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まずは、購入者の性別と年代構成から確認していく。MINI新車購入者を新車購入者全体(軽自動車を除く)と比較していく。すると、年代構成に大きな違いはないが、女性比率が高いことがわかった。
次に「大切にしている時間」を見てみると、MINIオーナーのトップ5は「趣味を楽しむ」「1人で過ごす」「睡眠」「配偶者と過ごす」「飲食を楽しむ」となった。
上位は普遍的な項目が多いので、新車購入者全体とほとんど差はない。そこでMINIオーナーと新車購入者全体とを比較して、差分が大きかったところを取り出してみる。
すると、差分の大きかったトップ3は「ショッピング」「芸術・文化を楽しむ」「勉強する時間」となり、MINIオーナーは自身の成長や楽しみのための時間をより大切にしていることがわかった。
次に「時間を割いていること」の結果を見てみると、こちらもトップは「趣味を楽しむ」であるが、MINIオーナーは2位に「仕事」(35%)がランクインしている。新車購入者全体で「仕事」をと回答したのは23%で、20個以上ある項目の中で最も差が大きかった。さらに「仕事」について深掘りしてみよう。
「仕事価値観」というデータがあるので見てみよう。MINI新車購入者の「スコアが高い順」にソートした結果が次のとおりだ。
1位は「やりがいがあること」で新車購入者全体よりも8pt近く高い。また、7位の「自分の目標や夢を実現できる」も新車購入者全体よりも高く、仕事に対して前向きなマインドが見えてくる。とは言え、「やみくもに働きたい」ということではなく、「ワークライフバランスを保ちやすいこと」が2位にランクインしている。
先に見た「大切にしている時間」も考慮すると、仕事に一生懸命であり、自身のスキルを向上させながら目標や夢の実現といったやりがいを求める。しっかり稼いでしっかり消費する、といったキャラクターが、おぼろげながら見えてくる。
次に、少し視点を変えて健康面の意識も見てみよう。
下記は、MINI新車購入者と新車購入全体との差分が大きい順にソートした結果である。
MINIオーナーは女性比率が高いためか、見た目や美容に類する項目で差分が大きくなっている。デザインに特徴のある車種だけに、車だけでなく自身の見た目にも人一倍気を使っているのかもしれない。
続いて、「自身の性格をどのようにとらえているか」を見てみよう。
「他人を楽しませることが好きだ」「ドキドキ・ワクワクすることが好きだ」といった点からイベント好き、アクティブな性格である人が多そうなことがわかる。
3位の「やりがいを大事にしている」は先程の仕事観とも共通するものであり、仕事以外(おそらく休日の過ごし方や趣味についてであろう)にも通底する価値観のようだ。
ここまで性格や物事の考え方といった、生活に関する価値観を見てきた。ここからは消費に関わる価値観と実態を見ていこう。
1カ月の平均お小遣い(=毎月自由に使える金額の目安)のデータを見てみると、新車購入者全体の平均値が37500円だったのに対し、MINIオーナーは43700円と6000円程度高いことがわかった。この前提のもとで、商品を買うときの考えや行動を見ていく。
次の2つの結果も、MINI新車購入者と新車購入全体との差分が大きい順にソートしたものである。
「洗練された物に囲まれて過ごしたい」「持ち物やインテリアの色にこだわりがある」といった、物に対してのこだわりが強い傾向がわかる。
また「人の持っていないものを身につけたい」「よいものを自分自身で発見したい」からもわかるように、誰もが持っている流行のものよりも、自身で選び抜いたものを購入したい志向も見えた。
「機能よりデザインを重視する」のスコアが高いのも、特徴的だ。
MINIという車はその個性やデザインから市場において独特なポジションを取っており、ライバル車種と比較検討して選ぶのではなく、“指名買い”されるケースが多い車だ。最後に、そういった特徴を持つMINIを購入した人々の、自動車に対する価値観を見てみよう。
結果から、車は「実用性や機能よりもデザイン性を重視」して選ぶと同時に、「気分転換や自己表現のための手段」であり、「所有することで喜びや楽しい生活」をもたらしてくれる、そんな存在であることが読み取れる。
SUVの「MINIクロスオーバー」も人気だ(写真:BMW GROUP)
ここまで車そのものに関する項目だけでなく、性格や消費に対する考え方など様々なデータを見てきたが、果たしてMINIオーナーはイメージ通りだっただろうか。古今東西、マーケティングや広告宣伝の世界では「ブランドイメージとターゲットとする人々の価値観の重なり」を見出す活動が行われている。
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例えば、スタイルのいい白人男性がセダンに乗りヨーロッパの街並みを颯爽と運転するシーンや、アクティブなカップルがSUVで海へ駆け出す、といったものだ。
一方で、ユーザーは多様化している。今回はMINIオーナーをひとくくりにして分析を進めたが、細かな部分は当然1人ひとり異なる。量産する商品のターゲット1人ひとりに対して最適化することは、メーカーの理念としては目指したくとも、現実的には不可能に近い。
その際、「どこを確実に押えなければいけないのか」、あるいは「どこは切り捨てても影響を最小限に留められるのか」の判断が高精度で必要となっている。その範囲は車両の研究開発から販売、広告宣伝といったコミュニケーションの場までと広く、ブランドとして一気通貫したぶれないイメージの醸成と具現化が求められる。