東京新聞・中日新聞
2017年4月23日
障害者は四つ葉のクローバー
「あえてバリアフル!」
バリアフル! バリアフリーの対義語の俗語で、バリアーがフル(たくさん)という意味です。高校進学時にエレベーターなし、階段だけの五階建てという、車椅子にとっては、まさしくバリアフルな学校を希望した私。姉も通った地元の高校だから、制服がかわいいから―というのに加え、実は「憧れの男子も受験するから」というのが最大の理由でした。
でも両親をはじめ、先生方、周りの大人は猛反対! 「今通っている養護学校(現・特別支援学校)の高等部に進学すればいい」「新設されるバリアフリーの高校はどうか?」と言われ続けました。
心に秘めた想いを、周りに言えるわけもありません。「世の中、バリアフリーではない方が多いのだから、それを避けていては、今後、何もできません。階段の移動は、友だちに手伝ってもらえば大丈夫」と説得を続けました。
唯一、応援してくれたのは、当時通っていた塾の先生や友だちでした。私は小学五年生から塾に通っており、●立中学受験の際、試験の点数はクリアしていたはずなのに、落ちてしまった経験があります。そのため、みんなは私の普通高校への進学を切に願ってくれました。
そして周りから反対されればされるほど、勉強への熱も、秘めた想いも熱くなるもの! 反対していた大人たちも、かたくなな私に押されて次第に折れ、推薦入試を受けることを認めてくれました。
面接当日、実は左腕を骨折していた私。「自分で動けないと落とされてしまうかもしれない」と心配し、痛みをこらえながら車椅子をこいだのです。そして合格。バリアーもフルだけど、楽しみもフルフルの高校生活がスタートしました。
写真:五年間通った学習塾で。中学二年の頃。前列中央が筆者。