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　　　　　　　　　　　　　　　│　　できる夫は出雲路のバラバラ儀式殺人を追うようです　　　　　│
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　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　 　 第１１話　COMPARED WITH OT　　│
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＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡



　　　　　 　 　 ,、　　 　 　 ,、-―‐-　、　　　/: :ヽ
　　　　 　 　 ./: :＞ ､ィ＜/: : :＞ 、: : : ミ: . /: : : :ヽ
　　　　　 　 /: : : :／: : : ｲ__ / ＼: : ヽ -―-ミュ: : : :≧ｚ
　　　　 　 ./: : : :〃: :/^ヽ{ ヾ: : r:.＼: :＼: : : : ｀ﾏ: : : : : :{
　　　　 .／: : : :/' : :/: : ヘ fミヽ}: ヽ: ヽ: :ヽ: : : : :V : : : : |
　　　　〈: : : : ./: : : : : f: /｀´｀ヽ: ヽ: :ヽ: Ｖ: ＼: /:ﾘ: : : : :ﾍ
　　　　 .ヽ: : /: /: : : : {ハ　　　 ヽ: i : ', : }: : :∨: /}: : : : : ﾍ
　 　 　 　 Y ' : {.: : :.|: ﾄ:.:.ヽ　　　 } ﾊ: :| ∧: : }ヾ ｲ: : : : : : :ﾍ
　　　　 　 .} |: :.| : : :|斗ｷ‐ヽ、 　 ﾘ‐ｫ┼‐トVﾊ: ﾘ:| : : : : : : : :ヽ 　 　 　 全て、お話しします
　 　 　 　 ﾘ |ﾄ: l、 : {､ィ云ミ　　 　 ｲ斧气、 }/|/: | : : : : : : : ／
　　 　 　 /,ｲ八{:ヽト{ 《弋;,ﾌ 　　　 弋,'メ　》ノ´r）| : : : : : :／　　　　　　できる夫先生……。
　　 　 ／´　 .ﾘ: : :ヽ{ﾊ '''¨´ 　 ,　　　｀´u''',__ ィ: :.| : : : : : ヽ
　　　　　　　 / ｨ: : ト、ヽ、　　　 　 　 　 , ' : : {: :∧ : :/｀ヽ: ヽ
　 　 　 　 　 { ハ : |　}: : :＞ 、⌒　　 イ: : : : :!: {　 ヽ: ',　　ヽ}
　 　 　 　 　 |　　ヽ{./: : :乂:ﾍ. ＞＜　 i}: :i : : |:从　　〉:冫 　 ﾘ
　 　 　 　 　 ヽ　 　 |: : : ／ゞヽ　　 　 ﾘ人ヽ:. ＼:＼/"
　　　　　 　 　 　 　 |从´　 ＼ ヽ　　 /'　/ヽヽ‐ｧヽ、
　　　　　　　　　 r＜＼　　　　ヽ ｀ _　　/　　ヽ// ヽ
　　　　　　　 　 j´　 ｀>＞　 、 　 マ　./　　／ノ　/　',

　　　　　　　 _冫:ヽ,_ -...‐....-、　/::ヽ
　　　　　　　 l::ヽヽｌ::::ヽ::::::::::::::::/:::::::_ヽ
　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::＼::::::::i::::::::::｀::l
　　　　　 /:::i::/:::,、::::;;::丶:::::丶:i::/:::::::::/
　　　　　 l:l::l::i::/ ヽ:ヽヽ:::ヽ:::::ヽ::::::::::::l
　　　　　 l::l:::l 二_ヾ _｀二l::::l:i::l:l::::::::::::l
　　　　　 l/｀l:l 　∪　　 ∪l从:l:l:::::::::::l::l
　　　　　　　　l:ヾ　 ｀　　u .ｿｿ:::l:lヽ:::::::::l　 　　　やらない夫兄さんには小さいときから
　　　　　　　　l::l　i:｀: ｀,　/:/::::::l::l　　ヽ::ｌ
　　　　　　　　 l:l　ｌ::/l:l　 l: 人::l::l　　　.l:l　　　 　悪癖があったんです……。
　　　　　　　　　 /:/ l:　 l:/,　ｌ::::l:l
　　　　　　　　/:, ´;　　 .l:ll　 ヽ::::l:l
　　　　　　　 .l:l　　__,....´::.l　　l:::::l:ll
　　　　　　　 .l:丶 ｀ﾞﾞﾞ/,ﾞﾞ　l　　l::l:::l
　　　　　　　　/　　　　　　/l　 l｀ ´
　　　　　　　 /　　　　　　/ l　 l
　　　　　　　 l　　　　　　 l　l　 l


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ……今度の件からも察せられるように　　　　　　　　 ／_,ﾉ　　　＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　（●） 　（●）　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 それは、『盗み癖』というヤツでしょうか？　　 　 　 |　　　　　 ' 　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼　　　　⌒　　　　　／

　　　　　, ⌒ﾊ 　　　　　　　　ﾊ⌒ 、
　　　　 j::::::::::::i ,ﾍ^ ⌒　Ｙ⌒ヽ .::::::::i
　　　　 I::::::::::::j ..::::::....::::..::::::. .:::ヽ::::::i
　　　　 I::::::::::ﾘγ::..:::::::..:::...ﾍ、::: ﾉ:::::ﾘ
　　　 　 Yyﾉﾉ ::::ﾉ...:ﾉ　_ノ　 ヽ::::ﾙﾘﾉ 　 　 　 　 はい、そうです。 兄さんの癖は小学校の頃からで、最初は
　　　　　　ﾘ::::::::(　　（ ●）　（::(
　　　　　　.ﾊ::::::ﾊ 　 ,,　 r‐ｧﾘ） )　　　　 　 　 　 クラスメートの学用品をコッソリくすねるという程度でした。
　　　　　　　） ) ）、 　　 ￣くﾊ（
　　　　　　（,（.(　' ﾍ　　 い ﾉ:::））
　　　　　　ノ/）` 　 ヾ　ｿ￣（( 、
　　　 　 　 ,' 　 ﾉ　 　 Ｙ　　　　ヽ




　　　　, ⌒ﾊ 　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 j:::::::::ヽ ,ﾍ^ ⌒　Ｙ ⌒ヽ/ .::::::::i
　　　ﾉ:::::::::j（ﾉ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
　　　ﾙ:::::ﾘγ::..:::::..:::...ﾍ、: : : :: ﾉy:::::::ﾘ
　　　 Yyﾉ ﾉ :ﾉ...:ﾉ　ノ　　ヽ ::::::） ﾙﾘﾉ
　　　　　　ﾘ::::::(　（ ●）　(●::（　　　　　　　　　 どうやら学生時代には、万引きもしたようですが
　　　　　　.ﾊ::::ﾊ 　,,　 　　　ﾘ） )
　　　　　　　） ) ）、 　 ⌒ ノくﾊ（　 　 　 　 　 　 それは発覚するまでには至りませんでした……。
　　　　　　（,（.(　' ﾍ　　 い ﾉ:::））
　　　　　　ノ/）` 　 ヾ　ｿ￣（( 、
　　　　　　 ,' 　 ﾉ　 　 Ｙ　　　　Y
　　　　　　 l:　（　......　　 　..... 　i
　　　　　　 lヾ. .. ::::::::　　　::::: .ノ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…………うーん、しかしながら　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　_ノ　　~ー　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　／ 　（〇）　 （〇）　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『盗み』といっても、別に彼はお金に困って　　　　 | 　 　 　 　'　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　 ＼　　　　ー-　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やったというワケでは無いのでしょう？　　　 　　 ./⌒ヽ　　　　　　 　ｨ ヽ




　　/: :ヽ　　 ,.-‐' ´フ^ヽ,｀イ´ヽ,.ﾍ ／｀ｌ
.　/: : :. :!／: : : ／: : : : : ,: : : ,:ﾊ´: : :ヾ l､
/￣: :､,/: : : : :/: : : : : /:/: : :,' ', ∧l: : ｀ ﾍ
:.:. : : .:/｀`; : :/: : : : : ,': :ｌ: l lﾞ‐-‐ | l: :: :: : ',
: : : :..,'.: : : : :,'.: : : : :, l ,斗ト|　　　ﾄ-、l:,: :ﾊ
:: : : {｀'; : : : |: : : : : l |: :ﾊ ﾊ|　　　ﾘ |. l | : :l|
: : : :ト- ､_:.:.|l : : : : l |　| '-' '　　　'　|/r',' 乂　　　 ええ、兄さんは、ナニかを欲しくて盗むのではなく
:./: : l: :ヽ: :｀ﾊ: : :ｨ/|r￣￣　 　　'￣r::ﾉl:ﾉ
ﾊ: :,/ l : : !ﾍ:γ|∨:| ＝≡≡　　≡≡l |/　　　　　『盗むこと』自体が目的だったようなのです。
丿/　 l,: : /ヽ乂', ＾|U　　　　　｀ 　　',!
: / 　　i.,':::::/lﾊ .､', |　　　　　_　　 _,ノ|
（　 　 ,'::,':/ﾊｌ,'-‐ヽ|ｨ｀ﾆ､r‐､‐ T´|
　 　 /: : /ﾉ ﾚヾ,　 | ',.=ﾆ|　 /ｽ|丿
　　 ,'.: :/ﾉ /　｀ '、　',　　| // ﾊl
　 _ﾉ:/（　/　　　',｀ヽ､ﾄ'/ﾚ'/ 　 |

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　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.У:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.://:.:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ⅵ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.rzｉ{:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〃:.:.:.:.:.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾑイ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.ｉ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　当時は、誰も兄さんの盗癖のことを知りませんでしたから

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　周りからは模範的な優等生として普段見られていました。





　　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　/｀i､_ , ' ~ ￣ ＼ __/ .:::＼
　　　 ／::::: ／..::::..:.゛_7:::: ::.. ヾ)'::::::｀i
　　　ﾙ:::::: /: ::..:::::／ ｀vﾍ、: : ::∧:::::::ﾘ　　 昔から頭が良く、勉強ができましたので……。
　　 （Yy∧ﾉ :ﾉ_.:ﾉ_ ノ　　__｀ ､:::） ゝ:/
　　　 ）ﾉ　ﾘ:::〃 （○）　 （○）i:!:〉 Yy.　　　それなのに、兄さんの異常な『習性』は
　　 （/　 　ソ::ﾊ u　　　　　　/i/　 ﾘ.　　 　 ・ ・ ・
　　　!　　　ノ ::/iゝ.　 ▽ . イく　　　　　　　この歳になっても治ることはありませんでした。
　　　　　.（::ｲ/ﾙ|_.ｲ|. ￣i'Y;ﾉ::ﾙ
　　　　　　）ﾉ.　　　　~V~ 　　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 　 ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 ／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　……なるほど、彼自身は分別がつく、しかも利益を求めて　　　　　 ＿ﾉ　　ー　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 （ ●）　 （ ●）　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　窃盗におよぶのではない。 これは精神心理学や犯罪学で　　　　| 　　 '　　　　 　 　u　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 ＼　￣`　　　　 　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　『クレプトマニア』とか『窃盗症』などと呼ばれるモノですね。 　　　 　 ./　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 /

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　　　　　　　　　　　　 　 　 　 成果などには関心がなく、もっぱら窃盗行為のスリルを味わい　　　　 ／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　＼　　　　／　　＼
　　　　　　　　　　　 　　 　 　 そして、成功時の緊張からの開放感と、満足感を得ようする。　　　| 　 　（●） 　　（●） 　　|
　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ 　　　　　´　　　　u.／
　　　　　　　　　 　　　　 　 　 そのためにナニかを盗みたいという衝動に駆られてしまう……。　 .／　　 　　￣￣　　　　＼
.

