r:‐彡- ､,　）ﾞ: : : ヽ: ::´: :､_: : __ヽ!ﾄ､ ￣＼ノノ
　　　　　　　　　　ヾ: : ｀ﾞ´: :/´,..ｔョ-''‐:: :::::::::: :.､‐ぅ、: : ｩ､.,ヽ:ﾍ　　　＼／
　　　　　　　　　　ヽ::: : -''´~ -‐''´::,::: .,: . . . :;!ｊ,,ｒ=ｬｯノ' ! : |::: :ヽ　　　￣
　　　　　　　　　　,ｒ‐|: : : : : : : : ／:::ゝ､入___ノ'',,ｒ‐=ﾗ,: :/: :/: : : :ヽ　　
　　　　　　　　　　!-ヽ-､: : : イ_,,='´: ｒｬ‐'ﾞ,=‐'' ´　 .丿i:: : ./;; : : : :.|
　　　　　　　　 ／｀ヽ《:ヽヽ: :m、: ｒ'ﾞ´_/´　　_,,.ィ'''´ ノ::.　|::: : : : : :|　
　　　　　　　／　　/｀ゝ､! i:::ヾ辷''ﾞ:￣｀二￣　 -‐'´:::: .　ﾉ､:: : : : : :|
　　　　　　/　　　/　　|:人ヽ､｀‐-｀: : : : : :￣: : : : : : : ／:: |::: : : : : !
　　　　 .／　　　 |　　 ヽ: :::::::｀ﾞﾞ二＝=-─ ､_: : : :__／:::::: |:: : : : : :|



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 i 　　　　　　　　　＼　　　　　　　お願いだから横入りで口説かないでくれよ。
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　 、__,ィ、　　　　　 ＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 V　 ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ 、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､丿_ ,.　　 　 /}　 ／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ヽ 、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　 ＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　 　 　 　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　 ｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._//
　 ヽ}､ .i　 { r-､　　 人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／
　　　⌒}､└i　'ト ィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{
　　 　 　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : }

.

　　　　　　なお、本人の名誉のために記しておくと、できる夫・パーソックの『遭難』は、誰に知られることもなく解決した。

　　　　　　自棄になってノートを放り捨てた事で、反作用による推進を確認。

　　　　　　以降、鞄にスーツの上下とシャツ、靴下の片方までを投げたところで、至近の壁への到達に成功したのである。

　　　　　　かくしてこの日は、恒星間宇宙船の一角でロケット推進の原理が再発見された、

　　　　　　とある一個人にとってのみ記念すべき日となった。




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　　　　　　　|| ／　　 _ノ　　＼
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　　　　　 〔ノ^ゝ　　　　（__人__）　　　あ、ブリッジか？
　　　　 　ノ ノ^,-　　　　｀ ⌒´
　　　　 /´ ´ '　, ^ヽ　　　　　 }　　　 こちらヴィップデー護衛官。
　　 　 /　　　　　ﾉ'"＼.　 ⌒
　　　人　　　　ノ ＼／,＿ __ノ
　 　/:::::＼_／l:::::::＼ｰ-.,ノ､ﾞ,
　 ,/::::::::::ﾉ::::|＿:::;､>､_ l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_

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　　　　　　　　　　　　　　　,　 　 ´ -―r〈匀}Yｰ　_
　　　　　　　　　　　　　 ／　／:::::::::,.　ﾍ≧ラ:::::::::::::＿,
　　　　　　　 　 　 　 ／　／:::::,. :::´:::;.　,-―ベ"￣　　 ｀
　　　　　　　　　　　/　 /::::::／:::;　イ　 |　　　　＼　＼　　　＼
　 　 　 　 　 　 　 /　 /:::／:::／ / 　 　|　　　　　 ヽ　 ヽ 　 　 ヽ
　　　　　　　　　 /　　|:/::::／　 :′|　　| 　 　 　　　ﾍ　　　　 　 ﾊ　
　　　　　　　　イ二 ＞r＜　　　i　 |　　　　　　　　　　,　　ｉ　　｜廴
　　　　　　< </　／ 不ヽ ヾ＼ |　 !ヽ　 ヽ　　＼ 　 　l 　 |　　｜Ⅳ
　　 　 　 　 ＼__'／ /|::|　イ／｜　＼＼　 ＼ 　 ヽ　 | ィﾊ　　ﾊ｜
　　 　 　 　 /／　 /　|::|ー'　　 |、ヽ　＼＼　 ＼　|ｌ /,.イ/ / / jﾉ　　　　はぁい、こちらブリッジ。
　　　　　　／/　 / 　 |::|　i 　 　', ＞＼"＼二 　ヽ|ﾚゞ'ｲ／ ｲ|
　　　 　 /::::/　 /　 　ｉ!::!　ヽ　　 ヽ　＞イ l!ﾉ,.｀　 　 　 7　 / |>　　　　　副長のローゼンよぉ。
　 　　　/::::/　 /　 　 /::/　　 ＼　 ＼　｀ ´ 　 　 　 　〉/ ／
　　　　　　　 /　 　 /::/ｉ　　　 |ｲ＼　＼　　　　_,. ィ ／イ i＼
　 　 /　　　...＿∠ ｲ∧　　　Ｖヘ.｀ ｰ一 　 ￣ ´/:::|　|　ﾄ　＼
ー==＝ ￣:::::::::::::::::ー―ﾍ　　　∨７`;―::＞r―‐:'::.:::|　|　|:::＞ ｀　 、
‐'"~:::::::::,. 　 -―――ベYﾍ. 　　∨ /:::.://バ:ヾ＼::.::|　|　ｌ:::.:::.:＼＿＼
:::::::::::::::/ ,. -―――- 　 ヾ;ヽ　　 ∨::.://::|::|ﾊ:::ヽ::〕 |　' /:::.:::.:::.:::.／　|
::::::::::／/ .:::.:::.:::.:::.:::.:::.::.. 　 Ｙへ　　ヽ:::辷┘| ヾーﾍV/ /:::.:::.:::.:∠ イ /

.

