エチオピアはアフリカ最古の国で、その歴史は紀元前10世紀ごろ始まっています。人口の面で見ても9200万人を抱え年間2.6%の成長率を誇るアフリカで2番目の大国であり、政府は2025年までに中所得国の仲間入りを目指しています。しかし、その産業は伝統的な農業が中心で、農村の人口が増えることで広範囲の土壌浸食や森林破壊を引き起こしていて、このままでは政府の目標を達成することは困難な状況にありました。 by International Maize and Wheat Improvement Center
そこにゼナウィ首相が持ち帰ったのが「カイゼン」でした。カイゼンの考え方はシンプルで、「職場の環境を整理整頓された状態で保つこと」「作業員たちに上からの指示を待つのではなく、創造的な提案をするように促す」「身近にある資源を使って作業する」というもの。この実現のため、エチオピア貿易産業省内に「カイゼン・プロジェクト」チームが設置され、エチオピア国内の企業30社を対象として個別診断・指導を行うパイロットプログラムを実施。パイロット版の結果を受けて、エチオピア版の「カイゼン」を普及させていくための国家計画が策定されました。2011年には「エチオピア・カイゼン機構」が作られ、本格的にカイゼンの普及が行われています。 by DFID - UK Department for International Development
ちなみに、これが現地で作られた「カイゼン」ポスター。日本での5Sは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「習慣化(しつけ)」ですが、こちらでは「分類する(Sorting)」「順番にセットする(Setting in order)」「きれいにする(Shining)」「標準化・規格化する(Standarding)」「維持する(Sustaining)」の5つ。うまく5Sの形と意味をそのまま訳しています。