　　　　　_　　　　　 _,..‐.....-......､..._　vr 、
　　　　/:.:.:｀ヽ、,／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ .: ﾊ.j∧:
　　　 .ハ.::.:.:.l／:.:.:.ｲ.:.:.:.:.:.,:.:'"´ .:,.,ィ´:.:.7.:.:.､
　　　/:ﾉ:.:.:.:.l〉:.:.:.:.:.:.:.:.;〃..:.:.:／:.:.l:.:.:.:./!ヽ:.l:.:.ヽ
　　　l:.:l:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.;〃..:.:.:／:.:.l:.:.:.:./!ヽ:.:.l:.ヽﾍ
　 /イ.:.:.:.:.:.:.:ヾ:.:-:.:.l:.:.:.:./:.:.:l:.:/:.:.:./ :::.:.l:. l､:.:.ヾ、
　 l:.:.:l:.:.:.:.:.:,ｌヽ:.ヽ:.:.j. :.ノ:.:.:,:ｌ::.lﾑ:/--ヽ:.ﾊ:l:.:l:ト|　　　そうらしいです。 兄さんも苦しんで、自分から矯正に
　.l:.:.:.:l :.:.:./　:.ヽ:.:.:.／V:／:.i'"|:/_,ｭ、_i ,'lｿ:.:l|:.ｌ
　 l:.:.:.::.ｨｿ　　!:.､:.:./r,ヾ;.:.:.:.:l f´-＝ｨ　ヽ､:lﾚヽ|　　　 努めたのですが、できる夫先生が今おっしゃったように
　　l:.:.（　　　 ,':.:!.:.ヽ ､6ｌ.:.:.:.l u　 　　　　 /:l
　　:.:.ｿ　　　/:.:l:.:.ｲ:.:.ﾌ|ﾊ :.:.l 　 　 　_＿∧:l　　　　　病気のようなもので、ついこの悪癖が出てしまう……。
　（　　　　　l:.:.,'/l |ヽ:.:.lヘ.:.:|　　　　￣/|　ｿ
　　　　　　/:.八／ ´ ＼ヽ　ヽﾄ､r┬ - i:.i
　　　 　 .,∠.......｀ヽ,　　 ＼　〈ﾐ'ヽ.|　　,l/
　　　　/"¨_""''＼、　　　 ヽ_,, ﾕ.!!
　　　ｲ／::::::｀:ヽ.、＼､_　_／:=ヽl.lヘ＼




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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　──　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　 　 　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　_ 　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /y^YﾍﾊLヽ　 f＼ , ＼＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人! .| ﾄ､ヽ＼`ｰ,’ 〉}/ /:::::`-＜__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::^ゝへ_ `　　___ｨ_/ /:::::::::::::／:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .j::::::::_ﾑｭｰ､＼／:::::::::| /::::::::::::::::::::::::::::::Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:＼/.::::::::::::::〉〈::::::::::::::{::::::::::::}/:::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }:::::/::::::::::::::::ｲ:::}:::::::::::::::{::::::::::/::::::::::::::::::::,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /／::::::::::::::::Λ{;;;|:::::::::::::::i:::／::::::::::::::::::::::ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＞x、　 }':::::::::::::::::::/::::N;;;|::::::::::::::::V:::::::::::＼＿__/|
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＞ﾍ::::::::::::::::/::::::::::V|::::::::::::::::::V::::::::::::＼::/..:ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ゝ..___, ハ::::::::::::::{::::::::::::::::::::'.::::::::::::::７::::::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＞x、::Λ:::::::::::::::::::}::::::::::／::::::::|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ゝ::::::::::::::ィ:::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ￣＞x、::::::::::::::::｛
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　そうでしょうね。 ……これは常習性のあるもの　 　 　 　 　 ／　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ﾉ　　　＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　例えばお酒やタバコを毎日たしなむ人が突然に　　　.／　（ー） 　（ー）　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　 ' 　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　禁酒や禁煙を強いられるようなモノです。 　 ,'⌒　＿　＼ 　　⊂ﾆﾆ⊃　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ＿ノ　　 ／　　　　　　　　　 ＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _.. ‐'''''''''''' ‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,ｒ'　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 　　 　 しかも、窃盗症となると『根』は、もっと　　　　　　　　/―′　　　　　　　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 （ ●）　　　`―　　　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 精神心理の深いところにあるハズです。　　　　 　 i.　 　　　　（　●）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 ＼　_´＿ 　　 　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 　 　 ＼　 　｀　 　＿_／

　　　　　　　 ／　￣￣￣￣￣ ＼
　　　　 　 ／　　　　　　　　　　 　 ＼
　　　　 ／　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　／　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　 ／. 　 　 　 ´￣` 、　　　, 、＿＿ 　　　＼
　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l.　 　 ……やらない夫が睡眠薬を使い出したのは
. .|.　　 　 　 （　 ●）　ﾉヽ　　（　● ）　　　　　|
　|.　 　 　 　 ´"''",　　　 　 　"''"´ 　 　 　 　 l　　　その誘惑や衝動を抑えるためなんだそうだお。
　.＼ 　 　 　 　 （　　　 j　　　 ）　　　　 　 .／
　　　＼　　　 　 ｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　 　 ／
　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　 ／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ……単に眠れなかった　　　　　　　　　　 　　　／　＿,ﾉ　　⌒　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ 　 （一） 　（ー） 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ワケではないのですね。　　　　　　　　　 　 | 　 　 　　　´　　 　ij　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　　 　⊂つ　 　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　 ＼

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　 ,. -'"´　　　　　　｀¨ｰ ､
　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　',　　　　　そして、やらない夫は自分の盗癖が直るまでは
　　　　　./　　　, -‐､　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　l　　／　　　｀'　 ＼＿＿＿ 　 　 .l　 　 　 決して結婚しないと決めたんだお。
　　　　　l　　ヾ＝=ﾂ　　　 (　 乂ｿ ﾉ　　　 l
　　　　　.',　　　　,　　　　　 ヽ 　lilil　　 　./　 　 　 さもないと妻子に迷惑がかかるからと……。
　 　 　 　 ＼　　 l　 　人＿,/l 　　　　 ／｀ヽ
　　　　　/ 　｀ー､｀ｰ´ 二二ノ 　　　‐'　　　　',.
　　　　./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l






　　　　　　　　　ｨ':: ｉ
　　　　　　 ／:::::::::::l_　_ 一ィ'ﾍ斗､ｲl
　　　　　　':::::::::::`7 /::::::::::::::::::／:::::::lヽ､
　　　 ., ':::::::::::::::ィ-:::Y´::::::::／::::::::::::::::::::,l
　　　〈::::::::::::::::::i:::::::::!:::::::::/::::::::::::::::::ｹ::::￢
　　　　::::::::::::::::{::::::::::::::::::〈::::::::::::::::::ﾊ:::::::::::! 　 　 　 はい、未だに兄さんが結婚しないのは
　　　　｝:::::::::::::::ゝ::::::::::::::::::丶:::::::::::|::::,､:::::::|
　　　　/:::::::::::/|:::::::::::::::::::::::::〉::::,.::/／/ , ﾍ|　　　　 この習性が改まらないからなんです。
　　,／:::::::_._/ .|:::::::/|:::::|!::::/::::（ﾚ 　 ／
　　i::::r ' ´　　/:::::::ﾉＮ::/:::l:::::::::ム　,i　　 　 　 　 　 …………そしてアタシも。
　　ヽ､　　　/::::∧ヘ　{:::::l:::::::::/_／
　　　　　　∧::::|　丶　　|/'l,::::/
　　　　　（.:::::〉/＼　　ヽ| 　l::::|
　　　　　　）f´　　　ヽ　　i|ﾚ ヽ丶
　　　　　　/　　　 　　　＼/A　ﾊ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 アタシも……？ やらない子さんもですか？　　　　　 .／ノ　　　＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／（●）　（●）　　u　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 すると、お兄さんの窃盗症が原因でご自身も　　　|　u　 __´__　　　U　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼＿ `ー'´　　　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 結婚に踏み切れていないのですか？　　　　 ⊂ ヽ∩　/　　　　 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､＿　＼|　　　　　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　＼　　／　　／




