【デザイン】
つや消し仕上げが上品で随所に丸みがつけられたやさしさあるデザイン。
720HSでは左側にあったフレーミングアシストボタンが右手側に移動し、片手操作できるように。
【画質】
望遠端で鏡筒に手が触れたりしてズレるとピントが合わなくなってしまう程度に精度はシビア。
ノイズリダクションきつめで、高感度時はやけになめらかにしたがる。ISO3200で撮影すると本体で再生した段階で拡大せずとも「あー…」ってなるぐらい溶けることも。
ノイズ低減の強さとかISOオート上限の設定とかあると助かるんですが…。
最高感度がISO3200までというのはちょっと力不足。ここはマルチショットノイズ低減も実装して盛って欲しかったところ。
また、ノイズ低減処理の負担のためか、動画撮影時のISOオート上限が4Kは1600、FHD/60pは2000、FHD/30pは3200となるので、暗いシーンでは動画の設定を落とすといいかも。
4K動画はモードダイヤルが動画にあるときのみ使用できます。
4Kに切り替えた段階でかなりクロップされ、そこからさらにダイナミックIS(以下D-IS)の設定を強くするほど狭くなっていきます。(IS/水平由来のクロップはFHD以下でも共通。)
D-IS弱だとIS由来のクロップがなくなりますが、自動水平補正(以下水平)がONだとクロップされます。(D-IS標準〜強では水平の有無でクロップ範囲は変わらない。)
【操作性】
レスポンスが驚異的。撮影の確認をオフにすると、シャッターを切ってもブラックアウトがなく、ほんの一瞬画面が固まる程度で、瞬時にライブビューが復帰し次のシャッターが切れるようになっています。これ本当に撮れたの?っていう感覚です。
レスポンスにおいては番長だったカシオZRシリーズ(以下ZR)を追い越した感じ。しかしZRはシャッターを切ると一瞬だけブラックアウトし、ひょっこり右下に小さくプレビューが出る仕掛けなので、すぐライブビューを復帰させても撮れたっていうのがわかるんですよね。
パワショらしく、全押し撮影後に指を完全に離さず、半押ししておくとAFロックがキープされ次のシャッターがより早く切れるようにもなっています。
(他社はいったん指をシャッターボタンから離さないと次の一枚が撮れなかったり、再度AFしたりすることが多い。)
半押し中にマクロボタンを押すと、AF位置からのMF切り替え(AFロック)、半押し中に露出補正ボタンを押すとAEロックが可能、といった小技もそのまま。
このクラスとしては初めてEOS系のUIを取り入れたとはいうものの、あくまでデザインや配置、さらにエラー画面がEOSと同様になっただけで、過去にEOSを使っていた人にとってはかゆいところに手が届かない…という気持ちがふつふつと。
Wi-Fiボタン等のカスタムとか(ISO感度ボタン欲しい)とかできればすごくありがたかった…。
また、マニュアルホワイトバランスの取り込みも撮影済みの画像から選択するというEOS流の作法となり、撮影画面上からワンタッチで取り込めなくなってしまいました。
表示レベル設定「やさしい」モードはメニュー背景が白くなり、メニュー表示時にそのタブの説明が1枚挟まる程度の違いで、そこから進むと「標準」と変わらないメニューが表示されるので、本当にやさしいかどうかと聞かれると微妙。
海外の掲示板を読み漁っていくと、ファーム的にはEOS R系と同等のつくりにはなっているらしいので、今後に期待…かな。
【バッテリー】
720同様にUSB充電に対応しています。給電は不可。
バッテリー単体を充電するコンセント直挿しの充電器が付属しているので予備バッテリーの充電も困りません。
ズームの倍率が高いために積極的に動かしたくなるため、意外にスタミナがないように感じてしまいます。
動画撮影時は予備を持つといいです。尚電源ON時に純正品かどうかチェックが入る模様。
【携帯性】
丸みのあるデザインのお陰でレンズの突起以外はスムーズにポケットなどにしまうことができます。
チルト液晶の採用で、SX720HSのときに感じた「40倍ズームがこの薄さ&軽さでッ」というインパクトが薄れています。
【機能性】
旧モデルにあったクリエイティブショットなどは削除され、代わりに料理や自分撮りなどトレンドに合わせたモードを実装しています。
また、こだわりオート使用中の自動連写/連写合成機能も削除されています。
余談ですが、EOS系とのUI共通化の影響か、PowerShot/IXYでは定番?の、SETボタン長押し等で見られる時計機能がついに削除。
この時計、左右ボタンで背景色を変えたり、カメラを縦に持つと変化したりと、ちょっと気に入ってた機能でした。
【液晶】
電源オフ時は画面もフチも黒一色となるので大きく感じますが、電源を入れるとフチ部分が多く見えてしまい(特に左側)、ひと回り小さいな…と感じます。シルバーボディなので余計に。
タッチパネルはついていません。AF点も中央一点のみ。こうスマホユーザーを意識した機種ほどタッチパネルが欲しくなると思うんですがね…。
液晶は上にのみ開くのでハイポジション時は本体を上下逆さまに持てば画面が下にできるわけですが、
カシオのZRは上下逆さまに持つとそれを認識し、ライブビューの表示も記録される画像も正しい向きにしてくれます。
しかしSX740HSは上下逆さまに持ってもそのまま表示・記録され、撮影後にカメラ内で回転させようとしても絶対左右90度にしか回せない(一度回すと戻せるよう覚えてて2回操作して180度回転も不可)ため後処理が手間です。
動画撮影時に自動的に水平を取る機能を搭載しているのにも関わらず、画面に表示できる水準器を搭載していないのはなぜ…。
【ホールド感】
グリップ部はふくらみと、滑りにくいラバー素材が貼られていますが、やっぱりファインダー欲しい。
【総評】
720HSからなお続くポケットサイズではトップクラスの40倍ズームで話題をひいて、チルト液晶など実用的な機能性を盛り込んだ意欲作。
40倍ズームが主目的ならネオイチスタイルの機種(SX70HSとか)を検討したほうがいいかも。