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　　　　　　　　　　　　　　　│　　できる夫は出雲路のバラバラ儀式殺人を追うようです　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 第１０話　異才たり得る所以　　│
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　この謎が氷解したきっかけには　　　i　　　　　　　　、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 {　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　驚くべき事件がありました。　　　　　 ﾍ.　 　　,.　‐ 　　―　―　 　、　　　　　　 　　 　　　ノ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　……ある日のことです。 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _. -‐ ´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　lミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||　|i三三丁三三| に二ｺ 　 | 　 | |_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄﾐ [二二二二二二二二二] ﾐ||ミ||　|i三三丁三三| 　 _r;;:: .:,, | 　 | |;;;）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　lミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||　|i三三丁三三|　（;;;;:;:(:;;:;::;:;:);)| |二
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はーい、どちら様だお　 　 　 　 　 　　 　 　 　 ／―　― ||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　　 　 ／ (●)　(●||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……って、警察の方ですかお？　　　 　 　 | 　　　(_人_) ||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　 　 ＼ 　　＿＿_||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　巡回かナニかですか？　　　　 　 　　 　 　 　 ||ゝ,.＿＿＿)::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 　 　 ||　　 ＼ i､._)::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 　 　 ||　　　　＼||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 　 　 || 　　　　　||:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 '￣￣￣￣||:::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||:::: ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||／

:::::"'-────　-'" 　ヽ 　 /;;;;;;;;;;;;;;;;',
::/ :::. /　　　　　 ﾞl　　　　',.　.';;;;;;;;;;;;;;;;;;:l
/ ､:: ,! 　 　 　 　 ,i／　 　 ', 　l;;;;;;;....;;;;;;;l
::::::ヽi,　　 　 　 ／l　　　 　 ',　l;;;;;;;_,.． ､
: : ::::l　　　　／ 　 l　 .__._,　 .i　ヽ;;ﾉ/:::　',
"'!=iit.:．　　,' _,._= iﾆ__,,二￣l　 l/. l:::::　,'
ヽ,ﾆl=''　　　 '‐‐､,''i｀-' ,,-'"　l　 l i/／ /
:;::ヽ;l/::'　　　　ヽ　|￣´ 　 　 l　l l l　 /
:::::;;/l;;;;;;|　 　 　 ヽ|　 　 　 / |　| / ./　　　　　　　碑文谷（ひもんや）警察署の斎藤といいます。
::::/;;;l::;;;;|　　　　　 ｌヽ　　 /　:| //;:;:l
'': ::　ｌ;;;;;|　　 　 　 ｌ　　　/:　 .l/ ;;i;;;;;l　　　　　　　 ……突然で申し訳ない、やらない夫という男が
　 　 ｌ ;;;|　　 　 　 l　 　/;:;　 .l;;;;;;;l:､ !
　　 　 , !　_,..　 　 l 　 ,':::: 　.,'l;;;;;,' :|,l　　　　　　　 お宅にナニか迷惑をかけてはいませんか？
: :: 　 　 ｀´　　 　 　 ,,':::　　/ l;;;;;ll::l l
;;;;　　"￣￣￣'　　 　 　 ／　l::i}:l.l;'
. :;:;;;:　　─'　　　　 　 ／/ 　 l 'l'l l
ヽ;;;;;;:;::　 　 　 　 　 ,r'　/::::　 lﾐ-､
;;;;ヽ.;;;;;;;;　　　　　／　 /;;;;:;:　.l "'ヾ',
;;;;;;;;ヽ ::　　 　 ／ 　 ,/ ::::::　_ l -'";;|
　 　 :　''‐-‐''"　　　　 : :: / ;.......,,.　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えっ……！？ ど、どういうコトですかお？　　　　　／ノ　　＼　　 u. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ （●） 　（●） 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫がどうかしたんですか！？　　　　　 |　 　（__人__）　 　　u. 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　u.｀ ⌒´ 　 　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　迷惑なんて受けたことないですお……！　　　　／　　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　 　 ヽ

　　　　　　　 　 　 　 　 .__＿ ........... _
　　　　　 　 　 　 ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　 　 .／::::::::､丶ヽ＼＼ヽ､、::::::ﾉ＼
　　　　 　 　 /:::::::::-=≠ミＹミミＹ7､、Ｙ/::::::/
　　　 　 　 ./ :::::::::::／::ｲ /　 　 ||　　｀"´Ⅵ＼
　　　　 　 /ｲ :::: イ::::彡| |＿_　 ||、　　 　 Ⅵハ
　　　　　　 ｲ :::::/⌒Ｙ　|ｰ=ﾞ㍉>|| :>　,ｨzｰ从　 ',
　　　　　　 从::｛⌒Ｙﾐ、| l　　　 ||´　〈`ﾟ"´}ﾊ:!　 ',
　 　 　 　 . |//∧て､ 　| l、　　 |i　　 ∨ /　|l　　i
　　　　　　 { Ⅳ:: `ｰﾍ　| ｌｉ　　　|i 　 ___＼　 !! 　 |　　　……失礼、やる夫さんは彼のご友人でしたか。
　 　 　 　 　 .Ⅵ::::::/ ﾊ | l:i　　 _|ｉ_＿,､ /　　|!　　|
　　　 　 　 　 .∨:::i|　 ﾍ 八.　´ |! ー゛/　　 ﾉ 　 ﾉ　　　実は、彼を捕らえたところ、所持していた手帳に
　　　　　　 　 .八ﾉi|　　 ＼　　　!　　 ′
　 　 　 　 「￣￣￣￣ミ　. ＼　　　 ,′　　　　 　 　 　 お宅の名前と住所があったものですから……。
　　　　 　 |::::::::::::::::::::::::::::::::＼　ー＜＿＿__
　　　.＿ ノ￣￣ミ　､:::::::::::::: /　ハ:::::::::::::::::|
= ￣. :::::::::::::::::彡'´￣￣ミ、〈､ ｛｀ヽ:::::::::::::::|
-=＝ニ二￣::::::::::::::::::::::::::::￣￣|__彡ヽ::::::::j､_＿_
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ==::|圭圭h::::::::::::::::::::}、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|圭圭从::::::::::::: /、ヽ､＿
:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼:::::::::::::::::|圭圭圭!::::::::::::,::::::`ー--ﾍ
:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::ヽ:::::::::::: ＼:::::::::::|圭圭圭!:::::::::/::::::::::::::::::::::∧




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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／ _ノ　　ヽ__　　.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 捕らえた……！？ やらない夫はドコで　　 ／　（○）!i!i（○）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　（__人__） 　u　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 いったいナニをしたんですお！？　　　　 　 ＼　　　）t-ﾂ　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　⌒´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼＿（__）　　　　　　i＼(__)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　|

　　　　　　　　　　　　　,ィ⊃　　, -- ､
　 　 ,r─-､ 　 　 　,. ' ／ 　　,/ 　 　 }
　 　{ 　 　　ヽ 　／ ∠ ､＿__/　　　　|
　 　ヽ.　 　 　 V-─- 、 　, ',_ヽ / 　,'
　 　 　ヽ 　ヾ､　　',ﾆ､ ヽ_/ ｒｭ､ ﾞ､　/
　　　　　＼　 l　　ﾄこ,! 　　{`-'} 　Y
　 　　　　　ヽj 　　'ー'' ⊆) '⌒｀ 　!　　　　　　　物取りです。 やらない夫は九州で泥棒したところを
　 　 　 　　　l 　 　　ﾍ‐--‐ｹ　　　}
　 　 　 　　　ヽ. 　 　　ﾞ<‐y′ 　 /　　　　　　　 逮捕されました。 手帳を調べた所轄署から警視庁へ
　 　 　 (ヽ､＿_,.ゝ､＿ 　～ 　___,ノ ,-､
　 　 　　） 　 　 　 　 　　ﾉ/｀'ー-'　<　　　　　　 問い合わせがあって、こちらに伺った次第です。
　　　　ｒ'／, 　　_..　　　//　　ｌ、、､ヽ_)
　 　 　 ゝ(_/_ﾉ´ /ヽ_ノ/　　__,ｌ ヽ)_)‐'
　　　　　　　　　{｀ ｰﾆ[二]‐ｸ′
　 　 　 　　　　　〉 　　/ 　/＿
　 　　　　　　　/ 　　´￣｀ヽ 　）
　 　 　 　 　　（＿＿＿＿ノ--'



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／⌒　　 ⌒　　 ＼　　　,'⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／ (○ )liiil(○ )　 ｕ　＼ ⊂'　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　 （__人__）　　　　　　|　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼.u　|r‐- l　 　 　 　 ／　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ど、泥棒……！？ 九州で……！？　　　　　／ 　 ｀ー'´ 　 ,- 、　 ￣￣　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 |　　 （＿＿__ノ　.ﾉ　　_＿＿_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あの、やらない夫がですかお！？ 　 　　 　 .ヽ　　　　　　　 _つ ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 / ｀ｰ─── ' 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そりゃ、何かの間違いじゃあ……！！　　 　ﾉ　　　　　　　　　（
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ／´｀＼.　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 　 　 ／　　　　 ｀>　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,/　　　　/´ 　 　 　 ／　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ノ　 　 　 /　 　 　 　 丶__＿＿__｀）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （´__＿＿__/　　　　　　　　 ￣ ￣´

