ちょっと怪しい機器から電子工作用のパーツまで、ユニークな商品を多数扱っているのが、秋葉原ラジオデパートの「Shigezone」というショップ。
どんなものが売られているのか、その一例を挙げると、880円のHDMIキャプチャー、数百円で買えるArduino互換ボード、改造前提のデジタルチューナー式ラジオ、LEDパネル、各種コネクター類などなど……普通のお店ではあまり見かけない商品ばかりが並んでいます。「アマゾンのマケプレで中国直送となってるような商品」だといえば、なんとなくの雰囲気が伝わるでしょうか。
そんなShigezoneで昨年11月に注目を集めたのが、「細長液晶ディスプレイHDMI入力」という商品。Twitterで「ツイ廃専用液晶」として投稿されたツイートは、タイムラインをずらっと表示できる面白さもあって、話題となりました。
最初のテスト販売が行われたのは、11月21日。ツイッターで販売開始がアナウンスされると新し物好きが殺到し、1万1000円という価格にも関わらず20分ほどで完売してしまいました。輝度変更ができない、スピーカーがない、初期不良保証のみという特殊な製品にも関わらず、です。
2回目のテスト販売は12月25日。この時は事前アナウンスがあったこともあり、競争率は更に高くなったようで、4分ほどで完売となっていました。3回目は12月31日。抽選販売となりましたが倍率は6.7倍で、やはり大人気となっていました。
たまたま運よく1回目のツイートに気づいて購入できていたとはいえ、販売が継続されるかわからなかったので紹介するのは控えていたのですが、ちょいちょい補充があるようなので、紹介します。
8.8インチと思ってたよりもコンパクトなサイズ
まず最初に感じたのが、意外と小さいんだなということ。ノートPCの横に立ててある写真しか見ていなかったので、そこそこの大きさがあるのかと思っていたのですが、実物はもう少し小ぶりでした。縦長に置いたときの実測で、約65×233×18mmくらいのサイズです。
背面は2回目の販売からはMDFそのままになったようですが、1回目のものでは黒いシートが貼られていました。そのまま使うならシート付の方がお得感がありますけど、手を入れるのを前提で考えているなら、むしろMDFのままの方が手間が少なそうですね。
コネクターは、映像入力がHDMI mini(タイプC)、電源がMicro USB。ケーブル類は付属していませんので、別途自分で用意する必要があります。電源のUSBケーブルはいくらでも手に入るので困りませんが、微妙なのがHDMI miniのほう。最初、変換コネクターを使って通常サイズ(タイプA)に変換しようと思ったのですが、これが、微妙に高さが足らず使えません。
先端だけはギリギリ刺さりますが、斜めになっているためこれ以上は無理。押し込むと確実にコネクターがもげるヤツです。もっと薄型のコネクターを使えばいけるかもしれませんが、この手の製品で厚みが仕様として公開されてることはまずないので、完全に賭けになりますね。それなら、ケーブルを用意する方が早いし楽です。
ケーブルはHDMI miniであれば何でもいいですが、できれば細くて柔らかい方が取り回しが楽になります。シールドガチガチのほうが信号的には安心ですが、ケーブルを動かすことが多い場合は、コネクターに負荷がかかりやすいのが気になるところ。
個人的なオススメは、エレコムのスーパースリムHDMIケーブル。「DH-HD14SSM10BK」という型番で売られているものが1mと短めなので、ノートPCなどと組み合わせる場合にピッタリです。スーパースリムというだけあってケーブルはかなり細く、Amazon Basicのケーブルと比べてみると、その細さが際立ちます。
ただし、シールドが弱くラインも細くなるので、同期が怪しく画面がたまに揺れるとか、ノイズが乗ることがあるといった症状が見られるようなら、がっしり系のケーブルにしたほうがいいかもしれません。このあたりは状況に合わせて選んでください。
Windows 10のPCからは通常のディスプレイとして認識
HDMIで接続するとWindows 10から認識され、480x1920ドットのディスプレイとして扱われます。
使い方は、通常のマルチディスプレイと同じ。拡張画面として利用し、上下左右、好きな場所に設置してあげましょう。
表示は縦画面だけでなく横画面にもできますので、上下に合わせたいという人はこちらがオススメ。ただし、Twitter用として使うのであれば縦画面推奨です。じゃないとタイムラインほとんど読めませんから。
なお、表示方向の天地入れ替え(反対向き)もできるので、コネクターの位置が悪いと思ったら入れ替えるのも手です。縦置きしたいけどケーブルが下に出るとジャマ……などあれば、上になるよう入れ替えてあげましょう。
ちなみに「ツイ廃用液晶」と言ってはいるものの、ただの液晶ディスプレイなので、当然ながらTwitter以外にも使えます。例えばEngadgetのサイトへアクセスしてみると、縦にずらっと記事が並んで、結構見やすいです。
連載記事もこんな感じになるので、一覧性に優れるというのは間違いないですね(古いリムーバブルメディアを紹介するスイートメモリーズ、よろしくお願いします)。
