「au 音の VR」に採用されているのは、視聴者の操作や動作に応じて、収録した音場の空間的な広がりを保ちながら、任意の範囲にズームしたステレオ音場をリアルタイムに合成する、音場のズーム合成技術です。360 度の映像と音に対して、見たい、聞きたい部分を自由自在にズーム、その部分の音と映像が体感的に合致したインタラクティブ視聴体験が可能いうものです。
今回の撮影は、VRカメラとして「KODAK PIXPRO SP360 4K」を採用。VRカメラをセンターに業務用のマイクを6本放射状に配置して集音したということです。ここまではよくある360度VR動画ではよくある収録方式ですが、ユニークなのはその合成、視聴方法にあります。視聴アプリでは、360度全周囲の映像をパノラマ化した映像が動画として再生されます。
拡大したい部分をズームすると、ズームされた映像にあったマイクバランスでステレオ化するというもの。つまり、コンテンツとしては360度VR映像と、6本のマイクで収録された6chの音声がアプリに収録されており、視聴者の操作に応じてアプリ内でリアルタイムに音場が合成されるという技術ということです。
これは、5Gに向けてのチャレンジということで、高画質でリアルタイム性に優れた5Gが実用化された際には、ライブ会場などでも推しメンにズームした映像をその場で楽しむことができるようになるのではないかと可能性が語られました。その他にもスポーツ観戦(中継)や監視カメラなどのセキュリティ分野など、応用面でも研究が進められているということです。現時点では、収録方法と視聴方法はほぼ実用の域まで確立されたということで、今回のアプリ配信となったそうです。Androidでの配信がないのも研究段階での試験的な要素が大きいので、シェアや再生可能端末の割合が多いiOSでの提供となったということです。
VRゴーグルが不要な形式を採用した点としては、今回のコンテンツはグラスレスで楽しめることを目指した結果と言います。VRグラスによる没入感は魅力としつつも、視界を妨げないという安全性や多くの人が気軽に楽しめるという点を重視した結果だそうです。
360度撮影では、普段のPV撮影と違った苦労があったのでは?という質問に「普段では横一列でカメラに向かって歌ったりダンスをするのが、VRだとどこに行ってもカメラに写るので気が抜けない、常に意識して撮影しました」と川村さん。
和田さんも、「VR撮影の場合、メンバーと向かい合って歌ったりする場面もあって、目が合って笑いそうになったりもしました。今回のコンテンツでは「20年後のアンジュルム」というテーマで、半分のメンバーは歌って半分は絵を描いていたのですが、20年後の私がすごいおばあちゃんに描かれていてショックでした。もっと可愛く描いてくれればいいのにって!」と撮影時のエピソードを話してくれました。