　　　　　　　　　　　　ｰ━ｰ-
　　　　　　　　　　 ′　　　　　＼
　　　　　　 　 　 /　　　 　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 　 /　 　_　　　　　　　|
　　　　　　　　/ 　 ／∧　　　　 　 !
　　　　　　 ,､f　　<V//∧　　　　 / 　
　 　 　 　 /　ヽ　　＼V/∧　_ﾑi ｆ　　　水銀燈か。船長は？
　　 　_.／ヽ 　 ＼　　入V/Y　i (　　　
　 ，´　　　　＼ 　＼ ﾊ_ V/ｊ　 ｀＼
／　　　　　　　ゝ.　　>､i　´　　　　i
　　　　　≧＝､　 N/､/ ｀∨　　　 j
　　 ,ｲ´　　　　 ヽ､ i　{ﾉ､. f　　　/
　 /　 　 　 　 　 ハ ヽ!　ﾍｊ　 　:ﾞ　
　/　　　　　　　　　｀，i　 /_　　.!
､j　　　　　　　　　　　ﾊ /´⌒｀ﾊ
　＼ 　 　 　 　 　 　 　 i__　　 　i
　　 ＼　　　　　 　 　 .人｀ヽ　　

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　　 ｛ilililililillilil/ﾉ　/　　 /　　　　　 ヽ ＼
　　 ｛Ⅶilililili/ﾉ　 il　　 i　　　　ヽ　　 ﾊ　',
　　　｛Ⅶil≦ｲ　　il　　.il　 ﾄ､　　 i　　　 V
　_,彡ｲ 水￣ﾐヾ=.il　　.il　 ハ　　 ﾍ　　i .il
ｲｲ　 //ハヽ　　//　　 il　 i　ﾄ　　 ﾊ　 il il
ヾ　.//　　Ⅶ_／　il　 .升　|　ﾘﾊ　il ﾘ ｲ 丿
　.Y /　　　 iliｲ.　 iﾄ　 ﾊﾄ>K彡' ｝/ ｲ.／/
　//　　　　川　　.il ヽK' ／ ｨ= /　i､ il　　　　　今は機関室、広報室、地球、月とまとめてボイスチャット中。
.//　　　　 ﾊi.l　　人｝　ィ匕r:j　　　 ｀ー,
Ⅵ　　　　 i　i.l　 .ハﾘ　　￣￣　　　　　/　　　　お仕事の報告なら、私の方で受け取っておくわぁ。
illi｝　　　　il　il　 il　il　　　　　　　　_ _ｲ
ilil｝　　　　il　Ⅵ/　ﾉ　　　　　　 - ' ﾉilﾘ
人　　　　　ヾ≧　'　　　　　　　　 / /
ilililゝ,　- -　､ ＼＼　r､＿＿＿ /i./
ィ三三三三三ミ､ヽⅦﾐ=､_
三三三三三三三ﾐ､ ＼iミﾐ､

.

　　　　　　　　　　　 ──　､　　
　　　　　　　　　 , '　　　　　 .､　
　　　　　　　　　,'　　　　　　　ｌ　
　　　　　　　　　| 　　ノ　＼　　＿　　　　　　　わかった。
　　　　　　　　　|　 (●) (●)./ ./
　　　　　　　　 ∧　(＿人_rｸ　ｆiﾍ　　　　　　　ついさっき、全乗務員の本船移乗と、
　　　　＿, ー,ｲ ｲヽ.　　_./ {__// l
　　／ 　　＜__　ｌ､,ｲ77j　i　　 ／ハｰ ､ 　　　 キャビンの在室を確認しただろ。
　,ｲ⌒｀＜ｔ＜ 　:|　.7入メ､_／＜⌒　　７
　| 　ヽ､_ Vヽ 　 i／　　ゝ､. >　　>　　i/ 　　　トラブルは何もなしだ。
　!　　⌒ヾヘﾊ／　　　　/_＞　/ 　 il/ﾊ
　ヾ 　ｒｲ￣／　　　　　//　 ／　　 i iー


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　　　　　　　　　　　　 ,. -ｰ' 二二二 ｰ- ､
　　　　　　　　　 　 ／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
.　　　　　　　　　／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 //´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
　　　　　　 　 /ﾞ::::::::::／￣￣＼　ヽ＼　 ヽ ＼::::::::ﾊ__　　　　　　　　　お疲れ様。
　　　　　　 　 !:::::::／ヽ　　　 　 ヽ　',　ヽ 　＼ ヽ>,仁》
　　　　　　＿ |::::ハ　　', 　　　 　 ｌ　} 　 !　!　 ',<ノ||＼　　　　　　　　　後は発進まで休んでいてちょうだい。
　　　　　 《ﾆﾊ_ゞ、 ＼　＼　　　　!　||　 |　|__ ||　l | ＼>
　　　　　　 ｿ|| ＼＼　＼　＼　　 | .从,ｨ匕Lィ||　| |　〈´　　　　　　　　でも、眠ったりしちゃダメよぉ？
.　　　　　　　 | ',　＼＼,.＞一ゝ,　|/ /,ｨﾁzノﾉ |　| ｌ 　|ヾ
　　　　　　　 ハ ＼　＼ｨﾁ乏ﾗﾐヾ'　　　｀￣　/ // 　 ｌ ',）　　　　,　--─'::´
￣:::｀ヽ、 　〈/|:} ヽ,＼　＼￣　　 、　　　　　/ // /　 ｌ　ヽ　 ／::::／:::￣
／:::;:ｨ:::::＼　//|　 |＼＼　｀ゝ　 　 -= '　 ／!// / 　　! 　 ∨:::::::::':──-:::､
:::／:::::ハ::::∨ﾑ'〉　｢｀::ゝ,＼_个 ｰtヽ_　／─ﾍ,ィ' l　　 |l 　/::::__::::＼:::￣｀ヽ
:::::::／／__;／:::::|　 |::::::::::ﾍ 　 !:::::｜ |::::ﾊ;:::::_::_:::ヽｌ　　 ｌ| 〈::::::::::＼:::::＼::::ヽ
:／;::/／/::::::::::: !　/ :::::::::::::}　|:::::::l!　!/ 　∨ } /::::/ /　ﾊ｀ゞ ､::::＼＼:::::ヾ
　 ∨／!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::|　|::::ノ|　ト-ｰく 〈_｣:::/ /　/::::ヽ:::ヽ＼:::ヽ ＼
　 ／／|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::|　|::_〉 }　 ─ｰ､ヾ才／}　/:::::::::::＼:＼＼〉＼
／／／ﾍ::::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! 　￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼
／／／ 人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_　　ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
／／ ／　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__　￣Z_r､_｢|　ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ
／ ／ 　 /ヽ;__::::::::::／:::::::::::::::〔　ゝ,＞､　 _,ィ'７´}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ゝ
///　　 /　 |　| ￣｀斗､:::::::::::::::＼r ､　 Y　　厶ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ 　 ）

.