　　　　l: : : :‐-ｨ,>`´: :´: :.イV ﾏvヘ、ヽ.: : : :,'
　　　. '´⌒:: : /:ヽ／: :　〃 ﾊ　ヽ: : `ﾍ　ヾ､::/
　,／　.: : : : : l: :′ ｧ: : : : : j.: :f'} :、: : : : :ﾍ: :＼
　ヽ　.: : : : : :ﾊ : : /. : : : : : : : : :}: : : : : : : : ∧. :ヽ
　　Y.: : : :.,.' : : : :´ : :j . :l. :/. :ﾉ　!. :| . :l: :ｷ.: :!ヽ: :l
　 /.: : : .:‘ : : ,' : : : :/　/l/／　　|: :| : :| : :!. :/.::!: j
. /.: : : .:/.: : ;,' : : : /}ｲ-一' 　　　l_/‐､/| .:|: : ヽ::l/
/.: : :ｨノ!: :人.: : : /¨_二ュ,　　　_,辷,y､_ﾘ.::/::|: :ﾘ　　　そうなんです……。 アタシは兄さんの悪癖が恐ろしいのです。
!／l （　|/'|: :/: :i/〈'弋ﾉ 　 　 　 ﾋノ丿,vﾊｲ.:/: :|
{/　　）　　|N.: : :ハu`　　　　　,　　'' ,〈/ ﾙ/|/Y´　 　 このような兄弟がいるのを世間に知れること、そして結婚後に
{　 　 　 　il: :}: :!ヽ丶　　　　　 　　 ,ｲﾑｲ　|
　 　 　 　 |/: :/: :八 ヽ、　 ´　 , イ: :l::/!　/　 　 　 　 兄さんがまた警察のご厄介になってしまってはと……。
　　　　　 ,': :/: :/!: :、l:.　｀ 7:´l : :|: :,ｲ（
　　　　 / ／: / .＼_:ヽ、 ｲjヘl､ : : i八｀ヽ、
　　　　八/＝|、 　　`､: :ｌヽ,　 ‘l｀ヽ. : :＼　）
　　　/ ／＞┤＼_　 　ヽl　 ＼　_ヽ:｀ヽ.: .:!
　　　|/／⌒ 乂＼＼　　 ＼ 　|　 ﾘ//　ヽ:|
　 　 i　　　　｀ﾊ　 ＼ `ヽ‐- Y´¨｀/〃　 　| ､

　　　　l: : : :‐-ｨ,>`´: :´: :.イV ﾏvヘ、ヽ.: : : :,'
　　　. '´⌒:: : /:ヽ／: :　〃 ﾊ　ヽ: : `ﾍ　ヾ､::/
　,／　.: : : : : l: :′ ｧ: : : : : j.: :f'} :、: : : : :ﾍ: :＼　　 つ
　ヽ　.: : : : : :ﾊ : : /. : : : : : : : : :}: : : : : : : : ∧. :ヽ
　　Y.: : : :.,.' : : : :´ : :j . :l. :/. :ﾉ　!. :| . :l: :ｷ.: :!ヽ: :l　っ
　 /.: : : .:‘ : : ,' : : : :/　/l/／　　|: :| : :| : :!. :/.::!: j
. /.: : : .:/.: : ;,' : : : /}ｲ'――'　　 l /‐､/| .:|: : ヽ::l/　 　 今までに好きになった人もいましたし、縁談もありました。
/.: : :ｨノ!: :人.: : : /‐ｨ〒ﾃ;　′　,辷,y､_ﾘ.::/::|: :ﾘ
!／l （　|/'|: :/: :i/〈'弋:::ツ 　　　ﾋ:シ丿 vﾊｲ/: :|　　　　でも、全部断りました。 アタシにはたった一人の肉親と
{/　　）　　|N.: : :ハ'xxxx　　　,　　xxx,〈/ ﾙ/|/Y´
{　 　 　 　il: :}: :!ヽ丶　u 　　　 　　 ,ｲﾑｲ　|. 　 　 　 　 絶縁する決心なんてつきませんから……。 そっ、それに
　 　 　 　 |/: :/: :八 ヽ、 　 '´　, イ::l::/!　/
　　　　　 ,': :/: :/!: :、l:.　｀ 7:´l : :|: :,ｲ（　　　　　　　　　やらない夫兄さんは、アタシに優しいのです、親切なのです。
　　　　 / ／: / .＼_:ヽ、 ｲjヘl､ : : i八｀ヽ、
　　　　八/＝|、 　　`､: :ｌヽ,　 ‘l｀ヽ. : :＼　）
　　　/ ／＞┤＼_　 　ヽl　 ＼　_ヽ:｀ヽ.: .:!
　　　|/／⌒ 乂＼＼　　 ＼ 　|　 ﾘ//　ヽ:|
　 　 i　　　　｀ﾊ　 ＼ `ヽ‐- Y´¨｀/〃　 　|

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝ　　,　ヽ _　　丿　 ヽ　　　　　 　 ＼‐､-..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 ゝ ﾉ , ‐ ´　　　　∨　　　　　　　 ソ:.:.:.:＼
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　　　　　 _冫:ヽ,_ -...‐....-、　/: ヽ
　　　　　 l: ヽヽｌ: :ヽ: : : : : : /: : : :_ヽ
　　　　 /: : : : : : ＼: : : : : : i: : : : ｀: l
　　　 /: :i:/: :,、: : ; ;丶: :丶:i :/: : : :/
　　　 l:l: l:i: / ヽ:ヽヽ: :ヽ: : ヽ: : : : : l　 　 　 アタシも兄さんが気の毒でしょうがないのです。……だから
　　　 l::l :l :二_ヾ _｀二l: :l:i :l:l: : : : : l
　　　 .l/｀l::l弋ﾘ　　ﾋダl从 l:l: : : : l:l.　 　 　 そうしている間に、適齢期が過ぎることになったとしても
　　 　 　 !八　 ｀__　　u｀ｿｿl:lヽ: : : l
　　　　　 l::li::ヽ、　　／:/: : :l::l　ヽ: :!　　　　こういう兄弟を持ったアタシの宿命だと思って諦めています。
　　 　 　 l:!ｌ:/l: :｀i. ´　 l::人 l::l　　l::!
　　　 /r:‐/:::::､≧ヽﾊ　ト┴＜ヽ　ﾘ'
　 　 〈 {:.:.ｌ.: : :ハ:.:{{:::＼｀＞､_l､ｉj:._
　　　　l:.:.,' : : : : :YﾞT::＞＾－-､V/:.

　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -‐゛‐_-､__
　　　　　　　　　　　　　　 _-‐／: : : /／｀　 ｀ﾞ丶┐
　　　　　　　　　　 _ -‐⌒ﾍl/: : : : /´ l : : : : : : : i:{-‐-ﾍ
　　　　　　　　 ／/ : : i : :} j´ : / / : ::| : l : :l: : :/ﾐ',/^i: : ヽ
　　　　　　　／: :{: : : :;' : : ﾉ: : ;' λ: : ﾊ: l: : |: : {ミ;}'彡l : : :ﾍ
　　　　　　 /: : : :'; : : l : : :{ : :,' : {:'; : :l:' ;:|: :ﾊ : :|w:升:| :'; : : :ヽ
　　　　　　 ゝ: : : } : : | : : || : :'; : l::'; :ﾉ:'; :| j:| ';:|ﾉ　 ´l: : ' : : : 丶
　　　　　　　 Y: : | : : |: : :|:| : : '; :';‐;大弋ﾅ＝く　 　 l: : l : : : : :λ
　　　　　　 　 }､ :| : : { : :;':|: : : '; :'､ﾉ /ｨ芹笊ﾐ/　　 十､/; /: : ,/
　　　　　　　 {: :} |: : : ';;r‐､': : : '; :',　 ゝ辷rツ　　 ,ｨ≠ｘ:./: l: :l }
　　　　　　　 |: :} |: : : :{ へ }: : : :'; :',　　　｀゛ﾞ　 　 {戈ｿ,":l :|: :;/　　　現に今だって、兄さんは
　　　　　　　 '; ﾉ/: : : /', ､-l: : : : :ﾄ;:',.　　 　 　 　 冫 7: ; ﾚ:ﾚ'
　　　 　 　 　 };' !: : :/: /ヽｨ: : : : ::} 'l:j　　 　 　 　 ´　 }:l:l:´l ﾉ　 　 　 刑務所の中なんですから……。
　　　　　　　 /;' ; : / :/l l:/:,' : : l :{　!.　　 　　-　、　/: ﾄ!:ﾚ'
　　 　 　 　 /: :;': :/ :/:l ﾙ:/ : : :|: |.＼ 　 　 　 　 .／: : |:ﾚi
　　　　 　 /: : ;' :/ :/ :/ l i : : : : l |　　丶、.　　／:| : : :| | |
　　　　　./; : :'; :{: :{: :/^:|/; : : : : ';|　　　　/`‐´| : | : : :| | |
　　　　　!ｲ: : :l :l : lシﾍ::|'::'; : : : : 'ﾄ､　　　{､ :l :| : :|: : :.| | |
　　　＿_!_ﾘlﾙ'; :';: {:::::::ﾊ::::::'; : : : : ';:｀＞≦ゝﾍ_|_: |<: : | | |
　　／⌒::‐::、::::ヽ_ヽ=-:ﾍ:::::':; : _-￣´　　　　-=' ´|_＼| | |
　 /:::::::::::::::::::｀ヽ、::::::￣:::ヽ／⌒`‐、　　　　　 ,___ -､_ﾍ:. |.
　〃::::::::::::::::::::::::::｀、::::::::／::::::::::::::::::｀､　　　　 __丶.;:‐-"':; |






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 服役中のやらない夫くんの様子はどうなのです？　 　 ／ノ　　　ヽ　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／（● ）　（● ）　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　……それから、彼はナニを盗ったのですか？　　　 | 　 　 　´　 　　 　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　⌒　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 ＼

　　　　　　　　 ／　￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　 　 ／　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　 ／　 ―― 、　　　, 、――　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼
　　 ／. 　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　） 　 　＼　　　 やらない夫は、他人の現金や、つまらない品を盗んで
　　|　　　　 　 ´"''"　　　, 　 　 "''"´　　 　 　 l
　 ..|.　　 　 　　　.（　　　 j　　　 ）　　　　　 　 .|　 　 捕まったんだお。 もっとも、どれも被害額は
　　|.　　　　　　　 ｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　 　 　 　 l
.　　＼.　　　　　 　 　 ｀ ⌒ ´　　　　　 　 　 ／　　　大したこと無かったんで、刑期は短かったそうだお。
　　　　＼　　　 　　　　　　　　　　　　 　 ／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　 ／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼





　　　　　　　／ ,／,> 　 　 　 　 、彳{ヽ >ﾌ. ',,　゛ゝ、
　　　　　　 ,'　,ッ, /　　　　 .、　　^ヽ￣ Y　　ｿ　',.　ヽ,
　　　　　　,'. <／/ 　 ,　　　|ﾄ、　　 　 ヽ|/イ 　　 ', `>=-_､
　　　　　　`,　＾>i.　　 ﾄ　 　.i　≧-_-－_　ヾ{､　　　ヽ、ヽ　~
　　　　　　ﾉ|　 y　　　|.又　 {　'´,-=≧､｀ｯ.ヾ,.ト　　　　`ヾ、　　　そうやって、刑務所に入っているうちに
　　　　　,ハ} 　 |　　　i:::;;;｀ヾ';､. ' f.tﾟ .ﾁ }｀ k .,` ､>､　　　　',
　　　-='≧　　　.i　 　 |::::;;;;;　　　 ,`,",ｼ┐ﾑ }￣゛ヽ　　　 ┃ . 　 兄さんには心境の変化がきたようです。
　　　　ノ　 　.,;'´,`,`,x､{`.､　｀　　 　 , ｲ . iｼ.iﾉ　　　`i　　 .} |
　 　　,'　 　 ,´::/ /ﾉ,､　'i,| ｀　ｰ-_-t '　ヽ、　 　 　 　 }　 ノｿ　　　……それは研究グループにも関係のあることです。
　 　 .| ,.　, {/y,-＜　 ` -^-　,,㍗´_ ,,_ -､,.> 、_　　 /／"
　　　 `,{　', i　.`　　　　　/."　`─ - - "´　　　ヽ <,´
　　　　　ヽ`{､　 　 　 　 i　,　　　　 　 　 　 ,"　 .i　 .^

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　 　 　 ／ 　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　ノ　　 　ヽ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　すでに、それはボクも分かっていますよ。　 　　　 .／　 （○）　 （○） 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　　　´　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　彼は刑務所の中で勉強していたのですね？　 　　＼ 　　 　 ⌒　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 >　　　　　　　　　<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （　|　　　　　　 　 / ）



　　　　　　　　　　　 　 ＿
　　　 　 　 _r-/ヘ,ヘ /　 ヽ
　　 　 , -/　／ _　-、 ＼　ヽ、
　　　 .{　〉 /　 ,、ヾ､_ヽ　ヾ-ﾐ ﾍ
　　　 / {　{　ｲ ! ヽ´ ｀_,}　i }、 ヽ}
　　　.ﾉ .{　{ ｲヽ{　　ﾍツ', ﾘ ﾄﾊ}ヽ
　 　 .| ィ{从 fｨﾁ）　、　'' }人ﾊﾘ　　　　　　　　　 ええ、お察しの通り、刑務所を『勉強や思索』の場所として
　 　 .ヾハﾄﾊト、''　　O　从介{
　　　　　　ヽ从 ＞r-- ｲ＼ヘヽ　　　 　 　 　 　 好むようになりました。 手紙で本を指定するのですが
　　　　　 　 {ハ }＞}　ヽ '__}＞ｭ-- 、
　　　　　　　ヽ／{　ヽ￣｀　 ',　　}　 {ヽ　　 　 　 そのことごとくが、人類学か古代史の関係書だったのです。
　　　　　　　 {ヽ ヽ　ヽ　　　 ﾘ　 |　 |　ヽ
　　　　　 　 ﾊ　ﾍ}ヘ　ヽ　　/ / /　 l 　 ',
　　　　 　 　 ﾊ　ﾍ}　ヽ、 ｀/ｲ　/　　}　　}
　　　　　　　 .ﾊ 　 ト、　ヾムイ　ノ　}　　}
　　　　　　 　 ﾊ　　 ､ ｀´j　八}　　　j 　 ﾘ
　　　　　　 　 .ﾊ　　ハ　ﾉノ　 `　　/　　/



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不都合な本ではありませんから、当然　　　　　　　 ／―　　― 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／（● ）　（● ）　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　刑務所は許可するわけですね……。　　　　　　 | 　 　 　´　 　　 　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　 ￣　　　　　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 ＼

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ; ﾊ　∨　　　　　　　〉ﾄ､ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ﾚ' 〈 ∨　　　　　 /ｒ'　ヽ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| l!　　〕∨　　　　//　　/ .|
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 │＼ 〈: : ＼＿／: :〉　 /　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 __ |　/l: ＼: : : : : : : //￣}　/__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ヽ＼{: ＫＶ/ : : : l : : 〉Уﾌﾚ':/}:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 人 : ( : : rｆ込、ﾉ:_:i＾ﾚィ歩ｧ: ;ﾉ:ｊ人
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／// ＼_:ﾄ､｀冖^:ノ: : ´:｀冖'／!／//＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／////////|: :}ｌ : : : :/:｀Ｙ:ヽ: |{: :|////// ≧=-ｘ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,ｘ≦/////|＼.//八: :|| : : 〈 : ;ﾉ: : : |l :////////////////￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　/￣/////＼//∧　 ＼//＼!: :､⌒ｰ⌒;: :ｌﾚ/////////／///////／/ ∧
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /＼////////／ｌｌ∧. ‘，＼//＼: ｀￣:´:／////////／///////／///// |
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ./////,.ィ´）_￣ｌｌｌｌｌｌｌll∧　 ，　＼/ |iー一'ｉ|////_//_／＿/////￣ヽ///////
　　　　　　　　　　　　　 　 /// ／: :／ /}ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ， 　 ＼|_:_:_:__ｌ|￣//////く{￣＼//////|//／￣}
　　　　　 　 　 　 　 　 　 〈.//〈: :／ :｀: /_ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlｌｌll∧　 ，　 　 ＼ 　 l|/////＿＿}}　　ﾘ＿////|/////∧
　　　　　　　　　　　 　 　 _}////: : : :／_/}ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ，　　 　 ＼ ￣￣￣￣￣　　 '⌒ヽ_// |///／/∧
　　　　　 　 　 　 　 　 　 |￣//＼／: ヽ /ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlｌｌll∧　 ，　　 　（__厂 j:￣ｊ ＼　　　､＿,ノ///j///////∧
　　　　　　　　　 　 　 　 //////〈: : : ;∠ﾆ、ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlllｌｌ∧　 ，　　（___厂: 厂:｀ヽ : ＼__ )厂/////{////////∧
　　　　　　　　　　　　　////////｀フ: :〈__/ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌl∧　 ，　　（__厂:ｊ￣ i＼:＼: : ∨//////,l//////////＼
　　　 　 　 　 　 　 　 ///////// 人:_:_／ ∨ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ，　 （__厂 :ｊ＼ : ヽｒ'⌒ :∨///// |////////////＼
　　　　　　　　　　　 //////// ／　 |ヽ-＜ ∨ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌl∧　 ，　　 ￣＼: '＾ヽ:__ : : : : V⌒ヽ/ |////_厶-─＜ /∧
　　　 　 　 　 　 　 ///_//=≦/　 　 |//// ＼Vｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ，　　 　　 ＼: : : ヽ: : : : ∨/ ∧l__／/////////＼∧
　　　　　　　　　　/／////// |l　　　∨///// ∨ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌlｌｌl∧　 ，　　　　　 ∨ : : : : : : : l///∧　＼///////////＼
　　　 　 　 　 　 //////////∧　　　 ＼////_∧ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ，　　　　　 ∨ : : : : : : :|/// ∧　　V/////////// ヽ
　 　 　 　 　 　 //////////// ＼　　　 ｀7￣//∧llｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌ∧　 ，　　　　　 ∨: : : : : : :Ｖ////}　　ｌ|///////////// }
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はい、そして刑務所に来る教誨師（きょうかいし）の影響からか

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　兄さんはバイブルの差し入れも望むようになりました。





　　　　　　　 　＿＿＿_　　　　　　　l＿
　　 　 　 　 ／＼　　／＼　　　　　　 ／
　　　　　 ／（ ○） 　（○）＼　　　　 ＞
　　　　／　　　 　 __'__　　　 ＼　　 　＼
　 　 　|　　u　 　/___/　　　　　|　　　　　　　　　ば、バイブルですって！？
　　　　 ＼　　　　 ,. -'"´´￣｀ヽ
　　 　　 ／ 　　　（＿＿＿　　　|　　　 　 　　　 キリスト教の聖書をですか……？
　 　　／　　　　　　　　　　　　　 |
　（￣　　　　　　　　　　　　　　　 |
　 ￣￣￣|　　　　　　 　 　 　 　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィ― 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::ヽ, -‐- 、　　＿＿＿　　／::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{::::::::::::::::; -f::::::::::::::::｀‐´:::::::::::::::::ヽ/:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::（ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}:::::;::::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（　ヽ:::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞﾞﾞヽ:::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::｀::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::::{:::::::::::::::::-‐::'''"´::::八::::｀゛`''‐-､:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 はぁ、バイブルといっても新約聖書ではなく　 　 ヽ::ヽ-;::::::::::::::／ |／　　 ヽ 、::::::ハ:::::::ヽ:::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 }:::::::>、:::ll三三ミ、　　ィチ三三ミ:::::::::}:::
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 『旧約聖書』と、その研究書が多かったです。　 　 ﾉ_:/　 /ヽ| 　 |::::ｃ　　　|:::::ｃ　　 ﾚ-::ｲ::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ 　 /::::::r 　 ﾄrﾞﾘ　　　ﾄr:::ﾞﾘ　　}l::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （:::::::::{　ヽ ｀´　　 　 ｀´　　イ}:::::::::::;:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::::ヽ　　　　　　　　　 　 /::::::::/:::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }:::::;:＞ 、＿＿＿ , イヾ::::::::ヽ:::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ=彡ﾍ::::::://::::{_/:/::ヽ　　l:::::／ ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣! /ヾ::::／:::::::::i　 i￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ::::::::::::::::::::::::|　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　}:::::::::::::::::::::::|　　ﾉ



　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　／　　 　 　＼
　　　 ／　　─　 　 ─＼　　　 　 そ、それはやる夫も今、初めて聞いたお……。
　　／ 　　 （○） 　（○） ＼
　　|　 　　 　 （__人__）　 　 | 　 　 やらない夫が旧約聖書を、か……！
　　/　　　　 　|!!il|!|!l|　　／
　　　　　　 　 .|ｪｪｪｪ|

　　 　 　 　 ＿＿__
　 　 　 　／　　 　 ＼
　　 　.／　　　ノ ' 　ヽ＼
　　.／　／）（ー）　（●）u＼　　 　……ぼ、ボクも驚きましたが
　　|　／ .ｲ　　　　' 　 　 　 |
　　 ./,'才.ﾐ).　　⊂つ　　／　　 　 しかし、これは納得のいくところですよ！
　　 .|　≧ｼ'　　 　　 　　＼
　／＼　ヽ 　　　　　　　　　ヽ