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r､;;;;;;;;;;;;;ﾍ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'　ヽ;;;;;;;;;;;;;;ﾍ
;;;;;;γ二ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;''　 ／ヽ;;;;;;;;;;;｝
;;;;;;;i /⌒}｝;;;;;;''"´　 ／　　 ∨ｿソ
;;;;;;;i　　ﾉ/〃　　　/ヘ、　　 ﾄヾ、
;;;;;;;;!､ｰゝ　 :　　 / 弋ｧﾄ、　ハ:i ヽ、
;;;;;;;;;;;〉7　　 :　 /　 　∨ｿノ 　i| 　 ';
;;;;;;;;;/ !　　 ::　/　 　 　　i′　il　　 i!　　　　　 　 彼には、窃盗の前科が四犯あり
;;/!/　i　　 :　/　 　 　 　 !　　i|　　 |!
//　 ﾍ.　 　 i:　　　　 　　!　　i!　　 i!　　 　 　 　 今度の逮捕は五回目です。
.　　 　ﾍ.　　i　─ ､,,,ｒｰ-ゝ　/　　 /
ヽ　　　 ﾍ　 !　　　r'" 　 　 /　　 /　　　 　 　 　 ……心中お察しします、やる夫さん。
;;;;＼／⌒;、 　　 /
;;;;;;;;;;＼;＼ ＼_ _ﾉ
ヽ;;;;;;;;;;;;;＼＼
;;;;;;＼;;;;;;;;;/;;/
;;;;;;;;;;;;＼;/;;く
;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　-－― - ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,__'´　 　 ＼ 　 　 `ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(´ 　,)　　(´￣ ｀)　　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/￣　　　　￣￣　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,' l､＿人　　ﾉ　　　　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i 　 　ｌ .ｌ ￣　 ,　　　　u　 　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ　　l l　 　 /　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ぜ、前科四犯！？ そ、そんな……！ 　 　 　 `.l､_ノ__　　　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `l 　 　 　 　`､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ……や、やる夫は信じられんお。　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿／　　　　 _/　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 それに、そんな遠くでだなんて……。　 　 　 　 .`ヽ､_／l　　＜＿／　 　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l　　　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ、　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 `l　　　_,- 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l　　 /　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ .／ヽ､〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ￣　　　　｀

　　　　　　　　　　　　　　,ィ⊃　　, -- ､
　　　　,r─-､ 　 　 　,. ' ／ 　　,/ 　 　 }
　　　 { 　 　　ヽ 　／ ∠ ､＿__/　　　　|
　　　 ヽ.　 　 　 V-─- 、 　, ',_ヽ / 　,'
　　　　 ヽ 　ヾ､　　',ﾆ､ ヽ_/ ｒｭ､ ﾞ､　/　　　　 　 彼のこれまでの犯行は、いずれも遠い四国、北海道
　　　　　 .＼　 l　　ﾄこ,! 　　{`-'} 　Y
　　　　　　　ヽj 　　'ー'' ⊆) '⌒｀ 　!　　 　 　 　 東北といった、東京から離れたところだったんですよ。
　　., ､　 　 　 l 　 　　ﾍ‐--‐ｹ　　　}
　　ヽ ヽ.　　_ .ヽ. 　 　　ﾞ<‐y′ 　 /　　　　　　　……ですので、ご存じなかったのも、うなずけます。
　 　 }　 >'´.-!、 ゝ､＿ 　~ 　___,ノ
　　　|　　　 －!　　 ＼` ｰ一'´丿 ＼
　　.ﾉ　　　 ,二!＼　　 ＼___／　　　/｀丶､
　 /＼　 ／　　 　＼ 　 /~ﾄ､　　.／ 　 　 l ＼

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:...:...:...:　　　　　　　　 ／　　 _ノ 　 ＼　　　　　　　　　　　 　 　 　 ..:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:..:...:...:...:..:..:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:...:..:
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　　　　　　　　　　　　|　 　 l　 ｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　 　 　 　 　 |.　 　l 　 三　}
　　　　　　　　　 　　　ヽ　　 　 　 　}
　　　　　　　　　r ＜｀ヽ ヽ　 　 　 ノ ,／ ｀ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 ＼.＼. `ー‐ ' // .l　 　 ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⊂三ニニ⊃
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　 　 　 　 .,,.- '' ￣￣￣,,.- ''￣ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　 ＼　＿　 ＿_ |　.＿ |　　　　　　　　 　 　 　 　 　 , '__POLICE__, '＿＿_　　 "- ,,_
　　　　　　　 　＼　　 　 　 ／,　 ／＿ ヽ/、　ヽ　　　　　　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣￣７/　　 　 .i;|;i￣"''ヽ,ヽ,
　　　　　　　　　　＼　 　 .// ／<　 ＿＿） l -,|_)　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　 　 // 　 　 　 |;|;| 　　　|ヽ,ヽ,
　　　　　　　　　　　 ＼　　|| ｜ <　 ＿＿）_ゝJ_)　　　　　 　 　 　 [／_/⊆⊇ヽ＿____/[;;;]＿＿__|;|;|.＿＿.|__ヽ, ''―-,,,
　　　　　　　　　　　 　 ＼ ||.｜　<　 ＿__）_(＿_).　　　　　._,,,.-―''"'';;;"ヽ,,＿,,.-―''''"_ |_福＿岡 = 県＿警__|察＿＿_|]
　　　　　　　　　　　　　　　|　|　 <_＿__ノ_(＿_)　　　 　 ._/二ゝo=*=o/二ソ;;/⌒ヽ ;;;;;; |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |;;;;;;;;;;;;;;;;/⌒ヽ;;;;;;;;;;;;〕
　　　　　　　　　　　　　　　ヾヽニニ/ー--'/　　　 　 　 ヽロ＝[ニ]＝ロヽ....,ii:: ０ i| ;;;;;;_|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; |;;;;;;;;;;;;;;;ii:: ０ i|;;;;;;;;;;ノ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　……出し抜けに警察官が来て、そんなことを言われた、と　　 　 　 　 ／⌒　　⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／（○）　（○ ） ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫くんから伝えられたときは本当に仰天しました。　　　 　　 ／　　　 __´__　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 　　－　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ボクもやる夫くんも、これほどビックリしたことはありません。　　＼ 　　　　　　　　　 　 ／






　　　　　　　　 ,　'´　　　、 　 　 ｀ヽ　｀丶、
　　 　 　 　 , '´　/　　　,'＾丶､　　　 丶　　ヽrｖx_rｘ
　　　 　 .／ /　 ′　　,′　　 ｀丶､　　＼ ｛ /了示ｋ
　 　 　 /　〃 　 　 　 l|　　　　　　　｀丶、　{ﾍ（{_乂X}
　　　 .,'　 /　 　 　 　 ﾘ　　　 ＿_　　　　 ＼ {／:7^ﾊ::〉
　　　 ′ {　 ｌ　 ,　　 /´￣￣ 、 　 　 　 ｀ヽ､ヽく∨r┘
　　　.l　　l　｜ ′／ 　 >,ﾆ弌xヽ　　 　 ィニﾝ∨彳
　 　 .{ ､　|　 l ﾚ'´　　 〃{ﾌ癶j}`　　　　 /斤!Ｆﾊ /
　　 .！ ヽﾚｰ､ｊ　　　 ｌ|l ｃゞ＝′ 　 　 　 辷j　ﾙ　 　 　 か、カナだって、聞いてて信じられないかしら……！
　　　！　{∠、　　 　 川l　　　　　　 　 /　　　∨
　　　　ヽ弋／＿_ ／　　　　　　　＿＿_　　 　 }　　　　 やらない夫さんが、いくら変わった人とは言っても
　　　 　 厶イ,ゝ-‐￢　　　　　 に= ―-′　 , ′
,　' ´￣￣｀ く　 　 _厶　　　 　 　 　 　 　 ∠--､　 　 　 これまでの話からは、とても想像つかないわ……。
　　　 　 　 　 ｀く彡,二ﾌヽ　　 　 　 　 ／　-‐=厶
　/　　　 　 　 　 ∨　ム=ﾐ＞:-r‐Fマ´イ_￣｀Ｙ　 ｀丶､
'/　　　 　 　 　 　 ∨　 ＿l::.:::_｣ｰﾄ､::＼ うﾆ７´ 　 　 　 ヽ
　　　　　　 　 　 　 |Ｙ乙ィ;::イ::/ o|:::∨ヽ｀了　　　　　　　l
　　　　　 　 　 　 ,　|l て（__/::/　　ヽ::ヽ ､∨ /　　 　 |　　|
ー- ､　　　　 　 /　 ヾ、｀７::/　　　o〉:::〉 | ∨　　　　 |l　く
　￣´　　　　 ／　　 　 ＼∨　　　 〈:_/　 ｝ ｀、　　　　　　 ｀丶､
⌒丶､ ＿, イ　　　　 　 　 ｀丶 ､　　 o ／　　ヽ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　――　　　　 ――　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ええ、そうでしょうね……。　　　 　 　 ／　　　,.-‐-､　　　　 ,.-‐-､　 　 .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　 (・) 　 　 　 　 (・)　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 だって、あの『彼』がですよ？　　　| 　 　 　 　`ｰ一　　 、　　ー一′　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼.　　　　　　　 ─　ー -　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／





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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ～ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （●）（● ）　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （__人___）　/ 　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '､｀⌒ ´　|　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｜　　 　 l　　.｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　 ／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　 ／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二 ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{
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　　　　　　　　　　　　　　　　エリート大学を卒業し、二十代前半の若さで人類学者の著書などという

　　　　　　　　　　　　　　　　難物を、その方面の専門家の賞賛にあたいする翻訳ができるほど

　　　　　　　　　　　　　　　　文化人類学の知識と語学力を持った、たいへん立派なインテリが、です。
.