これに限らず、ひと目でわかる情報を多数羅列しておくもの……例えばFX用として為替レートを表示したり、横向きにして複数チャートを表示する、といった使い方もできそうです。
もうちょっと面白い使い方できないかなと考えたときに思い出したのが、以前、分解して液晶を割ってしまったドン・キホーテの「NANOTE」。これの液晶を取り外し、小型軽量&バッテリー駆動可能なキーボード型PCにしてみました。
本体のディスプレイなしでもちゃんと映ってくれます。この写真では横画面にしてみましたが、縦画面にして、Twitter専用PC化するのも面白いかもしれません。
もちろんHDMIなので使えるのはPCだけではありませんが、スマートフォンのHDMI出力だとダメでした。さすがにムチャでしたね。
ちょっと検索してみたところRaspberry Piで試している人もいて、少し設定を追加するだけで表示できるようです。
ツイ廃用液晶のスタンドをあれこれ考えてみる
動作確認として表示するのであればケーブルを接続するだけでいいですが、実用品として使おうと考えた場合、何らかのスタンドが必要となります。どんなものが活用できそうか、いくつか考えてみたので紹介しておきます。
まず目についたのが、手元にあったスマートフォン用の三脚。ツイ廃用液晶はスマートフォンとほぼ同じ幅となるため、この三脚が流用できそうです。ただし、厚みはスマートフォンの2倍以上あるため、しっかりつかんでくれそうな製品を選ぶ必要があります。
手元にあったのは、ベルボンの「Luvipod PHS2」という製品。
スマートフォンの保持部に爪があり、そのままつけると滑り落ちてしまうため、しっかりグリップできるようクッションパッドを貼ってみました。
これで無理なくしっかりつかめるようになります。縦横自由に回転できて、しかも上下の高さも自在。重量にもしっかり耐えてくれるので、いきなり正解を見つけたような気分です。
とはいえ、すでに手元にあるから使っただけで、新たにわざわざ買うほどかと言われれば微妙です。そこで、なるべく安く済ませられないかと、100円ショップに行ってきました。その成果を3つほど紹介しましょう。
その1:スマートフォン用スタンド
見ての通り四角い箱タイプのスマートフォン用スタンド。三脚と同じ考えで、スマートフォン用のアクセサリーなら問題なく使えるだろうという目論見です。使い方は載せるだけと超・簡・単。
幅が狭いためにスタンドの底まで落ちてしまい、最下部の一部が微妙に見づらくなりますが、手軽さは随一。移動が多く着脱が面倒だという人なら、これが楽です。
その2:ソフトワイヤー
以前から好きな商品のソフトワイヤー。適当に形を変えるだけでスタンドが作れるので、こういった特殊機器用のアイテムを作るのに向いています。50cmのものが2本入っていましたが、そのうち1本を使い、上の写真のような形にしてみました。
挿し込んでから角度をつけ、背面で支えるといった形です。この形だと液晶の下部までしっかり見え、多少動かしても倒れず実用的。もうちょっと横幅をつければ、安定感が更に増します。この辺りは工夫次第なので、色々形を変えて試してみてください。
その3:工作材料(直方体)
90×30×15?の木片が8個セットになった工作材料です。このうち4個を使い、簡易なスタンドを作ってみました。なんだか墓石っぽいですが……。なお、固定にはホットボンドを使ったので、ものの数分で組み立てられました。
木片の表面は処理が甘くてザラザラしており、これが滑り止めとして強力に機能。斜めに立てかけても滑って倒れません。心配なら、手前に小さい木片を接着するといいでしょう。駐車場の輪止めみたいな感じですね。
後ろから見ると中央下に隙間が空いていますが、ここはケーブルが通せるようにわざと作っています。これがなかなか実用的で、トップの写真とか見直してもらえるとわかる通り、今回の製品紹介ではこのスタンドをメインで使っています。
今はまだテスト販売のみで、入手しづらいのが悩み
使ってみるとなかなか面白いツイ廃用液晶ですが、テスト販売価格は1万1000円。同じ金額でフルHD液晶が買えますから、実用性を重視する人には向いていません。あくまで、480x1920という解像度を喜んで使える、物好きな人向けという点は忘れずに。
また、私が試した範囲での話ですが、PCによってはしばらくすると画面が消えてしまう、DisplayPortからの変換だとうまく表示できないといったことがありましたので、この辺りの不具合、相性問題も含めて楽しめる人でなければ厳しいです。この手のものに飛びつく人には余計なお世話となりますが、念のため。
一番の悩みは、欲しくても買えないことでしょうか。海外通販に慣れている人であれば、個人輸入するというのもひとつの手です。探すとサイズも解像度も色々なディスプレイが出てきますので、チャレンジしてみるのも楽しそうです。
個人輸入は怖いというのであれば、Shigezoneさんをフォローしたうえ、次回の販売に備えるのが近道。次回の販売を見逃さないようにしておきましょう。
追記:1月8日21時
さっそくShigezoneさんが調達状況をツイートしてくれていました。これで多くの変態方へと届くようになりそうです!