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　 .＿ , -‐＝ﾆ＝- 、　　 ／ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ {: : : :￣｀≦ 、｀´￣: : : : : : ￣｀メ／: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 , : :{ :、: : : : : : : : :｀ヽ; : :￣￣｀ヽ: : /: : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, : : : /i :ヽ: : : : : : : : : : ＼: : : : : : :V1: : : : : ￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : イ.:|: : : : ヽ: : : : : : : : : : ヽ: : : イ: }: : : : : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉: : ': :{: : : : : : ＼ }: : : : : : : : :＼イ: {: : : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｲ: :/: : :ヽ: : : : : : :ヾ: : :ヽ: : : : : : :ヽ: :}: : : : :ヽ : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :,' : : : : { ヽ: : : : : :| : : : !: :、: : : : : ､l: : : : : : ヽ: : :|、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ: : |: : :i: : |　　＼: : : : : : ハ: :} : : : : i ヾ : : : : : : ヽ :' ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : |: : :l: : |　　 　 ヽ: }＿|＿i: }; : : : :}: :{∧: : : : : : ヽ|: : ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 兄さんが３度目の刑期を終えて　 　 |、 !: : :_}__|_　　　 ´,∨弐=ﾐ: :ハ: : : :ﾄ : X: ヽ: : : : : :|￣｀ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| | : ; : : ∨弐｀　　　イ三 :}　}'　|: : : }　Y } : : i、: : : ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 出所したとき、言っていました。　　　| | : : ヾ: {、ｲ戈　　　 乂zﾉ ｿ　 }: :ノ{ ノ:ｲ : : :| ヽ: : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾊ : : : ト、: 乂ﾉ ,　　 　 ｀ ´ 　 少 r´ |: :| : : :.|　 ヽ: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　ヽ: : {　ハ ｀´　　　　　　　　　　〉: : |: :| : : :.|　　 ヽ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ、 >, 、 　 -　　　イ　 ./: : : l: :| : : :.| 　 　 ｀l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ￣　 | |: :iぇz- ＜　　 ./: : : ∧: }: : : :l: 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | |: :|: : }ハ　　　/: : : 人 ∨ : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾘl: :|: :ﾉ　 }　　/: : ／　∧ ∨: :.| :＼: ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ 7Y|://´ '　r/ : ｲ　 　 /≧y⌒ヽ: : ＼: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ﾚ　 }'イ　　 /,: :/　　 ／　イ;メ￣:ヽ: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　////ヽ　<_} /＿ イ　 〃: : : : : : :ﾄ 、 : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 .〈　///∧　　 ｲ′　 　 　 ｲ : : : : : : : l　 ヽ:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{∨>― ヽ-‐ 1 ヽ　　　　 j: : : : : : : : |

＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　 　 　 　 __ノ　ヽ､,_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 　 　 　 　 　 （●）（● ） 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　 　 　 　 　 （__人___）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……オレは、やらない子が差し入れてくれた　　 　 　 |　　　 　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旧約聖書を読んで、その内容が『記紀』の神話と　 　 ヽ　　　　　　.ｲ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　 　 __「ヽｰ'ーｰ"／ L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　奇妙に一致するのに気づいただろ。　 　　 _, ､ -― ''":::＼:::￣￣::::／::::::ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　 　 /;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀'ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / r二＼;;;:::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 　 　 　 　 i ;;;::::::::＼＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'､:::: !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /;;;;;:::::::::::::У￣＼ｰ, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 l ;;;;;::::::::::::/／￣}<r´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |






　　　　　　 _,.-、　　　　＿＿　 _,/⌒ 、
　　　　　／::::::::::＼,.-''::r丶:／ヽ::::::::::::ﾍ
　　　 ／:::::::::::ｲ::::::::::r'´::::::::::::::::::::ヽﾊ::::::ﾍ
　　 /:::::::::::::::::::::::ノ::::::::::::::/:::`:::::::::::∧:::::::::ヽ
　　 ヽ::::::::::::::::.,":::::/i:::|ヾ |l::::|ヽﾍ::::::ヽ::::ﾍ/　　　　 　 ええっ！？
　　　 )::::::::::/,::::::::/|/...|:::| |/ |/ﾒヽ|::∨|::::::〉 （_
　　／:::::,.イ:|:::::::/ |!￣∨　　　‐゛'.|∨::|:::/　　（__　 　 兄さん、そんなことを考えて、聖書の
　 （::::::::ヽ ∨::::::|=＝＝　　　 ＝== |::::|::::＼　　／
　　＼::::::::) ｲ::ｌ|:j　　　　__　_ ′ 　u|:::::| ）::/　　>.　 　研究書や関連書を頼んでいたの？
　　　 〉"　　∨::|　　／　　 　｀`! 　 /::::/ ヾ(　（
　　　　　　　 ∨|＼,'　　　　　　｝.／| :/
　　　　　　　　）ヽ:|:〈:｀'. r‐┬‐ '/:::::|〉:)
　　　　　　　（::::ｨ´ヾ,:‐＜＿l:::::/ﾏﾄ､:（_

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　ヽ､__　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （⌒）（⌒ ）　　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （__人___）　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｌ｀⌒ ´　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これからは、これらの比較研究を　 　 　 　 　 　 |　、　　 _,.ーへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 _. -: ::::ヽ_＿「　　　　　v、___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やっていきたいと思ってる。　　　 __,.　＜::::::::::::::∧:::二〈 、　 　　　 ∨:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、　 　 -ｰ､:::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::ﾄ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ｰ／ ::::::::＞:､::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|






　　/....::::（ﾉ/'..............へ....................＼:.:.:.:.ヽ:.:〈ヽ:.:.:.::.:.:...|
　 /...:::::::::/.............ﾊ.........ヽ.......................､..........:.:...:.:.:.:.:.::.:l
　 !...::::::; '"..................ﾍ...................................ヽ:./　....:.:.:.:.:.:.i
　 l.....::::/..;:::::::::::i,...........ﾒ､::::::::i:::::::i.::.:.:.:.:.:.l::.:.:〈.....:.:.:.:./i
　 !..:.:.:i:.:'....../..'∧丶::i...::l::::::/:::::_i:::::,:::::::::l:./:.:i::::::.:.i:.:.:.:ヽ
　　}:::::l::::/V|:::::|ー｀ヽ､:.j｀ ＝ﾆ孑丶l::::l:::ﾘl:./　＼:i::::::::.）　　 …………。
　 /......ﾚ:::lヾ:.ヽｌ.:.:.Z彡　　　　 ￣i!i!i!ノﾚl::..!:.l:. 　 /:::／
. /.....::lノ.:i/:＼::::|:::ゝ´　ﾉ　　　　　u /,:'i:::|（::::l::　（::/ 　 　 　 アタシだって歴史学を囓ってるから言うけど
〈 ::::::（　　　　 ヽi　ヽ　 r‐'⌒ヽ　,ｲ l/:::ﾉヽ）::::l::i　 ヽ
　ゝ::::::＼　　　　　　 ｀'｀ｰ┬-イ　 /／└/'`ｰ-､　　）　　　　奇抜すぎるわ、常識的に考えて……。
　　　｀　 ヽ　　　　 ,　,.- ''';ｌ::/ﾌ　　 　 _, /:::!　 〃ヽ
　　　　　　　 ⌒　ノ /　　/i/' `　‐''"~　/:.∧/　　　｀
　　　　　 （　 　 　 　l　.../'1l　　　　　 7／ヽ!
　　　　　　　　- ´　　!／　ヾ ､＿,,.-'ﾆ-'" 　l
　　　　　　　　　　　 /　　　''''''￣　　　　　　ll

＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,ハ　/＼　　　　　 /::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /´ヽ　　,/;:::::∨::::::::Y＾⌒ヽ､{ｹ:::::::::ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /l:::::ﾉ!／::::／:l|:::_ｲ丶{:::ヽ､::::.ヽ::::::'⌒＾￣,}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,／/:::::/::::／:::::／l{ﾆ、ﾐ::::＼::::::::.::::＼: : :./´::|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:::::::/::::〃::::::/:::::|　　　ヽ::::|ヽ:::::::';::::ｌ:＼:::i|::::::::: : ::>
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 , '::::::/::::/,ｨ!/:::::l::::::L::∟、　　､::|　 ＼!:::::|:::::l＼::::::::|ゝｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {::::::/:::://｜'::::::l::/ｌ_∟､　　 　ヽl二,,'_'j::::|::::,ﾄ､:::＼::lﾙ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　先生方も、この兄さんの説は　　 l::::/／ l:||::ｌ:::::::::l,'ｌ { ﾄ;ﾊ` 　 　 '´‘;!iﾒj }|:::ﾚ'::!ヽj/　）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ｀/,'　　l:||::l:::ヽ∧ヾ` vｿ　　　　　 Ｖノ /|:::l丿::ﾘ::|　　`丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　すでにご承知でしょう？　 　 　 　 （ l　　ﾘｌ:!い::::::{tﾍ ,,,, 　 　　,　　 　　,,,;ｌ|::::|::/ｲ|::l　　　　 ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　ヽ　ｌ/　Ｖ｜トrﾍ、　 　 　 　 　 u　,ｲ.|::::|::i|| ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 ＼｜::| |｜::::ﾄ､ 　ゝ￣,ﾌ　　ｨ:::ﾚ':::::jl:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 |::::j人!::::｜「 ト　 __ ,　´｜ ′ｲ八|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 |::/　 i:::::::ｌ l! |　　　　　　∨/::∧::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |/　　|:::::::l !ﾚ 　 　 　　　//::∧ ﾄ､::::＼＿,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / 　 　ｌ:::::::川　　　 　　／/::,ﾍハL 「＿￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　＿ 厶ィ'::::/　　ｰ一' _／∠_ヽヾ. 　 　￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣　 　〃 j::/￣￣｀　 ´￣￣　　ヾ.j　　　 　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　 　　{{　　　　　　　　　　　　　　ヾ.j



　 　 　　　＿＿＿_
　 　　　／⌒三 ⌒＼
　　　／（ ○）三（○）＼ 　　　　　 ……そ、その通りだお。
　 ／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼
　 |　　　　　|r┬-|　　 　　|　　　　 やる夫も、しかと覚えているお。
　 ＼ 　　 　 `ー'´ 　 　 ／






　　　　　　＿＿＿
　　　　 ／　　　　 ＼　　　　　　　ええ、確かに、やらない夫くんは『長い旅』のあと、ボクらの
　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　 ／　　 （ ー） 　（ー） ヽ　 　 　 前に現れたとき、「ユダヤの説話の東漸（とうぜん）が
　 |　　u　　　___｀___　　　 |
　　ヽ、　　　 `ー '´　　／　 　 　 日本神話を構成している」と、言い出しましたよ……！
.

＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡



　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ　 　 　 　 　オレは旧約聖書の創世記を読んでヒッタイト人の民話と
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }　　　　　　 　記紀の神話が大変よく似ていることに気づきました。
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　 　……ヒッタイト人は旧約聖書に『ヘテ人』として出てくるだろ。
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　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::~´:::::::::､-‐= ´:::::::::ヽ,　~}:::::::{　　　　　　◎ ｶｯﾊﾟﾄﾞｷｱ　　　 　 {,:::::::::::
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　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ~｀'―-､,:::::::::::::::r--､,,,_::::::::::::::::::::::::::::::::/　◎ シリア
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　　　　　　　　　　　　ご存じの通り、ヒッタイトは紀元前２０００年頃にユーフラテスの渓流、カッパドキア高原

　　　　　　　　　　　　およびシリアの地を占領し、小アジアから西方のギリシャ人と接触して彼らに

　　　　　　　　　　　　メソポタミアのバビロン文明を伝え、そして旧約聖書に影響を与えた民族です。
.

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　三三! .|三l.i三.!　　l三l　!三!│　/三 .!　　 .lﾞ三三i,l三三三三三三三三三三三三三三 l !三三|　,! !　 |三|　 |三i 　i ./三
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　. l三 |　! l;;;!|三;l　 l三;lﾞ.|三;;;! |! |三三;|　│三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三!│三;|　l三;;;ｌ | i三
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　　　　 ,、　　 ﾞl　 !　!　 | l　　／　i三三|　　.!三三三三三三三三三三三; il 三三三三三三三三;;/ 　　.　 / 　 ﾞ　.!　 ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岩窟住居や岩窟教会はモチロン、ヒッタイト人が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　地下都市を作って生活していたのは有名ですが

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この岩窟群は、日本神話の『天の岩屋』に通ずる。
.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　また彼らは、羽をつけた太陽円形の鷲の像を遺しているが

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これが日本神話には太陽と、八咫烏に分かれて伝わっただろ。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i´　　｀＞　（　　 ,ゝ　　　　　　　　　　　,,i-´~~｀´|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /~　　　 ｀）_,,,-= =,´　　　　　　　　　　 ,／　　　,--´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,i-!　　　　　 ~　　　　~ヽ,　　　　　　　　　<,,　　 '=,｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|,　　　　　　　　　　　　　 ＼,　　　　　　　 i´　　　ヽ,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　‐,_,,--｀､-､,_ - ―‐ -､,　　　　　　ヽ　　　　　　 ＼,　　　　7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/~｀~‐‐´　　　　　　　　｀‐‐､,-､,,,-´　　　　　　　　ヽ,　　　 ｀っ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,~{　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀=-　　{´,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,}　　　　｀{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"ｯ,,　　,_　　　 ◎ カッパドキア　　 　 　 　 　 　 {　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´‐-´ ヽ,_　 , -､,。　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐､,_　　_,,,}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,二-,-　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀'‐´~　 ,}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　◎ バビロン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐-‐´~｀‐､_,,_,,/ ◎ パレスチナ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 iヽ　 ,,､　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,,-､,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀;!　//　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ.　　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i｀´~ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ,　　 ヽ,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　 ｀|　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　　 ｀＼,_　,／~ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |,　　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 },　,､　　　　　 ／( ヽ-----
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天孫民族が平定を望む、葦原の中津国には直接向かわず

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　筑紫の高千穂に降臨したという神話は、ヒッタイトがメソポタミアに

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　行かないで、南下してパレスチナを占領した事跡と符合します。
.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒッタイト人は、国王を『柱』の形でもって、それを象徴しているが

　　　　　　　　　　　　　　　　　古事記では、神々を数えるのに一柱とか三柱とか『柱』を使っており

　　　　　　　　　　　　　　　　　『座』や『神』などとともに助数詞として現代にも遺っているだろ。
.

　　　　 　　 ／￣￣＼
　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　 |　　　 （ ●）（●）
　　　　　 |　　　　 （__人__）
　　　　 　|　　　　　｀ ⌒´ﾉ 　 　 　　 またパレスチナの遊牧王や首長の称号は『ヒク』と呼ばれるが
　　　　　 |　　　　　　 　 }
　　　　　 ヽ　　　　　 　/　　　　　　　記紀では神名の下に、『毘古（ひこ）』や『彦』の名をつけている。
　　＿__ｲ.ヽヽ、___ ＿ノﾞ-､.
　　:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ
　　　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i
　　　 　 ＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |




　　　　　 ／￣￣＼
　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　|　　　 （ 一）（●）
　　　　|　　　　 （__人__）
　　　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　『バビロン捕囚』の忍苦は、天孫民族が葦原の中津国へと
　　　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　渡る前の雌伏時代に似ており、旧約聖書の第二書である
　　　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
　　''"::l:::::::/　　　 __人〉.　　　　　 　 『出（しゅつ）エジプト記』は天孫民族軍の東遷に似ているだろ。
　　:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
　　:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

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　　　　　　　　　　　　　さらにモーセが荒野を行く際に示した数々の奇跡は、神武の熊野山岳地方

　　　　　　　　　　　　　通過中の奇跡と似ています。 そして、モーセがイスラエルに到達したとき

　　　　　　　　　　　　　歌ったというのは、これも神武の戦勝祝いの歌、久米歌（くめうた）と同じ設定だ。
.

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　　　　　　　　　　　だいたい『創世記』の、「初めに神は天と地を創造された。 地は形なく、むなしく、闇が

　　　　　　　　　　　淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてを覆っていた」というくだりは、古事記の大地が

　　　　　　　　　　　「国稚（わか）く浮きし脂の如くして、海月（くらげ）なす漂える時」と似ている描写だろ。
.

　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　|　　　 （ ー）（ー）
　　　　　　.|　　　　 （__人__）　 　 　 　 　 そして、トドメは旧約聖書第十章の系図における人物の
　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 .|　　　　　　　ｎｌ^l^l　　　　 　 列挙が、記紀の神名の列挙と酷似していることです。
　　　　　　 .ヽ　　　　　 |　　 ﾉ
　　　　　　　 ヽ　　　　ヽ　く
　　　　　　　　/　　　　　ヽ　＼






　　　　　　　　　 　 　 　 _＿＿__
　　　　　　　　　　　／ 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　 　 　 /　 　 　 　 　 　 　 ,
　 　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　　　　　　 　 i　ｷﾘｯ
　　　　　　　　　　　　　 　 ｊ!　 　 　 　 :
　　　　　 　 　 　 .ｌ ,..-､＿,ﾉ ﾍ,_＿_,ノ }　　　　　こういうワケでありまして、オレは目下のところ記紀と旧約聖書
　　　　　 　 　 　 .|　 ｒモチ､　,ｒモテ,　|
　　　　 　 　 　 　 l 　ｒ 　 　 i 　 　 ､　.! 　 　 　 そしてヒッタイトの伝承との、比較研究を求めていますだろ。
　　　　　　　　　　∧. ゝ､ 　人　　ノ ./ｫ､_
　　　　　 　 　 _,,ｲ/,|ヽ　￣´_｀￣　,ｲ////l
　　　　 _, - ≦////|l! ＼　´ ｀ .／//////ゝ､
　　　/,/∨///////　ｌ　　　　　,'///｀' 'ﾐ,///{｀ミ- ､___
　　　}///∨/////＿＿ 　　　 ヽ//////｀ヽ;ﾍ //////≧ｫ 、
. .,..イ/////ヽ///|　　　 ｀ヽ 　 ,.'´}/////////｀//////////,｀x

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 _＿＿＿ 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 　 　 ＼ 　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ノ　 　 ＼　u. ＼ 　 　 　 ／─　 　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ （○）　 （○）　 　 ＼ 　 ／ （○） 　（○）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ………………。　 　 　 　 |　　 　___'___　　 　 u　　|　 |　 　 （__人__）　　　U 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　⊂ ヽ∩　　　　 /　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　|　!､＿ ＼　／ 　)　　　 |　 |　 '､＿ ＼　／　 )
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　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 や、やらない夫のこの説は実もって面白いお。　　　　 　 ／　　　 　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 ＿, 　　／　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ……でも、あまりに突飛すぎないかお？　　　　　　　　 　 ＼（ー⊂ヽ､∩ 　ｕ　 　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　| 　|　ゝ＿ ＼　／ 　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　|＿＿＼　　”　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＼ ＿＿＿ ＼ ／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そ、そうですよ。 ……この新説は興味深いのですが　　　　　 ／ノ　　＼　　 u. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ （●） 　（●） 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それよりもやはり、従前通り日本に近接した各地方の　　　|　 　　__´___　 　　u. 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　u. `ー'´ 　 　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伝承との比較をやった方がボクは正統だと思います。 　 　 ノ　　　　　　　　　　　＼





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　できる夫の言うとおりだお。 やる夫は特に　　　　　　　　　 ／＾　　⌒ 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 （●）　 （● ）　u. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮の記紀ともいえる『三国史記』の説話を　　　　　　 /⌒（__人＿）⌒::::::　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　|-┬r|　　　　 u. 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もっと突っ込んでやってもらいたいお！　　　　　　　　　 ＼ 　｀'ー`　　 　 　　 ／
.

　 .ｊ　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　 l　　::　　!　　　　　　　　　　　　　 |
　 i ＿＿,ノ　ゝ _,,ｭ=-ｰ'　　 　 　 　 l
　　!(｛:::::｝)、　（　{:::::::} )　　　　　　 ,'
　　; 　　　,'　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,'　　 　 　 いえ、オレは古代の世界航行路に目を向け
　　i´　　,'　 　　　　　 ヽ　　　　:;; ,'
　　､__ ,（ 　　　　　　　　l　　　 /　|　　　　　　西から東への文明の経過を展望してこそ
　　 　..;　`,ー----― ¨　　　./ 　 !､_
　　 　 :　'ｰ -―-'　 　 　　／　　 !ノヽ、　　　真に記紀の謎が解けると考えています……！
　　 　　:;　:￣ 　 　　　.,／ 　 　／:::::::::i
　　 　　:〉､_＿___ , - '"　　 　／::::::::::::::::!
　　　／;;;;;;j :::::: :: :　 　　,／::::::::::::::::::::::::!






