場所を選ばず扱い易い、画期的なデザイン
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プロジェクターとしては画期的なデザイン。回転させての天井投写が手軽におこなえる |
HDMIとUSB-C、ヘッドホン出力、電源端子を搭載している。USB-Cからの充電も可能。 |
持ち運びに便利なセミハードケースが付属。 |
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セミハードケースには本体はもちろん台座やリモコン、電源ケーブルが収納できる。 |
マグネット装着式を採用しているため、台座は本体にしっかり固定される。 |
独自のスティック型Android TVデバイスを内蔵。Google Play最新アプリが活用できる |
以前取材をした際に大変気に入り、先日購入しました。購入してからはや2ヶ月、シアタールームだけでなく、いろいろなシチュエーションで試してみました。
【デザイン】
手でさっと本体を回転でき、壁投写から天井投写に切り替えられる機能的なデザインは、本当に画期的だと思います。機能からの目線で生まれただろう造形にもかかわらず、全体の纏まりもよく、なによりも既存のプロジェクター製品とは全くの別カテゴリー感、目の前にあっても邪魔に思わない佇まいのよさが素敵です。実際、設置面積をとらないどこにでも置きやすいデザインは、なかなか優秀だと思います。誰もが考えつきそうでいて、誰もやったことのない、素晴らしいアイディアだと思いました。
【発色・明るさ】
明るさに関しては、据置型のプロジェクターに比べるとさすがに明るいとはいえないですが、ポータブルプロジェクターとしてはそこそこ優秀なレベルだと思います。数値的には最大300ルーメンとなっていますが、LED光源のおかげか数値より少し明るく感じられます。実際には(6畳間長辺真ん中あたりに設置し100インチスクリーンに投写した際)、室内灯を最大の明るさにするとよく見せず、段階調整で暗めにしてあげると充分に楽しめ、真っ暗が理想、といった印象でした。
また、発色については一般的なシアタープロジェクターに近い、自然なカラー色合いの映像が楽しめました。こういった製品にありがちな派手目な色合いでなく、映画も違和感なく楽しめそうなごく普通のカラーセンスです。こういった製品は少ない階調なりに見やすさを高めるためかビビットな映像になりがちですが、GV30の色彩表現はよい意味で普通のため、とても好感が持てます。
【シャープさ】
720p解像度のため、映像はそこそこのシャープさに留まります。とはいえ、低価格フルHDプロジェクターに勝るとも劣らないフォーカス感のよさを持ち合わせていますので、あまり不満は感じません。ただし、注意点がひとつ。比較的明るめの室内だと、GV30の自動ピント調整が細かい部分まで追い込めず、ピントが甘くなってしまう場合があります。その場合は、いちど部屋を暗くして再調整すると上手くいく場合があるので試してみてください。もちろん手動調整もできますので、慣れている人はそちらの方のほうが確実かもしれません。
【調整機能】
横滑りしない台座によってGV30本体は一定方向にしか回らないため、投写の高さや位置も簡単に微調整でき、さらに自動調整によってピントや台形補正もすぐにベストな状態になってくれるので、調整はとても楽です。この自動調整はなかなか優秀ですが、もう少しシビアに調整したいという人にも、手動調整もあるので安心です。
【静音性】
カタログスペックの騒音レベルは29dBと低い数値になっており、実際に使っていても騒音が気になることは全くありませんでした。
【サイズ】
実際にかなりコンパクトなサイズに纏められている製品ではありますが、底面積が少ない、細くて縦長なデザインは、設置場所を選ばないため実際の使用時にとても重宝します。いちどGV30を使用すると「普通のプロジェクターは何故縦置きできないの?」と理不尽なことを思ってしまうほど。
付属するセミハード・キャリングケースの扱い易さもあって、持ち運びの際にも全く不便さを感じません。なかなか優秀なサイズ感、パッケージだと思います。
【総評】
こういった“インテリアにマッチする”ライトユースのプロジェクターは多々ありますが、Bluetoothスピーカーがメインである製品以外は、いずれもあまりピンとこず、購入することはありませんでした。初めてGV30を見たときに「こういった考え方があるのか」と感心し、ポータブルプロジェクターをひさびさに購入することとなりました。
確かに、明るさなどはビジネスユースとしては少々不足するかもしれません。実際に中野サンプラザの宴会場(一面が窓ガラスの部屋)で80インチサイズの投写で試してみたところ、昼間でも電気を消せばまずまず使える、といった明るさで画像を表示してくれました。
とはいえ、真骨頂はホームシアター用です。WiFi接続でamazonプライムビデオやYouTubeを楽しめ、HDMIケーブルでブルーレイプレーヤーを接続することもできます。発色のよい、それでいて奇をてらわずニュートラルな映像表現は、映画やドラマとも相性がよく、存分に楽しめます。
さらに、プロジェクターの内蔵スピーカーとしては音質もまとも。2時間以上使用できるバッテリーも搭載しているので、持ち運んでちょっとした活用なども可能なのはなかなか便利です。
もちろん、今後のグレードアップに期待したいところもあります。フルHD化や単焦点化は商品価値をぐっと上げてくれるでしょうし、(本体サイズやデザインをあまり変えず)スピーカーの音質を更に上げることも手がけて欲しいポイントです。
いずれにしろ、画期的かつ完成度の高い、プロジェクターらしくないデザインがとても魅力的な製品だと思います。今後も手元でいろいろと活用していきたいと思います。