値上げ率平均のうち、10月単月では16%に達した。8月の18%に次ぎ、既に
値上げが済んだ1〜9月を含めた年内10カ月のなかでは2番目に高い水準だった。春先から続く小麦や食用油価格の上昇に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、今夏から急速に進行した円安水準などが重なり、食品分野を問わず大幅な価格アップに踏み切るケースが多かった。
乳製品で11〜12月に値上げ相次ぐ 生乳価格上昇でパック牛乳など対象
食品分野別に
値上げとなった品目をみると、最も多いのは加工食品で年内8530品目が判明した。前月から増減はなかったものの、全品目のうち最多の約4割を占め、1万品目に迫る規模となる。
値上げ率も平均で16%に達し、特に秋以降にかけて大幅に値上がりする食品が多くみられた。調味料では4808品目となり、前月から157品目の
値上げが新たに判明した。特に食用油の高騰を背景に、マヨネーズ製品やドレッシング製品などの複数回
値上げが目立つ。酒類・飲料(3970品目)は、ビール類や焼酎、炭酸飲料や缶コーヒーなどほとんどの飲料が一斉に
値上げされる10月に2991品目が
値上げとなり、10月全体の4割超を占めた。
各食品分野のうち、
値上げ品目が増加したのは乳製品(985品目)で、前月から285品目増加した。パック牛乳などのほか、ヨーグルトやスライスチーズ、乳幼児向けの粉ミルク製品などを中心に価格が引き上げられる。輸入飼料の価格高騰などを背景に、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格が11月以降引き上げられるほか、ホエイなど輸入原料乳価格の上昇も背景にある。
輸入小麦・原油価格など主な値上げ要因は沈静化の兆し、電気代など新たな値上げ要因に注目
帝国データバンクの試算では、これまでの食品
値上げによって少なくも1世帯当たり年間7万円の負担増となるなど、家計への影響が深刻化しつつある。こうしたなか、足元では、政府による輸入小麦価格の据え置きに加え、下落が続いたドル円相場に対する政府介入、景況感の原則により下落が予想される原油価格など、今年の主だった
値上げ要因に沈静化の兆しがある。そのため、パンなど小麦価格高騰が反映された春先の「
値上げラッシュ」再来は当面の間回避できる可能性が高く、年内の
値上げは10月を最後に一旦はピークアウトするとみられる。
一方、10月から大幅な価格引き上げが予定される電気・ガス代に加え、飼料価格の上昇による生乳価格の引き上げなど新たな
値上げ要因も出始めている。特に電気・ガス代については「これまでの価格転嫁には含まれていない」といった企業もあり、今後の
値上げ動向を左右するカギとなりそうだ。円安水準や原油価格なども現状からバランスが大きく崩れた場合、来年以降に再び断続的な「
値上げラッシュ」が到来する可能性は否定できず、しばらくは予断を許さない状況が続く。