元日本代表MF齋藤学が加わる韓国の名門・水原三星とは。かつての“常勝軍団”から一転、凋落辿るイマ

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名古屋グランパスに所属する元日本代表MF齋藤学(32)が、韓国Kリーグ1(1部)の水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスに完全移籍することになった。

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2012年ロンドン五輪、2014年ブラジル・ワールドカップに参加した経験のある元日本代表選手なだけに、多くの注目が集まっていたが、日本のサッカーファンたちにとって気になるのは移籍先のことだろう。

水原三星とはどんなチームで、どんな状況にあるのか。紹介したい。

(写真提供=アフロ)齋藤学(右)
チョン・ソンリョンや高原直泰も在籍

水原三星はかつて、韓国でもっとも強く人気がある“Kリーグの顔”だった。

韓国が世界に誇る大企業・サムスン電子を親会社にして産声を上げたチームは、1996年にリーグ加盟。1年目でリーグ準優勝、1998年には創設3年目でKリーグ制覇を成し遂げ、以降、リーグ優勝は4回(1998年、1999年、2004年、2008年)、FAカップ優勝は5回(2002年、2009年、2010年、2016年、2019年)を数える。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の前身であるアジアクラブ選手権も2度(2001年、2002年)制覇した。

(写真提供=韓国サッカー協会)2019年FAカップで優勝した当時の水原三星

初代監督にキム・ホ(1995年〜2003年)、2代目監督にチャ・ボムグン(2004年〜2010年)と韓国サッカー界の名将たちが指揮官の座に就き、豊富な資金力をバックにGKチョン・ソンリョン(現川崎フロンターレ)、DFイ・ジョンス(元京都サンガF.C.、鹿島アントラーズ)、MFキム・ナミル(元ヴィッセル神戸、京都)、FWアン・ジョンファン(元清水エスパルス、横浜F・マリノス)など、韓国代表クラスの選手を毎年のように獲得するその豪華さから、「レアル・スウォン」と呼ばれた時期もあった。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)水原三星時代のチョン・ソンリョン

また、2010年には元日本代表FW高原直泰が在籍し、半年間のプレーで12試合4ゴールを記録。ほかでは、在日コリアンで元北朝鮮代表のMF安英学(アン・ヨンハ)が2008〜2009年、FW鄭大世(チョン・テセ、現FC町田ゼルビア)が2013〜2015年にプレーしていた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)水原三星時代の鄭大世
運営母体変更で支援金縮小、凋落の一途に

ただ、現在のチームにかつての面影はない。今季限りでの現役引退を表明している元韓国代表MFヨム・ギフン(39)のほか、元清水のDFイ・キジェ(30)、元ヴァンフォーレ甲府、サガン鳥栖、FC岐阜のMFチェ・ソングン(30)、元サンフレッチェ広島、栃木SC、V・ファーレン長崎、ファジアーノ岡山のDFパク・ヒョンジン(31)といったJリーグに縁ある選手などもいるが、かつてのような大型補強に乗り出すことはない。

監督もこれまでソ・ジョンウォン、イ・イムセンとクラブの生え抜きたちが監督を務めてきたが、今季も韓国代表コーチ歴があり、現役時代に3カ月のみ柏レイソルに在籍した経歴のあるパク・ゴナ監督が成績不振を理由に途中辞任。

低迷するチームを再浮上させるべく、後任には昨季まで大邱(テグ)FCを率いたイ・ビョングン監督が新たに就任。しかし現在、チームは第18節終了時点で4勝6分8敗の勝ち点18とし、昇降格プレーオフ圏内の11位と下位を抜け出せずにいる。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)苦戦が続く今季の水原三星

もっとも、かつての名門が凋落した原因は監督や選手だけにあるのではない。クラブの運営体制にも原因があると言わざるを得ないだろう。

というのも、かつてはサムスン電子という大きな後ろ盾があった水原三星は、2014年からサムスングループ傘下の大手広告代理店『チェイルキフェク(第一企画)』がチームの運営母体に。サムスン電子の管轄下にあった頃は年間300億ウォン(日本円=約30億円)を超えた支援金が、第一企画になってからは大幅縮小。2019年度は年間180億ウォン(約18億円)にまで減額している。そうした緊縮財政のせいで選手補強もままならない状態だった。

今季は天野純が大活躍中だが…

かつての常勝軍団から一転、近年は優勝争いはおろか下位に甘んじる自クラブの行く末を案じる“グランブルー(水原三星サポーターの愛称)”たちは、齋藤が救世主になってくれることを期待しているはずだ。

実際、近年のKリーグでは日本人選手の活躍が目立つ。昨季はKリーグ1でMF邦本宣裕(24、全北現代モータース)、Kリーグ2(2部)でMF石田雅俊(27、大田ハナシチズン)が存在感を示した。今季は横浜F・マリノスからレンタル中の元日本代表MF天野純(30、蔚山現代)が大活躍中だ。

齋藤は6月28日に韓国に入国し、すでにチームに合流している。

水原三星の次戦は7月3日にホームの水原ワールドカップ競技場で行われる第19節で、相手は元ガンバ大阪、FC東京、名古屋のDFオ・ジェソク(32)、元V・ファーレン長崎、京都サンガF.C.、ファジアーノ岡山のFWイ・ヨンジェ(31)、元柏レイソルのキム・チャンス(36)など、​​​​​往年のJリーガーが在籍する仁川(インチョン)ユナイテッドだが、ホームのサポーターを前にデビュー戦を飾ることはできるか。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)天野純

天野や邦本など、日本人Kリーガーの勢いに齋藤も続くことができるのか。新天地・韓国での活躍を期待したい。

(文=慎 武宏)