　　　　　 　∩
　　　　　　　||　　／￣￣＼
　　　　　　　|| ／　　 ⌒　 ⌒
　　　　　　／〔|　 　 （ ⌒）（⌒）
　　　　　 〔ノ^ゝ　　　　（__人__）　　　わかってるさ。
　　　　 　ノ ノ^,-　　　　｀ ⌒´
　　　　 /´ ´ '　, ^ヽ　　　　　 }　　　 キャビンからの外出許可を出してやらないと、
　　 　 /　　　　　ﾉ'"＼.　 　　|
　　　人　　　　ノ ＼／,＿ __ノ　　　　旅路の最初が大惨事になるのは間違いないからな。
　 　/:::::＼_／l:::::::＼ｰ-.,ノ､ﾞ,
　 ,/::::::::::ﾉ::::|＿:::;､>､_ l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |田|━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿r=ｧ=､ィfZｧ､,、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 ´fフ:´-=_:三ｰ_ｰ^ヘ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　_r/／'_ｧ'='^ー'｀´｀ ^ｰ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　/r＝､ｿィｰ'7´　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾊ L／ｲ| ヽヽ　 　 　 　 ',　　　 ヽ ',
　　　　　　　　　　　　　　　　,　ｿ/ l ﾊﾚ´イ{ { ｛ 　 　 ｜ ',　　 ﾊ ',
　　　　　　　　　　　　　　　 //:/　ﾉj ｀´i |ムﾄ､ﾄ､　　　|　｝　 ﾘ　ｉ !
　　　　　　　　　　　　　　　ハ:{／ｲ: {　乂ｙニﾐ、ヽ　　ﾉ メ ﾉ/ 　} !　　　出発の30分前に、船長から放送があるわ。
　　　　 　 ヽ.＿ヽｰ ､　　 /　/／ |:.　ヽ. { ´￣¨｀　｀}ｲ,ｨﾐｘｲ / ノ/
　　　　　　　 ￣二ﾆヽヽ/　-ﾍ､:.. l:...　 lト＼｀'　　　　´ ¨/／　./　　　　眠たかったら、スピーカーの音量上げといてね。
　ヽ､＿　_-ｧ.:´__::.::.::.:ヽ::＼　 j:〉..:.l:...　 l! 　 　 ､_ __′"/´ |　/　)
　　_,._-ﾆ-ｧ‐´ィ二;:-- ､::.::..｀ヽ､..:∧:..　lﾄ_、　　　　　イ.:　j| /{ ﾉ′　　それじゃ。
‐ ´/´　／´￣´／::.::.::.::.::..‐.-_､::＼:.ヽ:.. l::.::::＞ｰ＜l!:.:.|:.　ﾘ‐／/ﾚ
　　　 /′　 ／-‐ｧ::´::, ｧ::／.::.:￣:.｀ヽﾄ､.V／::}:ﾊ:{ﾄヽ/!:.　!:/‐'::/
　　　　　 ／´ ／::.:／ノ／..::..::.::.::.::.::.:..:ヽヽヽ=l:| ト='ｲ-!: /::;∠ イ_
　　 　 ／´ ／イj/ｲ'／.::.::＿.::.::.::.::.::.::.::.::.｀ﾄi｀j:|__ヽ＼ﾉ人::.::.::∠´
　　　/'　イ/　// ﾉ/:.‐..´...::.......ｰ ::.::.::.::.::.::.:K/:ハ.｢jﾌス::.:.｀:くヽ
　　　／//　　 ／ｲ.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.{_j　　　jｧzく::.::..::..｀ヽ、

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　　　└── ──　─




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┌──────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 出航30分前
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └──────┘





　■ レオノーラ・クリスティーネ号、ブリッジ

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＿＿|＿＿|＿＿|│＼　／ |　　。／／ 　 。 　 　...＼／／ ・／／ │|＿＿|＿＿|＿＿|
　□ |　□ |　□ |│　|　|　　＼／／　　　。　　　。　 ／。 ／ <　....│|　□ |　□ |　□ |
＿＿|＿＿|＿＿|│　|　|　。　　　|　・　　　　 ・ 　　　＼／／＼＼ │|＿＿|＿＿|＿＿|
　□ |　□ |　□ |│。|　|　　・　／ 　＿＿＿＿_　。 　 　・| ・ 　 　 │|　□ |　□ |　□ |
＿＿|＿＿|＿＿|│／＼＼ ／ 　・...|［］［＿＿］|　　　　 　|　　.　　.│|＿＿|＿＿|＿＿|
　□ |　□ |　□ |│ 　 　＼＼　　。 |::::::::::　:::::: | 　 . ／＼＼ 。 　 │|　□ |　□ |　□ |
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　 　 | |　 　 | |≡≡| |≡≡| |≡≡| | |≡≡| |≡≡| |≡≡| |≡≡| |≡≡| |　 　 | |　 　 |
　 　 | |　 　 | |≡≡| |≡≡| |≡≡| | |≡≡| |≡≡| |≡≡| |≡≡| |≡≡| |　 　 | |　 　 |
＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿| | |＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿| |＿＿|

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　　　　　　 __{〆..:::::::::〆　　　　　　　 ｀　　、
　　　　／_{f7.::::::::::〆　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　/ __{f7.:::::::〆　　 /　　　　　　 　 　 ＼　　＼
　　厶イ７:r-､く　　｜ |　 　 |　　　　　　　　ヽ　　 ＼
　〈〈__/:ハ::.Vヽ＼　|　|　　　|、　　　 　 　 　 |　　　　ヽ
. /ヾィ/　ｲﾍヽノノ　|　|ヽ　　| ＼　　　',　　　 |　　　 |　'.
/　/:/／ll　|:｢´　　 |{ 丁ヾﾄ､|　　ヽ　　|!　　　|　　　 |ｌ　|
　 |::|　　ｌ|　|:|　　　 |ヽ弋ｆ==,ミﾒ、　'　∥　 /ﾊ 　 　 ||　|
／|::|　　||　|:|ヽ　　 |　　　､_{._!ﾝヾ　 }ﾉ|ｌ　/厶| ,　/ ハ｜　　　船長、お時間です。
　 |::|　　||　|:|　＼　 ヽ　　￣¨`　　　　l／rﾃﾐ|/ / /　}ﾉ
　 |::|　　ｌ|　|:|　　l ＼　＼　　　　　　 　 ､ヾ' / イl/
　　　　　l|　　 　 | 　 ｀　-＼　　　　　　 ′/　 ﾉ
　　　　　 |ｌ　　　 |＼　　　　　 　 ‐-,,、　 / ／
　　　　　ハ　　　 ﾄ､　 、　　　　　　｀　イ
　　　 ／ ハ 　 　 ｌ::.＼ ＞_,、　　 ／　 |
　　 　 ／　∧　　 ｌ:::::/.::7爪　 丁　　　|
―-　 ＿∠::::ヽ　　∨:::/ 小ヽ　|ｌ　　　|
―‐ ､ ｀ マ}__　ﾄ､　　∨/:||:lL)〉ハ　　 |
::::::::::..＼｢｀ マ}___＼　 ∨:||:｢く/　 |　　|
::::::::::::::::::::::::::::..マ}___＼ ∨|　ﾍ`ー|　 ∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}__ ＼l|　 ヽ:::::l　/:::ﾍ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}　 ﾞr～､＞|/-､:::::ﾍ