　　　　　　　　ｒ- 、＿_
　　　　　　／人　 ＼　 ｀ ｰ ､,,_,
　　　　 , /　　　 ,　　 ＼　　r'{~ヾ,
　　　 //　　　／ゝ、　　i　{ l　 r-ニ,
　　　l ,'　　　/: :/　 ＼　　 ゞ-'' 薔-}
　 　 l l　 　　: :/. 　 　 ＼__ ｀i l　ｰ ﾉi
　　　l ゝ､l : :|/_ --‐　　　‐-ヽ_レ´ソ
　　　 ',: :,r ､i'　, =ﾆ_　　　_ﾆ= ,ｿ, -'　　 　それも、日本の古代史の研究を始めてから、そうたたずに
　　　　ゝi /、 　ゞ-ｿ　　　ゞｿ l/ 、
　　　　,.-ヾ二=、' ' '　　i　' ' '/、　） 　 　 研究歴の長いできる夫さんどころか、専門のやる夫先生ですら
　　 ＿ゝ、=-: : l 、　　‐ _ ,イ,~ }´
　／　 .￣＞ ´ |＜｀r‐I´}-ー-'、、　　　　目を見張るほどの勉強ぶりを見せる方ですものね……。
/　　　　　ゝ-ｰ７／|　ト ｝-‐-ノ　ヽ
|　　　,　　　ゞ=＿.l | o| |八-ノ　　　.ﾞi
ゝ、　l　 ,　　 l　　.|_l.o.l_l ーﾊ　　 ,　ﾉ
　　>　 /, 'ノ　ゝ、　 o　　ノ ）｀ /／
　 /　　 /:　　 　 .｀＞illi＜　 l: :　|
. /　　 /i: :_ - ｰ くlll/ハllllソ　l: .　l
/　　 /､´ , ｰ ´　　ノ-|ァ＼　 ┐八



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼が出す新説はいつも意表をつき、かつ並々ならない　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　⌒　　　⌒::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　暗示に富んでいるのです。 ……ボクらは彼を　　　 　 　 .／ 　 （●）}ili{（●）::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　 　 __´___　　　:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天才に近い才能の持ち主であると考えていました。 　 　 ＼ 　　 　 `ー'´　 ...:::::／
.

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i!､　　　　　　　　　　　　　 　 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |! ＼　　 　i!　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! ､＿ヽ　 人､__,x≦_　　 　 　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:　￣ﾐﾍ !,彳¨弋_ソ )　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　 i　 ｀¨ ゛ ''　'　　 　 　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ (　　 !　　　　 ､ 　 /　　　 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｒ‐ ﾍ ー　ゝ　＿__.ﾉ, ゛ 7　 　 ﾘ　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 人　　｀　､- ､｀　 　 i!　 l　　 .ｲ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　　　 ｀ -.､　　 | 　 } ／ / 　{　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l　　　　　　 　 ￣　 　 |´　/　 ≠´ ￣~　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　i!　ﾑイ　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 {　　　　　　　　　 　 　 ｊ ´　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ）　　　　　 　 　 　 　 /　　　 　 _　-―-｀ 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_　　 　 　 　 　 　 /　　　　 〃　　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ヽ　 　 　 　 　 /　　　 　´　　　 　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,､　 ｀l _　--　_　i!　　 ／　　　　　　　　　　 ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　｀ ¨´　　　　　｀ ｰ≠　　　　　　 　 　 　 　 　 ∨
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　実際に、彼の痩せた長い顔、蒼白な皮膚、異様な目の光りなど

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天才と思わせるのには十分すぎる風貌だったのですから……。






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ボクも最初は信じられなかったですが、思い当たる節はありました。 　　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　 _ノ 　ヽ､_　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 旅の行き先を決して言わなかったこと、そして彼の『旅』が　 　　　　 ／ 　oﾟ⌒　　　⌒ﾟo　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　__´___　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 二ヶ月、三ヶ月、半年とだんだん長くなっていくことなど……。　　 　 .＼　　 　 ｀ ⌒´　　 　 ／
.

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　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　 ||¨　'!　‐-　 ． ::　_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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　　　　　　　　　　　　　　　＿||＿|| 　 ||　 ||　 ||　 ||　 |:::::::::::::|　l|　l|ﾞ「　||　l|　||　l|　l| || || |::::::::::｜||:...
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　　　　　　　　　　　　　　　￣||￣|| ￣||　 ||　 ||　 ||　 |:::::::::::::|　l|　l|::::] |j　||　||　l|　l| || || |::::::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　 || 　 ||　 ||　 ||　 ||　 |:::::::::::::|　l|　l| ||　l|　l|　||　l| ,｣! !!　''¨
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　 || 　 ||　 ||　 ||　 ||　 |:::::::::::::|　l|　l| ||　｣　l!　'' ¨
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　 || 　 ||　 ||　 ||　 ||　 |:::::::::::::|_, ｊ．- ^
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……ええ、言わなくてもカナにも、もう分かるかしら。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やらない夫さんの『長い旅』というのは、つまり

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人知れず刑務所で服役することだったのかしら……。
.

～'　┘　}／＼＼:.:..',:..V九 ┐
┐_ 「¨／　　　 ＼＼:.:├ｔ.　└┐
ー 彡'{{　　　　　　＼:.:.:.}　Ｌ　 厶
ｼｲ　　ゞ= _, _ｧ　　　 ヽ:i:Y　く　 /
〃　　　 ＿_ ,　　　　　〕ﾘ_,ｒ┘,┘
　　　, イ:.￣Y　　　 　７¨　r‐┘
　　　　弋ｒｚｿ　　 　 ｆ/}｢￣　　　　　　　日焼けしてなかったのだって、それで合点がいくかしら。
＿　　ｘｘ￣　　　 　 {ヽ|ト､
二〕　　　 　 　 　 ,.:/ / |ヽ＼　　　　　　そして太って元気になって帰ってきたのは、薬に頼らず
_ 」　-- ､ 　　　rァ / ∨　｝　|
:.:.:.:.}＞'´　　　 ‐／　　　 {　/　　　　 　 刑務所で規則正しい生活をしていたおかげね……。
∨¨ﾏﾆト､ ＿.／￣{_　 　レ'
　∨.:.:.:.｝　 V.:'´.:.:∠
　　V´.:.:.Y⌒Y.:.／.:.:.〉
　　ﾉ.:二ﾌ ￣_｣　-i'彳
　V.:彡'　　 　 ,. -┴i

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　,　-‐　――-
　　　　　　　　　　　 　 　 ／　　, ,, ;'　;, ; 。,　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 /　;　゛ ; 　ﾟ　　,。　,ヾ　':.
　　　　　　　　　　　 　 ′;　　;　　;　　　｀　　;∧
　　　　　　　　　　　　 {　;　　,　′ 　 ''　 　ﾞ＾ :　;i }＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__
　　　　　 　 　 　 　 　 ',　^´ ゛ 　 　 ;　.´ 　ﾞﾟ　; , ｲ: :￣￣ : : : :￣￣￣￣ : ヽ {: ￣￣:.:.:￣￣: :￣ヽﾞl: : :: : .
　　　　 　 　 　 　 　 　 ゝ r 　ﾞ ゜ ´: ^　,　 ;~ , ', "|: : : : : : : : : : :〃////ハ : :| |: :　　mー-ｧ=.., 　 : :||: : : :
　　　　　　　　　　 　 　 　'　、:.'　。．;' , 　' ,　' 　 |: :　　　　,-=-　､//////}: :| |: :　〔彡ミ::ヽ:ミヽ : : :||: : :
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＞　-‐-'ﾟ ＜　　 　 |: : 　 ／,.........　　 ヽ///丿.:| |: :　 ,- =ｭ'ゝｧ、 　 : :||: : : : .
　　　　　　　　　　 　 　 ,　´　　　,,,,,,,,,,,,,､　 丶 　 |: :　〃 ｉ::::::::::｡ヽ゛　i､￣ : :/　` ｒ"气ﾌハゞＹゞ一 '::|: : : : : . .
　　　　　　　　　　　 ／　　,,;;:'";;;;;; ::::::::::;;:丶　 ',　|: : {　　ゝ:::::::;::: ' 　　 }:. :.://´ ,/Ｙゞ介厶彡^ﾐ￣:ヽ|: : : : : : :
　　　 　 　 　 　 　 / 　 ／;;...ｉ.ヽ...;;;c;;;;;;; ;;;;;;;;ヽ Ⅵ: : ゝ、　 ￣　　 　 ﾉ´: ://. : ,赱ヾﾊ ｉＯ Ｙr,从 : : :||: : : :: : : : . .
　　　　　　　　　　 ′〃::::::;;;;;;::::::::::::::::::::_::::::::;;;;;; ',|: : 　 `ｰ==-‐‐'; : : : : ://. : ,'Ｌ=ﾊくｉ!}￢!∠r刃.} :.:||: : : : : : : . . . .
　　　　　　　　　　{　 {:::::::::::::::C:::::::::::::::ゝ;;}:::::::;;;;;i }: : . . . . . . . . . . . . .: ://. :　ゝ≧!ﾉ厶从｣ﾉ厶彡':.:.:||: : : : : : : : : :. . . .
　　　　　　　　　　{　 i:::::::::::cヽ:::::.::::::::::::::_:冫;;;;;;ﾘ∧＿＿＿＿＿＿__ノ ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿}|: : : : : : : : : : :. . . . . .
　　　　 　 　 　 　 ',　 ';:::::::::::´":::::::::::{;;;Ｙ::;;;;;;;;;;//　 : :￣ : :￣￣ : : : ￣: : ￣￣￣: : : :￣ : : :￣￣:´ : : : : : : : : : : :: : :
　　　 　 　 　 　 　 ﾟ ,　ゝ::::: :::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;〃'　　　: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . . . . . . . .. . . .
　　　　 　 　 　 　 　 ＼ ヾ:::;;;::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,／
　　　　　　　　　　　　　 `　‐-''=---=＝''´