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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼　　　　　　　 　 ／　　　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／⌒　　 ⌒　　 ＼　　　　 　 ／ノ　　＼　　u ＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 は、はぁ…………。　　　　／（ー ）　（ー ）　　　ヽ　　　 ／（ー ）　（ー ）　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | 　 　 __´___　　　u　　 | 　 　 |　　 （__人__）　　　u 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　`ー '　　　　 　／　　　 ＼ 　 ｀⌒ ´　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 ＼　　　　/　　　　 　 　 　 　 ＼

＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…………。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／─　 　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ （＿） 　（＿） 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　お兄さんは、このような警抜な考えを説いて　　　 　 　 | 　　　 　'　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 　⌒　 　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そして４度目の旅に出ていかれましたね……。　　　　　ノ　　　　　　　　　　 ＼




　　　　　　　　　 r-..、
　　　　　　　 ／..:::::::::ｉ_,. ｰ=ﾍ､,.-、
　　　　　　　'..:::::::::::／.／::::／..:::::::lヽ､
　　　　　　〈::::::::::::/..:/:::::::/..:::::::::::ﾉ:::￢
　　　　　　 ｝:::::::::'::::::::::::::{ ::::::::::::r'|::,､:::|
　 　 　 　 /:::::::/{::::::::::::::::〉:::::::::::::从ﾉﾍ|
　　 　 　 {::::r'´　∨:::::::::/..::::::::人 ﾉ　 　 　 　 ……ええ、そうです。
　　　　　 ヽ､　　　}乂ﾍ{:::::l::::ｨ_／
　　　　　　　　　 /::〉_rｭﾊ::ﾄヽ{　　　　　　　　 ５度目の旅は警察の方が来て
　　　　　　　　　）f´,'　　／ﾆ=、
　　　　　　　　　　/　　/　 　　i`､.　　　　　　 お伝えしたとおりです。
　　　　　　　　 　 ｉ　　;　　　　 ﾄ∧
　　　　　　　　 　 |　　|　　　　 |　 `
　　　　　 　 　 　 i　　:|　　　　 |　　}
　　 　 　 　 　 　 !＿__|　　　　 l　 ﾉ
　　　　　　　　　　Vｰ-|　　　　 i　{
　　　　　　　　　 　} 　 l　　　　 l　'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つまり、やらない夫は刑務所の『旅』と『旅』の合間に　　 　 ／ 　 （●） 　（●）　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫たちの前に姿を現しては、新説を吐き　 　 　 　 　 　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　また『旅』に潜伏しては思索研究していたのかお……。　　/ 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 　 ／　r─--⊃、 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|






　　　　 ,⌒ﾊ　　　　　　　　　　　　　,ﾊ⌒　、
　　　 ,'...::::::ヽ、,_r　-　－¨⌒`へ　_,、_-_:.:::ヽ
　　　ﾉ....:::::::.ｨ〃.::::::::::::::::::::ﾍ::::::::::::::ヽ`ヽ::::::::ﾊ
　　i...:::ｨ::::∧.:::::::::::　::´::::,::::ﾊ:::::::::::::::::ヽ ´丶/:i
　 ﾄ..:::/::/::|/.::::::::::/´:::::::::ﾒ:/ヽ:::i::::::: :ゝ:::ヽy::::i
　ﾙ.:::ﾉ::::ﾘ/.::/:::::/:::/l/::::::/|　i:::::l::::::::::::丶::ヽ::ﾘ
　{　/jYyﾉ.:/::::ｲ::::/::l::::::/|/　i:::/l:::/l::::::::i:::::l:::〈 　　　　……はい、今まで先生方に黙っていて
　 ）.::::::::::|/|/:::;/l;::/.::::/_,　　i/　l;/ !:::::::i:::::l ﾙﾘ:、
　(.:::::::::lﾐi: : :i: i:.iヾ:ﾊ '　　 　 　 　 ｀},i,ﾉ:::::i::::}:lヽ） 　 　申し訳ありませんでした。 アタシも
　ﾉノﾘ.ｿｌ/:/:{::i:.{.ﾒ云心ヾ　 　 ,ｨ云ﾊ〃: /:/iｊ.iノ
　 　 　 .ｌ:/.::i::.ヾ 乂:::ﾂ　　　　 之::ﾂ/;イ:ヾ(　　　　　　隠しているのが、とても心苦しかったです。
　 　 　 .ｌ.::/:i.::::::::l ＼:::::::　 　 ,　:::::::　 ｌ: :/|
　　　　 j./::::i.::::::::ﾄ、　　　 　 　 　 　./.:/.:i:|
　　 　 /ﾉﾑ:i.::::::::|个ｭ..　　‐ - 　.,.イ.::/l::::i:|
　　　ﾉ,イ　ﾏ:i:::::::ﾄ::_:ノ＞ -　 イ i:::i./:::|::::i::|
　 　 ,′ 　 j:ヾ:::::..ヽ　　　　　　 ゞ.i/:::::/:j::人
　　 ,l.　 　 　 　ヾヾ ` - .、　　　_/|:,イj,:ノ 　｀ヽ
　 ./:i　　 　 　 　 　 　 　 ヽ　／　 　 　 、　　　ﾑ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 　 ＼,　 　 　 ,／ 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　／´　 ｀ヽ　　　/´　 ｀ヽ　　＼
　　　　　　　　……やる夫は自分の手で、やらない夫を立ち直らせたいお！　　／ 　 　（　　　● l 　 　l ●　　　） 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ヽ_　 　_ノ　　　ヽ_　　_ノ　　　　　|
　　　　　　　　友人としてはモチロン、アイツの才能をそんな悪習が理由で　　　|　　　 ''"⌒'（　　　　i　　　　）'⌒"'　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 　 　 　｀┌,─'＾ー,,-┤　　　　 　 ／
　　　　　　　　埋もれさせるなんて、学者として惜しんで当然のことだお！！　 　 　 ＼　　　　　｀ー -- -一'　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣ヽ;　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　（｢　　　 ｀rﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　i　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i´￣￣｀i　　　　 　 　 　 　 　　　　l　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ＼ 　　／　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ボクもそうです！ これはお世辞でもなく　　　　　　　　　／　（●）　（●）　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　___'___　　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 同情からでもありませんよ、やらない子さん！　　　　　 ＼　　|li!|!li|　　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　⊂ﾆ,⌒ヽ￣￣,￣゛～⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 全面的に彼をバックアップするつもりです！ 　 　　　 ⊂ﾈ、ｨr､__＿ﾞ＿_＿,　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ￣l´　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　 　 | 　　　　　　　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿_
　　　　　　　　　　　　　　´￣￣｀´:.:.:.:.｀::.＜⌒ヽ、
　　　 　 　 　 　 　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ｀ヽ、:＼
　　　 　 　 　 　 ⌒ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ＼:.:＼
. 　 　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.::'.:.:.:.ヽ
　　　　　　.′:.:.:.:.:. /.:ﾊ.:.:.:.′.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.: ﾊ:.:.:.:.）
　　　　 　 i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.ｉ:.:.:i:.:.:.;.:.:/:.:.:.:.∧:.:.:/!:.:.:.:!.:.:.:.:ｊ:.:.:（
　　　　 　 |:.:.:.:.:.:.:.::/.:.: ｌ:.:.:l:. /:./:.:. ／　i:.://:七爪:.:./:.:.:.:.}　　　先生方、本当にありがとうございます。
.　　　　　.ムｲ:.:.:.:.:':.:.:.:.:l:.:.:ｌ:/,.仆Ⅳ匕　}// ｨr心} i/:.:.:.:.:/
　　　　　 　 ﾉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.: }:.:.:':.:.:{ｲr'心　 　 　 V:ソ　:.:.:.:. ｲ　　 　 ……ですが、どうか兄さんのために
　　　　　.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./!⌒ヽ|'弋::ソ　　 　 ,　　　{:.:.:.:i!:|
　　　　 /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,勹.､　从 U　　　　　 　 　 八|:.:llﾉ　 　 　 それだけは、お差し控え願いたいのです。
　　　 ./:.:.:!:.:.:.:.::ﾊ:.:.:/ /:.:. `ｰ个ﾄ､　　 　（ア　..:.:（ ﾉノ
. 　 　 {ﾊ:.:|:.:.:.:/　!:.:i /:.:.:.:.:.:.:.人　 ＞　. __ ,.イ:.:.､:.:＼
　　　　 .i八:.:.:|　ﾉノ {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ＼　　 ∧::∨ ）:）ヽ:.::）
　　 　 　 　 ヽ!　　　 ヽ:.:.|八:.:.「⌒　　 ' ,ﾊ:::∨´　　）'
　　　　　 　 　 　 　 　 ）ﾉ/⌒ヽ､　 ー　　 }:::::'.
　　　　　　　 　 　 　 　 ./⌒ヽ:::::' .　　　 /::::::::ヽ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ノ　 　 ＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　な、なぜですか！？　　　　　　　　 ／u　（●） 　（●）　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__´__　　u　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない子さん……！　　　　　　　＼　 　　.L:::::ﾉ　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　u　　　　　　 　 ＼

　　　　　　　　　　　　 ,ハ　/＼　　　　　 /::::::ﾍ
　　　　　　　/´ヽ　　,/;:::::∨::::::::Y＾⌒ヽ､{ｹ:::::::::ヽ､
　　　　　　 /l:::::ﾉ!／::::／:l|:::_ｲ丶{:::ヽ､::::.ヽ::::::'⌒＾￣,}
　　　 　 ,／/:::::/::::／:::::／l{ﾆ、ﾐ::::＼::::::::.::::＼: : :./´::|
　　　　　i /:::::/::::::::::::::::′∧ヽ＼::::::::ヽ::::ヽ:.:.:.ｲ.:/:::::::;:
　　　　 /::::::::′/:::::::::/:::丿　'.:::::::ヽ:::::::ヽ:::::!::゛_,ｲ',::::::::ﾄ､
　　　／:::::::/::::〃::::::/:::::|　　　ヽ::::|ヽ:::::::';::::ｌ:＼:::i|::::::::: : ::>
　 , '::::::/::::/,ｨ!/:::::l::::::L::∟、　　､::|　 ＼!:::::|:::::l＼::::::::|ゝｲ 　 　 　 ……兄さんにも面目があります。 ですから
　 {::::::/:::://｜'::::::l-/-ｰ-　_　 　ヽl二,,'_'j::::|::::,ﾄ､:::＼::lﾙ
　 l::::/／ l:||::ｌ:::::::::l,'　－ｰ.　　　　　 ｰ 　 |:::ﾚ'::!ヽj/　）ヽ.　　 　 　 先生方には次に会っても、以前と同じように
　 ｀/,'　　l:||::l:::ヽ∧`-ｰ=-"　　　｀ｰ=-‐/|:::l丿::ﾘ::|　　`丶
　 （ l　　ﾘｌ:!い::::::{tﾍ 　 　 　　,　　 　　u.ｌ|::::|::/ｲ|::l　　　　 ）　　　 素知らぬフリをしていただきたいのです。
　　　ヽ　ｌ/　Ｖ｜トrﾍ、u. 　 　 　 　 　 ,ｲ.|::::|::i|| ﾘ
　　　　　 ＼｜::| |｜::::ﾄ､ 　　⌒　 　 ｨ:::ﾚ':::::jl:::l
　　　　　　　 |::::j人!::::｜「 ト　 __ ,　´｜ ′ｲ八|
　　　　　　　 |::/　 i:::::::ｌ l! |　　　　　　∨/::∧::丶
　　　　 　 　 |/　　|:::::::l !ﾚ 　 　 　　　//::∧ ﾄ､::::＼＿,
　　 　 　 　 / 　 　ｌ:::::::川　　　 　　／/::,ﾍハL 「＿￣ヽ






