目次
169 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:50:49 ID:Txsw5rfM
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/ , イ
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| 目| | 目| | 目| | 目| | | ち .|
| |。 | |。 | |。 | |。 | | ゃ .| 引っ越した先のぼろアパートには、
| | | | | | | | | | ん .| ありがたくない先住者がいた
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||#| 荘 |
\| | | 戦災をのがれて生き残ったという、
| ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ | | 古き昭和の面影を残すこの建物にじつにぴったりな、
| 目| | 目| | 目| | 目| | | | うらさびしいその存在
| |。 | |。 | |。 | |。 | | |
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- 170 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:51:06 ID:Txsw5rfM
,, -─- 、._ 〃"
"ミ / ヽ
| ノ ヽ、 |
| (●)(●) |
| (__人__) | 荷物をはこびこむとき、
ヽ `⌒´ J ノ そいつは部屋のすみに座ってうつむいていた
/ ヽヽ, ) )"
"( ( ( ヽ /./
\ \ ゛// | ガサゴソ…
/ / ヽ ~ \ `ヽ~\
| |
| ブランドバッグ /
ヽ______/
____
/::: \
/:::::::::: \
かべのほうを向いて /:::::::::: \
まるで無言の抵抗をこころみるように |::::::::::::::: |
/⌒::::::::: ⌒ヽ/
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/:::::::::::::: \ ヽ
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/ _ノ \
| ( ●)(●) 心の中で
. | (__人__). rm、
| ` ⌒´ノr川 || 『ごめんな。お前はもうこの世界の住人じゃないんだろ。』
. | },.! ノ'
. ヽ r / .| と、手をあわせながら作業をすすめた
ヽ ノノ ノ
/ / ./
| /
| i´
- 171 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:51:18 ID:Txsw5rfM
|┃三 / ̄ ̄\
|┃三 / \,_. \
|┃ (●)(● ) |
|┃ (__人__) |
ガラッ .|┃ ヽ`⌒ ´ | 帰るといつもそいつは部屋にいた
|┃ { | かべのほうを向いて、かなしそうにしていた
|┃三 { /
|┃ ヽ /
|┃ . ン ヽ
|┃三 / |
|┃(⌒二_/| . |
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._ / _ノ \ __
| |======| ( ー)(ー)===| |
寝るときもそいつは部屋のすみっこにいて、 | | | (__人__) .| |
べつになにか悪さをするわけでもなかった | | | ` ⌒´ノ | |
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| |\ ( . ヽ } ヽ \ || 7: 00 || |
| | \ヽ ヽ ノ ) \  ̄ ̄ ̄ ̄
| |\ \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
|_| \ ヽ \
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- 172 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:51:38 ID:Txsw5rfM
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/ / ..|
/ / ../| もしかしたら、部屋にいくらか残ったままだった、
│ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ././ そいつのものと思われる遺留品が心残りで、
├─────[ i ]─────-||/./ 成仏できないのかもしれない
│ [[二二二]] [水銀燈] |/
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| (●)(●) |
. . |. (__人__) .|
| ` ⌒´ }
残念だが、捨てさせてもらったよ _rl.ヽ` ////
ちゃんとお寺で供養までしたんだよ.. /\\ ////゙l゙l
,.:く::::::::`:、\ 〉l゙:l / !.|
. /:.:.:.:\:.:.:.:.`:、ソ/:.:| | |
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:У:.:;l /./
. /:.:.:.:.:.:.:.r'´`‐,`、:/.,.:‐{ | !`:、
,'.:.:.:.:.:.:.:.:.';_,゚.,ノ.:./,:':.:.:.:', | |`、:|
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.゙、:.::/:.:.:.:.:.:.ヽ, / ,!:.:`、
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/:::::::::: \ しかし、そいつはくぐもった声で、
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|::::::::::::::: | 『ここはやる夫の部屋だお。』
/⌒::::::::: ⌒ヽ/
;/:::::::::::: \; とくりかえし言うだけ
;/:::::::::::::: \ ヽ;