　　　　　　　　　　＿,,､ ＿ 、
　　　　　　　　／|　　 / /　 ｀ ｰ ､
　　　　　　_rｲ　 i|　 l !/　　_, イ´｀ ┐
　　　 　 ﾉ_,,.､　、|　{ i|　 イ'´　 _ﾆ二ｽ
　　　　 ﾉ ＿　＼ヽ { i} ／Z _∠r√¨`ﾊ
　　 　 厂 _ｿ´｀` ヾﾊﾉ/-‐'´　　 ヾ＝弌　
　　　　ﾝ_,イ!　　　 ｲ|{ヽ　　　　　r/二ﾆ〉
　　　　 ヾ、j　＿　__｣{ ﾉ ＿,,,,､､_! 〉孑/
　　　　　 {ヽ'"フｭｯｷ< ｀＾､''エi'ヽ-,ﾊr‐}　　　　　ああ。では始めようか。
　 　 　 　 lrﾊ　　 '′{　　 ｀`　 　 j彳ｿ
　　　　　　ヾﾊ､　　 r'}　 >　、　/ﾉﾐj/
　　　　　　　 `ﾍ} /_ `ｰ' ＿_,ヽ /|`´
　　　　　　　　 _|ヾ　￣､、　 ﾞ／ | ､
　　　　　　　 i（人ﾍ 　 　 　 /-‐'ノ |
　　　　　　　ﾉ　＼　'ｰ--‐ ', - '′　ヽ、
　　　　 _／/　　　 ｀ヽ､／´　　　 　 　 ＞ ､_
　　_／´　　 ヽ、　　　 |　　　　　_,､‐'´　　　 ｀＼_

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　　　　　　　　　あー、諸君。

　　　　　　　　　私は船長だ。

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　　　　 　 　 　 　 x´⌒"'''- ．._＿＿＿
　　　　　　　　 ／ _,.．-'''"　　　　　　　｀丶
　　　 　 　 　 /　 .|　　ｒ─ ､〃／￣　￣　｀丶
　　　　　　　人ﾐ,,,,|／´　　　)　　　　　　　 三ミ{
　　　　　　　＞､/　　　　　厶-‐=≠ﾆﾆ=‐-　　 ＼　　
　　　　　 ／　 / ｒﾆﾆ＝--　 ㍉　／~ヽ　　　　　　〉
　　　　　 i　　八/､＿_,　　　　 }ﾐ{ r〃) |ﾍ＼ 　　ｒ'
　　　　　　 　 〉　jﾟ-'´　　 ／　.}ﾐ{ >≦/　＼＼ .亅
　　　　　　　/::,　　　　　　i　　厶{〃ノ＼　　　 少
　　　　　 ／..::::)　　　　　　　　ミ |´~j　 厶＿{'´"'''- ．.___,,.. ．-‐　''
　　　　　 ｀ ｰ､ｒ =- ､＼　　 　 　 |　|　　　.／／　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　 人　　 ＼　　／　
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　　　　　　　　　まず出発にあたり、

　　　　　　　　　遥かな異星への旅路に志願した50人が、

　　　　　　　　　ひとりも欠けることなく本船に搭乗してくれた件について

　　　　　　　　　あつく感謝の言葉を述べさせていただく。

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　　諸君もよくご存知のとおり、

　　この船はもうじき地球を離れ、32光年の彼方にある乙女座ベータ星へと出発する。

　　これは、我々が普段から親しんでいるメートル法はもとより、

　　太陽系内での航行に用いられる天文単位に換算しても、なお大きく隔絶した彼方である。

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　　　　　　　　　　　 _,ｨ升Y⌒:::⌒::ｰｭ､ｰ､
　　　　　　　　 　 ／::::{{匆ﾘ::::::::::::::::::::::ヾ､ﾞ ､
　　　　　　　 　 /::_:x～～＾`～～､:::::::::::::))__＼
　　　　　　　　,仟厂i　 　 /　!　　　^Y～>|廴__))､
　　　　　　　 /　|!　 |　　/　 | |　　!　| (/_}ﾄ､＼ヾ､
　　　　　　　/　 |!　 {　 /　　}/　 /　|i 气ｸ＼ヽ＼>＼
　　　　 　 　i |　|ﾊ　 ﾄノ |! //|_,ｨ升/|　 /　　| ヽ　　　＼
　 　 　 　 　| |　ﾄ､ヽﾑﾍ/ﾚ'/ ｫr'i::ｿ''/　/　　 |＼〉　　　　＼　 ／{
　　　　　　　V､/ﾞ小弋iｿ　　　 ´　｀/／|　 　/ ＼＼　　　 　>':::::ｲ
　　　　　　　 ヽ入 ＼　　丶　　　 ノ　Ⅳ　 /　 　 ＼＼,ｨ'／::::::彡'ｨ＿＿＿,
　　　 　 ＿__〈/　 |｀ｰﾄ､　 ‐_‐ 　 .ｨ＿|i 　/＼　　　／::::::::::::／:::::::::::::::::::／＿_,
　　 　＿≧=､:＼Ⅵ 　 |ﾉ｀7ｰｪイ／:.:.:/ , ′　＼／:::::_:_:_／:::::::::::::::::::::::::::::::／
ﾆ二二:::::::::::::::::::::ヽl 　 |､,/_/久}:.:.:.:.:/ 人＿__／‐'´:.:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::::::::::::::::二ﾆ=‐
__...ン:::::::::::::::::::::::::::丶　|::::://八|:.:.:.:/ツ-'' 勹:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::｀ｰ ､
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::／:::rー‐':.:.:.:.:.:.:./:.:,ﾀ 〈/ゞ=''　ﾘ ､　 　,勹:ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∧｀ｰ ､-､::::::::＼:::＼
':::;ｲ::{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:,ﾀ　ノ　　 |　　　} r､勹ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /＼ト､＼＼{`ｰﾐ､｀ ＼
ノ/:八:.:.:.:.:.:.:.:.ノ:.:,ﾀ　/!　　　}　　 r'^´:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/!/　　 ＼＼}｀＼
〃´ﾄ､＼:.:.:.:〃:.:.:.ﾏ､{ |　　 ノｨ～':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ'/
　　ヽﾄ､ ＼:.{:.:.:.:.:.:.:.マ{～´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ﾉ｀ｰ､:.:.:.:.:.:.:.:-<