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……ううむ、それはもっともだお。 隠していた事情を　　　　　　　 ／ノ　 　 ヽ､.　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／ （●） 　（●）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　知られたとあれば、やらない夫も体面がないお。 ならば　　　 .|　 　 （__人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ナニも知らないってコトにしておいた方が良さそうだお……。 　 . |　 |　 '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　 |＿＿＼　 “　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ ＿＿＿＼_／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,..―――‐..,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そうですね、今まで通りに彼を『長い旅』の帰りから　　　　　 /　　_＿､　　　 ヽ､　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,'　　( ● ) 　　(●　)　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 迎えたようにした方がいいかもしれません……。 そりゃ　　i 　　 ｀　´ 、　 ｀　 ´　　 .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ',　 　 　 　 　 　 　 　 　 .'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ボクらだってツラいですから、その方がホッとします。　　 　 .ヽ　　　　─_-　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 r'　ヽ ＿　____, __,　'´　｀ﾄ、






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,,..―――‐..,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 しかしそれでは、いつまでたっても、やらない夫くんは 　 　 . /　　　ヽ､　　 ,＿__,　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,'　　( ● ) 　　(●　) 　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 刑務所への出入りを繰り返すことになりますよ？　　　　 　 i 　　 ｀　´ 、　 ｀　 ´　　 .i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ',　　　 　_＿＿ 　 　　　.,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 やらない子さんだって、このままじゃ身が固まりません。　　 ヽ　　　 V＿__〉　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 r'　ヽ ＿　____, __,　'´　｀ﾄ、

　 　 　 　 　 　 _　　　　　　　　　　　　　　, - ､
　　　　　　　　/: ヽ　　　　　＿＿ , ィヽ　ハ: : ヽ
　　　　 r-―/､: : :ヽ , . : : ´: : : ／: : : :∨: :ヽ: : ｀ヾヽ
　　　　 |: : : : : ｀: : イ: : : : ィ:.／: : : /: ∨: ヽ: ヽ: : : : }
　 　 　 | : : : : : : /ﾂ; イ ´:／: : : ;ノ⌒ｲ ヽ､l : : ヾﾍ: :.l
　 　 　 l : : : : : /ｿ': : : ／: : : ;イ: : i : ﾊ: i : :ヽ: : ' : : ヾ
　　 　 / : : : : /ｲ: : >' : : : :／: :/: / / ﾞl : '; : : ;ヽ: : : : ヾ ､
　 　 ./ : : : : /;' |: / : : : ／: : :/: ｲ: ;'　 l: : '; : :l : '; : : : :l /
　　 / : : : ／ｲ: :l/: : : :ｲ: : : :/: :/ l :| 　 l; : l : l : : l : : : :l
　 ./: : : :ｲ: : :|: /{ : : : : l: : 斗‐/-」､|　　 l .;': :ﾊi : l : : : :l　 　 実は先生方以外にも、この事情を知っていて
　/: :／/: : : :ﾄ/Y: ﾍ: i: :l: : ィァマヽヾ　　 l l ﾅ=ト､l : : :l |
./: /　/: : : ; イヽ; r､: l､ l: :{代　り　　　 ｲァ=ﾏヽ:/: : :ﾊヾ　　 ……そして兄さんを救える人が一人います。
: :/　/: :.／　 |: : 'ヽ ヽﾄ､l: |　 ゞ"　　　 　 { ツ /ｲ:/ :;'　ヾ
: '　/:／　 　 .|: : ﾊ:ヾ-.l ヾ　　　　　　　 〉 ｀´ ｲ/:/: :/
:{　{:ｲ　　　　 ﾘ: :' :∨: :l　　　　　　　　　　　 八/: ;イ
ヾ　|'　　　　/: : : : / l : l　ヽ　　　´　 `　 , .ｲ　イ: l ﾘ
　＼＿　 ／: : : ／/ l :ﾊ　　 ｀　 ､＿　イ: : |　　ヾl/
.　 　 　 /: : : ／: :/　＼:ヽ　　　　 {=ヾ-l､_:_|_　　´
　　 　 /: ::r―f￣´ヽヽ ＼:ヽ　　　〈: : :〉 ヽヽ ヽ
　　 　 ヾ/　　ヽヽ 　 〉＼ ＼ヽ‐-　 ヾ ハ　} ヽ }
　　　　 |{　　　　ヾ　 | 　 |　 ＼｀　 ＿ｿ　| 〈　ｿ i





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,,． -－――- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィ´　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　!　 　／　　　　　　　　　　　　　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 やらない夫くんのコトを……？　　 .i',／　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ○｀ヽ　　　　　　　 　 　 ,, ､/、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 そ、それは一体どなたですか？　　 ,'　　 ´.　　　　　　　　　　　　,..;ジ'″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ______　　　　　 　 　 ｼ'´三三 ／｀ｰ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　u.　　 　 　 /三三.／三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ｰ---‐‐‐｀-∠三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | │三三三三三三

　　　　, ⌒ﾊ 　　　　　　　　　 ﾊ⌒ 、
　　　 j:::::::::ヽ ,ﾍ^ ⌒　Ｙ ⌒ヽ/ .::::::::i
　　　ﾉ:::::::::j（ﾉ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
　　　ﾙ:::::ﾘγ::..:::::..:::...ﾍ、: : : :: ﾉy:::::::ﾘ
　　　 Yyﾉ ﾉ :ﾉ...:ﾉ－　　　－::::::） ﾙﾘ　 　 　 　 　 真紅さんです。
　　　　　　ﾘ::::::(　（ ○）　(○)::（
　　　　　　.ﾊ::::ﾊ 　,,　 ―　ﾘ） )　　　　　　　　　　 あの人なら兄さんを助けられます。
　　　　　　　） ) ）、 　 　　ノくﾊ（
　　　　　　（,（.(　' ﾍ　　 い ﾉ:::））
　　　　　　ノ/）` 　 ヾ　ｿ￣（( 、




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　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ 　 　 　 　 　　　 ,.　´　　　　　） 　 　　　　＼　ー--　∠ 　 ＿｣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 丿 　　　　　　　／ / 　 　 　 　（ 　 　　　　　　ヽー--　__ノ 　＜二二ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛　　　　 ....:::: ／　 .′　　　　　i　＼＿ 　 　 　 　ヽ　　ヽ∧　　　下､マ〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀つ::::::::::::::/　　　|　　　　　　　!　　　 〉::......... 　 　ﾞ.　　ﾞ, ∧／￣＼勹ﾄ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::::::::::::::/　　 ;　| 　 　ｉ｜　　 |　　　{:::::::::::::::::::::.... |　　 !　厂￣ヽ＼〈,ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ￣｀j:::::′ 　 i　| 　 　|｜　　｜　|__∧::::::_::::::::::::::::|　__ | / 　 ＿ﾉ　i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋| |　　 !　| 　 　|｜ 　 ルイ /厂/!ﾊ）::::::::::::/ｱr=ﾐ､:::::::/_/　　ｉ　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　 i　ﾍ 　　| |　イ ｊ／斗＝≦､ し-､:::::ゞｔﾍ勾}l:::::::::::｀! 　｜|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |｜　　i　,..ゝ‐､| !／　 〃 i!‐r‐yﾍ｢ |　ん:::｀iヾ='ｧ':::::r―1 　　l |:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ＼　ヽ〈　ﾆ=ﾐ 　 　 　　弋 ｰ' 丿｜|　 く:::!　 /::::::::::）　|　| 　! ＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ｰ-＼《 ﾄﾍ　　　　　　 "￣` 　| | |　(:/　/::::r―'′ | ｜　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　ゝ' 　 　 　 　 　 　 　 | | |　 |　/:::/／ 　 　|　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| :.　　 `　　　　　　　　　 リ｜　!/ ／ 　 　　　|　|　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　ヽ.　　　 ｰ ′　 　 　 //／!　|′　　　 　 　|　ｉ　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　　　　　｜　/ト 　 　 　 　　　,. // ￣|　「|_ 　 　 　 　 ｜ !　｜
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　　 /／ｒ　´　　　　　r乞ﾏ〉/　　　｜｜＼　　＼　　　| 　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　／　　 ＼　　　 /／ﾚごﾑ {　　　 /　 〉／ 　 　 ヽ 　 |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 く（　　 ／｜ 　 ／　　　 　ヽ＞　"　 / 冫∧　　　 ﾞ　｜　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼／ 　　＼　　　　　 　 '´ 　 　＜　｜/　ﾞ　　　　 i｜　　｜
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 , - ―――― - 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　u. 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し、真紅さんが……！？　　 　 .|　 　 　 ´￣` 、　　 　 '`ー―-　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　（　◯　）　 　 　 （　◯　）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし彼女はすでに……。　　　|　　　　 ´" "　　　　　　´" "　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　 　　＿´＿　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 　 　 f ー　　ヽ 　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ヽ　　 　 　 　 　 　 　 　 イ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼










　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌───────────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　できる夫は出雲路のバラバラ儀式殺人を追うようです　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　 第１１話　COMPARED WITH OT　　完　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└───────────────────────────┘

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乙です
ここで真紅か

乙
殺人のほうとどう繋がるんだろうな