- 173 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:51:55 ID:Txsw5rfM
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/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ 『お前はここにいちゃいけないんだ。お前が帰るべき家は…』
. | }
. ヽ } と説いて
ヽ ノ mm
/  ̄ ̄ ̄ つノ
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| | | | <ガラッ
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/ ノ \ \/`i
| (●)(●)./ リ
. | (__人__)..| /
| ` ⌒´ リ ヒ 窓の外、空の向こうを指差すと、
. ヽ // ,`弋ヽ
ヽ - ′.Y´ , `ヽ`.l
/〈 `ー〈::....ノ V
| ヽ_ー 、 `ヾ_/ //
| フ-、`ー┴‐-〃
`ー‐一′
- 174 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:52:11 ID:Txsw5rfM
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/_ノ ヽ、\
o゚(>) (<)゚o.、
そいつは肩をゆらして泣きじゃくった / (__人__) ...\
| ノ ヽ, |
.\ (/⌒ノ´フ ./
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, n / ̄ ̄\ .n
. / / j.´_ノ ヽ、u'l lヽ、
/,イ / (○)(○) .l i i i
〈 .r {u (__人__) .i. } } 〉
', i. ', ` ⌒´ / / そのとき、ハッとこころあたりがして、
.i l. ,' ./
. ヽ、_.イ、. 人 ノ
ヽ 〈_ノ ノ
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|┃三 / \,_. \
|┃ (○)(○ ) u |
引き戸をあけて廊下へとびだし、 |┃ (__人__) |
すすけた部屋番号の木札を見た ガラッ .|┃ ヽ`⌒ ´ u |
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|┃ ヽ /
|┃ . ン ヽ
|┃三 / |
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- 175 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:52:25 ID:Txsw5rfM
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| ` ⌒´ノ
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. ヽ }
ヽ ノ
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. | ( ●)(● ) |
. | (__人__) │ 部屋をまちがえてた
| `⌒ ´ |
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. ヽ /
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- 176 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:52:40 ID:Txsw5rfM
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__/ \ ゴメン
/. 、 | ほんとにゴメン
|. ,(⌒(○)ヽ | なんてあやまったらいいのか
l lヽ )> /
/ ヽ\ `(__,(○) / / 捨てちゃったよ、君のもの
| \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ どうしよう
| |ヽ、二⌒)、 \
元ネタ
919 :癒されたい名無しさん :05/03/19 00:03:33 ID:G8I2Y8zF
引っ越した先のぼろアパートには、ありがたくない先住者がいた。
戦災をのがれて生き残ったという、古き昭和の面影を残すこの建物にじつにぴったりな、
うらさびしいその存在。
荷物をはこびこむとき、そいつは部屋のすみに座ってうつむいていた。
かべのほうを向いて。まるで無言の抵抗をこころみるように。
こころのなかで、
「ごめんよ。君はもうこの世界の住人じゃないんだよ」
と、手をあわせながら作業をすすめた。
帰るといつもそいつは部屋にいた。かべのほうを向いて、かなしそうにしていた。
寝るときもそいつは部屋のすみっこにいて、べつになにか悪さをするわけでもなかった。
もしかしたら、部屋にいくらか残ったままだった、
そいつのものと思われる遺留品が心残りで、成仏できないのかもしれない。
残念だが、捨てさせてもらったよ。ちゃんとお寺で供養までしたんだよ。
しかし、そいつはくぐもった声で、
「ここはおれの部屋だ」
とくりかえし言うだけ。
「君はここにいちゃいけないんだ。君の帰るべき家は、」
と説いて、窓の外、空の向こうを指差すと、そいつは肩をゆらして泣きじゃくった。
そのとき、ハッとこころあたりがして、
引き戸をあけて廊下へとびだし、すすけた部屋番号の木札を見た。
部屋をまちがえてた。
ゴメン。ほんとにゴメン。なんてあやまったらいいのか。
すてちゃったよ、君のもの。どうしよう。
- 178 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:54:17 ID:RF98osno
- 乙www
間違えるなww
- 180 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:56:35 ID:tSVaWO3c
- やらない夫ひでーwww
乙
- 181 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 00:57:38 ID:LSVNSCKE
- ひでぇwww
乙
- 182 : 本棚のやる夫さん : 2009/09/06(日) 01:00:30 ID:VQb4pUJ2
- 乙
ひでぇwwwwww