9月14日、打ち上げが延期されていたイプシロンロケット試験機が宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。打ち上げは見事に成功しイプシロンロケット試験機に搭載されていた惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)が目標軌道上に到達、打ち上げ後の目標軌道上において太陽電池パドルの展開に予定通り成功した。



この成功にはNECの持つ技術力が大いに貢献している。同社は、「ひさき」についてJAXAの指導のもと衛星システムの取りまとめを担当。また1970年の「おおすみ」以来の衛星開発実績をもとに、衛星の中核である衛星バスシステム()に関し、セミオーダーメイド型の小型科学衛星向け標準バス(SPRINTバス:)開発にも貢献した。

さらに同社は打ち上げ準備、打ち上げ後の初期機能確認などの運用支援も担当。引き続き、今後2か月にわたる初期運用および約1年にわたる観測ミッション運用の支援とともに、SPRINTバスのさらなる活用にも取り組んでいくとしている。同社の持つこうした技術力は世界に誇れるものだ。

スマートフォンやPCといった分野で苦戦している状況ではあるが、宇宙開発といった技術に目を向けると、まだまだ世界で十分に戦える技術を有しているといえるだろう。今後の活躍にも期待したい。

なお、「ひさき」は世界初の惑星専用の宇宙望遠鏡を搭載する観測衛星で概要は、以下。

■惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)の概要
・開発の目的と役割:
大気に吸収されるため地上では全く観測できない極端紫外線(EUV)を宇宙空間から観測する衛星。太陽系で最も強い磁場を持つ木星の磁気圏や地球とは異なる組成の大気を有する火星・金星の観測を行う。
・形状・寸法:
二翼式太陽電池パドルを有する箱型+ミッションモジュール
約4(横)m×約1(奥行き)m×約7(全長)m、(太陽電池パドル展開時の両翼端)
・質量:350kg
・姿勢制御:三軸姿勢制御(指向精度5秒角)
・発生電力:900ワット(ミッション終了時)
・設計寿命:1年(ミッション期間1年)
・打ち上げロケット:イプシロンロケット試験機
・軌道:高度:近地点950km、遠地点1150km
    傾斜角:31度
    種類:楕円軌道
    周期:約106分
・主要ミッション機器:極端紫外線(EUV)分光器

■衛星バスシステムとは
通信機器や太陽電池など、人工衛星の基本的な機能を提供しているシステム。テレメトリー・コマンド系、姿勢軌道制御系、電源系、太陽電池パドル系、構体系、熱制御系の機器を含む。

■SPRINTバスとは
頻度よく衛星を打ち上げ、より多くの科学的成果を売るため、様々なミッションに対応できる設計柔軟性を有し、今までの衛星開発と比べて低コスト化を目指してJAXAが開発したセミオーダー型の柔軟な標準バス。

NECの宇宙開発への取り組み「宙への挑戦」 惑星分光観測衛星(SPRINT-A)
JAXA人工衛星・探査機・惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)

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B.C.C


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