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　　しかし、未踏の距離ではない。

　　現在、我々からもっとも近しい恒星間探検隊は、36光年の先を目指しているし、

　　また、乙女座ベータ星には無人探査機が先行し、

　　惑星軌道を周回して、星系に関するあらゆるデータを送ってきている。

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　　　　　　　 ,..-一ｰ''ﾞﾞ￣~ﾞ'''ｰ- ..、
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　　　　 .,i";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;;;ヽ
　　　　.|丶;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!
　　　　l丶;;;;;;;/!ﾏﾀﾞﾞ'''!ﾞ'V┐;;;ii―=i,xri-､;;ヽ
　　　　|;;;;;;;;;;;,!　　　　　　 ﾞﾞ.!;lﾘ　 　　　.!;;; !
　　　　|;;;;;;;;;│　 　 　 　 　 !′　　　　 .!;;.l'
　　　　.ｌ;; ∴/ｨ,ﾆ'';;;;;;;;,y．　　.uｪ;;ijﾆﾆﾆ以
　　　　 ］/'.ｌ.|　 'ﾞ.ｌ,,ﾉ゛　　　　."　l ﾉ"　.l､.!
　　　　 ,!ﾞ .川　 ｀ﾞﾞﾞ'ｰ　　　　.!‘''￣´　 .l　l
　　　　 ヽ ゝ　　　 　 　 　 　 |　　　　　!.|lﾞ
　　　　　.'Ｌヽ　　　　　　　　　,　　　　 lﾞ/
　　　　　　ｌ'ｧ.ｌ　　　　　　 ｀..'"　　　　.|’
　　　　　　.ﾘ　ヽ　　　 .ｰ=＝=-　　　/
　　　　　 /'ﾞi　 .ヽ　　　　......．　　 .,┤
　　　　 /゛ .i′　 ＼　　　 　　　 / ; |｀'､
　._..-''ｱ　　ll　　ｌ　　.＼、 ." .,／;;;;;;;;l.ｌ　＼
｀　..　lﾞ　　.!|　　..ｌ　　　 .｀ﾞﾞ´　　;.,;;;;;;;| !　 .ﾞぐ- ..,,_
　.″/　　 |　　.i　.ｌ　　　　　　!　 !　 .゛ |　　 ヽ.`‐　 ￣'''ｰ ..、
　　.lﾞ　　　! 　..,|___.ｌ　　　　　′ l゛　＿...ｌ　　　ヽ　 .―　,,,,　 ｀''-､.
　 ./　　　.|,,,　　　￣ﾞﾞ^" ...,,,　.,ｒ'"￣　 .,,〕　　　 ヽ　　　　 ｀''ｰ..,、
　/　　　　l　　　　　　　　　 : ! 　 　 　 　 !　　　　. ｌ　　　　　　　 ゛
,/　　　　　!　　　　　　　　　　! 　 　 　 　 ｌ　　　　 .ヽ
　　　　　　|　　　　　　　　　　l　　　　　　 .ｌ　　　　　..ｌ
.ﾌ'''ｰ ､,　 .,!　　　　　　　　　　l　　　　　　　!　　 .,／゛

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　　　　　　これらのデータにより、

　　　　　　第三惑星の環境が地球に酷似していると判明したニュースは、

　　　　　　この放送を聴いている全員が、胸を躍らせたものであると思う。

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　　　　　　　　　　　　　　 ／ ,r‐、: : : : : :¨ヾ`丶、
　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　く／>〉 r==,: : : : :ﾞ: : : :｀ヽ,
　　　　　　　　　　　　 r┤_: ; ; ~`ｰﾞ: : : ; : : : : : ／'￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　 ,. _'":´: : : : : : : : : :`: :丶:, : :l' _ 、　　 　 ヽ
　　　　　　　 　 ／´／｀ ｰ- ､__: : : : : ; -‐ '"了i　　ヽ　　　　l
　　　　　　　　く_,ｨ ´ 〃　/　,i　｀!ー'"ヽ ヽ ヽ ｀i　　ﾉ　　　l .l
　　　　　　　 ／/　//　-+､/ ﾔ ﾊ '￣` ｰ ､ヽヽ i　　　　　/ l
　　　　　　　'　/　// 　 i　 i　 l l ヽ ﾄ、_ ﾊ 　 i i l　　　　 i　 !
　　　　　 　 　 l　l ﾊ 　 i　,ﾑ、ﾚ　　',ｨ'r､ヾヽﾊ Vヽ、　 ヽヽ .l
　　　　　　　　 `'从ﾍヽ,ゝi |ﾊ　　　　l l_j　l　》l,　 l i ｀ ｰ-､ヾﾍ
　　　　　　　　 /　／ /　 }､U　　　　 ー ' ",ノ　 //　 i　i ﾊヾﾍ
　　　 　 　 　 ∥/　 ∥ 八"" 丶　　　""／　／〃　/ ／ ') ﾚ)
　　　　　　　　ヾ　　 ヽ l　i 丶. ,ゝ- 、　 i , イ, ｨ　 ｲ／　　　'´
　 　 　 　 　 　 　 　　ｿ`ヾﾉr'-々ゝl‐ "'´　ﾚ'"'`: ｰ-. ､
　　　 　 　 　 　 　　　　　, イ _`ヽ).〈!　 _, イ　｀ヾ、,、: : :｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 ,r／ /　_ ,｀)'/ ﾚく　　　　　 ﾉ.ｦ-、: : ;__:ヽ、
　　　　　　　　　　 / /／《　　)`'ﾉゝく´ ヽ　　 , ｨﾞノ　　｀く: : :＼ﾍ,
　　　　　　　　　　l //　 l `ｰ="ｲ　　 ,,ｨ'"Vてツ´　 ,ｨ ￣¨ヾ: : ＼!
　　　　　　　　 　 l jﾞ　　 ｀ ー ' lゝく´　　　´.,　　　(　　___/ヾr-〃｀ヽ

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　　　　我々は乙女座ベータ星へ向かう。

　　　　そして至近距離から第三惑星を観測し、ありとあらゆるデータを取り、

　　　　もしも可能であるならば、

　　　　そのまま定住して、家族を作り、子をなし、そこを地球人類の版図とする。

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::::::::::::‘，　　 〃　　 /　　ヽ _　　ヽ／＼　　　　　゛'‐ ､::::::::::::゛'‐　　　　　 }　　　ヽ
::::::::::::::::}ヽ　/　　　/　 /　　/ 7￣　　　　｀ヽ -------ヽ￣ ゛'‐-- ゛'‐ ／､
:::::::::／　　　ヽ　　,′ /　　 i　l!　　ヽ＼ --- ＼　　ｌ ヽ　/　　　　　 --ﾆ＼ヽ__
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::::::::::::::ゝ___ノメ ‘，　 {',　　 〃坏ヽヽ､　',弋::::ソ} /　 ／ /　　/　　!
::::::::::::::::l　　/　　 ヽ　 ', ヽ　｀　弋ｿ　 }ノ　　　 〃　　 イ 　 //　　/　　 ＼
::::::::::::::: !＿′　　　　｀ ヽ､ ｀ヾ､　 　､/　, 　 ／　　イ　i　〃 {　　{　　　　　ヽ
＼:::::::::::::::::｀ ー- ､　　　　 ヽ ヽ　　 一　　 /　 ／ ヽ 　ヽ{　 ‘，　‘，　　　　 ヽ
　　ヽ ::::::::::::::::::ゝ-ﾉ　　　　　} ﾉ く　＞ _ ≦二ﾆtヽ　}--､｀ ＿‘，　 ｀ヽ rー―
　　　　　｀ヽ≦／　　　　 /　/　 /―/7￣　　　/:::〃/￣　　　｀ヽ、　　　 ヽ
　　　　　　　〃 ／　　／ r ゝ/ ノ::/} /　　　　/／{::/　　　　　――ヽ　　　　ヽ
　　　　　 ／　 ′　　く／ ゝ - ヽ/　/　　　 /::::::｀ヽi　　　／　　 　 　 ‘，　　　 ‘，
　　　　 八　 /　 ／　 _- く　r≠、_ }　__ --;;_::::::::::::|- ￣　　　　　　　　 ヽ　　　 八
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　　　　これを帝国主義的な侵略、外征とは考えないで欲しい。

