すごい録画機も市場は日本のみ


スマートテレビが世界的なIT業界の話題になっている。日本でもテレビがどうなっていくかは話題だが、テレビは放送や視聴形態などが、国や地域によって実情が異なる。特に日本と異なるのが、テレビ番組の録画に関する部分だ。日本ではテレビを購入する際、一緒に録画やメディア再生用にBlu-rayレコーダーなどを検討する方が多い。しかし、海外では録画そのものや録画機器が日本とは全く異なり、日本のようなBlu-rayレコーダーの市場はほぼ存在しないと言っていい。日本のテレビ録画文化は携帯電話同様にガラパゴス化しているとも言える。

■録画機器は日本のみで発達
日本で放送される多くのテレビ番組は一度放送したら終わり、見逃したらいつあるかわからない再放送を待つか、DVDなどが販売されない限り見ることができなかった。このため、ドラマなどの録画用に録画関連機器の市場があるが海外では日本のようなBlu-rayレコーダーは販売されていない。つまり、日本の家電メーカー各社が販売しているBlu-rayレコーダーは日本だけに特化した製品であって、どんなによい製品を開発したとしても海外には展開できない。

ここで疑問なのは、海外ではテレビ番組を見逃したりするのを防ぐためにどうしているかと言う点だ。海外では一般的に再放送が盛んでケーブルテレビなど含め、放送局を変えて何回も再放送されるので、見逃しても後で視聴することができる。また、ネットなどによる配信や日本よりリーズナブルにDVDやBlu-rayなども販売されるので、録画して見逃さないようにする必要性が薄い。

もちろん録画用の機器が全くないわけではなく、ケーブルテレビが普及しているアメリカでは録画機能付きのチューナー(STB)が普及している。これをDVR(Digital Video Recorder)と呼んでいるが、これにはHDDが内蔵されているだけでBlu-rayやDVDなどの光学メディアに書き出すことができない。

このDVRはケーブルテレビの契約と一緒に月1,000円くらいで借りることが多く、日本のようにテレビと一緒に5万円くらいのBlu-rayレコーダーを買うようなことはないし、TiVoなどの例外はあるが家電量販店でも扱われていない。日本ではアニメやドラマなどを録画して、自分用のライブラリを作るためにBlu-rayなどに書き出すことを好む人もいるがBlu-rayなどが比較的リーズナブルに販売されるので、わざわざ自分でライブラリーを作るほどでない。

■放送番組の内外価格差
例えば、日本ではJIN-仁- 完結編のBlu-ray BOXが定価3万円ほど、実売2.5万円ほどで販売されている。アメリカのBlu-rayで比較的高価な方のBoardwalk Empireというドラマシリーズは定価80ドル程、実売45ドルほどで販売されている。(2012年4月現在Amazonでの価格)ドラマで比較しても五分の一程度で購入できるので、気に入ったドラマが年に数本程度あるくらいなら、自分でライブラリを作るより、そのたびに購入した方が手っ取り早い。

状況は国や地域によって異なるが、日本の電機メーカーが最先端技術を駆使したテレビ関連の新製品を出しても、グローバルに展開することはない。日本向けの技術が、何らかの形で海外展開時に応用できるのかもしれないが、テレビ関連市場に関してはそもそも、文化自体が異なるので、技術力などで何とかなる問題でもない。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

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