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はい、彼は妹さんが訪ねてこない日は、ロクな食事を　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　／　⌒　　　⌒　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　していなかったようですが、服役中は栄養学に基づいた　　 ／ u （＝） 　（＝）　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 __´___　 　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　健康的なご飯を毎日三食、食べていたワケですから。 　 　 .＼ 　　 　`ー'´ 　　 　／
.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さらにこのコトから、やらない夫くんの　　　　 　 ／　　＼　　　　／　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 | 　 　（●） 　　（●） 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勉強の秘密も分かってきました……。　　　　　＼ 　　　　　´　　　u　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　 　 　　⌒　　　　 ＼





　　　　　　　　　　　　　　　_ ＿_ ＿
　　　　　　　　　　　 ,　.:.´:.:.:..:.::::::::::::::::｀`ヽ､
　　　　　　　　　 ,r'´.: .:.:.::::::::::::::::ー -､r」⌒Y⌒Y^ヽ
　　　 　 　 　 ／ .:.: .:.:.:::::::::::::::::::.:.:.,r'´　 ソ^ヽこ イ ヽ
　　　　　　　/ .:. /ミヽ::::::::::::::::::::.:.:.:.＞　 >　 ,ィ二ヽ ¨ヽ
　　　　　　 ,'.:.:::/.:::`ヾ､::::::::::::::::::::.:.:｀フ　 } ,ｲｲ薔薇ｶ　 ）　　 　 ううう……。 あ、あまり考えたくはないけれど
　　　 　 　 i:.::/:::／｀`ヽ､`.:､::::::::｀:.:､.:ﾌ　 L入ﾊ三 ソ　<
　　　　　　 |/.::,ｲ}　　　　｀`丶､.:.:.:.:.:ヽゝ　｀ゝl;;|二ノヽノ　　　　 刑務所の中って、人に邪魔されないし、きっと
　　　 　 　 .ﾚｲ/ﾘ　　　　　　　　 `ヽ ､.:.:>　 Y!;;|　ヽソ
　　　　　 　 i彡　　｀`ー'　　　　　'' ｰ-‐｀ヾ ﾉ|;;;| _ソー─ -､　　読書や思案にふけるのには、もってこいかしら。
　　　　　　<ミﾌh　　　‐- ､　　　　､ _＿ 　 ミﾐYスﾒ/ 」,ｲ,ｨ　 ＼
　　　　, イ三ミゝ､弋弍｡ﾃ　　　 ヾ圭｡ﾃﾅ V ソ彡厂￣￣｀`ヽﾉｭ､
　　, イ,ィ´￣￣｀ヽ ////　　,　 　 ////　/ - ─-､￣｀ヽ - ､　　　＼ _
,rソ^Y^Y　　ヽ ヽ＼つ 　　,,_ ＿　　 　 ／ ,　　　　 ﾄ､　　　　　　　　　　＼
　Y^X^X(＿ ﾉ ﾉ _ ﾉ｀ゝ､　＿ __＿ , イ !_/_ノ!　!　ﾉ　メこスｰｭ､＿ ＿　＿
_ノ__人＿ノヽ _／　　ヽ二二ﾌ不＜ ＿　＿ _＿　　　　　　　　 　｀^ー‐'^ｰ
　　　　　　　　　　／ /´￣　　　　　　　 　￣￣｀7 7

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　 |┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃|　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　 |┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃|　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　 |┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃|　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　 |┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃┃|　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿|┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻|＿＿|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 　 　　　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 　　ー　　‐ i　　　　　 　 　　　　　　　　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ―） （ ○）　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　`⌒´i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 ＼　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ＼, -‐- 、-‐- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼　　　　 ＼.　　（"￣ .入
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　＼　　　　" ￣￣￣　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　／ ＼,,＿＿＿＿＿__人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　／＼　　　 ＼ 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,_＿＿_／;__＿＼　　　 ＼,,_ ＼,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＿＿＿＿__）＿__）
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


　　　　　　　　　　　　　　　　　ええ。 しかも当然ながら、獄舎の塀の中では時間など飽くほどあります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　彼の天才的ともいえる、ひらめきはそこで生まれたのでしょう。






　　　　　　　　　　　 ｀''-.,,　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 　　｀''-.,,　　　　　　　　',
｀ﾞ''-..,,_　　　　　　　　　　　 　　ﾞ''-､　　　 　 　l
,,＞≧ミ=ｘ.-..,,__　 　 　 　 　 __,,..-‐ヽ、　　　　|
　／::::::(_ｊ卞ヾ　　　　　　　　,,斗=＜、 ',　　　 .|
　':::::{iiiiiii}::::| 　 　 　 　 　 〝/::riゝﾍヾ　.',　　 ,'　　　……で、でも、疑問は、まだ残っているかしら。
｜:::::ﾞ艸'::::;　　　　　　　　　 |:::{iii}:::::!　》 .',l　./
ｰヾニ二シ,　　　　　　　　　弋辷_ソ _″///　　　　 だって、古代史の専門書や関係書籍なんて
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ｨ'
　:.:.:.:.:　　 　 　 　 　 　 ′　　 　.:.:.:.:.:　l ヽ、.　　　　ニッチな本が、刑務所の蔵書にあるのかしら？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'-‐'"l
　　U　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　 三|
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 , '__,,.-='
＼ 　　　　 ⊂ニ＝=⊃　 　 　 _,,-''√三彡}

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　行刑図書館の『官本』には、やらない夫くんが　 　　　 / ─　　　─　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/（ ●）　 （ ●）　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　望むような参考書は、そうそう無いでしょうね。 　　　|　　　　'　　　 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＼　　￣　　 　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ……ですが、自弁の『私本』となれば話は別です。　　 ./　　ー‐　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　 ｀







: :/: : : : : : ／　　　　　　　　　　　｀ﾞヾ､ , イ ',　　　　　　 　 ∨///
:/: : : : : ／　　　　　　　　 ,,　　　　 ､　｀｀て, ',　　　　　_,.．-'∨///
{: : : :,.イ　　　　_,.．-'''"　´ﾞ　　　　　｀ ー＝ゞ.',_,.．-'''"　ノ｀´ﾞ∨'ﾞ´
.!: :〃/ ,.．-'''"　＿　　　　　　　　　　 　 ____水彡ー=ﾐ´: : : ::',: :
:| ::'∨　　　　､　　 ヾ´　　　　　　　　　彡'´　　 ノ;,　　∨ヾ､: :',:
ﾊ: : i　　　,>彡＝ﾐ､　　　　　　　　　　　　 ,.イ二ミzｿ　 ∨: :.､: ﾞ
ハ: {　　ヾﾁ__　__ .ヾヽ　　　　　　　　　　ノ,'´､__ ヽヾz_,　}＞-､:
´.｀ヾ!　　' {ーt':::j,ﾟ ﾘ　　　　　　　 　　 　 {ーt::::j,ﾟ }　　　7, - ､!´
../＼　　　 ゝ､.__彡'　　　　　　　　　　　　ゝ､.___彡ﾞ ,　　 {､　　}　　　　……あっ！！ それじゃあ
.ﾞ　　｀　　　ー--- '　　　　　　　　　　　　　ー-- <ﾞ　　　 j ヾ.､!
　､ ヽ　　/　//　i l　|　l　　　.:::i　　　　　, j　i　l　､ ､　　'　ﾉノ}',　　 　 妹のやらない子さんが……！
＼｀ ヽY　　　　　　　　　　　 ::::|　　　　　　　　　　　　'￣´／ | !
_＿≧､ ､　　　　　　　　　　　｀　　　　　　　　　　､　r=､_ノ -, 'ﾉ
/////｀,ﾊ　　　　　　　　　　 r_ っ　　　　　　　　　,ヽ= -　彡': : ヽ
/////＞'｀ヽ　　　　　　　　　 :::::　　　　　　　　 ,ｲ: : : : : : : : : : : :
｀￣ ´: : : : : : :＞ ､　　　　　　　　　　　　　 , .イ: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : j　＞,.　.　　　　　.　　＜　__j≦三ニ= ､: : : : : :
: : : : : : : : : : : : ::ノ　　/｀ｰ-､＞＜,. ＜´ヽY´: : : :｀ ヽ: : ｀ヾ､ : : :