　　　　我々は地球を精査し、それから太陽系のあらゆる惑星を踏破して、

　　　　人の息吹を、やがては生命そのものを伝播させてきた。

　　　　それがいよいよ他の恒星にまで届くと、そういう現象なのだ。これは。

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　　　　　　　　　　　　 ／:: : : : : : : : : : : : : : : : : .: 　ヽ　　
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　　　　　　　　　　./ﾐﾉ: : : : : : : :,,ノノ: : : .! |:::. .ｒ',ﾆ､ｯ-　ｖヽ､--─-､__＿,,
　　　　　　　　　　!ﾐi': : : : : : : ノ''::::^ヽ: : : :.i::: :ヾゞソ´: : : ｀iヽi＿　　　　/
　　　　　　　　　　|ﾐ!: :__;,;,.r:‐彡- ､,　）ﾞ: : : ヽ: ::´: :､_: : __ヽ!ﾄ､ ￣＼ノノ
　　　　　　　　　　ヾ: : ｀ﾞ´: :/´,..ｔョ-''‐:: :::::::::: :.､‐ぅ、: : ｩ､.,ヽ:ﾍ　　　＼／
　　　　　　　　　　ヽ::: : -''´~ -‐''´::,::: .,: . . . :;!ｊ,,ｒ=ｬｯノ' ! : |::: :ヽ　　　￣
　　　　　　　　　　,ｒ‐|: : : : : : : : ／:::ゝ､入___ノ'',,ｒ‐=ﾗ,: :/: :/: : : :ヽ　　
　　　　　　　　　　!-ヽ-､: : : イ_,,='´: ｒｬ‐'ﾞ,=‐'' ´　 .丿i:: : ./;; : : : :.|
　　　　　　　　 ／｀ヽ《:ヽヽ: :m、: ｒ'ﾞ´_/´　　_,,.ィ'''´ ノ::.　|::: : : : : :|　
　　　　　　　／　　/｀ゝ､! i:::ヾ辷''ﾞ:￣｀二￣　 -‐'´:::: .　ﾉ､:: : : : : :|
　　　　　　/　　　/　　|:人ヽ､｀‐-｀: : : : : :￣: : : : : : : ／:: |::: : : : : !
　　　　 .／　　　 |　　 ヽ: :::::::｀ﾞﾞ二＝=-─ ､_: : : :__／:::::: |:: : : : : :|

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　　　　我々は旅立つ。

　　　　故郷に、近親に別れを告げ、

　　　　自分という存在を、現在にまでもたらしめたあらゆる存在と隔絶し、

　　　　まったく別の世界へと至る一歩を踏み出す。

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　　　　　　　ィ ´⌒｀ヾヘ
　　　　／　　/　　　　　i ､ヽ
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　　 /　/ i'-l‐ 　 　 l‐- |　 ﾘ .',
　　{　 {　 l__|＿＿__|＿_|　 }　 }
　　l　 l　 l{.´┃）-（´┃{　 /　/
　　ヽ_ゝ_ゝ｀ ‐´､__,｀‐　lノ　ノ
　 　 ｀　`　ﾏ ､＿＿,イ　"´
　 　 r⌒｀ﾄ-L| |　| └⌒l
　 　 | 　 , l　| l |　|　 |　 ﾘ
　 　 |　/　l　l l |　|　 |ヾ　i
　 　 | {　　l .} | |　|　 |　}　l
　 　 | ヽ､ |　l l |　|　　,ｲ　|
　　　|　　l |　l l l　|　l　.l　.|
　　　|　　 ',l　l l l　|　l　.l　.|
　　　 {　　 ∧.l l |　|　l／　 l

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　　　この長い旅路の中で、

　　　諸君らの多くが、これまでは無縁だった幾多のトラブルに遭遇するだろう。

　　　それは対人的なものかもしれないし、

　　　物理的、あるいは社会的なものであるかもしれない。

　　　それらはもしかしたら、諸君に大きな挫折を強いるやもしれぬ。

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　　　 |: : : : :　 　 ´"''"　 　 　 "''"´ 　 　 l
　 ,＿ ヽ___　　　　　　　　ゝ　　　　　　 ／＿_
／::　r' |　r'￣二ﾕ　　 --､__　 　 　 ／ : :: :: :`:､＿_
: : : :::| .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　 　 ／: :.ﾍ : :: :: :: :: :: :＼＿_
　: :　|.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿ 　_　 ,　´　|: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: ::＼　　　　　　　　　`ト､　　　/: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: :l: ｀ー┬-､　 　 　 |ii入　／|:: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : :┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iiii〈　 　 |: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: :イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiiiiiii｝ 　　| : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!

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　　　　だが、いざ危機に直面したとしても、そこで諦めないで欲しい。

　　　　隣人に相談し、力を借り、乗り越えていってもらいたい。

　　　　この探検隊に志願し、共に往く諸君にならば、それができると信じている。

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　　　　　　　　　 ,ィ7刈:从乂爪ミ≧.､
　　　 　 　 　 ／:'::/彡//!::〃ｉl:ﾄ:ヽヽ､＼
.　　　　 　 ／/,ィ/´::l〃::;ｲ/ｲ:!:ｉ:l::!:ｉ:ｉ:!:ｉ::|!
　　　　　 /:,ｲ///: ／!／:〃:://::l::ｉ:l:l:l::l!:l:l
　　　　　,':/〃:ｉ:ｉ::/〃!,:イ/:://,'!::l::l:l:l:l::lｉ:!:l
　　　 　 ｉ:.!:'ｉ:ｉ/l::!'/ｲ l!:〃:,ｲ l/ lｉ::!'::l:l:!:ｉl::ｉl
　　　 　 |:ｉ:ｉ:l:l:.ﾊｿｲ !//,:ｲヾ//小ﾊ::ｌﾘ:/:l:ll
　　　 　 |:l:.l:l:!,:代ト/／　 ィﾏﾗ７:/l〃,‐:!l:!
　　　 　 |!l:ｉ:! ｉ　￣'　　　 ￣ ´/ｲｿ!'/ 〉}:l'
　　　 　 lﾊ:ﾊ　　　ｉ　　 　 　 　 〃_才:ﾘ
　　　 　 ! ヾﾊ　　_｀ ´　　　 　 / .T:ｉ:ﾘ'
.　　　 　 　 ｀　 ､　 ､__￣　　 ｲ　 .Ⅵｰ,-､
.　　　　　　 　 　 ヽ　　　 ／ 　 　 .　'　　 ＼
　　 　 　 　 　 　 ｉ: .ー　´ 　 ,.ィ ´　　 　 　 冫､_
　　　　　　　, -‐くl: : .　　　.:lｉ⌒ヽ　　　 　 /　　 ｀ｰ ､_
　　　　　 ／　 　 ヽ: : .　. :　ll.:.:.　ｉゝ.._　　/　, 　 ´ _＿_ﾐ:､
　　 　 ／　　　　 /ｉヽ: : : : 〃　／　　 ヽ/　/／／　　　　ヽ
　　 ／.- ⌒ヽ　 ,': :! }: : ／' ／.　 /　/　　/´／　　__　　　 l
　 /.:.:.:.:...　...:.:}　l : : : : ,'　　!　　 /　 l　　/' ´　 ／　　　　　l!

