初戦でドイツに勝ったものの、日本が払った犠牲は大きかった。その1つが2戦目にプレーできない選手が出てきてしまったこと。1人はセンターバックの冨安健洋、そしてもう1人は右サイドバックの酒井宏樹という守備の安定には欠かせない選手だった。
その酒井が抜けた場所に入ったのは山根視来だった。数多くのライバルを押しのけてワールドカップメンバー入りした山根の魅力は、インナーラップからゴールに直接迫れること。コスタリカ相手に鋭く最終ラインを切り裂くはずだった。
ところがコスタリカの3バックは両サイドまで下げて5バックを形成し、日本が飛び出していくスペースをことごとく消し去った。
「(コスタリカは)多分普段4バックをやってるチームだと思うんですけど、試合前に3バックでくる可能性もあるという話もあった。そうなったときにどう対応するのかみんなで共有できていた」と山根は振り返る。
そして「(相手の守備者)5人に対して、(日本も)やっぱり5人の選手を動かしていかないとなかなかゴール前に侵入してくる難しい」と、攻撃に参加する人数が少なかったことを悔やんだ。
「5枚でブロック作ってこられると、単純な攻撃よりは複数が絡んで目線をどんどん変えていく攻撃をしなければいけない。後半そういう攻撃が増えて得点の匂いのするシーンが増えましたけど、それを90分間やれたらよかった」
もっともコスタリカは日本に対し、攻撃に人数をかけさせた裏を狙いたがっていた。そして日本の選手は相手の意図が分かったので、なかなか思い切って飛び出していけなかった。
そこがドイツ戦との差になった。あのドイツに対してかわされればピンチになるのは明白なのに、後半はどんどんボールを奪いに行った。だがこの日は相手の守備が堅いのを警戒し、思い切りのよさは出せなかった。
試合後のロッカーについて聞かれると、山根は「もちろん勝ち点を失ってしまったので……。でも終わりじゃないですし、もう1試合あるので、そこに向けて切り替えてやっていこうと」まとまったという。
「本当に終わってないので。今日負けましたけど、全然自分たちで突破していく可能性あると思っているので、いいリカバーをして備えたいと思います」
酒井の状態次第では、次の先発も山根になる可能性がある。そのときに、コスタリカ戦の教訓は生きるはずだ。
【文:森雅史@ドーハ/日本蹴球合同会社 撮影:岸本勉/PICSPORT】