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 イヽ　/ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /: ヽ　 　 /: : :} ∨: : : ＼　　　　　 ィ :^ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : ヽ /: : : ハ: :ﾊ: : : : ＼‐- .／ : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ィ"´: : : : ヽｲ: : : ノ"´} ヽ: : : : : : ＼＞"ヽ: :-ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾏ: : : : : : /: :/: :イ: : : :{ : : : ＼: : : : : ヽ: : :}ヽ: : : : ＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ: : : : : / : ／: : }: : : ﾊ: : : : : :ヽ、 : : : ヽ: : ﾍ: : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 V : : /: :./: : : /: : : i　{: : : : : : : : : : : : : : : : :' : : : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /: ／ : /: : : ｲ{ : : ∧: ヽ: : : : : : : : : : : : :}: : ∧: : 八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { : j: : : :ｉ: : : : ハ: : '　ヽ　＼: : : :|: : : | : : |: :ヘ∧: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: :| : : : |: :ｉ : :{　ﾏ {　　 ', 　 ヽ : |: : : | : : !: : : }ヽヽ: : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: :} :ｉ : :{: :ﾏ: :|―弋ヽ　 !　 　 i斗―ナト/: i : :! ',ヘ: :＼ : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }: j ハ: :!ヽ: ヽl {弌云ト　　 　 }ｲf云刀.lｲ: ハ: |　ヽ ＼: : :ヽ: ﾐ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ /:{　 ヽ', ヽ: :}弋 乂ﾘ　　　　　乂リ ﾉ/:{: |　ヾ! 　 ヾ　＼}: :ハ:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 j 八: ',　 ﾔ: : |八　 ￣　　 i 　 　 ￣　ﾉイ: :l　　　　　 ｀　　ﾒ:}　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /´　 ヽ'　 ﾔ: : }: : ヽ　　　　′　　 　 ｲ: :{ : ハ　　　 　 　 　 ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ´　　　　｀　 ｉ: :ﾘ: : ﾄ: :＞. 、´｀　　イ:ヽ: 八: : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }: /: : :} ヽ: :＼ > イ　/{ｭ: :＼: ヽ: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 //: : : /≦ト、 :ヽ　　/ /: : ＞ 、ﾍ: : :ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿}: z≦´: : :ﾊ ヽ: :ヽ　　/: : : : : : 〉: メ: : ＼｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 / ＼ヽ: : : : : :ハ　ヽ:ﾘ　 /: : : : : : /ﾊ: :ﾘ ヽ: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /、　 ヽヽ: : : : : ヤ"}ﾙ'‐/: : : : : ／／}ﾊ}　　 ＼}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /ハ　 ﾄ ヽヽ: : : : :{"´/｀ﾞ〉: : : :／／ 　 !/　　 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 /　∧　!　ヽヽヽ: : :ﾑ }九/: : ／／　　　/　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　∧ }　　 ＼ヽヽ: ﾑ　 , : /: / 　 　 　 }　 /　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ./　　 　 Y　　　　 ＼ヽ: ﾑ/: /∠イ＿＿　 } / 　 　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その通りです。 やらない夫くんの唯一の肉親である彼女以外に

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼の逮捕と受刑、服役先を知り、そして彼が求める『その手』の

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　専門書籍を把握して、差し入れするような人は他にはいません。
.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ボクも、「おそらく彼は獄中から手紙を出して、本を指定し 　 　 　 ／　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　─　　　─　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 それを、やらない子さんが購入して各地の刑務所へ 　 　 　 　 .|　 （○） 　（○）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　∩__'__/777　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 私本として郵送したのでは？」と、すぐに考えつきました。　　　 ／ （丶＿//// 　　 ＼




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　／　　　　 　 ／|
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　／　　　　 　 ／::::::|　　　　　　　　　　　　＿　　　　　.＿
　　　　　　　　　　　 　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|:::::::::::|　　　　　　　　　l'"￣　　￣`i''"￣＿￣`l
　　　　　　　　　　　　 　　　|　 　 　 　 　 　 　 ......::::::::::|:::::::::::|　　　　　　　　　| □ 三三　.| |￣　 .￣| |
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　 　 　 .....::::::::::::::::|:::::::::::|　　　　　　　　　| .三三三　 | 三三三¨ .|
　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 　 　 ゆうパック:::::::::::::|:::::::::::|　　　　　　　　　| .三三三　 |　三三三　|
　　　　　　　 　 　 　 . .. ..:.:::|　　　　　 　 ....::::::::::::::::::::::::|:::::::::::|::..　　　　　　 　 l, -‐‐'''─-､|, -─''─-.､|
　　　　　　 　 　 . : :..:..:.:.:::::::|　 　 　 　 ...:::::::::::::::::::::::::::::|::::::／::::.:.:.:.　 　 　 　 .iゝ､　　, -‐===-- ､　　,.<i
　　　 　 　 　 　 　 　 ...:.:.:::::|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|／::::::::.:.:...　　　　　 　 ﾞ￣￣　　　　　　　 ￣￣
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




: : : ／. : : /;／ : : : : : : : : : : : ヽ : : く｀Yヽ　　　 ＿
　: : : : : : ／;' : : : : : : : : : : : : : :　i : : : :ヽ　 Y＾Y´　├┐
　: : : : ／/. : : : : ＞──一' : : :人: ､: : : Y　 i　 j　 ｨ _￣¨i
　: : ／ ; ' : : : ／. : : : : : :　.,　 ´ 　 i : ヽ : !r{癶癶癶ヶ' 　く
　／: :/; : : ／. : : : : : ;__,　´ 　 　 　 ': : i : :|　　　　rく　＜ ノ
　: : ://. ／: : : : : : :∠　 　 　 　 　 　 i i : :|　 　_rく 　 孑'
　 イ/／ : : : : : : ／　　　　　　　　　　 Y. / 　 癶√V　{
　: :Y. : /⌒Y: ／　　　　　　 ー-　　 　 }_厂Y＾i　{￣￣
　 : j. ://＾ヽﾞぐ　 　 　≡ミx　 ､_ 　 　 人＿厂￣¨
　: : Y　Y.: 　} :ヽ,　　 　 　 ≫ｘ.,_　 ／ 　 　 　 　　 　 …………。 歴史の本なら検閲を受けても
　 : 人　;.:.　ﾉ:ン　　　　　/rゲﾍ　/
　: : : : Ｙ＾￣　　　　　　　じ'ﾞ 　 ∧_　　　　　　　　 　 差し障りなんてないから、ちゃんと届くかしら。
　三ミヾ:￣¨y　　　 .:.:.　　　　 /
　:　: : ＼ : 〈　　　　　 　 　 　 }　　 　 　 　 　 　　 　 でも妹さん、たった一人で大変かしら……。
　: : ミ､ : ＼ 〉　　 　_ _＿r一'
　: : : : :ヾ : / 　 　 　__)
　　ヽ; : : :Y＾ﾐー─く
　⌒ヽ, : : ; : : : : : : : }
　　 　 ＼ ＼ーｘ : :〈
　　　　＜: : :｀ー三厶
　 　 　 　 ＼: : : : 人＿)ﾌ
　　　　 　 　 ｀¨¨＼　￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　 　 　 　 　 ., イ／　　　 ｀ヽ
　　　　　　 　 　 　 　 ./ .／
　　　　　　　　 　 　　 { /ヽ-　― - ､
　　　　　　　　　　　／ヽ　　　　 _　　 ｀ヽ､
　　　　　 　　 　 ,ｨ´ , -‐ヽ　　,.ｲ ￣ヽ_　　ヽ
　　　　　　　　　{ /　　 　 ',　ﾉ{ミｘ､　　Y´￣｀ヽ
　　　　　　　 ,ィ７ __ ヽ　　 Vl{三_,ィニヽ　　　　',
　　　 　 　 //lr ´/::》　　　 ∨￣{〈｀Y´〉}ミx､　/ 　 　 ……ねぇ、アナタがこの、ご兄妹のことを今までカナに
　　　　　　{/　/､ゞ'　　　　　_ヽ　弋｀´ノ､ヾミ}/
　　　　/￣￣ !'''　'　 　　´/: ㍉､ﾉﾘ {ﾐ}ヾﾐ彡'　　　　　話さなかったのは、そういったワケがあったからなのね？
　　　,ｲ｀ミ､ニﾉ､　､　　　弋:::ン}ゞ'_-{ﾐ} '´／
　..く´ ｀ヽ´　　　 ヽ､　　 ''' ｀ 〃y / 　 ／.　　 　 　 　 グループの方からも名前を聞いたことが無かったし……。
({_,ﾉノゝ'´　　　　 x､_/二二 〃´ l __｀ヽ
..￣　　　　　　　,ｲ〃》 ´　ヽ} 　 /　_｀ /
　 　 　 　 　 ／ // /　　　　ヽ　}´､ ｀i
　 　 　 　 ／,.ｨ'､/-' 　 　 　 　 ﾉｰ-､ﾉ
　　　　　　/二ミ} l　　　　　　　ヽ ヽ ヽ
　　 　 　 /〃ヾ〃ヽ　　　　　　/ ヽ_ ソ
　　　　../ク　　　　　｀ヽ､　　　　〃ヾ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　スミマセン。 ……しかし犯罪を犯した友人を　　　　 ／_,ﾉ　　　＼　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　（ー） 　（ー）　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　隠したかったからではありません。　　 　 　 　 　 .|　　　　　 ' 　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　　⊂ﾆﾆ⊃　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カナに余計な心配をかけたくなかったのです。　　 ／　　　　　　　　　 ＼
.