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　　我々は32光年を踏破する。

　　　　人類の英知で、科学の力で、地球という揺り篭から這い出て深遠を目指す。

　　　　諸君がこれをなしえることを、私はよく知っている。

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　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ー-- ､,,_ー=ミ‐-..､
　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿ﾐ::::::::::::::::｀¨ミヽ､::::::ヽ.
　　　　　　　　　　＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
　　　　 　 　 　 ー=ﾆ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::ﾊ
　　　 　 　 --─=＝ﾆ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヾミ:::::::::::}
　　　　　　　 ,,ｨ彡:::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡ｲﾊ::く
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　　　　 ／---─ｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::／:::ﾘ:::::::}ﾊ
　 　 　 　 　 ／/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ:::ﾂ<彡'/:::;イ::::::::::l:::|
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　　　　　　 _,,ｲ／/:::::::::::::::::::::ｲ/ |　　　　 　 ノ　|¨ .::::::ｲ/
　　 　 　 　 　 ∠ イ:::::::::ｨ::/ .|　　　 　 　 　 ､ _｣ ｲ:／.j'
　　　　　　　　　　/ｲ:／ .|ｲ　 　＼　　　‐--- ／|:/
　　　 　 　 　 　 __ ｲ　　 j　　　　　＼　　ﾞﾞﾞ／ 　.ｿ
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　　　　　　　／　　 ヽ､　　　　　_ ｲ
　　　　　 ／　　　　　　ヽ､　　Y
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　 　 i　　　／　　　 　 　 ＼ 　 　 ﾊ
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　 　 |　 ,'　　　　　　　　　　 　 }　　|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　我々は人類の最先端となる。

　　　いつしか我々の中から、さらに先にある星を目指す者も出るかもしれない。

　　　恐らくは先走りすぎた考えだろうが、それを夢だと笑わずにいたい。

　　　その実現には努力と幸運が、粘り強い努力と大きな幸運が必要になるだろう。

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　　　　　 ,.　-　、
　 　 　 ／　　　　ヾ7-‐- x‐‐-.、
　　　,'　　　　　　 }ﾌ ::::,:'::::::::::::::)..、
　　　!　　　　　　ﾉ<::::/::::::::::／::::::::ヽ
　　　ヽ.,_　_、_ノ〈´:::,'::::::::::/:::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽﾍ＾='＾´:::::::{:::::::::::{＿i|_:::::::::::::!
　　　　　 {:::::::::::::/｀ヾ::::::::::!,.=ｭヽ;_:l_;;ﾉ
　　　　　 ヽ;::::::::ヽゝﾍ;:::::::ﾍ;:ﾉ　!
　　　　　　　〉::::::丿ゝﾚ＼::::;ゝ　 、
　　　　　,r‐<::_ノ　　　　　ヾゝ__, ´
　　 ,.┌;丿 「ノ}　__　　 　　　,.'
,.┌;丿 　,.「:ﾉ/´￣ :｀:<｀ ‐- '
丿　　 ,.「ノ　/ : : : : : _/
　　,.「ノ　,.ｲ: : : : :／　 ｀ヽ
　 「:ﾉ 　 /: : : : : / 　 　 　 i
「:ﾉ　　 .i : : : : : {　　 　 　 l:、
:ﾉ　　　 l|: : : : : :ヾi　　　　.!: :丶、
〉　 　　.|i: ; 、 : : : |　　 　 ! : : : : ヽ
:〉 　 　 l V´＼ : : :i__　__ .」 : : : : : : '.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
　　　この船にどちらも不足がない事を、私は知っている。

　　　諸君らを選んだ人たちも知っている。

　　　朝起きてベッドを降りるように、靴を履いて玄関を出るように、

　　　船出をしよう。星の海に旅立とう。

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　　　　　　　 ／＼　 ,　'ヽ
.　　　　　 ／　　　ゝ、＿_ヽ
　　　　／　　　　　　　　　￣¨'''_‐-_､
　 　 , '　　　　　　　　　　　　　＝≡=ヽ _
　　/ 　　　　　　　　　　　　　　,',r:ﾐ〟　 /
　/　　　　　　　　　　　　　 ,-‐{ {::::j i　　{
...′　　　　　　　　　　　　　 　 ヾﾆン　__｀ヽ
..i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j､_,,　ﾉ
. i　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　-rイ_ , ‐ゞ,
　i.　　　　　　　　　　i　　　　　　　|　`‐‐-く
.　〉─-　　　　　　　 i　　　　　　　｀_,,`ﾆ＞'
..,,}─- ､　　　',　　　 ｀　　　　　　　　　 ヽ
.i::::::::｀::::::｀ミ､ヽ`ー‐- ､　　ヽ､＿　　　　 j
l:::::::::::::::::::::::::::`丶｀丶　、　　　　 　 ,r‐''"
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|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`　､　｀ー'r-､
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　 ;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::¨ く ヽ

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　　　　　まずは５年の旅だ。

　　　　　隣人を理解し、友情を育み、自らを鍛えて新しきを学び、

　　　　　そして乙女座ベータ星に、できうるならば根を下ろそう。

　　　　　今後ともよろしく頼む。諸君。

　　　　　以上だ。
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　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　 ｜　 　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　 ｜ 　　　（___人__）
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　 　 　 i　　　　　 　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、 、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　 丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　 ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　 　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

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　 　 　　　　　　　　　,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､
　　 　 　 　 　 　 ／r'^　_rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､
　　　　 　 　 　 /!７ト､7′ 〃　　　 ｌ ヽ ヽ
　　　、　　　　/ l//L｣| ∧ｌ |　! |l　 ｜　!　ヽ　　　
　 　 |:l　　　 / 〃 ||丁l トH､lV| |l　 /l　 } l　|　　　＿＿＿＿＿＿＿,,∧,,,　∧＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　 　 ヾヽ　 / 〃　|l　| ｌ抔卞｀ヽ{　/-ト/ //ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　 ∨
　＼　 ヽ:∨　|」 /ｌ|　ｌﾄヽ￣　　 ﾚ'戎ｼ' ／ ′　　　　……続いて、副長から連絡事項があります。
⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八　|ヽ　　　__ ' ∠r1=彳　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿,,∧＿＿＿＿　 ,,∧＿＿＿＿＿＿＿
::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/　ﾊ ヽ‐ >､　 ,. イ|　}::..｀ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨
::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ
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仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝
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二二|]　　　[|二二二|].|　　　　　　　　　 |
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　　　　　　　現在、地球で開催されているカウントダウンイベントの動画が、

　　　　　　　各キャビンに備え付けのＰＣで閲覧できるわぁ。

　　　　　　　リアルタイムで受信、メッセージの送付ができるデータは、

　　　　　　　これが最後になるだろうから、よかったら参加してちょうだい。

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　　　　それと、時間になってイオンスラスターでの加速が始まると、

　　　　重力が船尾方向に発生するわ。

　　　　なるべくクッションの効いた──そうね、ベッドに身体を固定しておくのが

　　　　オススメよぉ。

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　　　　うっかり怪我をしても、護衛官の許可が出るまでは

　　　　医務室への移動も、往診もできないから、本当に気をつけてね。

　　　　それでは時間までごきげんよう。

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　　　　　　　　　/ ＼ヽ＼ヽﾍ i ｿ/／ ／　_八_
　　　　　　　　 ﾉ＼　ミﾐヾ､ヽN /　／イ´　三{
　　　　　　　　 ゝヘ.r'　　　 ｲﾘﾊ´　　　｀ヾ≦ｲ
　　　　　　　　 ﾄｭ､lｿ _,､　 '　　　　　,､ﾑ 仁{
　　　　　　　　 ゝ { { ｀≧､__｣__/_,ｨ≦__｀/}ｨ,ｊ　　　　　　　　　　ブリッジより機関室へ。
　　　　　　　　　 >､ ﾐ{｀￣´ｲj ,iヾ'"￣｀ }_入
　　　　　　　, ィ'´　`ヽ.　　　,'| 　　　　,'/: : : ＼　　　　　　　　　イオンスラスター始動。
　　　 ,､, ィ´　　　　　.ｌi.　,　<`_〉 ､ 　/: : : : : : : ｀': . .
　　 /.:L: : : : : : : : : :.ｌ.ハ.' ー ―-ﾉ ィ: : : : : : : : : : : ｀丶、　　　レオノーラ・クリスティーネ号、発進する！
　　,′|: : : : : : : : : : .|　 ﾍ　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
　　l: : {: : : : : : :　　　'., 　 {ゝ---′_,/　: : : : : : : : : : : : : : : /｀､
　　|: : ;　　　　　　　　 ヽ_.l ﾉ　__,ィ´　　　　　　　　
　 入: ',　　　　　　　　　rヘ,　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 ヽ＼' ,　　　　　　　　Ⅷ/ 　 　 ┌─┐┌─┐　 ┌─┐┌─┐　 ┌─┐┌─┐
　　 ｌ　 ヽ　　　　　　　　ｙ′　　　││││││□││││││□││││││
　　 |　　 ',　　　　　　　《　　　　　││││││□││││││□││││││
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 └─┘└─┘　 └─┘└─┘　 └─┘└─┘
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐''"´￣　｀　 ｀''ヽ=､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　r（:::::::::::::::::,、_ｨ::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ, ｒｒ～ヅ　　 ﾐ:::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌﾊ　　　　　　 ﾐ::::::::::::::::::::::::::::::　　　　機関室了解、
　　　　　　　　　　　　　　.　　　　l　__,,.　-─￢,〈::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉ﾞﾞ`'''Tjフ￣ 　 ヽ::::::,ｨ ,､ヽ:::::::　　　　イオンスラスター始動。
　　　　　　　　　　　　　　.　　　 / 　　,.‐'"　 　 　 }:::/ /ヽ ﾊ:::::::
.　　　　　　　　　　　　　　　　　/.. 　 　 　 　 　 　　"´　２ﾉ/ l:::::　　　　加速開始！
　　　　　　　　　　　　　　.　　 ヽ.ﾆ,｀　　　　　　　　 　 __／　:l::::
　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 'ｰr_‐;ｧ　　　　　　 ｨ　　　　l:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〈..　　　　　　　 /:{　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀}　　　　　／::　!　i
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　　　冬月船長の号令一下、

　　　人間の神経組織に匹敵する細やかさで、機関室のエレクトロニクスが仕事を始める。

　　　燃焼室に送られた推進剤がプラズマ化し、収束されたビームが渦を巻いて伸びる。

　　　だが、巨大なノズルの後方には何も見えない。

　　　光よりもわずかに遅いスピードで打ち出される燃料の粒子は、

　　　炎という形の浪費などなく、物理法則が許容する全エネルギーを巨船の推進に費やすのだ。

　　　そして、レオノーラ･クリスティーネ号は氷上を滑るように、ゆっくりと動き出した！

.

今日の投下はここまでです。
おつかれっしたー。

船長の演説かっこいいな

乙でしたー
汚い言葉になっちゃうけど、船室のチープさにちょっとビックリ
たぶん船体の９割くらいがエンジンで占められちゃってるんだろな

乙でした
　　　　　　　人　間　の　尊　厳
できる夫のお　ト　イ　レ　の危機が護られたようで何よりw
冬月船長の演説が一人の偉大なスペースマンとして、理性と知性ある尊敬すべき年長者として
大きさと恰好良さが感じられて良かったです。

乙
できる夫がなんか可愛いなｗ

乙。宇宙空間で無駄に広いスペースを作るとこうなっちゃうのか。

>283 >285
あざーす！

>284 >287
船長の演説は、第３話までで一番頭ひねりましたｗ
原作ではあまり出番がないのですが、
様々な機能のメンテナンスを担当する面々も目立たせていこうと思います。

>286
個室は、基本的に寝るだけのビジネスホテルな感じです。
船で最も大きなスペースを占めているのは、リサイクル機構かもしれません。
近いうち、大雑把な構造を紹介する番外編を作ります。

>288
できる夫は、「有能だけど、テンパリやすい」という印象があります。
何かと便利な属性なので、今後の出番が増えそうです。

>289
無重力状態なのはごく短時間なので、
普段の居住性の方をメインに設計したのでしょう。

まさか、キャビンで遭難とか。宇宙は恐ろしいなｗ

今回の最後で船が動き出したので、無重力はもう終わりです。
１Ｇの重力がかかるようになるまでは、もう少し時間かかりますが。