　　　　　　　 ／' 　　　 ,. --r─'^ヽｰ _‐- ､
　　　 　　 　( ( 　　 , '´　　　＼ rイノ__フ､__ヽ_
　　　　　　 　ヽヽ／　　　　　＼j　f!´ヽ,..-'-.､ﾉヽ,
　　　　　　 　　/　 ＼` ー--　 ヽｲL　!::r'::ヽ::::Vj.
　　　　　　　　'　　ノ　`''ー----､,..Vヽ{:::ゝｰ:::'ﾑ7
　 　 　 　　 　|　ｲ　　　　　　　　　　Ll ゝtー<_ﾉ__
　　 　　 　 　 |　|!　　　　　　　　　　　 ~7_ﾄ､＼_ノ
　　　　 　　 　'.　|　 -― ''　　　　` ー- ヽ　＼j'
　　　　　　　　 ヾ!ゝ , -- ､ 　 　 　, -- ､　|彡ﾉ 　 　 分かってる。
　　　　　　 　 　 fヽ 　辷ﾌ 　 　 　 辷.ﾌ　/^V
　　　　　　　　 ,.イ^ヽﾊヽヽ 　 　　　////,イ　　　　　……でも、ちゃんと教えて欲しかったかしら。 こんな
　　　　　　　 　l !ﾚ'´..ゝ､ 　　｀　 　　 .ィ--､｀!
　　　　　　　　　ゞ／_ _,.-＞ﾊﾆ __..イ ,. -__ﾚ′　　　 一人で黙ってした外出の遁辞のついでじゃなくて……。
　　　　　 　 　, - 'イ彡ゝ-ノム,_:::__):`-ｨ_,ﾉ
　　　　　　　/　　 ﾚイ: :./ ´‐､＼:ヽ,,:.t三jー‐-.､
　　　 　 　./　　　 f/: :./　 －､ﾚ'＼j::/-イ　　　 l
　　　　　　{　　　　l: ,..ｲ　 　rｰ､_､　 ﾒ _　ゝ′　 |
　　　　　　ヽ　　　∧-ｲ`r-ﾑ : :ヽ＼_j　|　　　　ﾉ
　　　　　　　|　　/　 V`´V: :/ゝ二`'　　|　　　/l.
　　　　　　　|　./　 　 |): : :/　´￣ ｀　　|　　 'ノ





　　　　　　　　　　　　　　__　　-‐…‐　、
　 　 　 　 　 　 　 　 ,　´ 〃ﾆ＝_,≠≧ｪ≦圦
　　　 　 　 　 　 　 / ; '.: {{　＼（_《￣ｨ≠ｭ￣}}
　　　　　　　　 　 / /.:.:.:.ﾉ＼ :. '(弋（(辷ｿ))ｲﾉ
　　　　 　 　 　 . ′ .:／　 　 ` _｀寸|:ﾄﾆｨ|:|∧
　 　 　 　 　 　 │ イ　-‐…　　　ｰ i」、:.:l」　|
　　　 　 　 　 　 |:.;:_| 　 　 　 　 　 　 　 V;_.:l.|　　 　 まぁ、いいわ。 なんにせよ話してくれたから許してあげる。
　　　　　　 　 　 !:{ !| ,ｼ示ﾐ 　 　 ｼ示ﾐ､ |ｌ 川
　　　 　 　 　 　 .ヾ/',ヽ辷ﾘ　　　 '辷ﾘ 　|ｲ:.:,'　　　　……でも、それから、できる夫さんはどうしたの？ まさか
　　　 　 　 　 　 ., ':从　xxx　 ,　　xxx 　从{′
　 　 　 　 　 　 / __,ゞﾐ;,　 　ｰ ‐　 　 , ｲ彡}　　　　　やらない夫さん兄妹を放っておいたワケではないでしょ？
　　　　　　　　 　{三ミく_,..≧ ー　≦､_ムイ
　　　　　　　　　人三_〈 {{_=ｨ介 =_}}:.:厂｀´￣￣ヽ
　　　　 　 　 ／　 {ミ;ソ/.://:| 「´:.:.:./　 ,'　　　 　 ﾄ、
　　 　 　 　 .{ 　　_ゞ｝　!:.{_{.:.l_」 ..:.:/　　|　　　　　,リ
　　　　 　 　 ` ｧ= T 　 !:.:.:.o:.:.:.:.:./　 　 !　　　,　' 　＼
　　　　　　　 ./　　:!　　!:.:.:o.:.:.:.:/ 　 　 :.;ゝー'^ヽ　　　｀￣｀ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 無論です。 お二人は、ボクとやる夫くんにとって 　 　 　 　.／　ノ　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／ 　 （ー） 　（ー）　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 大事な友人です。 その上に、やらない夫くんは　　　　　|　　　 　　__´　_　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼　　 　 　 ￣　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 何にも代えがたい知識と才能の持ち主ですから。　　　　ノ　　　　　　　　　　　＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 _＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　 　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 お二人を救いたい！ ……そう思ってボクらは　　 　 　 　 　 ／─ 　 　─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／ （○）　 （○）　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 やらない子さんから、お兄さんの事情について 　 　 　 　 |　　 　___'___　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　⊂ ヽ∩　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 尋ねてみようと思いましたが、これは難しいことでした。 　 . | 　|　!､＿ ＼　／ 　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 |＿＿＼　　゛　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ ＿＿＿＼ ／

　　　,;′
　　　l|　　　　,.z=＝ー―‐zr‐ゞ､r､: ヽr¨≠ﾐ
　　　',!　　／　　　　　 　 (_　fr=≡ﾐγ彡¨ヾ 7
　　　 ヾ:K′　　　　　　　斗 ﾁ　　　r=ﾃ､x　f　}
　　　　/　/｀ヽ､　　　　　辷　ｆｚ __<{ 込 } )二 ヽ
　　 　 i　〃､　　｀ー-　　 て <´<.〆ゝrヾ､＼ソ
　 　 　|　　ト､｀ー＝-　　＿｀-´ ヽ_／ｧﾊ:ｌｪｭヽ./
　　 　 |　　|　｀ー＝ミ三三≦てYヽz_≧'ｌ:ｌ　 〉､:.、
　　 　 i　　| 　 　ノ　　　　　 〃≦三ﾐヽ, |:!ﾄ;′ ヾj.　 　 それは、そうでしょうね。
　　　　ﾞ､　 i　／ _ニ　 　 　 　 〈////j ﾁi:::ヽ
　　　 　 ﾞ､　',　,〃´ミ｀.､　　　　 ゞ=＝'　jゝ-｀　 　 　 　 身内の犯罪を曝かれるのだから……。
　　　　　　ヽ. ､|i ヾ// ｿ　　　　　　､､ 　ﾊﾘ｀ヘ,
　　　　　　　 ||ゞ｀ﾞ'｀ﾞ´､､　　 '　 　 　 ,.:仁≦三ｿ　　　　 やらない子さん、ツラいかしら。
　　　　　　　 〉≦,､ 　 　 　 　Ｏ　 ／ﾄ'Kー=＝｝
　　　　　　 .〈彡｀/≧＝ｰ―--='　／　ヾﾐﾈj.´＼
　　　　　　　/｀ﾞkﾐz〃//＿｀ヽ≦≡ﾐ､　 ｀ﾘ,　 　 ＼
　　　 　 　 /　　　　｀'／　 ゾ´ヾ:､=〃　　　　　　　 ヽ
　　　 　 ／　　　　　 ヾz〃ﾞ ゝﾝヾｿ　　　　　　　　　　 〉
　　　　｛　　　　　　　　 X　 ゝﾝ　〉z　　　　　　　　　 /
　　　 　 ヽ　　　　　　　 〈kー-＝'＼　　　 　 　 　 ／






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……どう話を切り出して良いのやら分からずに迷いました。　　　　 ／　　　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　 --‐　　‐--　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だからといって誰かに相談するワケにはいきませんし　　　　　　　|　 （◯） 　（◯）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　 '　 　　　__,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なすすべ無く、ボクらは悶々と考えるしかありませんでした。　　　 ／　　　　　　　　　＼
.

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　……ですが、そう苦慮しているところへ　　　　　　　　　　／　―　　　―　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ 　 （●） 　（●）　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やる夫くんから電話があったのです。　　　　　　　　　 |　　　　　　　'　 　　　 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　￣ 　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ノ　　　　　　　　　　　＼





＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡＝‐＝≡二三二≡



　　　　 ／￣￣￣＼
　　　／　　─　　 ─＼＿
　 ／　　 （─） 　（●） ＼|l(^) 　 　　 　 できる夫、今やる夫の家に
　 |　　　　　（__人__）　　　l(_ ）
　 ＼　　　　 ｀ ⌒´ 　　／⊂)　　　　　　やらない子くんが来ているお。
　 ／ 　 　 　　　　　 　 ヽ　ﾉ



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　──　　　　──.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　,r'"￣"'､　　　,r'"￣"'､　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 !　 ○ 　l 　　 !　 ○　 l　 　＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 えっ、やらない子さんがですか！？　　　／　　　　ゝ､＿,.ノ　 　 .ゝ､＿,.ノ　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　 　　 ＿_´＿_　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　 　　|　　　　　|　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　 l　　　　　l.　　　　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　￣￣￣￣ 　　　　　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼

　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　／　　 　 　＼
　　 　／　─　 　 ─　＼
　　／ 　 （─） 　（─）　 ＼ 　 　 　 　彼女、警官がウチへ訪ねたことを、警察署で知って来たんだお。
　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |
　　 ＼　 　　｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　　　そして口止めのため、やる夫に色々と打ち明けてくれたお。
　　/⌒ヽ　 　ー‐ 　 　ｨヽ
　 / 　　　 　,⊆ニ_ヽ、　 |　 　 　 　 　やる夫は、できる夫にも話してくれるよう頼んだから来てくれお。
　/　 　 ／　r─--⊃、 　|
　|　ヽ,.ｲ　　 ｀二ﾆﾆうヽ.　|



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 ああ、やる夫くんは、やらない夫くんの件を　　　　　　 　 　／ノ　　　＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（●）　　u　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 ボクも知っていると彼女に話したのですか……。　　　　|　u　 __´__　　　U　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿ `ー'´　　　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　 ……分かりました、すぐに伺いますよ！　　 　 　 　⊂ ヽ∩　/　　　　 　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､＿　＼|　　　　　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　＼　　／　　／

　　　　　　　　　　　,.:,; ' ''..　.,;.'..:⌒`;,: .　　..;;.,
　　　　　　　　　　　　,,.;. ; :.,　　　.. .''... .. '　　 ..;,):
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　''　　'.': ;,::.　. 　..., ;)
　　　　　　　　　　　　.''.:.:´⌒`.: .: ...　　　　. ...,. . ,;
　　　　　　　　　　　.''':.　.,'''.:;.　.::　.'.　,.:,;　　...,; ''
　　　　　　　　　　　-'' ' '　　　ー''　ｰ　 '''　'' 　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　.:: ..'...:⌒`　　: .: ..,,;.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.: ...:::⌒`　''　　　　　　　　　 　'.':. .,.; ,..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　　　 .: .....:　　　...:.: .: ⌒` .: ..:.: .: ...　.　 .:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(.,　.: ...　: .　 .:　 .　　::: ....::..　: 　.　.:　... .. .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　.　:. .;;,　　.:;. 　 .　　.　 .: 　　　.　..::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'' ' 'ー　'''　　''　―'''　''　‐-''




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ┌ ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿ ,,　..　 　 　 --──────┴ ┴--　　　　 ..　,, _＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ﾒ^.;⌒メ､─── r￢;:..､_　────────────┬‐ｧ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ﾂ.;:.;.;.;.;.;:;.;::ヾ┬─.ﾑ;.;.:.;;::;..｛ ─┬─┬─┐　 ┌─┬┬┐ |≦_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　y';;:.;.:;.:.;.;:.;.:;;;.:.} ||rf.;;`;::;:;;:;:;:;;::;､─┴─┴─┴┐｜//├┼┤ |==ｧ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! :;;:;:;;;:;:;;::;:;ﾐY⌒ｿ;;:;:;;;:::;:;::;:;:f⌒ ｎ ＿＿＿＿＿,!_└─┴┴┘ |爪
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（;;;;:;;:;:;:;:;;;;;:;:::;:;ｼ'(;;:;;:;::;:;:;;;:;;;:;:;:じiﾉ;;l 二二二二二二｝ ======== | |ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y.:;:;;;::;:;;;:;:;:;f 　 ヾ;:;;:;;;:;;:;;::;;::;;::;;:Y　　　＿＿　　 |　r=======、 :| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ ;;;:::;;::;;;:;:;;;;:｝　 || Ｙ;;:;:;;:;:;;:;:;;:;;:;.ﾒ __　 |: : : : |　 ｜ ||十i十i十||　| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　==========================|　|　| : : ０|　 ｜r────i≦千!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　lミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||　|i三三丁三三| に二ｺ 　 | 　 | |_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄﾐ [二二二二二二二二二] ﾐ||ミ||　|i三三丁三三| 　 _r;;:: .:,, | 　 | |;;;）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　lミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||ミ||　|i三三丁三三|　（;;;;:;:(:;;:;::;:;:);)| |二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　==========================|　|────‐ └下ﾐ( ;;:(::;:;;);;;)) |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｢￣￣｢￣￣｢￣￣「￣￣「￣|　|￣￣￣￣￣￣＼ﾄﾐr=====t| |＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｢￣￣｢￣￣｢￣￣「￣￣｢￣￣｢ |　|二二二二二二二ﾄ､|工工工| |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　 　 　 ／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 やる夫くん、お待たせしました。　　　　　　　　　／　＿,ﾉ　　⌒　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 ／ 　 （一） 　（ー） 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 それで、やらない子さんは……？　　　　 　 | 　 　 　　　´　　 　ij　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　 ＼ 　　 　⊂つ　 　 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　 　 ／　　　　　　　　　　 ＼




　　　　　　 ／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　／　　　　 　 　 　 　 　　　 ＼
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　/　　 　 　 　 　 　 -──　　　　─-　　 i 　 　 　 彼女は今、応接間にいるお。
　　|　　　　 　　　　{{　＿＿＿,jl　{{＿＿}}　 .l
　 ..|.　　　　　 　 　 ｀┴---┴´　　'┴┴´　 |　　　　 それと、翠星石はやる夫がお使いに
　　|　　　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　ヽ 　l
　　.＼.　　　　　　　 {　　　　　　八　　　　} /　　　　　出してあるから、気遣いはいらんお。
　　　　＼　　　 　　　｀───´::::::｀──'／
　　　　／ヽ　　　　　　 　　　　　　　　　イ＼
　　 ／　　　　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　____　　 ____　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　(`),/| 　/ヽ(゜,)　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:ヽ.○ノ..:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　 'i /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | :.: .▲.: .: .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　|i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|;:;:;:;:ｊヽ;;:;:; |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　||　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　 　||　　　　　　　　　　　　_＿＿＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿＿＿ /|ヽ ＿＿＿＿______.γ' 　　　　　　　　　　　`, ＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 / .|　＼　　　 __,________|　　　　　　　　　　 ______i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　　　　　 i__i,_______i＿＿＿＿＿＿__,,i__i　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　　 　　　　　　　　　　　　　| ┌'　　　　　　　　　　.:.:.:.:|　.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__,..､-ｰ=､　　　　　　　L..i─────────L____:j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'i,　　　　 'i,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　　 ',',',',')　　　　　 ＿＿＿＿＿＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i',',',',',',',',')_／;j　　　　／　　　　　　　　　 /l
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｰ┷ｰ　　　　　 iニニニニニニニニﾚ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　―- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 l　　　 　 　 ＿ 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ｉ /:::::::ヽ　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 | {::::::::::::} 丿
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　 　 　 こんにちは、やらない子さん。　　　　　|　　　　 ゝゝ― '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀┬― 　　　　　　　　　　 　 　 　 　 . :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼:.:.: : : : . . . . .　 . . . . . . . . . : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ーｧ‐-. : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : : : : :￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　/: : : : : : :

　　　　　　　　　　　 r‐-　､　　　　　　　 　　 ∠¨ ＼
　　　　　　　　　_,.斗ｆ＿:.:.:.:.｀¨￣¨'・‐．=‐／､:.:.:.:.:.∧
　　　　ｨ⌒ /⌒`:.:.:ム l冖‐-＜:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. >､　　 ':‐┐
　　　　|:.:.:./ :. 「￣:.:.:.:.:.:‐-:.:.:.:.:.: ヽ:.:.:.:.:. ＼:. /:. ∧:.:. 　 !|
　　　　| :.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、、:.ヽ.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.: ＼:.:.:.:.:|Ｖ:.　 {
　　　　ヽ/／/:.:/:.:.:.: 〈ｲ!ヽ、:.:.＼:.:';:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.＼/: :|:.:.:. |
　 　 　 /::./:.:.:.:|:.:.:.:.:|　|　/|:.:.:.:.:.:| .:|:.:.:.:.:|:.:.:.!:.:.:.:.:.|:. .|:.:.:. |
　　　 ./:.: |:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|. :| 　 jヽ!:.:..| .:|＿:. |:.:. |:.:.:.:.:.|: :!:.:.:. ヽ
　　　 |:.:.:.:|:.:.:.:.:|､:.:.. |. :|　　|:./ﾚ´|_/_｀}ﾟ:_|:.:八:.:.:.ｲ|/:}:＼:.:. ＼
　　　 |:.:.:.:..＼:.:.| Y,人 |　　|/　 rテ歹以､|:.:.:|:. ﾒ: |　|｝.∧:::.:|¨＼､
　　　 ｉ:.:.|::.:.:.:.:＼ irテ气､　　　　　 { )ﾘ彳}し/ﾙﾄ､|ｿ |ﾚ'　＼|　　）
　　　 |:./::!:.:.:＼{ﾏ〈　込ヽ　　　　　弋ツ　ﾚ'ｉ! /　}:.:./|　　 　）
　　　 ﾚ' |/ﾍ:.:.: | ｷ　弋ﾂ　,　　　　　　　u''　|/ _ノ:./:.{　　　(
　　　　　　　.＼|∧ﾊ '' 　 　 　 　 　 　 　　ム¨|:.:.:.:. :.|　　　　　　　　 で、できる夫先生……。
　　　 　 　 　 　}:/::∧　　 　　､_、 　 　　∠!/人 i|:.　ト
　　　 　 　 　 　|:.: :|.: :>　　　　　　　　　 {/:./:.:.: ）|:. :.｛
　　　　　　　 　/::::ｲ| /　.:.:|::`:..r ‐ '´ 　 八/|:〈::. |:|:.:.:.:|
　　　　　　 　, '::::::::::/　 :./／/ j　　　　 　 / ',:|::. !l:.:. 人
　　　　　 　 /／:¨:/‐::／-ｷ￣　　　　　／　　〉:.:.|!:.ヘ、ヽ
　　　　　　（:.:./ :/ ノ　 　/∧　　 　　,－　　/|:.:./之－-　）
　　　　　　　} /（　＼　 〃　 ＼　 　　　 　/　|/〉　|:　ヽ （
　　　　　　　`〉　　　∨/　　＼　', 　　　／ 　 |∧　', 　 ｝」
　　　　　 　 ∧　　　　ム＞　　＼〉､.／　　／　 　 l 　 　!ヽ、
　　　　　　/　　　　 :/　　　　＞ﾟ　ｲ》_＿／　　 　ﾍｉ/　 　　 ヽ
　　　　　./　　　　　|　　　　　/　　ヽ、　　 　 　 　 ﾏ 　　 　　　＼
　　　　 /　　　　　　|!　　　　　　　　　　　　　　　　　} 　 　 　 　 　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （ やらない子さん、泣いていたようですね。　　　　　　　　　 ／ノ　　　ヽ　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／（● ）　（● ）　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 キレイなお顔に涙で濡れた跡があります ） 　 　　　 　 | 　 　 　´　 　　 　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　⌒　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　 　 　 /　　　　 　 　 　 　 ＼






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／: : : 　 　　　　　　 　 　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : :　-一'　　 　 　 ﾞー- 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　おツラいでしょうが、ボクにも話してくれますか？ 　 ./ : : : : :／´ ｀ヽ 　 　 　 r´　｀ヽ 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l : : : : :（ 　f;;;;j　l,　　　　ｌ　f;;;;j　 }　 　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　……きっと理由があるのでしょう？　　　　　 　 　 　 | : : : : : ヽ_ ｀ _ノ　　　　 ヽ_ ´_ ノ;;:: 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 l : : : : : : : ´"''"　　 '　　　"''"´　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　お兄さんがこのような事に至ったワケを……。 　 　 ＼ : : : : : . .　　　＿＿　　　　　　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼: : : : : : :.　V_＿＿ヽ 　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／ヽ: : : : : : : : : : 　　　　　　 イ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／: : : : : : : : : :　　　 　 　 　 　 　 　 ＼

　　　　　 ,‐-　、　　　　　　　＿　　_,ｨ　‐-┐
　　　　 _/:::::::::::＼:zrft'"´:::::::::::::::::::｀ヽ､:::::::::}
　　　,ｨ─-:::::::;/ヽ::／::::::::::::::::::::::::::::,..::::::::＼:::!
　　　|::::::::::::::::〆:,ｲ:ヽ::::::::/￣￣´::::',:::::/ヽ::､::ヽ、
　　　|:::::::: :::::/::/:::|::',::::／::::::::::::::::::::::∨:::::::｀::ヽﾊ｀ﾞ;
　　　|:::::::: ::/:::;::::::::｀／:::::::::::::::l::::::::::::'::::::,::::::::',::＼
　　 /::::::::::/::::i::::::::/:::/:::::::::::::::|::::::::/!'::::::|::::::::::':,:::::＼
　（ｲ　::::r::::::}::::::::/:::/:::::::::::::::::l::::::::|''|::::::::',:::::::',::∨:::/
　ﾉ::::::ィ:| :::::l::,-､|::/::/::::::::::::l::|::::::l:| |::::::::::',:::::::':,::ヽ〈
ｲノ´ 　 }:::/:｀!l /l::{:::l::::::/:::/:l:!::::::|:! |:!:::::::::',::::::::ヽ::::j　　　 　 　 ………………。
（:　 　/:/:::l::::l､ヽ!:l::l:::::/:::// l:::::/l:! l:l::|::::::::',!:::::::lヽ::!
　　　 l:'|::::{',:::::ヽ'l:l,ｲ::/l::// /ｲ://　l:|',:!::::::l::|:::l::/ lﾊ!
　　　　l ヽ:ヽ:::',:::l/､!/ l/　/ l::/　 , l,' l/l:::/:ﾘ::l::{
　　　　　 ヽ::}):/l::::::::lヽ､　　 /　_　　 ,..ｲ:/:/:/l:､!
　　　　　　/ {:(. |::l::lﾉ　 ｀　､　´,..:＜´:/:/::l::j　ヽ!
　　　　　　　ヾ! l,-|:|　　　　 ｀´!::/l l/ l:{ /
　　　　, -― '"ヽ:.乂　　　　　　｀ヽ､,-― ¨ﾟヽ
　　 ／　　 　 ＼　､_　　　 ',　 /　　_,..-}　　　:,
　 /　　　　　　　 ヽ、￣￣ ヽ　　"´　 /　　　,! ',

　　　　l: : : :‐-ｨ,>`´: :´: :.イV ﾏvヘ、ヽ.: : : :,'
　　　. '´⌒:: : /:ヽ／: :　〃 ﾊ　ヽ: : `ﾍ　ヾ､::/
　,／　.: : : : : l: :′ ｧ: : : : : j.: :f'} :、: : : : :ﾍ: :＼
　ヽ　.: : : : : :ﾊ : : /. : : : : : : : : :}: : : : : : : : ∧. :ヽ
　　Y.: : : :.,.' : : : :´ : :j . :l. :/. :ﾉ　!. :| . :l: :ｷ.: :!ヽ: :l
　 /.: : : .:‘ : : ,' : : : :/　/l/／　　|: :| : :| : :!. :/.::!: j
. /.: : : .:/.: : ;,' : : : /}ｲ'一.　　　　l /‐､/| .:|: : ヽ::l/
/.: : :ｨノ!: :人.: : : /‐ｨ〒ﾃ;　′　,辷,y､_ﾘ.::/::|: :ﾘ
!／l （　|/'|: :/: :i/〈'弋ﾉ 　 　 　 ﾋノ丿,vﾊｲ:/ : :|
{/　　）　　|N.: : :ハ｀`　　　　　.　　'' ,〈/ ﾙ/|/Y´　　　　　　　　…………はい。
{　 　 　 　il: :}: :!ヽ丶　　　　　 　　 ,ｲﾑｲ　|
　 　 　 　 |/: :/: :八 ヽ、　´ ｀ , イ: :l::/!　/
　　　　　 ,': :/: :/!: :、l:.　｀ 7:´l : :|: :,ｲ（
　　　　 / ／: / .＼_:ヽ、 ｲjヘl､ : : i八｀ヽ、
　　　　八/＝|、 　　`､: :ｌヽ,　 ‘l｀ヽ. : :＼　）
　　　/ ／＞┤＼_　 　ヽl　 ＼　_ヽ:｀ヽ.: .:!
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　 　 i　　　　｀ﾊ　 ＼ `ヽ‐- Y´¨｀/〃　 　| ､

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　　　　　　　　 　 , -'"´: 　 　 　 　 　 　 　 　 丿 　 ヽ
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　　 　 　 /. : : : : :　　　　　　　 　 　 　 {　 {:::::::::ﾉ　!　　　ヽ
　 　 　 /. : : : : :　　　　　 　 　 　 　 　 丶　｀　´ ノ 　 　 　 ヽ _
　　　 /. : : : : :　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀ー‐ ´　　　　　 　　 　|　　　 これが今から３年前のコトです……。 そして
　　 ./. : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i
　　/. : : : : :　　　　　　　　　Ｕ　　　　　　　　　　　 ｀i｀ ﾆ二--　i　　 　 やらない子さんは、兄やらない夫くんがボクらに
　 /. : : : : :　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｀´ 　 　 　 l
　,'. : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /.　　　 隠していた『過去』について語ってくれました。
　i : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /
　i : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /
　', : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／
　', : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　 ヽ、: : : : : : .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　ヽ､:_: : : : .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　 ｀¨i : : : : :　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ








　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌───────────────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　できる夫は出雲路のバラバラ儀式殺人を追うようです　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　 　 第１０話　異才たり得る所以　　完　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└───────────────────────────┘

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